保育のヒント~「科学する心」を育てる~

対話が生まれる環境を考える/江東区立もみじ幼稚園(東京都)

皆さんの園では日頃、どのような環境の工夫をされていますか?また、子どもたちや保護者の方と対話が生まれるような環境などはありますか?

今回の事例は、飼育物を通して子どもたちの「科学する心」を育んでいこうと自然環境を作ったり、ドキュメンテーションやポートフォリオで、友達や保護者と思いを共有する場を作ったりして、子どもたちの成長を支えている園の工夫をご紹介いたします。

環境の工夫と情報共有・発信の工夫

自然と出会い興味関心を深めていく環境の工夫

皆が集う玄関ホール

玄関ホールの自然コーナーは、子どもも保護者も自然を通して人と交流する場となっている。子ども、保護者、保育者の皆で対話を楽しみ、気づき・発見を伝え合い過ごしている。「気づき」を促すような、魅力的な自然環境を創造し、子どもが自ら考えたり、思考を巡らしたり、驚きや感動を伝え合う場となることを目指している。

玄関ホールの様子玄関ホール(園庭で採れた木の実や図鑑などを玄関ホールに並べて、対話が生まれやすいようにしている。)
「アゲハチョウの家」の様子
アゲハチョウの家(大きな緑の網(ネット)をはり、その中にアゲハチョウを放して飼育している。)
「ふゆごもりスペース」の様子ふゆごもりスペース(黒い大きな網をかぶせて、暗いスペースを作り、冬ごもりの様子が感じられるようにしている。)
気づきを共有する保育室の環境構成
どんぐりや松ぼっくり、色とりどりの落ち葉等が、それぞれカゴや箱に入れられている様子。カゴや箱には、イラストとテキストで内容物を記したラベルが貼られている。園庭の自然物を遊びに生かす
様々な虫の写真が貼られた大きな模造紙が掲示されている様子。模造紙には大きな木・地面・空が描かれており、虫の写真は、それを発見した場所に対応する位置に貼られている。
身近な場所で発見した虫たち

保育室では、子どもが気づいたり発見したりした「もの」「こと」などを、環境を通して伝える場づくりの工夫をしている。

「見つけたものを分類しておく場」「気づいたことを掲示する場」を通して、個人の気づきが他の子どもにも伝わりやすくする。言葉で伝えることも大切にしているが、視覚的な環境を子どもと共に設定することで、気づいたことを共有しやすくする。

さらに学級での記録の積み重ねができるようにする。

感動をどのように共有・発信するか~発信の工夫として(ドキュメンテーション・ポートフォリオ)~

ドキュメンテーション
  • 自然の多様性を感じる壁面
  • それぞれが感じたことを表しやすい自由感がある造形
画用紙や折り紙、絵の具などを使って子どもたちが作成した立体的なアジサイの造形物と、その造形物を作る過程を記したドキュメンテーションが造形物のそばに掲示されている様子。造形物は壁に、ドキュメンテーションは網状の衝立に貼られている。
展示の全体写真(室内のパネルにアジサイの壁面を製作する過程を写真や文字で表し、掲示している。)
子どもたちが作成したアジサイの写真
展示物
作成する過程をまとめたドキュメンテーションの写真
展示物を作成する過程を伝える掲示物
ポートフォリオ

子どもたちが取り組んでいる中で、どのように考え、どのように乗り越えてきたかなど、その過程を保護者に伝える。一人一人の子どもが成長していく喜びを、子ども・保護者・保育者が共有できるように作成する。

ポートフォリオの例:「みずがすきないきものたち」というタイトルで遠足に行って触れ合った生き物(ザリガニなど)をイメージして絵を描いたり、ザリガニ釣りを製作で作ったりして、様子を壁面に張り出している。
ポートフォリオ
ポートフォリオ内の保育者のコメント部分を拡大した写真:保育者のコメント(子どもが穴を見つけてじっとみつめている写真のそばに、保護者が付箋で感想を書いて貼っていけるスペースがある。)
ポートフォリオの例(写真)
栽培しているミニトマトや朝顔に水をあげている子どもの写真を貼り、子どもが自分で書き込みをしたり、保育者が感想や気づきを書いたりしている。

終わりに「保育者のねがい」

園の自然を話題にすることは、親と子も心が豊かになり楽しい時間となる。身近な自然とは、単に身近にあるのではなく心がつながっていることで「身近」と言える。つまり、「身近」になるためには、人にも小さな生き物にも植物にも、「あたたかい言葉」をかけることが大切である。「あたたかい言葉」をかけられた子どもは、「あたたかい言葉」をたくさん覚え、そしてその言葉を使うことで、人に優しくなる。思いやりが育っている学級は、新たな人や様々な生き物も「やさしい気持ち」で迎えられるであろう。本園に関わった教職員が、今後、様々な職場で様々な教師や保育者、地域と関わりながら「自然」の教育を発信していくことを願う。

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