保育のヒント~「科学する心」を育てる~

「主体性」って何?~保育者の学びから~/社会福祉法人喜慈会 子中保育園(神奈川県)

子どもたちの「主体性」について、園内で語り合うことなどありますか?

子どもたちの「主体性」は、「科学する心を育てる」保育においても基盤になります。

一方、「主体性を大切に」とは聞くけれど、どんな場面を主体的と捉えるのか。「そもそも主体性とは何か」と考えるほど、奥が深くて分からない…と感じることもあるのではないでしょうか。今回は、その様な「主体性を育む」ということについて、園内研修を重ねた園の実践をご紹介いたします。

研修の工夫/保育者

自分たちの保育を一から見直す

本園は「主体性」について、”わかってはいるけれど、具体的に実践できているのか“という原点に立ち返り、認識を行動に変えようと、研修に取り組んでみた。

保育者が写真によるふりかえりを行なっている様子「子どもたち自身による気づきや発見は、遊びの場面だけではなく、身支度や片づけ、食事など、生活にも溢れており、『科学する心を育てる』根っこと同じなのではないか」「主体的に遊ぶことが大事と思ってきたけれど、保育者の声の掛け方、促し方ひとつで主体性を奪っていないか」「そもそも、『科学する心』の概念が、具体的にどういうことかが共有されていないのではないか」と、保育研究を通しての見直しをすることにした。

「保育者にとって楽しい学びとは=子どもたちの具体的な姿を見つめ語り合うこと」と、定義づけ、「〇〇ちゃんが今日、こんなすごいことをした」と、保育者の誰もが、生き生きとした表情で語れるような研修のデザインを見直し、「面白い」「これは『科学する心』では」と発見した場面を、カメラやビデオで記録に残してみたことから、様々なことが読み取れるようになった。

写真やビデオから「科学する心」を見出す

「保育ドキュメンテーション」の写真日頃から、保育者が一人一台デジタルスチルカメラを持ち、子どもたちの遊びの様子を撮影。撮影した写真は状況を説明する文章とともにドキュメンテーションとして園の玄関に掲示し、保護者の送迎時などに見てもらっている。

このドキュメンテーションを職員間の振り返りとして活用。写真やビデオ画像をもとに、子どもたちの興味深い遊びの場面を捉え、その遊びの意味や状況を共有し、環境構成や援助の在り方を話し合った。これは、様々な思いのある保育者が、互いの多様な見方に触れることで、視野が広がることを目的とした。そうしていくうちに、“子どもたちが遊ぶ姿の意味”を深く掘り下さげて考えるようになっていった。

また、水遊びや泥遊びのように、継続的に行っている遊びの場面や、園庭のあちこちで派生的に遊びが変化している場面は、ビデオの録画を見直すことで、遊びの全体像を捉え直すことができ、効果的だった。

「すがた・きづき」共有ボードの活用

「すがた・きづき」共有ボードの写真ビデオや写真による振り返りのあと、十分に意見が出せなかった人や、研修に参加できなかった人が、状況を把握することができるよう、「すがた・きづき」共有ボード(模造紙に付箋紙を貼ったもの)を作成した。

保育者が子どもたちの姿のエピソードを書いた付箋紙を貼り、そのエピソードごとに他の保育者もコメントを加えていく。この「すがた・きづき」共有ボードを廊下に貼り、いつでも誰でも、見てコメントを追加・修正できるようにした。このことにより、さらに非常勤の職員や給食の職員にも気づきの共有が広がり、可視化の重要性を認識することができた。

「主体性」を問い直したことで見えてきたこと

写真によるふりかえりを行なっている保育者の様子「保育者が変わると子どもたちも変わる」と実感した。保育者の発想が自由になると、子どもが選択肢や裁量権をより多くもてるようになった。その変化にともない、子どもの発想も自由になり、より主体的に活動するようになっていった。

写真やビデオを深く掘りさげていくことで「日常にこそ、子どもたちの『科学する心を育てる』エッセンスが散りばめられている」ことを再認識した。問題が生じれば、いつでも保育者の学びのデザインを見直し、改善する必要性があることをこの研修を通して感じた。

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