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2021年03月03日掲載

【開催報告】2020年度 オンラインセレモニー

「教育助成論文」の授賞式にあたる「オンラインセレモニー」を、2021年1月30日(土)にオンライン(Zoom)にて開催いたしました。

千葉大学教育学部附属小学校の研究発表資料画面
最優秀校の実践発表
旭市立干潟中学校の研究発表資料画面
最優秀校の実践発表

毎年1月に、受賞校・園の先生方をソニー本社にお招きし、賞状や目録を直接お渡ししていましたが、コロナ禍のため、ソニーが60年以上続ける本活動におけるはじめてのオンライン開催となりました。直接先生方にお会いできなかったことは残念ではありましたが、オンラインで繋がることで、受賞校・園の先生方に加え、論文にご応募いただいた全国の260名を超える学校・園みなさまにご参加いただきました。また、オンラインの強みを活かし、参加者と研究代表が画面を通して直接話し合う「研究者と語る会」にもチャレンジ! 参加者全員で作り上げる、とても温かいセレモニーとなりました。

オンラインセレモニー第1部は、ソニー教育財団会長のご挨拶に続き、審査委員長の御手洗康氏(元文部科学事務次官)、小泉英明氏(株式会社日立製作所 名誉フェロー)より審査講評をいただきました。また、最優秀2校・最優秀2園の研究代表による研究発表が行われました。

やかまし村の研究発表資料画面
最優秀園の実践発表
世田谷区立希望丘保育園の研究発表資料画面
最優秀園の実践発表

第2部は「研究者と語る会」を開催。参加者はZoomのブレイクアウトルームで4つの部屋に分かれ、最優秀校・園の研究代表の先生に、研究の内容や日ごろの実践などについて直接質問していただきました。「研究者と語る会」は想定していた以上に盛り上がり、開催後のアンケートでも以下のような声を多数いただきました。

  • コロナ禍のいまだからこそ、つながることに嬉しさを感じました。
  • 全国の先生方のお顔を見られて、また頑張ろうと思いました。
  • オンラインはその場に行かなくても参加でき、時間と費用の面も含め、ありがたかったです。
  • 熱心な研究実践に感動しました。出勤中の先生みんなで参加しました。
  • 論文だけでは伝わらない研究者の方々の人柄を身近に感じ、自分もまた挑戦してみようという気持ちになりました。
  • 研究者の方が楽しんで実践をしていることがわかり、それが大切であることを感じました。
  • 意見交換の時間がもっとタップリと欲しかったです。
ブレイクアウトルームの様子
研究者と語る会

初めてのオンライン開催は不慣れな進行等もありましたが、先生同士が地域を越えて繋がることの大切さや、コロナ禍でもこうした取り組みが実現できることに気付くことができました。受賞校園のみなさま、本当におめでとうございました。そして、オンラインセレモニーにご参加くださいました全国の先生方に、心より感謝申し上げます。

受賞論文はこちらからお読みいただけます。

お寄せいただいたご質問への回答

時間の関係で、「研究者と語る会」でお答えしきれなかったご質問への回答を、学校、園からいただきましたのでご紹介させていただきます。

千葉大学附属小学校

対面授業ではなければならないこと、オンラインでできること、その棲み分けを是非参考にしたいです。
本校も研究途中です。昨年1年間おこなった経験から得た知見をもとに、現在、来年度の教育課程を編成するにあたり、【全教科・全学年】において、【オンラインでも可能な学習場面】を、3~5時間分を目安に洗い出し、急な休校や、オンライン通学に備え、準備を進めております。 対面でなければならない学習とオンライン学習に向いている学習を棲み分ける視点は、理科に限って申し上げますと以下6点を大切にしています。
  1. 実験が家庭でもできる
  2. 安全かどうか
  3. 単元全部ではなく【導入場面】【活用場面】【観察場面】など、効果的な場面を抽出して選定する
  4. じっくりと長い時間をかけて問題解決に浸らせてあげたい場面を選定する
  5. 保護者への負担を極力減らす
  6. プリントでも済むような問題ならプリントで出すという視点

世田谷区立希望丘保育園

園児さんとの歩みを論文にされるまでにどれくらいの期間を要しているのを教えていただきたいです。
「のっぱら」プロジェクトの取り組みは、5年前からスタートし、試行錯誤を繰り返していました。2年前、統合園として新設されたことをきっかけに、保育園全体のプロジェクトと位置付け、プロジェクトチームを各クラスから選出して取り組みました。2019年秋から冬頃、ソニー教育財団の論文応募を知り、自分たちの活動を論文として形にしたいと考え、今までの記録や発信してきたお便りを整理しながら、整えていきました。論文作成の期間としては、2020年の4、5月頃に事例の整理をしながら書き始めました。6月中に全事例を書き上げ、その後色々な職員にも目を通してもらいながら校正し、7月中に完成しました。

幼保連携型認定こども園 やかまし村

園児さんとの歩みを論文にされるまでにどれくらいの期間を要しているのを教えていただきたいです。
2020年春、緊急事態が終わってから本格的に書き出し、締め切りギリギリまで調整や見直しをしていました。締め切り間近には研究代表が保育に入らず、1日園長と一緒に書いたりする日を2~3日取ったでしょうか。記録がきちんと取ってあったことが、論文を書くにあたりとても役立ちました。
オオクチバスの「駆除」という言葉で表現されていましたが、子どもたちの会話の中ではどのような表現をされていましたか? そのあたりの表現が難しいと思いまして。
駆除するということを遠回しに伝えたり曖昧にするようなことはありませんでした。「駆除しなければいけない」と伝えた時も「駆除ってなに?」「殺しちゃうってこと?」という声は真っ先にあり、「そうだよ、オオクチバスがいることで日本の在来の魚が食べられていなくなってしまうからオオクチバスを捕まえて殺しちゃうってことなんだ」と伝えました。それ以降は「駆除」という言葉を使っても子どもたちは理解していました。また、「法律」「放流」等、その時によって説明が必要な言葉もありましたが、必要な場合は意味を説明しながら、その後は会話の中でも気にせず使っていました。
死と向き合う葛藤、ひしひしと感じました。身のまわりの豊かな自然、生き物とのかかわり死と反対の「生」と関わる時に大切にされていることは何ですか?
死と向き合わせる葛藤ということを実は意識していませんでした。むしろ「生かす」ということ。子どもも保育者もそれだけを思いながら魚を捕まえ、飼うという行為を繰り返していたのだと思います。子どもが毎日夢中になって魚を捕まえてその生態を調べ「より良い環境」を準備し生かす。子どもはそのことに一生懸命でした。オオクチバスの駆除はそのような中で突然向き合わなくてはならなくなった「死」でありました。まさに「生かす」という行為と真逆の行為に子どもたちは葛藤したのです。その葛藤は「生」があったからこその葛藤でした。何を大切に…と一言で言うのは難しいですが、まずは大切なのはやはり「丁寧な保育」ではないでしょうか。子どもたちのちょっとした言葉や思い、出来事一つ一つに丁寧に耳を傾け目をやり答えていく。子どもたちは自分たちが大切にされている、自分たちの思いはすべて保育者が肯定的に受け止めてもらえると思うからこそ、他の生き物も大事に思える。そんな基盤が出来上がる。そういった保育が大事なのではないかと考えています。
様々な体験の過程の子どもの心の動きや援助について教えてください。
体験、意欲、試行錯誤…は子ども一人ひとりのタイミングによって違い、今回は一人の釣りごっこから「やってみたい」が広がり、その姿がさらに広がっていきました。たとえば、初めて魚捕りをしている子、「やってみたい」と思っている子、捕まえるために試行錯誤を始めている子が同じ場所にいる場合もあり、それぞれの子ども一人ひとりにストーリーがあり、今日のやりたいことがあります。だからこそこの時期は主体的に遊んでいればいるほど「今日はみんなで○○しよう」とはいかないものなのではないかと思うのです。“今日の姿“を捉え、担任間で共有し、「今日は見てただけだけど、本当はやりたいんじゃないかな?」「罠がうまくいかなかったから明日は違うところに仕掛けるって言ってたよ」等、できる限りの情報を共有し、次の日は今日の続きから遊びが継続できるように担任間で情報を共有していました。後半になるにつれて「水族館を作りたい」「日本の魚を守るには」というクラスの思いとして大きくなっていったと思っています。ここまでくると前半とは違い「みんなで○○したい」が増え、集団として成長していることを感じる毎日でした。
自分自身も地球の中の自然のひとつだということを感じられるための援助や環境構成などについて教えてください。
毎年、年が明けると今のプロジェクトの進行をみながら、子どもたちのこのプロジェクトの興味のどの部分が「地球の一部と感じられる」部分なのかを検討していきます。たとえば園庭にあったカタバミが食べられる草だとわかったことからその年は雑草プロジェクトが始まります。物的な環境(水槽を準備したり、図鑑を必要に応じてそろえたり等)、人的環境(今回で言えば、うみの杜水族館の飼育員さん)等を整えていくということはもちろん必要に応じて博物館や科学館等の施設の利用も行います。また、やかまし村の園舎そのものが自然環境に配慮した建物となっており、設計士さんと建築を考えた時に一番大事にしたことが、出来るだけ自然素材で建築を行うということと、出来るだけ地元の素材を使って建てるということでした。もちろん現代においては難しいことは多いですが、何百年か後にやかまし村を使わなくなった時にはすべてが自然に帰るそんな園舎を目指しました。そういったことを大切にする園風が様々な場面に現れて教育目標の達成につながっているのだと思います。
「科学する心」の芽生えから、子ども達の様子や声(言葉)は、どんなものが見られたり聞かれたりしますか。
今回実践を行った子どもたちは現在小学一年生になっています。論文中に出てくるなおきくんは今回の実践中に捕まえた大きな鯉を自宅のガレージで飼っていて大人が読むような鯉の専門書を読みこんでいます。外来種や用水路等、実践に重なる内容の本に出会うと本を持って園に来てくれることもありました。洗剤1杯分の入った水をきれいにするにはお風呂の水が〇回分必要…と書いてある本を説明してくれるなおきくんの姿に、魚との出会いを土台にして自然のことや持続可能な社会についてさらに思いを深めていることを感じました。
子どもが死と向き合うこととは?
信頼する水族館の飼育員さんの言葉、大事に飼っていた魚たちを返す用水路にオオクチバスがいたらこの魚たちがみんな食べられてしまうという現実、また特定外来生物であるということはどういうことなのかを担任から丁寧に説明すること等。それらがあって、葛藤する中ではありながらも子どもたちがちゃんと「駆除する」という結論を出せたのだと思います。当時「本当にこれでよかったのか」とむしろ一番受け入れられなかったのが担任や私(園長)だったかもしれません。そんな時のはやたくんの「オオクチバスもありがとうだね」という言葉だったということでしたので、どんなにほっとしたか!

2021年02月08日掲載

【開催レポート掲載】
2020年度最優秀園実践発表会:福島大学附属幼稚園

2020年11月7日(土)に開催した最優秀園実践発表会:福島大学附属幼稚園の開催レポートを公開しました。当日Zoomのチャットに寄せられたご質問への回答も掲載しています。ぜひご覧になってください。

2021年02月03日掲載

【開催速報(オンライン開催)】
2020年度最優秀園実践発表会:京都市立中京もえぎ幼稚園

2019年度「ソニー幼児教育支援プログラム」の「最優秀園」である京都市立中京もえぎ幼稚園において、「最優秀園実践発表会」を開催いたしました。新型コロナウイルスの感染防止のため、オンライン(Zoomミーティング)とし、北海道から沖縄県まで全国の保育・教育関係者など、200名を超える参加をいただきました。当日は、初めての試みとして、発表だけでなくグループ協議の時間を設け、参加者双方向の全員で作り上げる発表会となりました。

当日の研究発表資料より
開催日 2021年1月26日(火)
主催 京都市立中京もえぎ幼稚園・公益財団法人 ソニー教育財団
テーマ “ねがい” ~「科学する心」は“ねがい”からはじまる~
講演 秋田喜代美氏/東京大学大学院 教授
「ねがいからはじまる科学する心」
指導講評 古賀松香氏/京都教育大学 准教授

冒頭、ソニー教育財団会長 盛田昌夫が挨拶の中で、本園の論文について、“ねがい”から「予想や仮説」が生まれ失敗や葛藤などの「困難」と出合い、また新たな“ねがい”へと変遷していく様子を図式化して、子どもの心をより深く理解しようと努められたことが「最優秀園」として高く評価されたことを述べました。

Zoomミーティング映像の写真
Zoomミーティング映像より

研究発表では、本論文に関わった各学年の担任より、“ねがい”に焦点をあてた実践の報告がありました。5歳児では“ねがい”をもとに友達や教師と遊びが継続され思考錯誤しながら思考が深まる過程。4歳児では、友だちと遊ぶ中で“ねがい”をもち、イメージを広げることで新たな“ねがい”をもつこと。3歳児では、試すこと自体を楽しみ、偶然や驚き、不思議さから再現性を求め“ねがい”が生まれることが実証された内容でした。発表を受けて、京都教育大学 准教授の古賀松香氏より、指導講評がありました。本園の特徴として、「保育者が園の中で、常に保育を見合い語り合う体制があること」「研究の継続と言うマラソンによって学び合う教師文化が形成されてきたこと」「実践と実践研究の往還という保育の質向上のかたちが日常化されていること」これらにより同僚性と志が育ち、子どもの思いを語るために必要な概念が編み出されているというお話がありました。「子どもは“ねがい”をもって世界とかかわっていく存在であり、保育者は適時的確な援助を行い支え続けることで、子どもに“ねがい”続ける力は生まれる。これは今後の変動の激しい世界を生き抜く粘り強さとなる」と述べられ、次のグループセッションへつながる提言となりました。

オンライン発表会開催中の園の様子

その後、参加者が20のグループに分かれて協議を行いました。子どもの「ねがい」~「科学する心」~を保育の中でどのように捉えているか、各園の保育実践などを出し合いながらの活発な意見交換会が行われました。

秋田喜代美氏の講演資料の画像
秋田喜代美氏の講演より

記念講演では、東京大学大学院 教授 秋田喜代美氏から、本園の取り組みについて、過去の実践を2016年度の論文まで遡り、園の探求の文化、科学するマインドセット(主題、視点、記録、読み取り、図等でのまとめ、共有)を園の創意工夫として示していただきました。また、事前に参加者向けに公開された「本園の保育者による座談会の動画(「科学する心」の取り組みの過程や論文に繋がるまでの葛藤)」を、動画を視聴した参加者のコメントと共に紹介し、協働的な問題解決過程のやり取りの質について提案をいただきました。OECD 2030年の保育教育を考えるデザイン原理より、子どもが園の枠を超えて本物に出合っていくことの大切さ、保育者が柔軟でありお互いに同僚性を育みながら地域や社会へと繋がっていくことの大切さが語られました。そして「子どものねがいから始まる保育は、私たちのねがいをかなえる未来を形作る」と述べられ結びとなりました。

最後に、ソニー教育財団理事長 根本章二より、「本日の実践発表会に参加したことで、「科学する心」を明日からの保育の中でどう読み取るかを考えながら、ひとつでも実践にうつしていただければ有難い。子どもの時から好奇心に基づいた“ねがい”を自分で実行し、失敗した時には“ねがい”に戻って違う方法を試してみるという体験をすることが、子どもたちにとっての「科学する心」として非常に大切である。『科学する心』は、いくつになっても楽しいと思ってほしい」とねがい、閉会となりました。

2021年01月14日掲載

2020年度「教育・保育実践論文」入選校・入選園発表

全国の小・中学校より177件、幼稚園・保育所・認定こども園より136件、合計313件の論文応募があり、厳正なる書類審査、例年の現地調査に代わる、コロナ禍でのオンラインインタビューや授業・保育実践を記録したビデオによる審査を経て、入選校・入選園が決定いたしました。入選校・入選園については以下リンクよりご覧ください。

2020年11月13日掲載

【開催速報(オンライン開催)】
2020年度最優秀園実践発表会:福島大学附属幼稚園

2019年度「ソニー幼児教育支援プログラム」の保育実践論文「最優秀園」である国立大学法人 福島大学附属幼稚園において、「最優秀園実践発表会」を開催いたしました。新型コロナウイルスの感染防止のため、オンライン(Zoomウェビナー)とし、北海道から沖縄県までの全国の保育・教育関係者など、200名を超える参加をいただきました。

最優秀園実践発表会での発表資料より(発表会のタイトル画像)
開催日 2020年11月7日(土)
会場 国立大学法人 福島大学附属幼稚園(オンライン開催)
主催 国立大学法人 福島大学附属幼稚園・公益財団法人 ソニー教育財団
テーマ 研究主題 自分で考え、試そうとする子どもを育てる~生き生きとした体験や安心して伝え合える環境を通して~
講演 神長美津子氏 /國學院大學教授
「幼児の気づく力、考える力、学びに向かう力を育む」

冒頭、ソニー教育財団会長 盛田昌夫の挨拶の中で、本園の論文は、「主体的な学びの姿」「課題解決能力」など未来を生きる子どもたちに必要な力の育ちが生き生きと論じられ、その資質・能力を育む保育者の関わりや物的環境の工夫、保護者・地域の方が“子どもの疑問を共に考え合う”連携力の高さなどが、「最優秀園」として高く評価されたことが述べられました。

さやに入ったそらまめの写真と、そらまめについて話している子どもたちと小学校の先生の写真
当日の発表資料より

その後の研究発表では、本論文に関わった各学年の担任から、子どもたちが自然環境に関わり問いをもち、自分で考えたり試したりする姿や、友達と一緒に探究を深める姿が発表されました。また、3、4、5歳児の年齢ごとの特徴的な「科学する心」の成長過程を明確に示し、「豊かな体験」が土台となることが具体例を通して説明されました。その中で、人的環境・物的環境の創意工夫が「科学する心」を育む要素や鍵であることを強調されました。さらに、その後の学びの展開と子どもに寄り添う保育者の姿が、後日談として紹介されました。発表後には、チャットを利用した質疑応答が行われ、参加者と共に理解を深めあいました。

オンライン発表会開催中の園の様子

最後に、「幼児の気づく力、考える力、学びに向かう力を育む」を演題に、本論文の審査委員であり、國學院大學教授の神長美津子氏による記念講演がありました。本園の実践から、3、4、5歳児の特徴的な育ちと、「資質・能力の3つの柱」「遊びの中で学ぶとは何か」「思考力の芽生え」などと絡め、掘りさげたうえで、子どもの視点にたった「わくわくドキドキする環境づくりのために必要なこと」をわかりやすく解説いただきました。また、「科学する心」を育てるためには、「環境と仲間や保育者の存在」が重要であることを述べられました。

結びとして、ソニー教育財団理事長 根本章二より、当日の学びを振り返り、「子どもたちが大自然と関わる様々な体験と、多様な方々と関われるような保育を掘りさげていくことが、将来を担う人材が育つことにつながる」との期待を述べて閉会となりました。

2020年08月11日掲載

ソニー幼児教育支援プログラム 保育実践論文 応募受付開始

幼稚園・保育所・認定こども園を対象とした「ソニー幼児教育支援プログラム 保育実践論文募集」の受付を開始しました。郵送の他に、Webフォームから論文を送信するWeb応募の受付も行っています。たくさんのご応募をお待ちしております。

【受付期間】2020年8月11日(火)~2020年9月8日(火)当日消印有効

ソニー幼児教育支援プログラム 保育実践論文 募集要項およびご応募はこちら

2020年08月03日掲載

ソニー子ども科学教育プログラム 教育実践論文 応募受付開始

小・中学校を対象とした「ソニー子ども科学教育プログラム 教育実践論文募集」の受付を開始しました。郵送の他に、Webフォームから論文を送信するWeb応募の受付も行っています。たくさんのご応募をお待ちしております。

【受付期間】2020年8月3日(月)~2020年9月1日(火)当日消印有効

ソニー子ども科学教育プログラム 教育実践論文 募集要項およびご応募はこちら

2020年03月11日掲載

文部科学省よりソニー教育財団へ感謝状

感謝状と根本理事長

ソニー創業者の井深大が、国民全体が科学好きになるようにと、小学校への教育助成をはじめて60周年。長年の理科教育、幼児教育への取り組みに対して、このたび、文部科学省より感謝状をいただきました。世界情勢が大きく変化する中で、新たに始まる10年を、未来を生きる子ども達のために、チャレンジ精神をもって努力してまいります。

2020年03月02日掲載

科学の泉-子ども夢教室 参加者募集!

8月16日(日)~21日(金)に新潟県で開催する「科学の泉」の参加者を募集します。「自然に学ぶ」をテーマに自ら探求する5泊6日の自然体験教室です。塾長はノーベル化学賞受賞者の白川英樹先生。白川先生がノーベル賞を受賞するきっかけとなった導電性プラスチックの実験も行います。自然の中での活動や科学に興味・関心ある小学5年生から中学2年生までの皆さん、ご応募お待ちしております!

募集についての詳細は「科学の泉」のページをご覧ください。

2020年01月24日掲載

【開催報告】
2019年度 ソニー教育助成入選校・入選園 贈呈式

贈呈式の様子

2020年1月18日(土)、ソニー本社(東京都)にて、ソニー教育財団主催「2019年度 ソニー教育助成入選校・入選園 贈呈式」を開催しました。

教育助成金と目録の贈呈
最優秀園の実践発表
贈呈式に花を添えるソニー吹奏楽団の生演奏

本活動は「日本の発展には子どもたちの科学教育こそ重要」と唱えた創業者 井深大氏が1959年に始めた教育支援で、全国の学校や園から、教育・保育実践論文を募集するものです。

60周年の記念贈呈式となった今回の式典には、厳正なる審査を経て最優秀・優秀を受賞された小・中学校、幼稚園・保育所の校長・園長、研究代表、PTA・保護者会代表と、文部科学省をはじめとするご来賓の方々を合わせ、100名以上の方にご列席いただきました。

会長の盛田昌夫氏は冒頭挨拶で、「60年間、教育助成論文を継続できましたのは『科学する心』、『科学が好きな子どもの育み』にご賛同いただく先生方のご支援の賜物」と感謝を伝えるとともに、「世界情勢が大きく変化する中で、ソニー教育財団がこれからも社会から必要とされる存在であり続けるために、これからもチャレンジ精神をもって努力してまいります。」との決意を述べました。

次年度の「ソニー教育助成プログラム」募集は、2020年8月から開始します。学校・園の先生方からの熱意溢れる教育実践論文のご応募をお待ちしております。

2019年12月19日掲載

2019年度「教育・保育実践論文」入選校・入選園発表

全国の小・中学校より171件、幼稚園・保育所・認定こども園より153件、合計324件の論文応募があり、書類審査、現地調査および厳正なる最終審査を経て、入選校・入選園が決定いたしました。入選校・入選園については以下リンクよりご覧ください。

2019年12月05日掲載

【開催速報】2019年度 子ども科学教育研究全国大会

子ども科学教育研究全国大会の様子
会場 岐阜市立陽南中学校 鹿児島大学教育学部附属小学校
開催日 2019年11月22日(金) 2019年11月29日(金)
テーマ 自然の事物・減少に進んで関わり、自己の学びをつなぐ生徒の育成 鹿児島の自然に親しみ、学びの価値を実感する授業
講演 山口晃弘氏/東京都中学校理科教育委員会 会長
「新しい授業の創造に向けて~学習指導要領の変遷から 見通すこれからの理科教育~」
井口正人氏/京都大学防災研究所火山活動研究センター 教授(センター長併任)
「火山活動の理解に基づく地域の発展」

2018年度に、ソニー教育助成論文で最優秀を受賞した学校において、その優れた実践と研究を発表する「子ども科学教育研究全国大会」を開催しました。

岐阜市立陽南中学校でのポスターセッションの様子
岐阜市立陽南中学校での公開授業の様子

中学校は、11月22日(金)に、岐阜市立陽南中学校にて行われました。200名を超える先生方が参加され、感性、創造性、主体性を育む授業づくりの研究の成果が発表されました。午前中の2時間目と3時間目にはほぼ全教科で授業公開が行われ、理科は4つの授業が公開されました。2年生の単元「化学変化と原子・分子」の授業では、「空気の入ったペットボトルと、空気と携帯用使い捨てカイロを入れたペットボトルをそれぞれ密封し振ってみるとどうなるか」という問いから始まり、子どもたちの興味を引き付け、実行した後、ペットボトルがへこんでいく様子を不思議に思いながら、ペットボトルの中で何が起きているのかを探究する姿がありました。生徒ひとりひとりに目を向けた授業の進め方に見学者の方々は感心している様子でした。
午後からは、論文で優秀賞を受賞した学校や、岐阜県の科学館等15団体による実践発表(ポスターセッション)がありました。様々な工夫を凝らした教材や研究の発表に参加者は熱心に聞き入っていました。記念講演では、東京都中学校理科教育委員会会長 山口晃弘氏より、「新しい授業の創造に向けて学習指導要領の変換から見通すこれからの理科教育」に関してお話しいただきました。

鹿児島大学教育学部附属小学校でのスクラッチを使った授業の様子
鹿児島大学教育学部附属小学校での複式の理科授業の様子

小学校は、11月29日(金)に、鹿児島大学教育学部附属小学校にて行われました。こちらも200名を超える先生方が参加されました。午前中の2時間目と3時間目に、全ての教科で27学級と多くの授業公開が行われました。県内に離島の学校があるため鹿児島大学教育学部附属小学校では複式教育の研究を行っており、様々な学年の複式授業が見学できました。5年生と6年生の複式の理科授業では、理科室の前方と後方に分かれ、一人の授業者が時間を分けて交互に授業を行っていました。授業者が他の学年を見ている時間帯では、授業者がいない学年の一人の生徒が授業を進めていました。この方法は複式学級の1年生のころからほぼ全員が当たり前のように行っているため、6年生ともなると教師と同じような進行と板書を行っていました。また、プログラミング要素を取り入れた授業も複数公開しており、理科ではMESHを使った授業が、算数・総合的学習ではスクラッチを使った授業が行われていました。
午後からはポスターセッションと記念講演が行われました。記念講演では火山活動を研究されている京都大学教授の井口正人氏より「火山活動の理解に基づく地域の発展」というタイトルで、マグマや噴火の仕組みの基本的なことから、過去の桜島の歴史的データから見た大噴火の可能性など、大変興味深いお話しいただきました。

2019年09月05日掲載

【開催速報】
2019年度 審査委員特別賞実践提案研究会:札幌市立もいわ幼稚園(北海道)

札幌市立もいわ幼稚園での審査委員特別賞実践提案研究会の様子
開催日 2019年8月30日(土)
会場 札幌市立もいわ幼稚園
主催 札幌市立もいわ幼稚園・公益財団法人 ソニー教育財団
テーマ 「科学する心を育てる」~「なぜ?」「どうする?」「こうしよう!」わくわくが広がる豊かな遊び~
講演 大豆生田啓友氏/玉川大学教育学部 教授
「科学する心を育てる」保育を考える

8月30日(金)、2018年度「ソニー幼児教育支援プログラム」の「優秀園 審査委員特別賞」である札幌市立もいわ幼稚園において、「審査委員特別賞実践提案研究会」を開催しました。札幌市の小学校、幼稚園、保育園、認定こども園の保育・教育関係者を中心に、南は沖縄県の石垣島、北は道内の北見市などから合わせて約180名の参加がありました。

作った泡のクリームでケーキを作る4歳児
貯めた水が砂から湧き出る面白さを
繰り返す3・4歳児
作った色水をプラネタリウムに置く5歳児
ビオトープと羽化したオニヤンマ

公開保育では、5歳児は、コロコロゲーム作り、影絵クイズ、人形作り、色水作りなど、友達と考えを出し合って遊びを進めていました。4歳児は、虫取りや石鹸クリームのケーキ作り、製作など、自分なりに考えたり試したりして遊んでいました。3歳児は、草花の色水作り、塩ビ管や樋を使っての水遊び、泥遊びなど、自分のペースで思い思いの遊びを楽しんでいました。5歳児の色水遊びでは、インクカートリッジで作った透明の色水をプラネタリウム(積み木や段ボール等で自分たちで作った場)の中に置いて、光を当ててできる影の美しさに感動する姿がありました。各クラスでの、遊びの振り返りでは、友達の作った物をよく見たり、真剣に話を聞いたり、認めたりする姿が多く見られました。また、園庭のビオトープでは、オニヤンマの羽化と出合い、園庭にいた子どもたちと参観者と保育者とが、感動の瞬間を味わう場面もありました。

場所を隣接の藻岩南小学校に移して行われた全体会の開会に当たり、ソニー教育財団会長 盛田昌夫による挨拶がありました。2018年度応募論文にある、北海道の自然と地域との連携を生かしたダイナミックな取り組みである「雪山作りの事例」を例に、子どもたちの「科学する心」と「仲間との協力・協働」のつながりが顕著に表れた実践として高く評価された点を述べました。

グループ協議発表

実践発表では、「雪山大作戦」や「ムシムシ研究所」の事例を中心に、子どもたちの興味が、保育者の援助や環境の工夫、地域や保護者の協力により、探究へと体験が深まり、表現など質の違う遊びへと広がり、「科学する心」が育っていく過程が語られました。

保育公開と実践発表を受けてのグループ協議では、「なぜ?どうする?こうしよう!と、子どもが心を動かし探究している姿」「そのための教師の援助や環境構成について」を視点として、当日の保育の具体的な場面の記録を基に活発な意見交換が行われました。協議後のグループ発表を受けて、札幌市教育委員会指導主事の金澤恵美氏による「指導・助言」がありました。

金澤恵美氏

最後に、玉川大学教授の大豆生田啓友氏による記念講演がありました。まず本園の特徴として、子ども一人一人の特性や個性を温かく肯定的に受け止めていることが保育の基盤になっていることを挙げられました。また、「物の特性や仕組み、試行錯誤を楽しめる遊びの環境」「遊びの共有が子ども同士の一体感を生み、体験の深まりに繋がる仕掛けとなっている」「保育の発信をして保護者を保育に巻き込む工夫がされている」など、子ども一人一人に寄り添った保育者の援助や環境の工夫について具体的に解説されました。

次に、「子どもたちが遊びに夢中になる、遊び込むことを大切にした保育では、非認知能力が育つ」「非認知能力の育ちは認知能力の育ちに繋がる」とともに、「乳幼児期に大人に受容的・応答的に関わられたことが、将来に亘り影響すること」について、具体例を通してお話されました。またこれらは、裏付ける研究(ペリープリスクール調査など)によって明らかにされていることも加えられ、だからこそ、今「保育の質が問われている」と力説されました。

大豆生田啓友氏

さらに、「子どもたちの遊びにブームが生まれる保育」の具体事例を通して、「子どもの見ている世界に応じて環境を再構成すること(絵本を含めて)が豊かな学びに繋がる」「ドキュメンテーションなど、保育の可視化の重要性」「子どもたちの興味・探究に、保護者や地域を巻き込む工夫」などについて、「科学する心を育てる保育」に結び付けて述べられました。

2019年08月27日掲載

【開催報告】第3回「全国幼児教育特別研修会」

第3回「全国幼児教育特別研修会」の様子
開催日 2019年8月23日(金)、24日(土)2日間
会場 ソニー本社(東京都港区)
主催 公益財団法人 ソニー教育財団
テーマ 「科学する心を育てる ― 幼児期の発達に即した、主体的・対話的で深い学びを目指して」
講演 秋田喜代美氏/東京大学大学院 教授
参加人数 研修者24名、一般参加者36名(2日目午後のみ)

8月23日(金)、24日(土)、講師に東京大学大学院教授 秋田喜代美氏をお招きし、ソニー本社にて、第3回「全国幼児教育特別研修会」を開催しました。

熱心に重ねた研修グループ協議

本研修会主題は「科学する心を育てる」、研修テーマを「幼児期の発達に即した、主体的・対話的で深い学びを目指して」とし、各地の幼児教育の充実や、質の向上に貢献するリーダーとなる保育者を支援することを目的としています。研修員24名は6グループに分かれ、電子メールを利用した意見交換を5月から行ってきました。その意見交換を通して作成した事例を基に、当日は4種類、7回の協議を重ねました。

研修グループ協議で作成したポスターを使い
意見交換会

2日目の午後は36名の一般参加者が加わり、12グループでの協議会を行いました。研修員から研修テーマに沿った子どもの姿や保育の工夫について提案があり、その上で示された課題が話し合われました。

最後に、講師の秋田氏より、当日の協議内容に触れながら、保育の質に関する国際的議論や、文部科学省より示されている「主体的・対話的で深い学び」についての解説など、貴重なご講演をいただきました。また、国内外の乳幼児施設の屋外環境や園庭の工夫の具体例をご紹介いただきました。

東京大学大学院教授 秋田氏のご講演

2019年08月26日掲載

第15回「科学の泉-子ども夢教室」を開催しました

第15回「科学の泉-子ども夢教室」の様子
開催日程 2019年8月4日(日)~8月9日(金)5泊6日
場所 新潟県十日町市
参加者 小学校5年生~中学校2年生、27名

2019年8月4日(日)~9日(金)、新潟県十日町市にて、第15回「科学の泉-子ども夢教室」を開催しました。ノーベル化学賞を受賞した白川英樹氏を塾長に、2005年から毎年行っている活動で、子どもたちが、異学年の仲間や指導員と寝起きを共にしながら、自然とのふれ合いなどを通じて、「自然に学ぶ」教室です。白川先生がノーベル賞を受賞したきっかけとなった「導電性プラスチック」の実験も行いました。

今年度は例年にない暑さの中、熱中症に細心の注意を払いながら、27名の塾生が自然の中で元気よく探究活動を行いました。
同じ開催地でも、年々生き物の繁殖に微妙な変化があるようで、昨年、一昨年とたくさんいた「カナヘビ」が今年はほとんど見かけることはありませんでした。その代わり、今まであまり見かけなかった、羽がきれいな「チョウトンボ」をよく見かけました。塾生たちは様々な生き物に出会い、様々な疑問を持ち、それぞれ個性のある研究発表を行いました。

活動の様子を写真でお届けします。

2019年07月02日掲載

【開催速報】
2019年度 最優秀園実践発表会:山梨学院幼稚園(山梨県)

山梨学院幼稚園での最優秀園実践発表会の様子
開催日 2019年6月29日(土)
会場 学校法人山梨学院 山梨学院幼稚園
主催 学校法人山梨学院 山梨学院幼稚園・公益財団法人 ソニー教育財団
テーマ 子どもの数だけ「科学する心」の入り口がある
講演 河邉貴子氏/聖心女子大学 教授
「『深い学び』を支える保育者」

2018年度「ソニー幼児教育支援プログラム」の「最優秀園」である学校法人山梨学院 山梨学院幼稚園において、「最優秀園実践発表会」を開催しました。

牛乳パックの水路から出てくる水で遊ぶ3歳児
ストロー飛行機飛ばし(世界旅行)をする5歳児
国旗映画館で映っているかを試す5歳児

関東甲信越地区を中心に、北は北海道、南は関西各地の幼稚園、保育所、認定こども園、小学校、聾学校などの教育・保育関係者など、総勢約470名の参加がありました。山梨学院の豊かな教育環境を生かし、山梨学院幼稚園では公開保育、メモリアルホールでは研究発表や記念講演、サザンタワーでは協議会が実施されました。

公開保育では、年齢ごとの実態を活かして創意工夫された環境の中で、子どもたち一人一人がめあてや思いをもち生き生きと遊んでいました。牛乳パックで作られた長い水路で遊ぶ3歳児は、水路に水を流す姿、水路から水が漏れる所で水を集める姿、砂場に流れ出る水で遊ぶ姿など、自分の興味のある遊びに夢中になっていました。4歳児は、園庭で見つけた多くの虫や保護者の協力でクラスで飼育することになった小さな生き物を、観察したり、発見を友達に伝えたりする姿がありました。5歳児は、国旗への興味が遊びにつながり、国旗を光で写し出す映画館やストローで飛行機を飛ばす世界旅行ゲームなどを友達と進める姿がありました。

また、論文の事例の一つでもある古代米は、今年も園庭で栽培されています。当時から子どもたちと交流のある山梨県曽根丘陵公園園長代理の相川省五氏が古代米の様子を観察されていると、子どもたちや保育者に囲まれ、栽培について話される場面がありました。その後、教えていただいた水の管理について早速実践する子どもたちの姿がありました。

古代米の様子を観察する相川氏と子どもたち

公開保育後は、メモリアルホールに移動し、開会式・研究発表が行われました。開会式では、ソニー教育財団会長 盛田昌夫による挨拶があり、主題に迫る保育の事例とともに、山梨学院幼稚園の「最優秀園」として評価された点を述べました。

研究発表では、主題「科学する心を育てる」に取り組まれてきた7年の研究プロセスを含め園の主題への考えを基に、本発表会のテーマ「子どもの数だけ『科学する心』の入り口がある」に至った一昨年の実践の成果を発表されました。その後、公開保育に至るまでの遊びのプロセスや体験の内容について年齢ごとに発表がありました。

研究発表

午後はサザンタワーの3か所に分かれ、1グループ5~6名でのグループ協議が行われました。参加者の皆さんが、「一人一人の子どもの『科学する心』の入り口を見逃さずに受け止めるには」と「入り口を受け止めた後、どう遊びを深め広げて、『科学する心』を育んでいくか」の2つの参観の視点をもって記述された記録を生かし、熱心に話し合われました。「子どもたちが思いや発想が実現できる本園の物的な環境により、一人一人の入り口が豊かに出現している」「手に付いた蝶の鱗粉が何であるか、すぐに答えを出さずに一緒に不思議がり、よく見えるように黒い画用紙を提示する援助があった」「『花粉?』と言っていた子どもが、その後鱗粉だと知る環境など、興味に添った環境がある」「興味や関心を捉え、変化する場面を見逃さない」など、公開保育の具体的な場面を通して協議が展開されました。

付箋を使ってのグループ協議
4歳児の手に付いた鱗粉がよく見えるように
黒画用紙を提示する保育者

最後に、「『深い学び』を支える保育者」を演題に、聖心女子大学教授 河邉貴子氏による記念講演がありました。子どもたち一人一人の思いや体験を重要視して、子どもたちが主体的な生活ベースで目的に向かう「形成型プロジェクト」、子どもたちが自ら課題や問題探究する「問題探索」学習など、本園の保育における子どもたちの体験と保育の特徴をあげられました。特に、「子どもたちに育みたい思考力」について丁寧に論じる中では、「最優秀園」に選出された論文の事例を関連付けて述べられ、参加者のテーマへの理解が深まりました。さらに、「深い学び」については、ICEモデル「Ideas基本的な知識・概念」「Connections基本的な知識・概念間の関係・つながり」「Extensions知識・概念の専有化・応用・価値や影響についての考察」を取り上げて、本園の実践にみられる深い学びや学びのプロセスについて述べられました。深い学びを支える保育者の役割について、本園の保育者は、子どもを理解した上で、子どもと同じ目線・同じ立場で一緒に活動する「探究の共同体」であり、子どもを取り巻く大人との出会いをデザインし、子どもたちの深い学びにつながっていることが大きな特徴であると強調されました。

河邉貴子氏

2019年06月04日掲載

【開催速報】2019年度 最優秀園実践発表会:奈良市立鶴舞こども園(奈良県)

奈良市立鶴舞こども園での最優秀園実践発表会の様子
開催日 2019年6月1日(土)
会場 奈良市立鶴舞こども園
主催 奈良市立鶴舞こども園・公益財団法人 ソニー教育財団
テーマ 「科学する心を育てる」創造的なひらめきから「いい」をかたちづくる~「いい」こと考えた―きっと「いい」はず―「いい」とはこれだ~
講演 無藤隆氏/白梅学園大学 名誉教授
「子どものひらめきを活かす幼児教育-子どもの姿ベースの保育とは」

2018年度「ソニー幼児教育支援プログラム」の「最優秀園」である奈良市立鶴舞こども園において、「最優秀園実践発表会」を開催しました。関西地区を中心に、北は北海道、南は福岡県など各地の認定こども園、幼稚園、保育所、小学校などの教育・保育関係者総勢約310名の参加がありました。

作ったものを保育者に受け止められて
喜ぶ3歳児
今日の遊びの振り返りをする4歳児
転がしのコースを
友達と試行錯誤しながら作る5歳児

公開保育では、豊かな自然環境を活かして創意工夫された環境の中で、子どもたちが生き生きと遊んでいました。入園してまだ2か月の3歳児は、砂場や草花での遊びの中で、素材の感触や見立てを楽しんだり、思いや言動を保育者に受け止められたりして、安心して自分のしたい遊びをする姿が見られました。4歳児の砂や泥遊びや色水遊びなどでは、自分なりに試したり工夫したりすることで起こる様々な事象を面白がったり、友達に思いを伝えたりしながら、夢中になって遊んでいました。5歳児は、継続して取り組んでいる転がし遊びや草花を使っての色水や叩き染めなどを楽しんでいました。それぞれ、目的に向かって、友達と考えを出し合う中で、素材や用具などの特徴に気づき、それを生かしたり試行錯誤したりしながら遊びを展開していました。片付けの前には、学級のみんなで今日の遊びを振り返り、友達の気づきや発見を認めたり、楽しさに共感したりする姿があり、今後の遊びの展開への期待につながっている様子が見られました。参加者の皆さんが、「その子どもにとっての“いい”」を見つける視点をもって、熱心に記録を取られる姿が大変印象的でした。

場所を隣接の鶴舞小学校に移して行われた全体会の開会に当たり、ソニー教育財団会長 盛田昌夫による挨拶がありました。「創造的なひらめき」に注目したひときわ独創的な研究視点のみならず、保育者同士のカンファレンス、豊かな自然を存分に生かす保育環境の創意工夫など「最優秀園」として高く評価された点を述べました。次に、研究発表がありました。受賞論文に掲載されている事例を基に、子どもたちの「創造的なひらめきから、“いい”がかたちづくられていく過程」を分かりやすく説明されました。そして、「科学する心を育てる」には、子どもの姿からひらめきの要因を探り、自分の意志や判断で“いい”をかたちづくれるように援助することや実態に添って環境を工夫することの大切さについて発表されました。その後、各クラス担任から公開保育についての自評がありました。

午後のグループ協議では、公開保育でのワークシートに記述した記録や日頃の保育の中での子どもの姿を基に、「“いい”が誘発される要因」について活発な意見交換と情報共有が行われました。

協議会

協議会のまとめとして、白梅学園大学教授 本山方子氏による指導講評がありました。「一年半で為しえた鶴舞の奇跡」として、本園の本日に至るまでの保育や日々のカンファレンスなどで積み重ねてきた研究の特徴やよさについて、「いい」を深めるカリキュラムマネジメントの展開を中心にお話いただきました。

指導講評 本山方子氏

最後は、「子どものひらめきを活かす幼児教育-子どもの姿ベースの保育とは」を演題に、白梅学園大学名誉教授の無藤隆氏による記念講演がありました。冒頭に、今回の教育要領・保育指針の改訂で示された、「幼児教育としての共通性」「幼児教育と小学校以上の教育を貫く柱」「幼児教育の構造や幼児教育の資質・能力」について、丁寧に解説いただきました。また、「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」から、特に科学的な思考や「科学する心」の育ちにつながる姿について、鶴舞こども園や様々な園の保育の写真を通して、掘り下げてお話しいただきました。加えて、「乳児保育の充実に向けて」「記録を保護者や子どもと共有し、保育を振り返る」「子ども姿ベースの環境デザインのポイント」など、幼児教育が質の時代へ向かう今、今後の幼児教育で大切にしていくべき点について述べられました。

記念講演 無藤隆氏