教育助成

2014年度教育助成プログラム 入選発表教育助成(論文・発表)

今年度は、全国の小・中学校より184件、また幼稚園・保育所・認定こども園より94件、合計278件の応募があり、書類審査、現地調査および厳正なる最終審査を経て、下記の通り入選校・入選園が決定しました。
上位入選した学校・園には、2015年1月24日(土)14:00より、ソニー(株)本社にて贈呈式を開催しました。

最優秀校・最優秀園

ソニー子ども科学教育プログラム 最優秀校(2校)/教育助成金300万円とソニー製品

  • 東広島市立河内小学校/広島県

    主体的に追究し 友と学び合い 意欲的に活動する子どもの育成
    講評

    豊かな自然に囲まれた環境を活かし、「科学が好きな子ども」を育成する実践に、6年間にわたり取り組んでいます。地道な実践の積み重ねが、研究や課題の深化に繋がり、テーマである「主体的に追究し 友と学び合い 意欲的に活動する子ども」の具現化が図られています。継続的に子どもに寄り添って改善に努めてきた成果が、子どもの学ぶ姿や指導計画に具体化されています。生活科・理科・総合の実践は「つなぐ」をキーワードに展開され、事象との出会いを大切にしながら、一人一人の考えを伝え合うことで意欲的に追究し、見方・考え方を深めていく学びが分かりやすく示されていました。また、複式授業の特色を生かした取り組みについても、子ども同士の交流をうまく学習過程に取り入れている点が注目に値します。子どもたちの主体的な追究や気づきに導いていることに加え、地域と連携を図るなど河内小学校の特色を生かした活動の広がりが評価されました。

    論文概要

    今年度の研究は、昨年度までの5年間の取組を見直すことからスタートさせた。その中で、課題として挙げられた「系統化」というキーワードに注目し今年度の研究を構築した。系統化を意識すると、第1学年の生活科から第6学年までの理科教育を1つの柱として考え、総合的な学習の中での取組と地域との連携を図った学習へと広がっていくイメージで捉えられる。そこで、今年度は、河内小スタンダードからの脱却を図り、すべての取組の系統を意識して、研究を進めた。 本校の児童は自分の中に生まれた小さな「なぜ?」を大切に大切に育み、「なるほど!」になるまで試行錯誤を繰り返すという『学びのサイクル』を獲得している。今後は、『学び合いのサイクル』を確立させたい。

  • 山梨大学教育人間科学部附属中学校/山梨県

    科学への感性を磨き、素朴概念を自ら科学的概念へ変容できる生徒を目指して
    講評

    「感動」「わかる」「変容」「科学の役割」を授業改善の4つをキーワードとし、徹底して「実感をともなう理解」にこだわった実践を展開されました。「素朴概念を揺さぶる事象や体験の導入」「一人一人が実験観察できる教材の開発」「考えを交流する場の構成や機器の活用」「ポートフォリオと学習評価」などの多彩な手立ては、生徒の実態等を分析的に捉え、確かな指導観に基づいて単元や授業の構成を精緻に構想した結果であり、提言性のある実践であると認められました。さらに、生徒の生き生きとした探究活動を促す理科室経営やICT機器の効果的な活用などの地道な取り組みが、学ぶ環境づくりに結実していました。「自ら気付くこと」を大切にしながら、生徒の「素朴概念」や「理解の深さ」を丁寧に見取り、生徒が本当の変容に至ることを目指した取り組みは、教材教具の創意工夫にも貫かれており、他校にも参考になる実践です。

    論文概要

    科学的概念を獲得しようとするためには、自分の生活体験などによって得られた素朴概念を変容させなければならない。そのためには、自分で課題を解決しようとしたり、自分の意見を発表したり、他の人の考えを受け入れたりしなければならない。その過程では、今まで自分が正しいと信じてきた概念が覆され、葛藤が生じる。その中で獲得した、新しい概念を得ることの楽しさを経験することが、科学が好きな生徒を育てることになるのではないかと考えている。また、生徒が素朴概念から科学的概念にどのように変容したのかを見とるために、1枚ポートフォリオ(OPP)を活用している。さらに、国立大学の附属中学校ということをいかし、大学との連携授業を実施して、理科の学習が日常生活でどのように活用されているか学ぶ機会を設けている。

ソニー幼児教育支援プログラム 最優秀園(2園)/教育助成金100万円とソニー製品

  • 社会福祉法人育星園 函館美原保育園/北海道

    科学する心の芽を育てる保育~保育士の援助と視点について「氷作り」と「種から種へ」より~
    講評

    子どもたちの主体的な取り組みを目指し、子どもの気付きや好奇心・関心などを大切にした「科学する心の芽を育てる」保育へと、「見直し・変える」ことに真摯に取り組まれました。寒冷地である特色を活かした「氷作り」では、よく観察し、仮説を立てて追究する力が育まれていることが読み取れます。「種から種へ」は、7か月の継続的な取り組みの中に、環境との関わり方が深まっていく姿がありました。特に、「畑危機一発」では、原因を友達と調べ、方法を探り、乗り越える体験を重ねています。保育の可視化としてのボードフォリオの工夫は、子どもの姿を皆で共有し、園と家庭のつながりを深め、子どもの自信や遊びを豊かにすることに結びつくと共に、保育者の保育の見通しにも繋がりました。「共有・話し合う」ことに重きをおいた環境と援助の工夫が、考えを出し合い、共有し合う人間関係を築き、主題に繋がる活動を支えています。これらの保育の展開と工夫が高く評価されました。

    論文概要

    本園では子どもたちが主体的に活動できる保育方法の模索として、子どもの気付きや好奇心、関心を重要ポイントとして捉えることを大切に、日頃の活動を3~4年ほど前より見直した。保育士主導の援助方法の改善に伴い、子どもの遊びの進展に明らかな変化があった。同時に遊びの様子や変化の過程を、保護者にも理解してもらえるような写真とコメントを添えた掲示物を作成した。それが保育士の記録としても、保育にフィードバックするものは非常に大きかった。
    「氷作り」では、保育士が子どもの着想に付き合い、調べる活動を援助する中で、色水・温度との関係・液体から固体へ変化する過程の現象を話し合い追究する真冬の2ヶ月の経過である。「種から種へ」では、年度当初の話し合いで、子どもたちは種から作る発想であったため、野菜の苗ではなく種からの栽培に挑戦した。何度も失敗や困難な状況になったとき、図鑑を引き出し「話し合う」「調べる」ことで乗り越えて育て収穫し、最後に種を採取してしめくくった半年の取り組みである。また、実践する中では「話し合いの時間」の工夫により、子どもたちが感動や疑問、考えを共有することを大切にした。
    子どもたちが意欲をもって主体的に遊ぶ活動の中には、科学的な要素があふれていることに保育士が気付かされ、それらを活かして、子どもたちと一緒に保育を楽しむことができた。この活動を「教育に関わる内容5領域」に照らし合わせてまとめる中では、「科学的な」というと、子どもの発達の一側面のように思われがちであるが、5領域の環境だけでなく、全てに入学前の学びの土台として重要な要素があり、これらは保育士の援助の仕方の工夫で体験できることが見えてきた。

  • 学校法人支倉学園 めるへんの森幼稚園/宮城県

    もっと知りたい!樹液の世界!!~自然の中での幼児の好奇心・探究心の育ちを探る~
    講評

    子どもたちの繰り返し「やってみる」体験と「試行錯誤」が、好奇心・探究心の膨らみにつながっています。この実践を、考察の整理を工夫して示すことにより、主題である「科学する心を育てる」の理解が園の中で深まっていった様子が読み取れます。隣接する豊かな自然公園を保育に活用し、“自然の匂い”“植物と生き物の繋がり”など、園内の環境だけではできない体験の深まりも見られました。昨年から継続して「樹液」という自然物を保育に使ったことで、自分たちの思い通りに進まない子どもたちに「なぜだろう」という疑問がたくさん生まれました。自然に対する謎への探究を深める体験は、「科学する心」の本質であると高く評価されました。活動を通して失敗を乗り越える体験や、動植物と積極的に関わる体験をしている子どもたちの感性や気付きに焦点を当て、興味や探究を深める保育展開は、多くの園の参考になる実践です。

    論文概要

    本園には、自然豊かな公園が隣接している。今年度は、隣の公園の自然の中で“好奇心”“探究心”の育ちに焦点を当てて、「科学する心」の育ちを探っていった。
    いつものように隣の公園へ遊びに行くと、4歳児が樹液の存在に気付き、友達と一緒に見て、触り、臭いをかぎ、五感を使って楽しむうちに樹液への好奇心を膨らませていった。次第に「どうして樹液は出るの?」という疑問をもった。探究心が芽生え始めるが、「木を釘で掘ればでてくる!?」という自分たちの予想が思い通りにいかず、樹液への興味が一時薄れた。また、クラスで飼っていたカブトムシに樹液を食べさせるために樹液を集めに行くが、以前あったはずの樹液が少なくなっていたことで戸惑い、活動の展開が難しくなった。『じゅえきレストラン』という絵本を読んだことで、絵本のような虫たちが集まる樹液レストランを見てみたいという気持ちが膨らんだ。みんなでどうすれば見られるか考え合うと、一人の子の「樹液を作ればいい!」という発想から樹液作りが始まった。そして、自分たちで材料や道具を考えたり、家で調べてきたりする姿や、本物の樹液と比べてみる姿が見られた。作った樹液を木に塗り、次の日に期待を膨らませて見に行くと、たくさんのアリがいたことに大喜びした。しかし、数人の子はカブトムシがいないことを残念そうにしていた。その残念な気持ちから、今度は“カブトムシが食べる樹液を作りたい!”という新たな目的が生まれた。その新たな目的に向かって「いろいろな味の樹液を作ってみよう」と、再び樹液作りが始まった。一人の子の「樹液を作る」というおもしろい発想から、子どもたちみんなの探究心が膨らみ、「科学する心が」大きく育っていった。

優秀校・優秀園

ソニー子ども科学教育プログラム 優秀校(16校)/教育助成金50万円とソニー製品

  • 美幌町立北中学校/北海道

    論文概要

    キャッチフレーズは「わくわく・どきどき 理科は楽しい!」である。目指す生徒『自ら学びを広げることができる生徒』には、生涯学び続ける主体的な生徒を育てたいという思いが込められている。研究のキーワードは『学びの連続性』である。学びの連続性を3つの点で考えている。
    (1)単元内での連続性……問題解決の活動がつながることで興味・関心の連続性につながる。
    (2)単元と単元との連続性……既習の学習内容との関連を理解することで理解の深まりにつながる。
    (3)学びと生活との連続性……科学に対する有用感が高まることで学びの広がりにつながる。
    めざす生徒の姿に迫るカギは「学びの連続性を支える単元開発」にあると考える。
    実践の3つの柱は「感動」「わかる」「探究」である。3つの柱は個々にあるのではなく、感動体験を通して確かな理解をする(感動→わかる)。ねばり強く探究して「わかった!」という成功体験自体に感動する(探究→わかる→感動)。このように「感動」「わかる」「探究」の3つを相互につなげることで学びの連続性を支えることができる。今年度スタートした取り組みである、まず個々の実践どうしのつながりをつくる。できたつながりをさらにつなげて、学びの連続性を支える単元開発を進めたい。

  • 川俣町立川俣小学校/福島県

    論文概要

    今年度の研究では、これまでの実践で成果のあった部分を継承しつつ、明らかになった課題を改善し、一つ一つの取組の内容を深化するとともに、真に価値ある学びへと進化させることを念頭に取り組んできた。
    プランIでは、理科・生活科の授業を充実させるため、単元の展開構想の作成や導入の工夫、教師のかかわりや振り返りの充実を図った。
    プランIIでは、本校中庭を起点とし、自然の事物・事象と直接的にかかわれるようにした。
    プランIIIでは、クラブ活動や全校の集いの場を活用して子ども達の日常に潜む科学的要素を取り出し、科学をより身近に感じられるよう工夫した。

  • 天栄村立広戸小学校/福島県

    論文概要

    「知れば知るほど、知らないことがあることに気づく」という考え方のもと、「不思議だな」「なぜだろう」と「知らない世界」に思いを馳せながら学ぶことで、「未知を愉しむ子ども」を育成したいと考えた。
    そのために考えたのは「分からないことが増えていく単元展開」である。具体的には、(1)あえて、多様な問題を抱え込ませる単元導入の工夫 (2)試行錯誤を重ねる問題解決の過程の重視、他の事象と関連付ける場の設定(3)単元の本質にかかわる問題について自由に考える場の設定の3つの手立てを行った。その結果、「理科はどこまでもあるんだなあ。考えれば考えるほど、いろんな疑問が生まれてきた」といった感想を持つ、「未知を愉しむ」子どもの姿が見られるようになった。

  • 福島大学附属小学校/福島県

    論文概要

    「センス・オブ・ワンダープロジェクト2013」では、科学が好きな子どもを「自然とのかかわりから見いだした問題を、友だちと共に論理的に考え、判断し、解決しようとする子ども」と捉え「授業づくり」「環境づくり」「連携づくり」で手立てを講じ、実践した。特に「授業づくり」では「チームで追究する」「チーム内の対話」を大切に実践した。教師がチーム内の対話に明確な視点をもってかかわることで、子どもの学びを生かした話し合いをコーディネートできたことが成果の一つである。
    「センス・オブ・ワンダープロジェクト2014」の「授業づくり」においては、チームで追究することを大切に、さらに「授業を見つめる五つの視点」「問題の焦点化」「観察、実験中の対話」を手立てとして取り組むことが、科学が好きな子どもの育成をすることにつながると考え、実践を重ねている。

  • 袖ヶ浦市立蔵波中学校/千葉県

    論文概要

    本校では、今年度「ネバーギブアップ チャレンジ」のテーマのもと、科学の好きな生徒の育成を行ってきた。授業では失敗は成功のもとであるということを常に生徒に意識させ、興味関心を高く持たせ観察実験を行わせた。また、観察実験の技能を高めるための技能テスト、他の研究機関と連携、学校図書館の利用、理科室の整備、掲示物の工夫などを行い、生徒の感性・主体性・創造性を育ててきた。来年度は「ネバーギブアップチャレンジPART2~蔵波の過去・現在・未来から、生きる力を!!~」をテーマに、地層や気象、環境、自然災害という視点から自分たちの住む蔵波地区の過去・現在・未来を学び、自分たちの住む地域のすばらしさや将来どのような地域にしたいのか考えさせたい。

  • 柏崎市立鯖石小学校/新潟県

    論文概要

    「自分から課題の解決に向かって、仲間と考えをつないで新たな考えをつくっていく子ども」の育成を目指して、科学が好きな子どもを育てる授業とカリキュラムを研究してきた。「つないでつくる」をキーワードに、「子ども同士のつながり」「子どもと学習対象とのつながり」をつくる理科、生活科、総合的な学習の授業、「他教科とのつながり」や「既存の教育活動とのつながり」を大切にしたカリキュラムづくりを行ってきた。また、今年度は「縦割り班の仲間がつながる『八石サイエンス』」や「地域の人や自然とのつながり」を大切にした単元づくりなど、科学が好きな子どもを育てる新たな取組を行っている。

  • 岡谷市立神明小学校/長野県

    論文概要

    科学の好きな子ども像に「自然事象とのかかわりを深めながら、納得するまで追究し、科学的な見方や考え方の深まりを実感できる子ども」を据えて研究に取り組んできました。本校では数年前から生活科と総合的な学習の時間を研究の中心に据えて実践を重ねてきています。その中で育ってきた児童の問題解決力をもとにした理科学習のあり方を検討してきました。生活科・総合的な学習の時間の実践からは問題解決力について,理科の実践からは本質にせまる教材研究のあり方と児童のものの見方考え方の深まりの捉えをもとにした主体的に自然事象に関わる中で納得し実感のできる学習のあり方について述べています。

  • 諏訪市立高島小学校/長野県

    論文概要

    本校では,「自然の事物,現象に感動を覚え,自分の学習してきたことや経験してきたことと関連させ目の前の事象を見つめ直し,事象が成り立つ理を納得していく姿」を”科学を好きな子ども像”ととらえています。そこに迫るために,「自発性」「自己責任性」「自己評価性」「協力性」の4つの側面に光を当て,伸ばしていこうと取り組んでいます。その中で,本校が30年間近く白紙単元学習(総合的な学習の時間)の中で大切にしている「自分の解決したいことを,自分の力で解決しようと努力し,手応えを覚えながら考えを深めていく姿」を理科の問題解決学習に生かしています。これらの教育実践を基盤にさらに研究を深めたいと思います。

  • 刈谷市立雁が音中学校/愛知県

    論文概要

    本校は、『体験から感動へ!2014雁中サイエンスアクション』をテーマに掲げ、体験的な授業とサイエンスアクションの2本柱に地域の力を生かした取り組みを加え、科学が好きな生徒を育てるための研究実践を行った。
    体験的な授業では、生徒の感性・創造性・主体性を育てるために、生徒が問題意識を抱くような教材を工夫して提示したり、生徒の考えを深めさせるために、かかわり合いの場を設定したり、生徒が抱いた問題意識が持続するような単元を構想したりした。
    サイエンスアクションでは、地元企業のデンソーと協力して、デンソーサイエンスラボを企画し、実践することで、生徒はこれまで学んだ理科の学習と実生活との結びつきに気付き、科学の有用性を体感した。

  • 西尾市立西尾中学校/愛知県

    論文概要

    本校は平成25年度まで、キャリア教育を主体として、3年計画で「自分たちの将来を切り拓いていくことができる生徒」の育成を目指して研究を行ってきた。本年度はこの研究を継承しつつ、「自分づくりから未来づくり」への発展を目指して、新たに「自ら学び、学び続ける生徒の育成」を研究主題に掲げた。本研究では単元内での生徒の追究意欲を持続させる手だての1つとして、教材教具の工夫と出会わせ方に力を入れ実践を行った。身近な野菜や果物の謎について、十分に実物と触れ合い新たな発見をしたり、あっと驚くような光の性質をつかったトリックに出会ったりする中で、生徒は自ら学びを切り拓き、学び続ける姿を見せていった。

  • 広島大学附属東雲小学校/広島県

    論文概要

    本校では,「共生社会に主人公として学び育つ子どもを育てる」という教育目標のもと,共生を柱とした4つのプランを実行している。
    人との共生…問題解決の場面で話し合い活動を積極的に行い,その活動を通して自分の考えを深める(クリティカルな思考)ことができるようにする。
    自然との共生…宿泊学習や生物多様性に関する授業を行うことを通して自然を大切にしようとする心情を養う。
    学級間の共生…同学年・異学年・異学級との交流を通して子ども同士がお互いに刺激し合い,高め合うことができるようにする。
    教科間の共生…合科授業などを行うことを通して理科や他教科の有用性や学習意義を実感することができるようにする。

  • 萩市立椿西小学校/山口県

    論文概要

    本校では、科学が好きな子どもを「自然から学ぶ子ども」「科学的に考える子ども」「自然や科学を学ぶ楽しさを実感している子ども」と捉えた。そこで“自然から学び、科学的に考え、学ぶ楽しさを実感する理科授業”をめざすために、3つの視点から実践研究に取り組んだ。(1)『授業づくり』では、めざす子どもの姿を導くための支援の有効性を授業で見られた子どもの姿をもとに考察した。(2)『授業を支える学習環境づくり』では理科室環境の改善を図った。(3)『授業実践を広げる場づくり』では得られた知見を校内外の教員で共有し、理科の学習指導の資質を高め合うことをめざした。そして、実践から明らかになった課題の解決に向け、研究をさらに深化させるべく、椿西小プラン2015を立案した。

  • 今治市立鳥生小学校/愛媛県

    論文概要

    本校では、『感性を働かせ、今までの経験や知識を総動員させて、自分の力で世界を切り拓いていく』子どもを育てたいと考え、「主体的、創造的な授業づくり」「知識が生きるものづくり」「豊かな感性を育む環境づくり」の三つの柱で研究を進めてきた。興味・関心をもつ中で生まれる主体的な追究活動を大切にし、子どもたちの感性をさらに磨き、新たな見方や考え方を再構築していく場の工夫を行った。今後は、「主体性~心ときめく授業づくり~」「創造性~心ときめくものづくり~」「感性~心ときめく命との対話~」を柱に、子どもたちが心をときめかせながら、自然や他者、自分と対話する瞬間を大切にしていくことで、科学が好きな子どもの育成に取り組む。

  • 愛媛大学教育学部附属小学校/愛媛県

    論文概要

    私たちは、科学が好きな子どもを「自然事象の面白さや不思議さを実感する子ども」「学びの前後で自然や他者の見え方が変わる子ども」「学びをつなぎ自分自身の成長を実感する子ども」と捉えて実践研究に取り組んできました。そして、このような子どもを育てるためには、教師主導の授業ではなく、子どもが自分の思いをもち、子どもが主体となり学びを創造していく授業づくりが大切であると考えています。そのために、6つの授業づくりのアプローチを通して教師が子ども理解を深め、子どもの思いにこたえる授業、子どもの思いを生かした授業づくりを模索し続けています。

  • 北九州市立合馬小学校/福岡県

    論文概要

    3年目を迎えた「科学大好き合馬っ子」を育てるプランでは、昨年度に引き続き合馬だからできる数多くの自然体験の中で、「わくわく体験プラン」「見通し実験プラン」「つながり発見プラン」の3つを柱において実践を行った。毎時間授業の初めに行った写真をもとにした振り返りや、子どもの既成概念に揺さぶりをかける導入の工夫などにより、子どもたちは、自分の「なぜ?」を基に主体的に問題を探求していくことができた。2015年度は、「子どもと子どもをつなぐ関わり合い」をキーワードに、3つのプランに子ども同士のつながりを取り入れ、「なぜ?」を素直に感じとる心を、そして科学を楽しむ心を子どもも教師も一緒になって育てていきたい。

  • 山鹿市立稲田小学校/熊本県

    論文概要

    児童の「わくわく・どきどき・いきいきと実験や観察に取り組んでいる姿」「自分の考えをしっかりもち、主張している姿」「理科のよさや有用性を実感している姿」を「科学が大好きな児童の姿」ととらえ、本研究を進めてきた。
    理科の問題解決の学習過程において、「問題設定の工夫」「自分の考えをしっかりもち、表現できる手立ての工夫」「身近な自然や生活で理科を実感させる工夫」の3つを授業研究の柱とした。また、生活科の授業、全校での理科的活動、理科的環境、外部人材の活用についても、問題設定につなげたり、学んだことを実感したりできるよう充実させてきた。

ソニー幼児教育支援プログラム 優秀園/審査委員特別賞(1園)/教育助成金20万円とソニー製品

  • 社会福祉法人長尾会 第2長尾保育園/大阪府

    論文概要

    2年に亘り「発見・不思議・探究心」をテーマに取り組みを行なってきた中で、今年度は「子どもの活動の中には『気付き』が根本にあり、そこから様々な活動へと広がっていくのではないか」と考えた。その仮説を検証するため、子どもの気付きを、(1)「あ!あった」と気付く、(2)聞いて知る、聞いて気付く、(3)やってみて気付く、(4)変化に気付く、(5)「こんなことができるのでは?」と気付く、(6)「こんなことができる!」と新しい方法に気付く、の6つに視点をおき、子どもの気付いたことをウェブ形式に表し分類して検討することとした。
    3歳児の活動では夏野菜を植えたことから、日々の観察の中で苗が成長し花が咲いたことに気付いたり、花が落ちると実が育つ様子や、花と実の色皮や色と実の中の色の違いなどに気付いたりしていた。
    4歳児の活動では、固い団子を作るには、どこの土を使えばいいかを気付いていた。他の土ではどうか、田んぼの土ではどうかと試した。その中で、手についた泥が渇くと色が変わることに気付いた。泥で絵を描いたり、色水で泥に色を付けたりなど試行錯誤を繰り返した。友達や保育者との関わりの中で、(1)~(6)の6つの気付きが3歳児に比べて深まっていくことも分かった。
    5歳児の活動では、4歳児の時から続いていた色水遊びが発展し、紫キャベツの色水で偶然に青色に変化したことから、どうしたら色が変化するのか図鑑で調べた。レモン汁や石鹸水を入れて、何度も失敗しながらも実験を繰り返し、「一つの事を追求していく中で自分の意見をまとめて発言する」「友だちの意見を聞き入れて試してみる」など、3歳児・4歳児での経験した気付きが土台となり、深まっていく結果となった。
    このように6つの気付きの分類をウェブ形式に整理することによって、気付きの質が発達とともに深まることが分かった。

ソニー幼児教育支援プログラム 優秀園(10園)/教育助成金20万円とソニー製品

  • 二本松市立川崎幼稚園/福島県

    論文概要

    復興の花「ひまわり」の種が5歳児から4歳児へと受け継がれ3年目。今年度も5歳児から譲り受けた花の栽培が始まった。しかし、同時に例年悩まされているのが毛虫の存在である。発芽を喜ぶ一方で双葉を食い荒らす毛虫からどう守るか。当初子どもたちは、毛虫を見つけるたびに一匹ずつシャベルで救い出していた。やがてすぐそばのチューリップには毛虫が寄らないと気付いた子どもたち。ポットの周囲にチューリップの葉を敷き詰めて花の芽を守ろうと奮闘した。
    再開した畑では、ジャガイモの葉に寄りつくテントウムシ。子どもたちは好ましくない虫と思いながらも、一匹ずつ逃がし葉から遠ざける方法を選ぶ。
    田んぼでは、稲穂がスズメに荒らされていると知ると、テープを張り巡らせて守ろうとする一方「雀も生きるために仕方がないんだ」「雀がかわいそう」「でもお米がなくなる」と葛藤に悩む子どもたち。
    様々な植物の栽培を再開した今年度は、教師にとっても新鮮な体験が多く、子どもたちと一緒に地域の高齢者や保護者の支援を受けながらの活動となった。
    戸外での体験が少ない子どもたちと共に、保育者は栽培活動を通して気付きや発見を繰り返してきた。また、子どもたちが五感を使って表現できるように心がけながら思いに寄り添ってきた。
    実体験よりも図鑑に頼りがちな子どもたちが、虫たちや栽培物とどのように関わっていくかを探る過程を興味深く見つめながら、「科学する心」の育ちを読み取った。

  • 社会福祉法人砂原母の会 そあ保育園/東京都

    論文概要

    光と影の不思議さのとりこになる子どもたち。始まりは、2歳児のA君が偶然に出合った小さな光だった。
    普段見過ごしがちなものに足を止め、目をやる『小さな発見者』。その姿を見て共に面白がる5歳児。『小さな発見者』たちが居なければ、ここまで光と影遊びは広がらなかったかもしれない。
    0歳児が光の玉に触ろうとしたり、それを誰かに伝えようと奮闘したりする事例がある。その姿から“面白がる心”も“表現したいという思い”も確かに乳児期から育まれていると感じた。
    面白がって夢中になり、没頭するという経験の中では様々な感情が生まれる。そんな多くの原体験を積み重ねながら成長していくことで、発見が吸収され、深められて、子どもたち自身のものとなっていく。それらがひとりひとりの「科学する心」を支え、4・5歳児の事例で見られるように、疑問から表現、新たな発見、そしてまた疑問へと繰り返しながら、物事や現象の本質を感じて見極めていくのではないかと考えている。
    戸外で映画館ごっこをしている時に、影が映る側と映らない側があることに気付いたK君。映画館に行った時のことを思い出し、「真っ暗じゃないから映らないのでは」と考えた。子どもが考える「こうかもしれない」は、大人には思いつかないような、自由で大胆な発想がある。試してみたK君の考えは間違っていると分かったが、そこで新たな発見があり、遊びは別の方向へと展開していった。正解まで辿り着かなかったとしても、今この幼児期においては、“そこに至るまでの過程”と“問いをもち続けること”が大切だと考えている。

  • 学校法人大和学園 豊田大和幼稚園/愛知県

    論文概要

    毎日、空き箱を中心に様々な素材や教材を使いながら、造形活動をする子どもたちの姿から、「空き箱を中心にした造形活動の発達の特性」を捉え、指導計画を○3歳児「見立て遊びを楽しむ素材と教材の関わり、○4歳児「イメージの具現化を図る」と素材・教材との関わり、○5歳児「平面から立体への挑戦を試みる」と素材・教材との関わり、と立案した。
    この指導計画に基づき「造形活動の中の科学する心」に視点を当て、子どもの豊かな想像力が、素材に生命を与えていくかのような「科学する心」の実践をした。3歳児の見立ての楽しさは自分の思ったもの、あるいは思った事がひとつの箱に投影でき、それが動き出す現象を楽しむことであった。組み立てては何度も破壊し構築できるこの過程に、新しい発見をし進化していくことに、3歳児の科学する心の芽生えを捉えたのである。見立ての世界を充分に楽しみ想像を創造するには、多種な空き箱と補助的の廃材があればよい。4歳児のイメージの具現化では、豊富な素材・教材を駆使し、自分の体験した事象やアニメなどの空想の世界を造形活動として楽しむ姿があった。多様な表現素材から実物にいかに近づけていくか、その試行錯誤の中に科学する心が働いていた。5歳児の平面から立体への取り組みは、一からの挑戦である。箱を解体して一枚の厚紙にし、その厚紙から立体の動物を造るという課題への挑戦であった。立体化へのアプローチには、驚くほどの多様な方法があった。自分で考え、自分なりに解決していく産みの苦しみの後に、充実し満足し、達成感をもった時、子どもの内に「科学する心」が育っていくのを感じた。立体化への多様な方法を可能にしたのは、セロテープやガムテープ等の接着材であった。各年令における造形活動の発達の特性を捉えることで、子どもたちの科学する心が見えてきた。

  • 幸田町立大草保育園/愛知県

    論文概要

    「たまごは命なんだよ」A子(5歳児)が言った。重たく深い意味を感じる言葉。移動動物園の来園時に合鴨が2個の卵を産み落とした。この偶然的な出来事から“たまごプロジェクト”がスタートする。そして卵を温め孵化に挑戦する中で、この言葉に出会った。
    合鴨の卵との出会いは子どもたちの『ハテナの心(好奇心)』=科学する心が動いた瞬間であった。「ヒヨコ産まれる?」「卵を温めんといかんよね」「毛布に入れる?」「コタツは?」「ポケットで温めたい」子どもたちの期待が膨らむ。ヒナが産まれると信じて、手作りの孵卵器で卵を温め始める。子どもたちの仕事は1日3回、卵を転卵する事。途中懐中電灯で卵を照らすと血管が見えた。「生きてる。生きてる」と産まれる予感。ところが産まれる予定の28日が過ぎても産まれなかった。「冬だから、寒いから出てきたくない。夏まで待つ」「温め続けたら、きっと産まれる」と諦めきれず涙する子どもたち。見た目に変化のない卵から産まれないことを理解することは難しかった。と同時に命の大切さを感じたとった瞬間であった。
    卵に出合い、卵を転卵させて孵化を待つ間に、卵の暖かさに触れ「生きているんだな」と感じていたのだろう。子どもたちの卵に対する深い思いやりと優しさに触れた。失敗の原因は温度管理であった。ヒナが見たい。諦められない気持ちから、再び烏骨鶏、鶉の孵化に挑戦する。そして鶉のヒナが誕生する。手探りで失敗続きで悩んだだけに、喜びはひとしおであった。子どもたちの目の前に現れた小さな命は、興味と関心の的となった。そして、子どもたちは意欲的に関わり、鶉との生活を楽しんでいた。
    実際の命を身近にし、見て・触れて・感じられた事。その中で多くの発見をしていくことで『科学する心』が育まれたと感じている。

  • 甲良町立甲良東保育センターあおぞら園/滋賀県

    論文概要

    「せんせい、ペットボトルが消えたよ!」…おもしろそう、どうなるんだろう?など、心が動くとすぐに確かめて遊びになる。この4歳児の子どもたちが、身近な素材“ペットボトル”をプールに持ち込み遊び始めた。水を入れて逆さまにしたり水の中の泡を見つめたり。その様な中で水に沈めたらペットボトルが消えて見えることを発見。子どもたちは互いに見つけたことを伝え合いながら次々といろいろなことを試していく。そして、この経験が次に生まれる活動「船作り」に活かされていく。「こんなふうにしたい(なりたい)」という思いを強くもち始める4歳児は、あきらめることなく、また、今までの経験で知りえたことを最大限に使って遊びをよりおもしろくしようとする。こうしてこのペットボトルの経験は、“水に濡れても沈まない船作り”へと発展していった。
    また、「お菓子流ししたい」という友達の思いをみんなのものとし、活動を始める5歳児の子どもたち。一つの目標を達成するために、子どもたちは準備を始める。一人では達成できないことも、それぞれの知恵を出し合い今までの経験を活かして、「こうした方がいい」「こうやったらどうだろう」と何度も失敗を重ねながらも繰り返し挑戦していく。課題が出てきても決してあきらめるのではなく、お互いの考えを出し合い尊重しながら目標達成に向けて根気よく挑戦していく5歳児のたくましさを感じる活動だった。
    生活や遊びの主体となって活動し、誰もが自分に誇りをもったり自分のことが好きと思えたりする毎日が、“まわりの世界に関わっていく原動力(科学する心)”につながるということ、そして、そこには決して前に出過ぎず「子どもたちと同じ生活者になろう」という保育者のあり方が土台にあると、改めて実感することができた。

  • 社会福祉法人徳雲福祉会 千代川保育園/京都府

    論文概要

    子どもたちは、主体的に生活して遊ぶ中で五感を働かせることにより、心が動く体験をする。そこで芽生えた興味・関心・疑問などの心情を「科学する心」と捉えた。子どもたち一人ひとり「科学する心」は違うが、話し合い考え合うことで、更に好奇心や探究心が高まり、新たなものへの気付きにつながる。3歳児から5歳児は、土作りや草引きなどの花作りの体験を通して、自然との触れ合いを楽しみ、五感を最大限に働かせている。そこで、溢れてきた発見や不思議に寄り添いながら、年齢ごとの活動の深まりに着目した。
    5歳児は玉ねぎの皮むきがきっかけとなり、野菜の皮を使って様々な方法で色水作りに挑戦した。うまくいかない時はどうすれば良いか話し合い、野菜について調べ始めた。知り得たことを異年齢児にも伝えたいという気持ちから絵本作りへとつながっていった。4歳児は草引きをしていた時に、一人の子どもが自分の手から匂いがすることに気付き、みんなでバケツに匂いの葉を摘んだ。図鑑で調べて「よもぎ」だと分かる。偶然降った夜の雨がバケツに溜まり、水の変化に驚いた。そのことをきっかけに、植物の色や匂いへの探究心が芽生え、“実験”という遊びへと発展していった。3歳児は「匂いのある草探し」から「しそ」を見付けた。バッタに食べてもらうことで、色の違いや「しそ」について知ろうとした。子どもたちは、バッタが青じそより赤じそを好んで食べたという結果ではなく、一晩で出した大量のうんちに興味を示した。子どもたちの注目する視点が変わった瞬間であった。
    保育者自身も好奇心をもち、子どもたちが、今、何に興味をもち夢中になっているのかを、これまで以上に敏感に受け止める必要性を感じた。

  • 社会福祉法人ゆずり葉会 深井保育園/大阪府

    論文概要

    本園は「科学する心」の取り組みを始めて4年目になる。毎年、各年齢の「子どもの気づきとは何か?」「科学する心とは?」と考えながら保育してきた。それを意識しすぎて「どうしたら子どもが気づくのか?」という保育をしていたように感じる。そのため「子ども主体の保育になっていたのだろうか?」ということが毎年本園の課題になっていた。
    今年度は、着目点を替え、もう一度原点にもどり「子どもがどんなことに興味があるのか?」「どんなことに心を動かしているのか?」子どもの視線に合わせ、子どもをよく見ることを大切にし、その一瞬をカメラでとらえた。たくさん撮った気づきの瞬間を、毎月プロジェクターに映し出し、全保育者で共有してきた。子どもたちの気づきを写真に撮ることにより、子どもの目線で気づきを捉えることができ、振り返ることができた。また、写真を通して子どもの姿を語ることにより「こんなことも楽しめるかな?」と、次の保育へとつなぐ環境作りのヒントとなった。
    「科学する心」は、特別なことではなく、“子どもたちの日常の中にある”“意図的に保育者が先行して特別な環境を作らなくても、子どもたちは保育者が考える以上に気づきを深め・広げる力をもっている”“子どもたちの気づきをしっかりと見る”保育で育まれる。これらの事を職員間で意識しながら、今後も子どもとともに『気づくことを楽しむ』を継続していきたい。

  • 堺市立みはら大地幼稚園/大阪府

    論文概要

    本園においては、自ら考えようとする気持ちを育むための仮説を、体験をもとに学ぶ幼児期の発達の特性から『やってみたいと心を動かし、繰り返し試すなかで、他者の思いや考えに触れながら、満足感を味わうことで育まれる』(キーワード:好奇心・試行錯誤・伝え合い・満足感)とした。
    実践を通して、これらの姿を引き出すことが「科学する心を育てる」に迫る研究になると考え、研究保育や事例検討を重ねてきた。
    水に浮かぶおもちゃをつくろう(5歳児6月)では、「いろいろなものを浮かばせてみたい」という気持ちをもった子どもたち。空き容器を切ったり、貼り合わせたり、はずしたりして、試行錯誤と考えの伝え合いを繰り返しながら、自分のおもちゃをプールの水に浮かべて、嬉しそうに遊ぶ様子が見られた。
    僕たち・私たちのテントづくり(5歳児7月)では、幼稚園の自然環境からキャンプを連想した子どもたち。取り扱いの難しい大きな段ボールや、つくったテントが雨にぬれてつぶれてしまうという困難に出合いながらも、新たなアイデアを出し、様々な素材や方法を試しては、宿泊保育に必要なテントを完成させ、満足感を得た。
    実践では、目的に向かい自ら考えようとする子どもの姿が多く見られた。「科学する心を育てる」ためには、仮説にあるように「好奇心」「試行錯誤」「伝え合い」「満足感」を大切にした環境の構成や教師の関わりが必要であると捉えることができた。

  • 奈良市立認定こども園 都跡幼稚園/奈良県

    論文概要

    本園では、『子ども自ら遊びを創る』を研究テーマとして、子どもの主体性と創造的な思考力を培う保育の研究に取り組んでいる。『子ども自ら遊びを創る』とは、子ども自らが主体的に“ひと・もの・こと”に関わり興味や関心を深め、友達とイメージを共有して試行錯誤しながら遊ぶ姿と捉えている。繰り返し試したり工夫したりする中で「どうしてだろう」「すごい!ふしぎ!」「おもしろい!」と、ものがもつ性質や特徴のおもしろさに惹かれ、遊びそのものの楽しさを感じるようになる。そして、その楽しさが新たな活動を生み出していく。このプロセスを子どもがどのように体験していくかが大切だと捉え、その中で「科学する心」が育まれると考えた。本年度は、子どもたちにとって身近な環境である「水、土、砂」との関わりに着目し、教師がどのように関わり、どのような環境を設定することで、子どもたちの「科学する心」が育つのか、3歳児から年齢を追って見つめ直した。
    3歳児は「水、土、砂」と関わる中で偶然起きたこと(感触や変化)を「ふしぎ!」「おもしろい!」と感じ、体全体で表している。身近な環境の中で様々な「不思議と出会う」時期だと捉えた。
    4歳児は、水や土、砂の量の違いで固さが変化することに気付き、性質を生かして遊ぶことを楽しむ。また「泡遊び」では、5歳児の「水は少なく」の言葉を自分なりに捉え、ふわふわの泡をつくろうと何度も繰り返す。このように「不思議をおもしろがる」4歳児の姿が見られた。
    5歳児は、これまでの経験から「こうなるだろう」「こうしたい」と予測を立てて遊び始めるが、予想通りにはいかず、不思議に感じる。そして、友達と相談しながら試行錯誤したり工夫したりする中で、ものの性質や特徴に気付き新たな発見が生まれる。「不思議から新たな発見」の過程の中で「科学する心」が育まれていることがわかった。
    これらの実践から、発達に応じた遊びの過程を大切に見つめることが「科学する心」を育てることにつながるということがわかった。

  • 福岡市立雁の巣幼稚園/福岡県

    論文概要

    本園の幼児は、主体的に遊ぶ中でいろいろな素材に関わり、園内外の自然環境を遊びに取り入れることができる。本園ではこれまで、日常の保育の事例を出し合い、教師間で情報を共有するとともに、3・4・5歳児が次第に遊びの交流をすることができるような環境構成についての研究を進めてきた。
    しかし、「科学する心を育てる」という視点で保育を見つめたり、そのための素材・環境の提示の仕方を具体化したりすることが不十分であったため、発達を見通した環境構成を見直す必要があった。
    そこで教師は、「科学する心」が育まれていると感じられる幼児の姿に着目し、幼児の気付きや発見に驚き感心するだけではなく、幼児の行動を予想しながら遊びがさらに発展するために、どのような素材や環境をいつ、どこで、どのくらい出すのかなど、教師が判断する基準を明確にしていきたいと考えた。
    実践事例「水・砂・土を使った遊び」(4~5月)、「色水遊び」(6~7月)について、各年齢の事例をまとめるとともに、活動の内容、育てたい幼児の姿、素材の意味、環境の役割などを中心に、3・4・5歳児の縦のつながりを見ることができるような表を作成した。
    2つの実践事例から、素材・環境の提示を中心に記録・整理できたことは、3・4・5歳児の系統的な発達のつながりを見るために大変有効であった。幼児の新たな発見や感動に寄り添い、育てていきたい姿を意識して保育にあたり、幼児の行動を細やかに捉えていくことは、「科学する心を育てる」保育につながっていくことが明らかになってきた。

奨励校・奨励園

ソニー子ども科学教育プログラム 奨励校(85校)/教育助成金10万円とソニー製品

  • 札幌市立円山小学校/北海道
  • 三沢市立三沢小学校/青森県
  • おいらせ町立木ノ下小学校/青森県
  • 六ヶ所村立尾駮小学校/青森県
  • 新郷村立戸来小学校/青森県
  • 階上町立石鉢小学校/青森県
  • 山形市立みはらしの丘小学校/山形県
  • いわき市立小名浜第一小学校/福島県
  • 相馬市立桜丘小学校/福島県
  • 福島市立岡山小学校/福島県
  • 福島市立三河台小学校/福島県
  • 玉川村立須釜小学校/福島県
  • 猪苗代町立長瀬小学校/福島県
  • 小美玉市立玉里東小学校/茨城県
  • 東海村立白方小学校/茨城県
  • 栃木市立栃木第四小学校/栃木県
  • 栃木市立栃木中央小学校/栃木県
  • 藤岡市立小野中学校/群馬県
  • さいたま市立三室中学校/埼玉県
  • 千葉市立こてはし台中学校/千葉県
  • 千葉市立作新小学校/千葉県
  • 千葉市立蘇我中学校/千葉県
  • 千葉市立花園中学校/千葉県
  • 銚子市立第三中学校/千葉県
  • 北区立梅木小学校/東京都
  • 横浜市立井土ヶ谷小学校/神奈川県
  • 横浜市立白幡小学校/神奈川県
  • 長岡市立中之島中央小学校/新潟県
  • 氷見市立朝日丘小学校/富山県
  • 富山大学人間発達科学部附属小学校/富山県
  • 金沢市立西小学校/石川県
  • 金沢市立杜の里小学校/石川県
  • 津幡町立中条小学校/石川県
  • 大町市立大町北小学校/長野県
  • 諏訪市立諏訪中学校/長野県
  • 岐阜市立長良中学校/岐阜県
  • 刈谷市立朝日中学校/愛知県
  • 刈谷市立小高原小学校/愛知県
  • 刈谷市立刈谷東中学校/愛知県
  • 刈谷市立刈谷南中学校/愛知県
  • 刈谷市立亀城小学校/愛知県
  • 刈谷市立住吉小学校/愛知県
  • 刈谷市立日高小学校/愛知県
  • 刈谷市立富士松中学校/愛知県
  • 刈谷市立富士松北小学校/愛知県
  • 刈谷市立富士松南小学校/愛知県
  • 刈谷市立依佐美中学校/愛知県
  • 西尾市立鶴城中学校/愛知県
  • 西尾市立西尾小学校/愛知県
  • 京都市立洛央小学校/京都府
  • 貝塚市立北小学校/大阪府
  • 堺市立西百舌鳥小学校/大阪府
  • 堺市立八田荘西小学校/大阪府
  • 堺市立浜寺石津小学校/大阪府
  • 箕面市立止々呂美小中学校/大阪府
  • 姫路市立糸引小学校/兵庫県
  • 姫路市立勝原小学校/兵庫県
  • 姫路市立四郷小学校/兵庫県
  • 姫路市立御国野小学校/兵庫県
  • 境港市立境小学校/鳥取県
  • 大山町立大山小学校/鳥取県
  • 奥出雲町立八川小学校/島根県
  • 岡山市立七区小学校/岡山県
  • 江田島市立切串小学校/広島県
  • 熊野町立熊野東中学校/広島県
  • 広島大学附属小学校/広島県
  • 阿南市立中野島小学校/徳島県
  • 鳴門市鳴門東小学校/徳島県
  • 吉野川市立川田中小学校/徳島県
  • 今治市立常盤小学校/愛媛県
  • 今治市立乃万小学校/愛媛県
  • 北九州市立青山小学校/福岡県
  • 北九州市立清水小学校/福岡県
  • 北九州市立鞘ヶ谷小学校/福岡県
  • 北九州市立塔野小学校/福岡県
  • 北九州市立藤松小学校/福岡県
  • 福岡教育大学附属久留米小学校/福岡県
  • 長崎市立小榊小学校/長崎県
  • 熊本市立川尻小学校/熊本県
  • 大分市立春日町小学校/大分県
  • 奄美市立屋仁小学校/鹿児島県
  • 鹿児島市立喜入小学校/鹿児島県
  • 天城町立天城小学校/鹿児島県
  • さつま町立白男川小学校/鹿児島県
  • 鹿児島大学教育学部附属小学校/鹿児島県

ソニー幼児教育支援プログラム 奨励園(42園)/教育助成金5万円とソニー製品

  • 学校法人風間学園 ひかり幼稚園/宮城県
  • 南陽市立赤湯幼稚園/山形県
  • 学校法人中沢学園 みなみ若葉幼稚園/福島県
  • 福島市立庭塚幼稚園/福島県
  • 二本松市立小浜幼稚園/福島県
  • 学校法人勝田学園 大成幼稚園/埼玉県
  • さいたま市立大谷口保育園/埼玉県
  • さいたま市立東大成保育園/埼玉県
  • 学校法人岩崎学園 くりの木幼稚園/千葉県
  • 学校法人くるみ学園 認定こども園 くるみ幼稚園/千葉県
  • 社会福祉法人砂原母の会 砂原保育園/東京都
  • 品川区立大井倉田保育園/東京都
  • 社会福祉法人新栄会 オルト保育園/東京都
  • 墨田区立立花幼稚園/東京都
  • 幼児園 どんぐりころころ/東京都
  • 社会福祉法人立野みどり福祉会 立野みどり保育園/東京都
  • 学校法人あおい学園 あおい第一幼稚園/東京都
  • 誠心第一幼稚園/神奈川県
  • 学校法人山梨学院 山梨学院大学附属幼稚園/山梨県
  • 岡崎市稲熊保育園/愛知県
  • 岡崎市島坂保育園/愛知県
  • 岡崎市根石保育園/愛知県
  • 学校法人常磐会学園 常磐会短期大学付属茨木高美幼稚園/大阪府
  • 学校法人常磐会学園 常磐会短期大学付属常磐会幼稚園/大阪府
  • 学校法人常磐会学園 認定こども園 常磐会短期大学付属泉丘幼稚園 いずみがおか園/大阪府
  • 富田林市立新堂幼稚園/大阪府
  • 富田林市立錦郡幼稚園/大阪府
  • 富田林市立伏山台幼稚園/大阪府
  • 学校法人長尾学園 長尾幼稚園/大阪府
  • 社会福祉法人友愛福祉会 伊丹ひまわり保育園/兵庫県
  • 姫路市立御国野幼稚園/兵庫県
  • 奈良市立大宮幼稚園/奈良県
  • 学校法人水谷学園 認定こども園 北陵幼稚園/島根県
  • 社会福祉法人玉依会 なの花保育園/島根県
  • 学校法人認定こども園 若草幼稚園/高知県
  • 社会福祉法人杉の実福祉会 高見の森保育園/福岡県
  • 福岡市立金武幼稚園/福岡県
  • 福岡市立和白幼稚園/福岡県
  • 社会福祉法人顕真会 よいこのもり保育園・よいこのもり第2保育園/宮崎県
  • 学校法人白石学園 辻ヶ丘幼稚園/鹿児島県
  • 学校法人鹿児島竜谷学園 和光幼稚園/鹿児島県
  • 学校法人押野学園 川内幼稚園/鹿児島県

審査委員長総評

ソニー子ども科学教育プログラム

55年目の節目を迎えた「ソニー子ども科学教育プログラム」に、今年度もたくさんの小・中学校からご応募をいただきました。「科学が好きな子どもを育てる」ために、「なぜ」を大切にし、感性・創造性・主体性を育成することを目指して、多くの学校で熱意溢れる取り組みが展開されていることに心から敬意を表します。

今回の応募数は184校で、全体としては昨年度より少し減ったものの、多くの学校から真摯な実践を寄せていただきました。その内の97校が昨年度からの連続応募で、87校が新規応募となりました。連続応募の学校が半数を超えていることは、取り組みを継続することにより実践を深めようとする先生方の意欲の表れであり、たいへん心強い限りです。
また、小学校の応募が150校で増加したのに対して、中学校の応募は34校に減少しました。実践の結果を論文にまとめることは手間のかかる大変なことですが、その過程を通して実践を振り返ることで教育活動の一層の充実に繋がります。来年度は、中学校からもたくさんの応募が寄せられることを期待しています。

今年度の論文には、目指す子ども像の具現化に向けて、授業を中心に子どもたちにしっかりと向き合って真摯に実践を重ねた報告が多く見られました。先生方のこうした姿勢には大いに好感が持てました。各実践からの着実な成果も伝わってきました。また、全体として、学校という集団での学びの場の特性でもある「協働的な学び」を効果的に活用することを手立てとした学校が多く見受けられました。子どもたち同士が考えを交流し深め合うことは、学校教育だからこそできることです。このことについては、手立てとその効果がさらに具体的に示されることを望んでいます。
論文を通して、具体的な多くの成果を示していただきましたが、できれば学校や先生の取り組みの特色を新規性や創意工夫として示していただきたいところでした。なかでも、次年度の計画では、成果と課題を踏まえた改善のポイントを新たな視点や手立てとして具体的に示していただきたいところでした。

最優秀校には広島県東広島市立河内小学校と山梨大学教育人間科学部附属中学校が選出されました。特に上位入選校の論文内容は甲乙つけがたいものであり、現地調査を行い、その結果も踏まえて慎重な審議を行いました。
上位入選校(最優秀校、優秀校)の内容は当財団ホームページで閲覧することができます。一人でも多くの先生方に上位入選校の論文を見ていただき、実践の参考にしていただければ幸いです。
子どもたちの未来のために、日々創意工夫をして実践に取り組む学校を支援してくださる保護者や地域の皆様にあらためて敬意を表しますとともに、ソニー子ども科学教育プログラムに対するご理解とご支援にお礼申し上げます。

審査委員長
  • 御手洗康/元文部科学事務次官
審査委員(五十音順)
  • 渥美雅子/弁護士
  • 大髙泉/筑波大学大学院教授
  • 清原洋一/文部科学省初等中等教育局主任視学官
  • 久保田重夫/元東京大学生産技術研究所特任教授
  • 日置光久/東京大学大学院教育学研究科特任教授

ソニー幼児教育支援プログラム

ソニー幼児教育支援プログラムでは、今年度全国26都道府県から94園と多くのご応募をいただきました。プログラムのスタートから12年目を迎えた今年度は、「科学する心を育てる」という主題への理解を深め、子どもの姿の読み取りを活かした保育を展開する園からの論文が増えています。園独自の工夫を重ねている質の高い実践が多く、現地調査も踏まえた慎重な審査の結果、最優秀園2園、優秀園11園、奨励園42園を選出いたしました。また、優秀園の中から特にユニークな事例を紹介いただいた1園を審査委員特別賞といたしました。

入選された園の論文は、「子ども中心の生活を展開し、子どもたちの興味や探求が深まる保育の工夫がされていること」「園の特徴や課題を踏まえたオリジナルの工夫により、子どもの気付きが豊かになる保育が展開していること」の大切さが述べられています。また、子ども・保護者・保育者は、子どもたちの豊かな体験を写真や分かりやすいコメントで表わされている掲示物や配布物などにより共有しています。これにより「科学する心」が育まれる成長の喜び、子育てや保育の喜びに結び付いています。特に、「科学する心」が育まれる子どもたちの言動を把握し、考察をする中で理解を深め、保育を振り返ることにより、子どもの成長に着実につながっている実践が数多く報告されています。

このような優れた実践の数々をご報告いただいた先生方の熱意とご尽力に敬意を表しますと共に、心より感謝申し上げます。そして、これからも子どもたちのために、先生方がより広い視点から目指す幼児像や実践を共有し合い、幼児教育に取り組まれることを願って止みません。

審査委員長
  • 小泉英明/(株)日立製作所・役員待遇フェロー
審査委員(五十音順)
  • 秋田喜代美/東京大学大学院教育学研究科教授
  • 青木清/上智大学生命倫理研究所所長
  • 神長美津子/國學院大學人間開発学部教授