保育のヒント~「科学する心」を育てる~

子どもの好奇心を考える/幸田町立大草保育園(愛知県)

みなさんの園では、「科学する心」をどのように捉えていますか?

今回、ご紹介する園は、「科学する心」を子どもたちの“好奇心(=ハテナの心)”と捉え、子どもたちの感性を大切にする保育、好奇心に寄り添う保育に取り組んできました。長年にわたり、子どもたちの心に寄り添っていると、子どもの溢れる好奇心(=ハテナの心)と同時に、「こうしたら?」と試したり、「こうなるかも?」と予想したり、「こうなったでしょう!」と確かめ、行動し始める姿に保育者が気づくようになってきました。ここでは、乳児クラスの事例をご紹介します。

図1:大草保育園の科学する心

こうしたら・・・こうなった!(年齢ごとの“科学する心”のはじまり)

【事例1(1歳児)】バケツに足を入れてみた!~こうしたらこうなった~(3月)

ふたつのバケツに両足をそれぞれ入れて立っている子どもの写真と、バケツに足を入れたまま段差を登ろうとしている子どもの写真Aさんが砂場で遊んでいた時、色とりどりのバケツに興味を示し、バケツの中に足を入れた。偶然にもバケツは足にピッタリだった。

Aさんはニッコリと笑顔になり、右足、左足それぞれにバケツを履いた。そして立ち上がり、バケツを履いたまま歩きだした。

ガチャンガチャン、ロボットのように歩く。普段とは違う、たどたどしい歩きが面白い様子。

“段差は乗れるかな?滑り台はどうかな?”と、保育者は危険に留意しながら、Aさんが自ら主体的に関わり、試しながら遊ぶ姿を見守った。

考察
  • 手にするものを頭に被ったり、足に履いたり、体ごと入ってみたり、自分自身の体の感覚。触れた感触。空間に収まった感触を楽しむ。

  • 今回、A児が履いたバケツは足にあまりにもぴったりだったことも試す姿につながったと思われる。

  • バケツを履いてみよう=好奇心

    こうしたらこうなった。 こうしたらこうなった。 こうしたらこうなった。
    試し 歩いてみよう! 段差はどうだろう? 滑り台によじ登ることは?
    結果 歩けた! 乗れた。 よじ登れた

【事例2(2歳児)】水を入れてみよう~こうしよう! こうなった!~(6月)

水たまりにじょうごを刺し水を入れたりじょうごを持ち上げたりする子どもの写真と、底がざるになっているマグカップのような玩具を地面において水を入れている子どもの写真 園庭にある深めの水溜まりにBさんが砂場用のじょうごを突き刺し、上から水を入れてみる。Bさんは、「見て! 高ーい」と、保育者を呼んだ。

保育者が見ている中、実演をする。じょうごの中に水が溜まり、水面よりも水かさが増していた。

保育者は、「おっ、すごいね」と受け止める。Bさんは、玩具に並々と水を注ぎ、持ち上げる。ジャーっと水が流れ出る。

何度か繰り返し楽しんでいたBさんの横で、Cさんは、Bさんの遊ぶ様子を覗き、観察していた。

次にBさんが、底面がザルになっている玩具を持ってくる。地面に置いて「ジャー」と言い水を入れる。

ザルの中の水はアッと言う間に地面に吸い込まれていった。Bさんが「あっ!」と言うと、「なーい」と、今までの一連の様子を見ていたCさんが言った。

Bさん「ないねー」Cさん「ないねー」2人は笑った。

Bさんはその後もザルの中に小石を入れ、勢いよく水を流し入れた。Bさんは「あっ、回った!」と言って、水の勢いで石がくるりと回る様子を見ていた。

考察
  • 一つの水溜まりの中に、高さの違う水面があることを発見したB児。何故、そのような現象が起きたのか。子どもたちは、感じたままに現象を楽しむ。高く溜まる水を面白がり、ジャーッと出る水を楽しみ、そして、繰り返す。

    こうしよう! こうなった。
    試す 水溜まりに玩具を入れ、水を溜めてみよう。
    結果 水面より高くなった!
  • その後、ザルで試す。石を入れてみて試す。ザルは水が溜まらず真逆の現象が起きる。石は、水の勢いでクルクル回る。その様子をジッと傍で見ていたC児と、遊びを共有していくB児。子ども同士の関わりが生まれた瞬間であった。

    こうしたらこうなった。 こうしたらこうなった。
    試し ザルに水を入れてみよう 石を入れてみよう
    結果 なくなった 回った
  • 結果、次はこうしてみよう、試してみようという気持ちが芽生えていた。
  • 私たち大人は、子どもたちが自ら主体的に関わり、遊んでいる姿や、子ども同士の関わりを見守り寄り添うことの大切さを感じた。
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