教育助成

2018年度教育助成プログラム 入選発表教育助成(論文・発表)

今年度は、全国の小・中学校より172件、幼稚園・保育所・認定こども園より146件、合計318件の論文応募があり、書類審査、現地調査および厳正なる最終審査を経て、下記の通り入選校・入選園が決定しました。

最優秀校・最優秀園

ソニー子ども科学教育プログラム 最優秀校(2校)/教育助成金300万円とソニー製品

  • 国立大学法人鹿児島大学教育学部附属小学校/鹿児島県

    鹿児島の自然に親しみ、学びの価値を実感する 鹿大附小プラン2019
    講評

    地域の小学校教育を先導する実践的研究に取り組む中において、理科教育を中心に「科学が好きな子ども」を育てる取り組みを長年にわたって展開されてきました。こうした真摯で地道な実践の中で、今回の論文では、2014年度からの4年間の「わくわく」「じっくり」「なるほど」をキーワードとした授業改善の取り組みを踏まえ、「教科プロジェクト」、「連携プロジェクト」、「環境プロジェクト」を掲げ、PTAや大学等と連携して学校全体で総合的な取り組みを展開されています。
    授業改善の柱となる「教科プロジェクト」では、教材の工夫と発問に視点を当て、子どもたち一人一人が自分の課題をもって問題解決を図る理科・生活科の実践が展開されています。教材と発問は、授業を構成する基本的な要素ですが、実際の授業展開においても実践を重ねた貴校ならではの内容を示していただきました。例えば、5年理科「電流が生み出す力」では、電磁石のはたらきに迫る教材と単元構成の工夫により、子どもの見方・考え方の深まりが見られました。
    「連携プロジェクト」では、大学との連携によりドランゴンフルーツなどの地域教材を取り上げて実生活と結び付けた学習展開を図ったり、PTAとの連携により科学にかかわる体験活動や探究活動を積極的に展開するなど、子どもの豊かな学びや科学体験を実現していました。
    「環境プロジェクト」では、校舎内外の環境整備を行い、子どもの活動を称揚する展示や科学への関心を高める掲示が行われ、学ぶ雰囲気作りに努めていました。
    この3つのプロジェクトが学校とPTAや大学などとの連携協力体制のもとで長年にわたって展開されていることも、たいへん意義のあることです。

    論文概要

    本校では、目指す子どもの姿に迫るために、「自然に浸り、もっと夢中になる学び」というテーマを設定し、3つのプロジェクトを立ち上げた。【教科プロジェクト】では、子どもの実態調査を基に、教材と発問の工夫を行った。【連携プロジェクト】では、外部と連携を図り、私たちだけでは実現できないことを体験できるようにした。【環境プロジェクト】では、授業外でも自然に浸ることで、興味・関心をもつことができるように環境を整えた。そして、取組の成果と課題を子どもの表出した姿から分析した。その内容を踏まえて、次年度は、『鹿児島の自然に親しみ、学びの価値を実感する鹿大附小プラン2019』を構想している。

  • 岐阜市立陽南中学校/岐阜県

    自然の事物・現象に進んで関わり、自己の学びをつなぐ生徒の育成
    講評

    地域の研究実践校としての使命感を持ち、研究テーマ「自立した学びを実現する生徒」に全校体制で取り組まれています。理科を柱とする「科学が好きな子ども」を育成する取り組みが、学校全体の研究テーマの中に位置づいて、他教科の学習指導と一体となって授業改善が図られていることは、全校の組織的な実践として評価します。
    「科学が好きな子ども」の育成は、理科の授業を柱とした取り組みではありますが、理科以外の教科の学習活動で培われる資質能力とも大きくかかわります。そうした考えに基づいて、理科の学習指導では、「科学が好きな子ども」の感性・創造性・主体性を育成する観点から、単元構成や授業の場面での導入・展開・終末の各段階の手立てを具体化して、生徒一人一人の確かな学びを実現する学習指導が展開されています。
    導入段階では、生徒が単元の学習について見通しをもって探究するための事象との出会いや教材の工夫が行われ、創意に満ちた単元構成が図られています。
    授業の展開段階では、「考え方のスキル」に基づく「一枚ノート」の活用が、生徒一人一人に実感をもった確かな学びが実現されていました。具体的な授業の場面では、「一枚ノート」の記録や活動の状況を教師がきめ細かく見極め、適時に評価や助言が行われ、生徒同士が考えを交流する場も効果的に構成されて、学級全体の主体的な探究が実現しています。また、キャリア教育にかかわる総合的な学習の時間「教師版インテンシブ」での集中型講義の実践では、科学や科学技術への生徒の関心や理解を深める内容が選択項目に位置づけられているなど、特色ある取り組みとして展開されています。
    こうした日々の実践を見直すことによる貴校の地道な取り組みの成果が、アンケートの分析結果である「授業での学びを日常生活や自分とつなげて考えることができる生徒」の具体的な姿につながっているものと考えられます。

    論文概要

    自然の事物・現象に進んで関わって理解を深めたり、授業での学びを日常生活や自分とつなげて考えたりすることが、「科学が好きな子ども」であると考え、そのような生徒の育成を目指して実践に取り組んだ。生徒が自然の事物・現象の中から問題を見いだし、見通しをもって解決できるような導入から、一人一人に、確実に力を付けることができるようにするための個や集団への指導を充実させ、授業での学びを、日常生活や自分につなげられるようにする終末を工夫することで、自然の事物・現象に進んで関わり、自己の学びをつなぐ生徒を育成することができた。

ソニー幼児教育支援プログラム 最優秀園(2園)/教育助成金100万円とソニー製品

  • 学校法人山梨学院 山梨学院幼稚園/山梨県

    お米づくりから広がる子どもたちの世界
    講評

    本論文は、「お米づくりから広がる子どもたちの世界」をサブテーマとし、米づくりに関する1年間の活動に注目しました。そして、「長期にわたる活動をやり遂げることで育まれた『科学する心』は、子どもの中で実体験として残っていく」という、実体験が成長に繋がる過程を明らかにしました。保育者は、土作りから脱穀、餅つきや米糠(こめぬか)での染色までの、米づくりに関する多様な体験をする子どもたちの発見や探究の姿を丁寧に見取っています。そして、米づくりに関する興味や探究を深めた子どもたちが味わった収穫の喜びに加え、“大切にする心”“優しい心”“感謝の心”などの、主題に繋がる心の育ちを捉えています。自由な発想で展開できる遊びとは異なる米栽培からは、「子どもたち主導の活動が豊かに展開した」との成果を実感されています。
    論文の初めに、「科学する心」が育まれるサイクルを示しました。事例では、丁寧に振り返った実践を記述し、多様な体験をした“遊びや体験の図”としてまとめられています。この“遊びや体験の図”に示された多様な活動は、様々な遊びへの興味の広がりなど、ダイナミックな発展性への原動力となっています。すなわち、地域の施設や専門家、小学校教諭や保護者との連携が、米づくりに関する活動を深耕させました。また、米づくりの活動は、「興味や好きなことを“入り口”にした」ことから、子どもたち自らが探究を深めていった実態を把握することができました。さらに、一人一人の興味を支える環境と、保育の工夫すべき点も明らかになりました。特に、「保育者も初心者であり、子どもと共に試行錯誤し、探究を深めた」体験により、子どもも保育者も協働的な探究を進めることで、「“古代”へと興味が広がり、質の違う多様な体験に繋がった」という過程には、他園の参考となる実践が示されています。
    これらより、長期にわたる米づくりは、子どもたちには「科学する心」が育まれる多様な体験を重ねる活動となったこと、また、保育者には主題についての考え方を深化させることに繋がる独創性のある実践であったことが高く評価されました。
    今後も、子どもの興味や関心に添った「子どもたち自身の探究を応援する環境構成」に取り組むことで、自ら発想や疑問を膨らませて夢中になって活動する子どもに、「科学する心」が育まれていくことを願っております。

    論文概要

    本園は「科学する心」について、「生活・遊びの中で生まれる興味・関心をきっかけに、驚き、不思議さ、感動を味わい、子どもたち自身が友達と共に試行錯誤を繰り返し、のびのびと表現し、獲得・達成の喜びを味わい、夢中になって探究していく心」と考えている。昨年、“お米の赤ちゃん”(苗)を一人の子どもが持参したことをきっかけに、「お米を育てたい」との思いが5歳児に広がった。子どもたちの思いを叶えたいと考えた保育者は、「決まった栽培方法がある稲作は、遊びのようには活動できない」「保育者自身が初心者で知識がない」と懸念したが、「学びの旬を逃さない」「子ども自身の探究を応援する環境構成と、安易に答えを伝えないかかわり」を大切にする保育を実践した。
    当初、弱々しい苗が「1本では立たない」ことを学び、予想通りにならない体験をした子どもたちは、土作り、代かきの段階から真剣に取り組んだ。そして、地域の方の協力で苗や情報が集まり、興味を深めてバケツ栽培を体験した5歳児は、稲作の過程(土作り→田植え→水やり→稲刈り→もみの乾燥→脱穀→ もみすり→精米)で米への探究を深めた。また、“古代米”と出合い、栽培することで、身近な米と古代米との違いに気付いたり、毎日の世話や観察、発見した虫への興味や稲を守る案山子作り、餅つきや米糠での染色などに体験を広げたりして、米の生長過程で多様な体験をした。さらに、“古代米”や博物館との連携により引き出された“古代”への興味も深まり、竪穴住居や石包丁、土偶作りへと、稲作とは質の違う体験を深め、古代をテーマにした様々なゲームを創造し、古代祭りや運動会の取り組みに広がった。
    米への興味や探究は、直接稲に関わるだけではなく、関連する多様な活動や人との関わり(専門家や小学校教諭、祖父母)など、子どもの興味や得意なことをきっかけ(入り口)に、体験や探究が深まったり広がったりして、子どもたちに「科学する心」が育まれることが明らかになった

  • 奈良市立鶴舞こども園/奈良県

    創造的なひらめきから「いい」をかたちづくる 「いい」こと考えた―きっと「いい」はず―「いい」とはこれだ
    講評

    本園は、まず社会の変化をしっかりと捉えることから出発しました。科学技術の進展によって、AI(人工知能)が人知の一部を超えたり、子どもたちを含む人間がバーチャル(仮想現実的)な世界に没頭したりするようになった現況を直視しました。そして、今こそ幼児期には、「豊かな感性」と「高い創造力」の育ちが大切であると感じて、子どもたちの「創造的なひらめき」(機械にはできない人間らしさ)に注目しました。特に、「よいもの」への憧れや追求心が「創造的なひらめき」の源泉であって、「科学する心を育てる」上での重要な出発点だと考えました。子どもの「いいを形作る過程」を明らかにしていくことは、従前にない独創的な視点です。
    詳細な記録に基づいて、子どもたちの「いい」に込められた思いを捉えました。さらに、日常的な保育カンファレンスの積み重ねにより、“子ども理解”を園全体で共有し、主題に繋がる保育の深耕と、その質の向上に努められていることが分かります。
    「いいがぶつかり合う」「確実なよりいいものにする」「いいを開拓する」などの、子どもの「いい」の深まりを捉えたことに新鮮さがあります。加えて、同じ活動をしている場面にも、丁寧な観察と考察によって、一人一人の「いい」には違いがあることを明らかにするなどの研究成果が具体的に示されています。
    さらに、「いい」が生まれた要因である「その前に」に注目したことにより、「創造的なひらめき」に至る先行経験や、その後の展開である「いいを形作る過程」、そして、子どもの変容の背景がより明確になりました。
    これらの省察の積み重ねによる一人一人の“子ども理解”を、子どもの視点に立った保育者の援助や、保育環境の創意工夫に繋げています。
    「いい」ものと出合い、それを大切にする3歳児の姿も捉えられています。そして、年齢が上がるに連れて、「いい」ものとの関係の深まりや、探究のプロセスが増えて行きます。さらに、困難に出合っても試行錯誤や予測、検証などを行いながら、友達との協働によって乗り越えていく姿からは、多くの「科学する心」の育ちを読み取ることができます。
    これらの「科学する心」を育てる保育の実践と研究は、他園にも大変参考になる取り組みであり、高く評価されました。
    今後も、子どもたちが、豊かな自然を積極的に生かした遊びを広範に展開し、「科学する心」がさらに育まれることを願っております。

    論文概要

    科学技術の進展が人間社会を急速に変えている今、幼児期に必要な力を改めて問い直した。子どもは、今まで出合わなかったものを見付けたり、思い付かなかったことを考えたりした時に、「いいもの見つけた」「いいこと考えた」と表す。この「いい」との出合いを「創造的なひらめき」と捉えた。また、「創造的なひらめき」を手がかりに、身近な環境に関わりながら「『いい』をかたちづくる」営みが子どもたちの主体的な遊びや生活であり、創造的なひらめきを「いい」として“かたちづくる”ことが、「科学する心」を育成すると思われる。
    主題に迫る過程では、「子どもが能動的にかかわる環境の構成」「創造的なひらめきの場面を捉え、全職員で共有する」「その後の遊びや活動のプロセスを観察する」「仮説を立案し、実践を検討する」ことに重点を置いた。
    3歳児が、種やダンゴムシと関わる姿からは、「いいと出合う」「いいに見入る」などが捉えられた。4歳児の葉や種や物と関わる姿からは、「自分ならではのいい」「五感でいいを再発見する」「友達のいいを自分のいいに」などが捉えられた。5歳児が、友達と遊びを創り出す姿からは、「いいのために協働する」「いいといいがぶつかり合う」「いいを開拓する」などが捉えられた。
    子どもにおいて「いい」がひらめく前段には、偶発性、環境、経験、課題意識、情動など多様な要因があり、これらは、年齢を追うごとに複合的なっていることが分かった。また、創造的なひらめきからは、行動や試行の過程で新たな発見や気付きを得て課題が生まれ、ものや友達との関係性を深めながら、さらに「いい」を“かたちづくる”過程が連鎖することが把握できた。
    保育者は、子どもなりの「いい」について、子どもの発想を捉え、ひらめきの内実を把握し、自分の意志や判断で「いい」を“かたちづくれる”よう援助することが重要であり、決して遊びを形にすることがねらいではないことを共有した。今回、子どものひらめきは、素朴で直観的であり、それに着目することで、新たな“子ども理解”につながり、保育者同士で感動を共有することができた。

優秀園 審査委員特別賞

ソニー幼児教育支援プログラム 優秀園 審査委員特別賞(1園)/教育助成金20万円とソニー製品

  • 札幌市立もいわ幼稚園/北海道

    自分の力や考えに自信をもち、前向きに行動する子ども~気付き、発見したことを伝え、教師や友達と探求していく過程を通して~
    講評

    本論文の実践はいずれも、友達や異年齢の仲間との関わりや互いの取り組みが刺激となって、対象への好奇心を膨らませ、興味を広げて探究に繋がる大きな契機となっていることが分かります。この「科学する心」と「仲間との協力の心」の繋がりが顕著に表れた事例は、他園の参考になる大変提案性のある実践です。
    「ムシムシ研究所」の事例は、「この虫なんだろう」から始まった小さな疑問を、調べて知る喜びをきっかけとして虫への興味を深め、さらに他の虫の特徴や生態などの探究へと深まる過程が明確に示されています。研究所は、園の仲間が交流できる場所に作った環境の工夫と、保育者や保護者との密な関わりも相まって、共に探究する仲間との広がりを捉えることができます。虫の地図や図鑑作り、地域へのニュースの発信、園内の友達に伝える発表会など、子ども自ら取り組みを可視化する工夫からは、質の違う豊かな体験へと繋がり「科学する心」が、仲間を越えて他者にも広がったことが伝わってきます。
    雪山の実践は、先行経験を生かし、気温や気象の状況で変わる雪山の性質を理解して、固める、滑る様にする、溶かすなどの目的に向かって、試行錯誤しながら友達と協同して、困難を解消していく姿や、自分たちが入れるトンネルを作りたいという、雪山の特性を生かしたダイナミックな活動にも展開しました。
    また、地域に深く根差した取り組みとして、地域の人の協力を得て、子どもたち自身が地域の方々と直接関われるような保育を工夫したことから、体験は広がり、様々な活動に展開しました。子どもの「探究」に保護者が関わる姿からは、「保護者との研究の取組」にあるように、子どもの姿の保護者への発信の工夫に留まらず、日常的に子どもの変容や育ちなどの情報共有を丁寧に積み重ねたことによる成果と読み取ることができます。
    加えて、一つ一つの場面の丁寧な考察の積み重ねや、明確な観点をもった子どもの姿の読み取りの工夫など、事例を振り返ることで“子ども理解”を深め、実態に添った援助と共に、環境構成・再構成の工夫に繋げていることが分かります。
    このような特徴的な取り組みが、子どもたちに多くの「気付き」「発見」「探究」をもたらし、さらに、「科学する心」の育ちに繋げられた保育の創意工夫が高く評価されました。 今後も、地域の特徴を生かし、園全体で主題に繋がる保育を深め、子どもたちに「科学する心」が育まれることを願っております。

    論文概要

    本園では、幼児の実態を捉え直した際に、育てたい子ども像を、「自分の考えに自信をもち、失敗しても考え直したり、経験を生かして工夫したりしていく子ども」と捉えた。この過程で、気付きや発見したことを伝え、保育者や友達と探求していくことが、「科学する心」を育てることになると考えた。
    主題に迫る取り組みの過程では、「心を動かす事象に出合い、感じたり気付いたりしたことを様々な方法で表現できるように」「自ら興味・関心をもち、気付きが生まれる環境の構成を工夫する」「保育者自身が面白がり、科学的な思考が深まっていくように援助する」「子どもたちに任せるポイントを押さえた援助をする」などを意識しながら、「科学する心」を育むことを目指した。
    雪山の実践は、地域の専門家が作る雪山に興味をもった子どもたちが、気温や気象の状況で変わる雪山の性質を理解し、目的をもって友達と協同して除雪したり、自分たちが入れるトンネルを作ったり、雪を溶かすために試行錯誤したりする遊びに展開した。そして、雪山に全身を使って関わり、登ったり滑ったりすることで斜度や気温による体の変化を感じることにも繋がり、体験を深めることができた。
    「ムシムシ研究所」の事例は、ナゾムシの発見が、友達と一緒に観察したり調べたりする面白さにつながり、新たな発見がさらに子どもたちの興味を深め、探究へと繋がった。また、気付きや発見を、友達や異年齢の子どもたち、地域の方などにも伝えたいとの思いから、図鑑や図書館作り、発表会など豊かな体験へと広がった。
    これらの事例は、保護者、地域の方、友達や保育者などとの関わりが支えていると思われることから、人との環境の工夫をしてきた。日頃から、保護者が子どもと豊かな関わりがもてるように、便りの発信、絵本の貸し出しや保育参加の機会などの工夫を重ねてきた。また、気付きや発見したことを受け止めてくれる保育者や友達が、一緒に面白がり探究していくことは、子どもたちが、さらに次への気付きの面白さを増していき、気付きのアンテナを鋭くしていていくことが分かった。

優秀校・優秀園

ソニー子ども科学教育プログラム 優秀校(10校)/教育助成金50万円とソニー製品

  • 旭川市立大有小学校/北海道

    論文概要

    北海道教育委員会の「学校力向上に関わる総合実践事業」の実践指定を受け、毎年複数の新採用を受け入れている本校では、全校体制で「教師のそろえる指導」に取り組んでいる。
    科学が好きな子どもを「日常の様々な事象に自ら問題意識をもち、仲間との練り合いを通して問題を解決し、身近な社会に学びを活用する子」とし、日常でできる授業、若手でもできる授業を前提としながら取組を進めてきた。具体的には、理科の学習過程を子どもの発言を基に整理することで、指導の充実を図ってきた。実践を通して、子どもも教師も理科の授業を楽しむようになり、今後は、学習場面以外でも科学に親しんだり、家庭や地域を巻き込んだりして取り組む予定である。

  • 新郷村立新郷中学校/青森県

    論文概要

    本校の所在する新郷村は、自然豊かで地域の協力体制が充実しており、まさに科学が好きな生徒を育てる教育環境が整っているといえる。しかし、本校生徒は、与えられた課題に対しては意欲的に取り組む生徒は多いが、自ら自然に目を向け、課題を発見し、解決に向けて探究していこうとする姿勢にはまだまだ欠けている。そこで理科では、「=継続=地域とコラボレーション! “好奇心”・“探求心”・“向上心”3つの心をもった生徒の育成」というテーマを掲げ、地域素材の活用を軸とした実践研究を継続して行ってきた。自然に目を向け、自然事象を科学的に捉えることに喜びを覚えることを通して、自然の有難さに気づき、地域環境の保全のために自分自身にできることは何かを考え、さらにその考えを実行できる人づくりを目指している。

  • 国立大学法人福島大学附属小学校/福島県

    論文概要

    本校では、今年度「子どもと共につくる探究の物語~理科の授業を通して、探究し続ける子どもを育てる~」をテーマとし、実践を積み重ねてきた。探究の物語をつくっていくためには、テーマ(問題)や登場人物(友だち、教師、出会う人)、場面設定(出合うもの・こと)のような「物語の状況」づくりや、科学的な営みに価値を感じる集団の形成といった「科学する文化」づくりを醸成・深化させていく必要がある。そうすることで、問題解決の力を育み、理科においても、他教科や実生活においても、探究し続けることを愉しむ子どもを育むことができた。来年度は、探究し続ける中で「変わる自分を自覚する」子どもの姿を求めて実践を進めていきたい。

  • 匝瑳市立八日市場第二中学校/千葉県

    論文概要

    本校は、科学が好きな子どもの育成を目指して「『科学する心』を組み交わすプロジェクト2018~ワンランクアップを目指して~」を提案し、3つのアクションに取り組んだ。実践の中では、見方・考え方を柔軟に働かせ、対話を重ねながら課題解決に向かう子どもの姿や豊かな自然を守りたいという思いを行動へとワンランクアップさせる姿が見られた。さらには、日常的に科学に触れる機会を提供することを可能にするなど、多くの成果を得ることができた。それぞれのアクションで明らかになった課題の克服に向け、2019年度は「理科を学ぶ素晴らしさを語る子どもを育てる」を副題に据え、科学が好きな子どもの育成に向けた取組を継続している。

  • 千葉市立本町小学校/千葉県

    論文概要

    本校では「生活や社会とのつながりを大切にし、学びを深める理科・生活科学習」を研究テーマとし、学習を日常生活や社会とつなげること、子どもが主体的に問題解決を行うことを目指した。このテーマを基に「主体的、協働的に問題に取り組むための授業実践」と「身近な現象や不思議に興味をもつ日常実践」の二つのプランを軸として研究を進めてきた。
    プラン1ではプログラミング的思考力を育むための水溶液の判別、生命への学びを深める体験的活動の充実や外部機関の活用など、様々な授業実践を行った。
    プラン2としては、科学に関する知識を検定する「理科マスター」や、面白科学実験を行う「科学の玉手箱」など様々な実践を授業の時間外に行った。

  • 越前市立武生第三中学校/福井県

    論文概要

    自ら学び続け、よりよい社会の創り手となる力を育むため、学びの主導権を子どもに任せた上で、全員の課題達成を目指す『学び合い』の考え方を大切にした授業を行ってきた。さらに、各自が異なるアプローチで科学的な探究活動を行い、レポートを作成するという課題に取り組んだ。その中で、「個別的」「協同的」に学びに向かうことで、科学を楽しみ科学に没頭する子どもを育てることを目指した。今後はより学びを深いものにしていくために、「課題設定をより工夫すること」「学びをより社会に開かれたものにしていくこと」などの改善を行いながら、これからの実践を積み上げていきたい。

  • 学校法人山梨学院 山梨学院小学校/山梨県

    論文概要

    科学が好きな子どもの姿を「自然や科学・技術に関わる体験を重ね、知ることの喜びを感じる子ども」と掲げた。学習の対象を「科学・技術」にまで広げ、内容Ⅰ,Ⅱ,Ⅲという3つのタイプの授業を設定して実践を重ねてきた。内容Ⅰは、理科・生活科をベースに展開や指導方法を工夫した。内容Ⅱは、科学の研究や技術の開発に焦点を当て、他教科との関連付けを図りつつ特設の内容として実践した。内容Ⅲは、個に応じた知的好奇心や能力の伸長という視点の下、本校独自の枠組みで実施する異学年合同のテーマ選択学習である。3つのタイプの学習を経験した子どもの育ちをとらえることができ、次年度は、改善を加えつつさらなる実践を重ねることとした。

  • 刈谷市立富士松南小学校/愛知県

    論文概要

    本校では、「科学が好きな子を育てる富南科学大好きプラン」を立ち上げ、この計画に修正を加えながら科学が好きな子を育てるために、授業実践に関わるプランA、過去の実践をまとめるプランB、子どもを取り巻く環境や授業実践の土台を整備するプランCの3つのプランを基にしたプロジェクトを実践している。プランAでは、実験型授業モデルと観察型授業モデル、生活科授業モデルを用いて授業実践を行った。また、プランBやCでは、過去の教材や環境を整備したり、学習プリント型指導案などを用いたりすることで理科を専門としない先生でも授業実践しやすくするための工夫を行った。

  • 松山市立道後小学校/愛媛県

    論文概要

    「豊かにかかわり合い、まなびを深める子どもの育成」の研究テーマの下、「科学が好きな子どもの姿」を、本校の子どもたちの実態に合わせるとともに、次期学習指導要領の育成すべき資質・能力にも対応すべく、「学びを楽しみ、学び続けようとする子ども」「基礎的・基本的な学力を身に付け、活用できる子ども」「自分の考えをもち、共に学び合い高め合う子ども」と定めました。
    そして、自然とのかかわりへのアプローチ(主体的な学び)、他者とのかかわりへのアプローチ(対話的な学び)、自分自身とのかかわりへのアプローチ(深い学び)の3つのかかわりへのアプローチを通して子どもを育てるべく授業実践を行っています。

  • 北九州市立藤松小学校/福岡県

    論文概要

    「『見る』から始まる『考える』理科・生活科学習の創造」
    子どもが自然事象について追究する中で、自ら妥当な考えを構築していく道筋を「学びのストーリー」と位置付け、「事実をもとに考え、対話することで、自らの考えや学び方を高めようとする子ども」の育成を目指した。
    子どもの思考がつながり、事実をもとに考えを構築していくために、①考える活動をつなげる単元展開の工夫、②事実に出会わせる見る活動の充実、③対話を生み出す情報共有・情報発信の工夫、を手立ての柱に実践した。その結果、子どもたちは、出会った事実をもとに考え、友達と対話をしながら、自らの考えや学び方を高めることができた。

ソニー幼児教育支援プログラム 優秀園(10園)/教育助成金20万円とソニー製品

  • 学校法人ろりぽっぷ学園 ろりぽっぷ保育園/宮城県

  • 社会福祉法人陣場福祉会 認定こども園 杉の子/山形県

  • 二本松市立小浜幼稚園/福島県

  • 社会福祉法人さがみ愛育会 幼保連携型認定こども園愛の園ふちのべこども園/神奈川県

  • 学校法人金城学院 金城学院幼稚園/愛知県

  • 国立大学法人京都教育大学附属幼稚園/京都府

  • 京都市立中京もえぎ幼稚園/京都府

  • 社会福祉法人堺暁福祉会 幼保連携型認定こども園 かなおか保育園/大阪府

  • 社会福祉法人長尾会 第2長尾保育園/大阪府

  • 丸亀市立西幼稚園/香川県

優秀園の論文は2019年2月以降公開予定

奨励校・奨励園

ソニー子ども科学教育プログラム 奨励校(79校)/教育助成金10万円とソニー製品

  • 札幌市立白石中学校/北海道
  • 札幌市立円山小学校/北海道
  • 美幌町立北中学校/北海道
  • 平川市立柏木小学校/青森県
  • 三沢市立三沢小学校/青森県
  • おいらせ町立木ノ下小学校/青森県
  • 南部町立向小学校/青森県
  • 会津若松市立謹教小学校/福島県
  • いわき市立小名浜第一小学校/福島県
  • いわき市立中央台東小学校/福島県
  • 郡山市立明健小学校/福島県
  • 相馬市立桜丘小学校/福島県
  • 田村市立滝根小学校/福島県
  • 稲敷市立桜川中学校/茨城県
  • 稲敷市立新利根小学校/茨城県
  • かすみがうら市立千代田中学校/茨城県
  • つくば市立吾妻中学校/茨城県
  • つくば市立高崎中学校/茨城県
  • 取手市立戸頭小学校/茨城県
  • 藤岡市立小野中学校/群馬県
  • さいたま市立大谷口小学校/埼玉県
  • さいたま市立南浦和小学校/埼玉県
  • 越生町立越生小学校/埼玉県
  • 旭市立干潟中学校/千葉県
  • 袖ケ浦市立蔵波中学校/千葉県
  • 千葉市立大椎中学校/千葉県
  • 千葉市立海浜打瀬小学校/千葉県
  • 千葉市立幸町小学校/千葉県
  • 千葉市立さつきが丘東小学校/千葉県
  • 千葉市立都賀小学校/千葉県
  • 千葉市立花見川小学校/千葉県
  • 千葉市立緑町小学校/千葉県
  • 横浜市立相沢小学校/神奈川県
  • 横浜市立権太坂小学校/神奈川県
  • 横浜市立瀬谷小学校/神奈川県
  • 横浜市立立野小学校/神奈川県
  • 小千谷市立小千谷小学校/新潟県
  • 佐渡市立相川中学校/新潟県
  • 金沢市立明成小学校/石川県
  • 岡谷市立神明小学校/長野県
  • 諏訪市立中洲小学校/長野県
  • 富士見町立富士見中学校/長野県
  • 長野県諏訪清陵高等学校附属中学校/長野県
  • (大)信州大学教育学部附属松本中学校/長野県
  • 岡崎市立小豆坂小学校/愛知県
  • 岡崎市立愛宕小学校/愛知県
  • 岡崎市立岩津小学校/愛知県
  • 岡崎市立東海中学校/愛知県
  • 岡崎市立広幡小学校/愛知県
  • 刈谷市立朝日中学校/愛知県
  • 刈谷市立小垣江東小学校/愛知県
  • 刈谷市立雁が音中学校/愛知県
  • 刈谷市立刈谷東中学校/愛知県
  • 刈谷市立亀城小学校/愛知県
  • 刈谷市立住吉小学校/愛知県
  • 豊川市立南部中学校/愛知県
  • 堺市立鳳南小学校/大阪府
  • 堺市立八田荘西小学校/大阪府
  • 堺市立浜寺石津小学校/大阪府
  • 姫路市立広峰小学校/兵庫県
  • 和歌山市立宮北小学校/和歌山県
  • (大)和歌山大学教育学部附属小学校/和歌山県
  • 出雲市立乙立小学校/島根県
  • 熊野町立熊野中学校/広島県
  • 下関市立向井小学校/山口県
  • 柳井市立平郡東小学校/山口県
  • 阿南市立中野島小学校/徳島県
  • 阿南市立平島小学校/徳島県
  • 今治市立国分小学校/愛媛県
  • 今治市立吉海小学校/愛媛県
  • (大)愛媛大学教育学部附属小学校/愛媛県
  • 北九州市立黒崎中央小学校/福岡県
  • 北九州市立木屋瀬小学校/福岡県
  • 北九州市立曽根東小学校/福岡県
  • 北九州市立田原小学校/福岡県
  • 山鹿市立稲田小学校/熊本県
  • 氷川町立竜北東小学校/熊本県
  • 別府市立上人小学校/大分県
  • 鹿児島市立中洲小学校/鹿児島県

ソニー幼児教育支援プログラム 奨励園(68園)/教育助成金5万円とソニー製品

  • 札幌市立きくすいもとまち幼稚園/北海道
  • (福)五倫会 美郷こども園/青森県
  • (学)ろりぽっぷ学園 ろりぽっぷ幼稚園/宮城県
  • (福)こども未来創生会 保育所型認定こども園 さくらこども園/山形県
  • 南陽市立赤湯幼稚園/山形県
  • (学)中沢学園 みなみ若葉こども園/福島県
  • (大)福島大学附属幼稚園/福島県
  • 二本松市立あだたら保育所/福島県
  • さいたま市立片柳保育園/埼玉県
  • さいたま市立上大久保保育園/埼玉県
  • さいたま市立指扇保育園/埼玉県
  • (学)くるみ学園 認定こども園 くるみ幼稚園/千葉県
  • (大)千葉大学教育学部附属幼稚園/千葉県
  • 足立区立中島根保育園/東京都
  • 杉並区立西荻北子供園/東京都
  • 墨田区立菊川幼稚園/東京都
  • 墨田区立立花幼稚園/東京都
  • 墨田区立八広幼稚園/東京都
  • (学)織田学園 おだ認定こども園/東京都
  • (学)錦秋学園 錦秋幼稚園/東京都
  • NPO法人東村山子育て支援ネットワークすずめ つばさ保育園/東京都
  • (福)喜慈会 子中保育園/神奈川県
  • (学)深沢学園 さがみひかり幼稚園/神奈川県
  • (福)たちばな福祉会 RISSHO KID'Sきらり/神奈川県
  • (学)恵愛学園 幼保連携型認定こども園 愛泉こども園/新潟県
  • (学)あおい学園 あおい幼稚園/新潟県
  • (福)なのはな 菜の花こども園/山梨県
  • (大)山梨大学教育学部附属幼稚園/山梨県
  • 伊那市立高遠保育園/長野県
  • 伊那市立手良保育園/長野県
  • 伊那市立西春近北保育園/長野県
  • (福)信州福祉会 わかば保育園/長野県
  • 安城市立城ヶ入保育園/愛知県
  • 安城市立東部保育園/愛知県
  • 安城市立東端保育園/愛知県
  • 安城市立みのわ保育園/愛知県
  • 岡崎市豊富第二保育園/愛知県
  • 西尾市立鶴城幼稚園/愛知県
  • 幸田町立大草保育園/愛知県
  • 大津市立石山幼稚園/滋賀県
  • (学)松風学園 ひこねさくら保育園/滋賀県
  • (福)徳雲福祉会 大井こども園/京都府
  • (福)徳雲福祉会 千代川こども園/京都府
  • (学)常磐会学園 認定こども園 常磐会短期大学付属常磐会幼稚園/大阪府
  • (福)堺暁福祉会 幼保連携型認定こども園 あかつき保育園/大阪府
  • (学)常磐会学園 幼保連携型認定こども園 常磐会短期大学付属いずみがおか幼稚園/大阪府
  • (福)ゆずり葉会 深井こども園/大阪府
  • (福)照治福祉会 阿武山たつの子認定こども園/大阪府
  • 富田林市立青葉丘幼稚園/大阪府
  • (福)長尾会 長尾保育園/大阪府
  • (学)七松学園 認定こども園 七松幼稚園/兵庫県
  • (福)友愛福祉会 伊丹ひまわり保育園/兵庫県
  • 伊丹市立こばと保育所/兵庫県
  • (福)ウエル清光会 仁川ウエル保育園/兵庫県
  • 姫路市立中寺幼稚園/兵庫県
  • 幼保連携型認定こども園 奈良市立都跡こども園/奈良県
  • 奈良市立六条幼稚園/奈良県
  • (学)水谷学園 認定こども園 北陵幼稚園・北陵保育園/島根県
  • (福)橘会 御南第二保育園/岡山県
  • 丸亀市立城辰幼稚園/香川県
  • 福岡市立雁の巣幼稚園/福岡県
  • (福)遊亀会 いけだ保育園/長崎県
  • (福)芽豆羅の里 幼保連携型認定こども園 めずらこども園/大分県
  • (福)さつき福祉会 さくらさくら幼保連携型認定こども園/宮崎県
  • (福)顕真会 よいこのもり幼保連携型認定こども園 よいこのもり第2幼保連携型認定こども園/宮崎県
  • (学)押野学園 幼保連携型認定こども園 せんだい幼稚園/鹿児島県
  • 石垣市立いのだ幼稚園/沖縄県
  • そらいろえん/沖縄県

審査委員長総評

ソニー子ども科学教育プログラム

2018年度「ソニー子ども科学教育プログラム」に、全国の小学校・中学校より合わせて172校から論文の応募をいただきました。子どもたちの「なぜ?」を大切に、感性・創造性・主体性を育成する観点から、多くの学校で「科学が好きな子どもを育てる」熱意溢れる実践が展開されていることに心から敬意を表します。

本年度は、連続応募の学校が若干減少していますが、近年応募の無かった地域からの応募もありました。また、論文執筆の研究代表者が少しずつ若い先生方に移ってきている傾向もあり、「科学が好きな子ども」を育てるという「ソニー子ども科学教育プログラム」の趣旨に基づく実践活動の広がりを実感し、期待しています。

論文内容については、各学校の方針や課題に向き合った授業実践が行われており、質の高い内容の報告が多くみられました。さらに、今回は新学習指導要領を意識した内容が多く見られました。新学習指導要領で示されたプログラミング教育に取り組んでいる学校もあり、たいへん心強い限りです。一方、次年度の「教育計画」については、個別の授業計画だけでなく、年間を通じた理科全体の取り組みも述べてほしいと思います。また、論文の中には、せっかくの創意工夫ある取り組みが概要の説明だけで終わっているものがあります。子どもの学びの姿や変容を具体的なものとして示し、実践の魅力を伝えていただきたいと思います。

本年度の優秀校は12校が選ばれました。優秀校の論文内容はいずれも充実しており、審査委員による最優秀校の審査の評価は拮抗しましたが、取り組みが学校全体の活動になっているか、地域の素材や地域の人材を活かしたものか、外部の教育施設等との連携が行われているかなどの視点も加味して評価をし、現地調査も踏まえて慎重な審議を行いました。その結果、最優秀校には鹿児島大学教育学部附属小学校と岐阜市立陽南中学校の2校が選ばれました。

来年度は、教育助成の60年目の節目を迎えることになります。本プログラムでは、先生方自身が目の前の子どもたちを見つめ、そこから目指す子ども像を明確にして実践した授業についてまとめていただくことが魅力ある論文につながるものと考えます。引き続き、多くの先生方が子どもたちの未来のために、日々創意工夫をして実践に取り組んでいただきたいと思います。そして学校をご支援いただいている保護者や地域の皆様に改めて敬意を表しますとともに、「ソニー子ども科学教育プログラム」に対するご理解とご支援を賜りますようお願い致します。

審査委員長
  • 御手洗康/元文部科学事務次官
審査委員
  • 渥美雅子/弁護士
  • 大髙泉/筑波大学大学院 名誉教授
  • 清原洋一/文部科学省初等中等教育局 主任視学官
  • 久保田重夫/元東京大学生産技術研究所 特任教授
  • 西谷清/ソニー教育財団 前理事長
(五十音順)

ソニー幼児教育支援プログラム

2018年度は、「ソニー幼児教育支援プログラム」に、全国30都道府県の幼稚園・保育所・認定こども園から、146件というご応募をいただきました。2002年度の本プログラム開始時以来、最多の応募件数となり、継続して応募されている園に加えて、初応募の園も増えました。保育者の皆さまが、「科学する心」を常に原点として、子どもたちへの理解を深め、実態に添った独自性ある保育に取り組まれた結果かと思われます。

近年の傾向として、乳幼児期の子どもの発達を踏まえ、主体的に豊かな体験ができるように環境を工夫し、意欲的な実践を進めている園が増えています。その結果、甲乙つけ難い優れた論文が多数現れて、選考は困難を極めました。詳細な現地調査も踏まえた厳正な審査の結果、最優秀園2園、優秀園11園、奨励園68園を選出いたしました。また、優秀園の中で、特にユニークな実践をご報告いただいた1園を審査委員特別賞といたしました。

応募論文からは、子どもたちが、人や自然、もの、出来事と直接関わり、対象への興味を深め、次の様な様々な姿の中に「科学する心」の育ちを捉えた実践が見えてきます。

  • “創造的なひらめき”から“より良いもの”をつくる探究心の深まる姿
  • 探究により、科学の本質に迫る体験をしている姿
  • 長期にわたる活動を展開する中で興味の対象が広がり、協働的で多様な探究に繋がって行く姿
  • 保護者や地域の教育力や特徴を活かした保育により、子どもたちが興味の対象を深堀りする姿

これらの実践例からは、子どもの気付きや試行錯誤に注目し、保育者が丁寧にその言動を読み解き、さらに周囲の大人が協働して子どもの成長を支えることの重要性を学ぶことができます。また、子どもたちの「科学する心」を育てたいという思いと、ご自分たちの理解を深める努力が相まって、保育者の感性と創造性を育みました。子どもと保育者が共に学び育ったことが伝わってきます。加えて、事例の深い読み取りのために、保育者間の「カンファレンスや記録用紙」の工夫、保護者や地域への「保育情報の発信や共有」の工夫がされています。それが保育を振り返り、見直す契機となって、子どもたちに「科学する心」が育まれる体験に繋がっています。

また、特筆すべきこととして、以下の点も見られました。「科学する心」を育むために、「人との関わり」や「協働的な探究」を重視し、子どもが本来持っている「科学する心」を、自然に発揮できるよう工夫した事例です。例えば、阻害要因の方を分析して、それを排除し保育を改善するなど、独創的で新規性のある取り組みが提案されました。これらの創意工夫により、「科学する心」が育まれる過程や心の育ちの一部が明らかになったことは、多くの園の参考になると考えられます。一方で、特定の学年の活動や、注目した一場面のみを取り上げた事例からは、体験の深まりを十分に読み取ることが難しく、論文のさらなる深耕を期待したい事例もありました。

ご応募いただいた実践の多くからは、「科学する心」が育まれて行く子どもの姿に保育者が感動し、保育を振り返り、質の向上への意欲を高めていることが伝わって参ります。このような素晴らしい実践例をご報告くださった先生方の熱意とご努力に、深い敬意を表するとともに、心より感謝申し上げます。これからも子どもたちのために、先生方がより高い視座から「科学する心を育てる」保育を目指して取り組まれることを願って止みません。

次年度も地域や園の特徴を活かし、独自の発想から生まれたユニークな実践のご応募に期待をいたしております。

審査委員長
  • 小泉英明/(株)日立製作所 名誉フェロー
審査委員
  • 青木清/上智大学 名誉教授
  • 秋田喜代美/東京大学大学院 教授
  • 大豆生田啓友/玉川大学 教授
  • 神長美津子/國學院大學 教授
(五十音順)