保育のヒント~「科学する心」を育てる~

工夫~泥団子~/安城市立東端保育園(愛知県)

泥団子遊びは、多くの園の子どもたちが興味をもつ遊びの一つです。「固くしたい」「ピカピカにしたい」などと、思いをもって長期に亘って取り組む子どももいるのではないでしょうか?

今回は、泥団子に「色を付けたい」との思いをもった子どもたちが、工夫して泥団子を作る姿に焦点を当てています。保育者が「科学する心」につながる視点をもって、子どもの姿を見つめ、子どもの思いを見取って援助していることが読み取れます。

色付きの泥団子が作りたい/5歳児

園舎内に「泥団子研究所」を作る

泥団子研究所で泥団子を作る子どもたち6月、子どもたちは、園庭で泥団子作りを楽しんでいたが、梅雨の期間が長く、外に出ることができない日が続いた。そこで保育者は、子どもたちと相談しながら屋根のあるベランダに泥団子作りのコーナーを作ることにした。砂を入れるためのプール、タライやフルイ、スコップなどをベランダに用意し、子どもたちと一緒に砂を運び、全員で力を合わせて作り上げ、「泥団子研究所」と名付けた。

宝石みたいな泥団子を作りたい

子どもたちは、雨の日も引き続き泥団子作りを楽しみ、光る泥団子ができつつあった。そのような中、色付きの泥団子を本で見つけた子どもが、「宝石みたい」と興味をもった。本で見つけた色付きの泥団子は宝石みたいだった。「どうやったら泥団子に色を付けられるんだろう?」と、5歳児は研究を始め、まずは色粉作りを行った。絵本を参考にチューブの絵の具を取り出し乾かしたが、柔らかくて固まらず色粉にならなかった。絵本を参考に試してきた子どもの姿を踏まえた保育者は、新たな道具(モノ)を用意して、子どもたちが試行錯誤できるように考えた(チューブの絵の具、固形絵の具、すり鉢、洗面器などを用意した)。

子どもの思い 子どもの姿 保育者の思いと援助
色付きの泥団子が載っている絵本を見る子どもたちの写真
  1. Aさん:「色の粉どうやって作ろうか?」
  2. Bさん:「固いやつが欲しいな」
 
あっ! これ知ってる。
やってみたい!
  1. 保育者:「(固形絵の具を見せて)こういう絵の具があるけどどう?」
  2. Aさん:「それやりたい!」
  3. Cさん:「どうやって粉作る?」
  4. 保育者:「(すり鉢を用意して)実はこんなのもあるよ」
  5. Aさん・Bさん:「それやりたい!」
どんな風に使うのか知っているのかな?
 
  1. 保育者:「何色がいいかな?」
  2. (子どもたちは、12色の中から選ぼうとする)
  3. Aさん:「緑にする」
  4. Bさん:「赤がいい!」
 
絵本に載っていたのと一緒になってきた。
固形絵の具をすり鉢で擦る子どもたちの写真
  1. (子どもたちは、赤と緑の固形絵の具をすり鉢で擦る)
  2. Aさん:「あ! 細かくなってきた」
  3. Bさん:「粉になったよ」
  4. Cさん:「色の粉をさら粉に混ぜるって本に書いてあったよ」
  5. (子どもたちは、洗面器にさら粉と色の粉も入れて混ぜ、光った泥団子にかけて磨く)
  6. 保育者:「あ! きれいな赤色が付いたね」
  7. Cさん:「すごい! 光ってるね」
  8. Dさん:「見せて、ワァ! 赤くなってる」
道具を見て、使い方が分かっていたのだな。
(自分たちでやってみようとする姿を認め、使い方を知らせるのではなく、どんな風に使うのか見守る。)
やった!
  1. Bさん:「僕も早く色の粉付けたい!」
  2. (Bさんが、まだ光らせる前の段階の泥団子に色の粉入りのさら粉をかけ始める)
  3. Bさん:「緑になった!」
 
どんどん取れちゃう。なんでだろう?。
  1. (しばらくさら粉をかけ、磨き始めるが色の粉の部分が削れて落ちてしまう)
  2. Bさん:「色の粉がいっぱい取れてきちゃう」
  3. 保育者:「あれ?さっきはきれいな緑が付いていたのにね」
  4. Bさん:「手に緑がいっぱい付いて、団子が緑にならないよ」(FさんとDさんのようにならなくて不満そう)
子どもの疑問を大事に捉え、言語化して共有する。
僕のは周りにたくさん色の砂が付いていて、FくんとDちゃんのは付いてないのに色が付いている。
  1. 保育者:「FくんとDちゃんたちってどうやって作っていたっけ?」
  2. (Bさんと一緒にFさんとDさんの持っている色付き泥団子を見に行く)
  3. Bさん:「ツルツルで周りに砂が付いてない」
F児とD児の姿から気づくきっかけになるといいな。
分かった!
光った泥団子は周りに砂が付いてないぞ。
  1. 保育者:「周りに砂が付いてないのはなんでだろう?」
  2. Bさん:「光ってから色の粉付けないとできん」
子どもの疑問を解決するために問いを整理する。
僕も色付きの泥団子作るんだ!
  1. (まずは光る泥団子を作ることを始めたBさん)
  2. 保育者:「頑張って作っているね。色の粉付けるの楽しみだね」
  3. Bさん:「うん」
B児が頑張って作ろうとする姿を認めたい
色付きの泥団子を持つ子どもたちの写真
  1. (FさんとDさんは色付きの泥団子ができたことが嬉しくて手に持って保育室や泥団子研究所にいる友達や保育者に見せて回る)
  2. 保育者B:「Fくんすごいね! Tくんすごいね!」
  3. (子どもたちは、大事そうに手で何度も擦っては色付きの泥団子を見ている)
色付きの泥団子を持つ子どもの写真

考察

  • まだまだ鈍い光りではあるものの、色付きの泥団子を作ることができたことが他の子どもたちへの刺激となり、自分なりに作り方を考えたり、友達同士で教え合ったりして作ろうとする姿が増えてきた。
  • 絵本で見ていた色付きの泥団子と全く同じではないが、自分が作ることができたという経験は、子どもたちの大きな自信につながった。
  • 子どもたちの疑問に保育者がすぐ答えてしまうのではなく、言葉にしたり疑問を整理したりすることで答えを子どもなりに考えたり、新たな気づきが生まれたりした。また、「自分で気づいた」という気持ちは、次への意欲につながった。色の粉の作り方や色を付けるための方法については、今後も繰り返し作る中で試行錯誤する体験を大事にしたい。
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