教育助成

2013年度教育助成プログラム 入選発表教育助成(論文・発表)

今年度は、全国の小・中学校より193件、また幼稚園・保育所・認定こども園より93件、合計286件の応募があり、書類審査、現地調査および厳正なる最終審査を経て、下記の通り入選校・入選園が決定しました。
上位入選した学校・園には、2014年2月1日(土)14:00より、ソニー(株)本社にて贈呈式を開催しました。

最優秀校・最優秀園

ソニー子ども科学教育プログラム 最優秀校(2校)/教育助成金300万円とソニー製品

  • 諏訪市立中洲小学校/長野県

    科学する心を育む「中洲教育」2013
    豊かな感性を育むいのちの教育-自分らしさを発揮しながら対象(自然事象)に近づいていく子ども-
    講評

    中洲小学校の取り組みは、自分らしさを発揮しながら主に野外の自然とふれあい、「いのち」に迫りながら、理科・生活科を中心に総合的な学習の時間やものづくり科など、学校全体で活動が展開されていました。授業はどれも充実した内容であり、地域性を生かした生活科学習(蚕など)では、教師が、学習活動での子どもの思いや願いを丁寧に見取って支援を行っていました。4年生の栽培活動では、種まきから収穫まで長期に渡って、教師が子どもに寄り添って、驚きや発見を認めながら観察してきた様子が手にとるようにわかりました。どの活動も、教師の姿勢が子どもたちの生き生きとした活動を引き出していると感じました。今年度報告いただいた実践は、生物分野に焦点化されていますが、これまで幅広い実践を着実に重ねてきた中洲小学校だからこそ行き着いたものです。また、感性にふれる取り組みに限らず科学に親しむ活動が、家庭・地域と一体となっていることも注目すべきところです。こうした子ども一人一人の確かな学びと変容を目指した「豊かな感性をはぐくむ」ための取り組みは、大変優れたものであり他校の参考になるものと判断しました。

    論文概要

    本年度は“感性”を一つの視点に科学する心を育むための教師の支援について研究を進めてきた。その結果感性を磨くとは、子どもが対象と向き合う中で、子ども自身が価値あるものとして気づきを深める感覚を研ぎ澄ませていくことであり、その営みを丁寧に紡いでいく教師の支援の大切さが見えてきた。それは、子どもにとって「見えなかったものが見えるようになる」という視点の深まりにつながっていた。今後は“創造性”を視点の一つに加え「いのち」を「自然事象の理」と意味づけ、「見えなかったものを見えるようにする」様々なアプローチについて研究を深めていきたい。また、友との学び合いや、親子・地域で一緒に深め合う「子育ての輪」を強く太くして、安心感や自己肯定感を育む環境づくりに励みたい。

  • 富士見町立富士見中学校/長野県

    「科学する心」を育む富士見中の学舎づくり 「科学する心」で育む「科学が好きな子ども」
    講評

    「科学する心」を持った生徒を、単に理科の授業で扱う内容や、実験や観察が好きであるという段階にとどまらず、科学的に物事を考えることの有用性を実感し、暮らしの中での科学の重要性を理解し実践的に社会と関わっていけるようにしたいという願いは、学校全体で取り組んでいるキャリア教育の視点からの実践になっています。理科の授業中での学びが教科を超えた横断的な学びに繋がっています。具体的な理科の授業では、生徒一人一人の目線や体験に徹底してこだわり、生徒の科学的な見方・考え方を高めるための実践が展開されています。生徒の心を動かす教材や自然との出会い、生徒一人一人の学びや思いを見届ける教師の姿、生徒同士のふれあいやかかわりを大事にした学びの場など、日ごろから実践を掘り下げてきていることが実感されました。明確な方針と計画に基づいた授業の充実ぶりがうかがえます。こうした生徒一人一人の成長を目指した「科学する心」を涵養するための取り組みは、たいへん優れたものであると判断しました。

    論文概要

    科学好きな子どもを『「科学する心」を持ち、可能性を広げ高める中で、自己実現をし、よりよい社会と環境づくりに貢献しようとする生徒』ととらえ、「科学する心」を涵養することを目的に研究を重ねてきた。生徒が興味関心を持ちやすい題材の選定、連続する問題解決的な学習の構築、既存概念や仲間の意見とのずれの焦点化、課題解決による成就感の育成等により、「科学する心」を育む授業づくりと環境整備を行った。更に自己肯定感を高めながら、現代日本の生活に即した発展的な学習やキャリア教育と連携した学習を行い、科学を通して社会を変えていく意欲をもたせたいと考えている。

ソニー幼児教育支援プログラム 最優秀園(2園)/教育助成金100万円とソニー製品

  • 学校法人仙台みどり学園 みどりの森幼稚園/宮城県

    日々の自然体験から紡ぎだす科学する心の芽生えとは
    -カエルと一緒に暮らしたい!カエルプロジェクト-
    講評

    子どもが興味の対象に関わる姿を大切にし、自分たちで考えて進めていく遊びや生活を丁寧に見取って保育をしています。そのために、5歳児が課題に向かい仲間と協働的な遊びを展開することに焦点を当て、子どもたちの目的や関心事に添って園全体で保育の工夫を図っています。その成果として、子どもたちが探求を深めて精力的に物事に取り組む意欲が、「科学する心」に結び付いていることが高く評価されました。園庭で見付けたカエルへの関心が高くなり、飼育を始めた子どもがいる時期を逃さずに、保育者はカエルについて子どもと考え合う環境を作りました。カエルをより深く知ろうとする関わりにより、一人ひとりの探求はカエルの生態へと深まっています。更に、カエルの餌や棲み処などに探求が広がった「池作り」は、創造力が育まれる協働的な体験に繋がりました。また、子どもたちは飼育物との様々な出来事により、生き物と真剣に向き合う体験をしています。そして、探求する中で興味を引いた絵本の内容から池作りを発想し、園庭のどこに作ることが良いのか考え合い、実際にみんなでやり遂げる過程には、「科学する心」が育まれる多くの学びがあります。

    論文概要

    みどりの森幼稚園では、子どもたちが自ら物事に関わりそのモノへの思い、興味・関心、探求が深まるような主体的な生活や遊びを大切にしている。そして、「主体的に課題に立ち向かい、仲間と協同してわくわくしたり、ドキドキしたりしながら、課題や疑問を解決しようとする」過程の中で「科学する心」は育まれると考える。そこで、特に5歳児が「大好きなカエルと暮らしたい」という熱い思いで長期間継続的に展開した「カエルとの関わり」に焦点を当てて、子どもたちの興味や探求が深まり「科学する心」が育まれる体験を探った。当初はカエルに興味をもった子どもたちが「餌や水をどうしたらよいか?」考えて飼育を始めた。ところが、ミイラになったカエルを見たことをきっかけに、カエルの飼育はクラスみんなの関心事になり、他にもイモリやカナヘビを飼うようになった。カエルの餌や棲み処について探求が深まることで、餌のショウジョウバエやカエルの天敵、棲み処の池作りなどへと、探求が広がっていった。カエルのための池作りはクラスみんなの協同体験となった。そして、やり遂げて完成した池やカエルのことを子どもたち一人ひとりが言葉や絵にして本を作ったことにより、「しぜん」についての学びが深まった。

  • 出雲市立塩冶幼稚園/島根県

    好奇心、探究心から科学する心を育てる
    -「発見、発見、大発見」自ら考えようとする気持ちが育つ過程に着目して-
    講評

    園庭の身近な自然との関わりから「発見したこと」がきっかけとなり、好奇心や探求心が育まれていく子どもの姿を把握し、「科学する心」に結び付く体験を明らかにしています。子ども一人ひとりが明確な目的に向かって取り組む姿を把握し、保育者も夢中になり一緒に活動しています。そして、子どもたちは疑問や困難を感じると、更に関心を高めて根気強く取り組みました。子どもも保育者も発見を楽しみ、探求を深めていく体験に結び付いていることが高く評価されました。栽培活動の事例では、「畑にしたい」「看板を作ろう」「棒で支えよう」など自分たちで考えたり調べたりして問題を解決する体験をしています。更に、「受粉のチャンスはいつか?」「カラスに食べられている」「いつ収穫するか?」などよく観察し、友達と考え合い判断する体験へと深まりました。石や砂の事例では、園内や地域の自然環境を取り入れて石や砂に関わり、特徴を活かした製作活動に繋がっています。その一連の活動を振り返り「発見カレンダー」を作成したことは、子どもたち自身が「科学する心」が育まれた自分の成長を感じる体験になりました。

    論文概要

    使えなくなってしまった砂場を「畑にしたい!」という思いをもった子どもたちは、自分たちで耕して、思い思いに野菜栽培を始めた。好きな種を思った所に植えたことで、「植えた所が分からない」「芽が出ない」「芽が分からない」という問題に直面し、工夫して看板作りをした。子どもたちは次第に、植え時・受粉・収穫はいつどのようにしたら良いのか情報を交換して考え合うようになり、その中で発見したことは「畑の案内図」の豊かな表現になった。いろいろな砂を集めたり園庭を深く掘って石を見付けたりしたことをきっかけに、子どもたちの好奇心は砂鉄や化石へと広がった。砂鉄集めは集めた砂から根気よくきれいな砂鉄を取り出す活動になり、砂は砂時計作りに展開した。化石探しは目的に向かい根気強く化石を見付けるだけでなく、石の色や形、表面の状態から想像を巡らして様々な使い方を考えて集めた。砂や石への探求が深まっていく過程での子どもたちの発見は「発見カレンダー」の表現になり、保育者は「科学する心」の育ちを捉えることに繋がった。3歳児はカエルに関心をもつ体験をし、4歳児はドジョウやオタマジャクシの命の不思議さを感じるなど、各年齢で自然体験が深まり「科学する心」に結び付く成長が見られた。

優秀校・優秀園

ソニー子ども科学教育プログラム 優秀校(15校)/教育助成金50万円とソニー製品

  • 南部町立名久井小学校/青森県

    論文概要

    「自由闊達にして愉快なる理科・生活科の授業と科学教育」をベースとした3つのプランの実践報告。感性を磨く『未知への挑戦』では、「科学史の活用」「自由な試行活動」「学習前後の子どもの姿(Before-After)の把握」「科学を主役にしたものづくり・環境整備」について。主体性を育てる『自分への挑戦』では、「コミュニケーションスキルアップ」「自由研究」「冒険教育」を通した自分力アップについて。創造性を育む『未来への挑戦』では、「エネルギー環境学習」「ふるさと学習」「農業と科学の街づくり」について。そして、実践から明らかとなった課題解決に向け、2005年度からの研究をさらに深化させた「名久井スーパープランVer.2014」の立案。

  • 福島市立三河台小学校/福島県

    論文概要

    今年度の研究では、これまでの実践で成果のあった部分を継承しつつ、明らかになった課題を改善し、一つ一つの取組の内容を深化するとともに、真に価値ある学びへと進化させることを念頭に取り組んできた。
    プランIでは、理科・生活科の授業を充実させるため、単元の展開構想の作成や導入の工夫、教師のかかわりや振り返りの充実を図った。
    プランIIでは、本校中庭を起点とし、自然の事物・事象と直接的にかかわれるようにした。
    プランIIIでは、クラブ活動や全校の集いの場を活用して子ども達の日常に潜む科学的要素を取り出し、科学をより身近に感じられるよう工夫した。

  • さいたま市立大宮北小学校/埼玉県

    論文概要

    本校では、平成21年より5年間、理科・生活科教育の研究を進めてきた。教育現場の中で理科の授業に課題をもち、学校全体として理科・生活科教育の底上げを目標に研究がスタートした。理科教育では、児童が主体的に問題解決をしていけるよう「大宮北小サイエンス・スタンダード」作成。科学が好きな子へと育っていくよう、単元の流れを「導入」「探究」「活用」に分け、6つのスタンダードをあてはめ授業を行っていった。また、生活科では人や生き物、地域とのふれあいから気付きの質を高められるのではないかと考え「人や地域とのふれあい」「生き物とのふれあい」を柱として研究を進めていった。その結果、本校研究主題にある「意欲をもっていきいきと取り組む子ども」を育てることができたといえる。今後も子ども達の主体性を大事にし、研究を進めていきたい。

  • さいたま市立桜木小学校/埼玉県

    論文概要

    本校の科学の好きな子どもは「わかった!」と目を輝かせるとともに新しい疑問が生まれたり、今までの生活とのつながりを感じたりして、自然に対し、科学の目をもった地球的な視野で考えられる姿である。理科で、子ども自身が学習前と学習後の変容を感じられる教材・教具の工夫や子ども主体の問題解決学習に取り組み、思考を深め、「もっとやりたい」「もっと知りたい」を引き出すことを重点として研究・実践した。そこから、学習後に興味・関心を高めた子どもの姿や学習内容から広がった子どもの姿をまとめたものである。その他に、英会話の中で「野菜や果物の浮く・沈む」実験やさいたま市青少年宇宙科学館との連携授業を実践した。

  • 横浜市立井土ヶ谷小学校/神奈川県

    論文概要

    生活のなかの「なぜ?」に目を向け、自分なりに「なぜ?」を解き明かす。これが、本校の考える科学が好きな子どもの姿である。この姿を実現するために、「子どもたちが主人公の授業づくり」を全職員が共通理解し、研究を通して授業を行ってきた。学力・学習状況調査等の結果を分析し、本校の児童の実態を明らかにしながら、「実験の構想」「結果の分析」に重点をおいた授業改善を行った。また、単元の導入と終末で生活に深く結び付ける支援にも力を入れた。このような取組を継続することで、子どもたちの理科学習への関心や意欲が高まるという成果が得られ始めた。次年度は、更なる「つながり」や「広がり」を意識し、中学、高校、地域との連携を深めていく。

  • 山梨大学教育人間科学部附属中学校/山梨県

    論文概要

    科学が好きな生徒は「科学的概念を獲得しようとする生徒、科学の役割を理解し理科の大切さに気づく生徒」と捉えている。生徒が生活体験で獲得した素朴概念と科学的概念の差が問いをもたせると考え、生徒の持つ素朴概念を事前に調査している。実験観察を授業の核とし、結果の解釈では討論を通して思考力や判断力を高め、素朴概念を科学的概念へと変容させ、新たな概念獲得へと結びつけることができる実践を研究している。また、生徒が素朴概念から科学的概念にどのように変容したのかを見とるために、1枚ポートフォリオ(OPP)を活用している。さらに、国立大学の附属中学校ということをいかし、大学との連携授業を実施して、理科の学習が我々の日常生活でどのように活用されているか学ぶ機会を設けている。

  • 刈谷市立刈谷南中学校/愛知県

    論文概要

    私たちは、科学が好きな生徒を「自ら進んで学ぼうとする生徒」「かかわりの中で、考えを深められる生徒」「学んだことを活かして、よりよく生きようとする生徒」と定めた。そこで、生徒がより一層、主体的に追究したり、学んだことから日常を振り返ったりすることができるようしたいと考えた。そのため、授業への取り組みを重視し、「学ぶ」「かかわる」「活かす」の3つの場を設定した実践を行う。また、各種講演会で素敵な生き方に触れさせたり、教員の力用を向上させたりする。このように、理科授業を中心とした教育活動の中で手だてを講じることにより、目指す生徒像に迫ろうと考えている。

  • 刈谷市立富士松北小学校/愛知県

    論文概要

    本校では「科学が好きな子ども」を育てるため、A「自然に浸り、自然とあゆむ」、B「じっくり考え、解決し、活用する」、C「表現力とコミュニケーション」以上3つの力を育てるプランを実施した。その実践では、「実物に触れること」、「子どもの考え」を大切にし、北っ子の森(本校に隣接する森)など身近な自然を活用したり、子どもたちの多様な考えを生かした実験を行ったりした。その結果、子どもたちに主体性やものごとをよく見る力、考える力が育まれた。2014年度に向けて、これまでの成果と課題を考慮し、「自然」、「仲間」、「自分」の3つのつながりを重視し、「科学が好きな子ども」の定義を見直し、新プロジェクトを計画した。

  • 西尾市立鶴城中学校/愛知県

    論文概要

    研究5年次(2013年度)の教育計画で、「科学が好きな子ども」に、従来の「主体性」「協働性」「探究する力」に「科学への夢」を加えた。「科学への夢」とは、これまでの授業実践の中で垣間見られた、生徒が抱く「科学への願い・有用感・感動」である。手だても、(1)教材・単元の工夫、(2)全教科による小グループ活動、(3)チャレンジタイムに、(4)「科学への夢を育む取り組み」を加えた。手だて(4)は具体的には、「授業で本物にふれる、実際につくる」「生活や先端技術と結びつける」「科学への夢を醸成する展示・掲示」である。実践の結果、科学が好きな子どもの姿がたくさん見られ、手だての有効性が示された。6年次(2014年度)は、主に手だて(4)「科学への夢を育む取り組み」をさらに充実させる計画を立てた。

  • 西尾市立西尾中学校/愛知県

    論文概要

    本校はこれまで「明日の自分をつくる この学び」をテーマに、全教育活動において自分の将来を切り拓いていくことのできる生徒を育む実践をしてきた。この研究を受け、理科部では「考える楽しさ、わかる喜びを感じる」教育活動を展開し、問題解決に主体的に取り組む科学が好きな生徒を育もうと実践をしている。本年度は、次の3点に力を入れた。
    1.「思考力」と「言語力」を意識し高める理科の授業づくり
    2.心を動かす体験の場の設定と工夫
    3.仲間と学びあうための学習形態の工夫(伝えるスキル・聞くスキルの向上)
    実践を通して、少しずつではあるが科学が好きな生徒が育ってきていると感じる。現状に満足することなく、今後も授業実践を続けていきたいと考えている。

  • 東広島市立河内小学校/広島県

    論文概要

    本校では,科学が好きな子どもを「主体的に追究し,伝え合い,学びを活かす子ども」ととらえて研究を進めている。主体的に事象に働きかけ,さらにその学びを交流することで考えを深め,そこから得た学びを実生活に活かすことができる子どもの姿をめざしている。そのために実践している取組が『河内小スタンダード』である。
    スタンダード1 子どもが主体的に追究し,伝え合い,深める授業
    スタンダード2 理科につながる生活科の授業
    スタンダード3 理科の発展としての総合的な学習
    スタンダード4 地域や専門機関との連携を図った理科,生活科学習
    4つのスタンダードを軸として,理科・生活科授業を充実させ,地域の専門機関と連携しながら科学が好きな子どもを育てている

  • 広島大学附属東雲小学校/広島県

    論文概要

    本校では,「共生社会に主人公として学び育つ子どもを育てる」という教育目標のもと,「科学が好きな子ども」像を5つ設定し,大きく二つのプランを実行している。
    プラン1:共生に喜びを感じ,主体的に問題解決に取り組む感性豊かな子どもの育成
    ここでは,理科や生活科の学習の中で「共生」そのものに関する内容を取り扱ったり,問題解決の活動を行ったりすることを通して,科学が好きな子どもを育てる取り組みを行っている。
    プラン2:体験活動を通して自然とのふれあい,喜びを感じる感性豊かな子どもの育成
    ここでは,第3学年以上で行われている宿泊学習を行うことを通して,科学が好きな子どもを育てる取り組みを行っている。

  • 今治市立鳥生小学校/愛媛県

    論文概要

    本校では、科学が好きな子どもを「豊かな感性をもつ子」「主体的な追究活動ができる子」「日常生活と結びつけさらに活動をつくりだす子」ととらえ、「感性をはぐくむ環境づくり」「主体的、創造的な授業づくり」「創造性をはぐくむ表現活動」を3つの柱として、7つのプランを設定し、教材開発や、子どものもつイメージの視覚化、共有化に視点をあて、実践研究に取り組んできた。次年度は、さらに学ぶ喜びや価値を実感する7つのプログラムを立ち上げ、自分なりの考えをもって追究する主体的な授業づくりや知識が生きるものづくりなどに取り組みたい。

  • 北九州市立合馬小学校/福岡県

    論文概要

    2年目を迎えた「科学大好き合馬っ子」を育てるプランでは、合馬だからできる数多くの自然体験の中で、「わくわく体験プラン」「見通し実験プラン」「つながり発見プラン」の3つを柱において実践を行った。子どもたちは、理科だけでなく総合的な学習の時間や家庭科など、様々な教科の中で自分の仮説をもち、主体的にいきいきと活動することができた。2014年度は、自分の既成概念を見つめ直す導入や、児童の問題意識が連続する単元構成などを、3つのプランにさらに取り入れ、生活の中にあふれる「なぜ?」を感じ取る目や、科学が好きな心をさらに育てたい。そして、理科が苦手な教師でも子どもと一緒に楽しめる授業を目指していきたい。

  • 竹富町立竹富小中学校/熊本県

    論文概要

    今年度で15年目にあたる研究となる「うつぐみプロジェクト」の継続、充実に取り組んだ。小学部は島の環境学習として、漂流ゴミ調査や牛乳パックをリサイクルした絵葉書づくりなどの体験活動を加えた。中学部では併置校の特色を生かし小学生への出前講座や保護者へも呼びかけた恒例の科学まつりの工夫改善に努めた。さらにPTAの協力の下、親子体験学習や地域の伝統を学ぶ様々な体験を通し、「子どもたちのなぜ?」を喚起し、地域の知恵を学ぶ機会も多く設定した。校庭も学習のフィールドとして、計画的に整備し、竹富町蝶「ツマベニチョウ」をはじめとした多くのチョウの繁殖・定着に取り組んだ。

ソニー幼児教育支援プログラム 優秀園/審査委員特別賞(2園)/教育助成金20万円とソニー製品

  • 学校法人ポーロニア学園 みずき野幼稚園/茨城県

    論文概要

    新聞紙や広告紙を細長く棒状に作った物を「剣」と言って遊びに使っている子どもたち。5歳児数人が剣を並べて作った平面の三角形から、一人の子どもが立体の三角錐にして見せた。それを見て、「テントスカイツリーを作ろう」という話題になり、この日から連日、好きな遊びを楽しむ時間になると、テントスカイツリー作りを楽しむようになった。硬くて丈夫な剣を作る子ども、剣を付けるために押さえて協力する子ども、丈夫にするためにどこに剣を付けたらいいのか考えて作る子ども、「どのくらい長くするのか、いくついるのか」など見通しをもち伝える子どもなど、自分なりの力を発揮して協力して作っていた。しかし、みんなで入れるテントスカイツリーは、完成間際に壊れてしまった。子どもたちは諦めずに「土台がしっかりしていないと壊れる」「硬くて折れない剣を作ろう」「壊れないように設計図を描いて作ろう」など、「どうして壊れたのか」「どうしたら壊れない物が作れるのか」と考え合って作り直した。そして、「新聞を半分に折って、何枚も重ねて太くて丈夫な剣にする」「底にしたダンボールの端を折り返し、そこを剣で挟んで土台を丈夫にする」「ガムテープは必要な所を考えてから付ける」「1段目は太い剣にして、そこから上は細い剣で作る」など、数々の工夫を考え出して丁寧に作り上げた。何度も失敗し試行錯誤を重ねて仕上げたことは、「目的のためには諦めず、土台から作り直して丁寧にやり遂げる」という経験になり、大人の想像を超える意欲や根気強さが育まれた。さらに、目的に向かい問題解決をする豊かな体験により「科学する心」が育まれた。

  • 社会福祉法人晴朗会 すくすく保育園/大阪府

    論文概要

    昨年に引き続き、0歳児から5歳児の「科学する心」が育まれると思われる場面を見付けて、全保育者がコメント用紙に記録することを重ねた。そして今年度は、集めたコメント用紙のエピソ-ドを本園の保育課程の領域の項目に照らし合わせて考察することで、各年齢の本園の子どもの姿や成長発達を捉えた。このことから、保育課程の目標達成のために各年齢の各領域における経験させたいことは、「科学する心」が育まれるということに結び付くと考えた。また、年齢毎に「創造性の芽生えを培う」視点から記録を考察した。3歳児の「友達とイメージを広げてごっご遊びを楽しむ」事例では、家で目にする本物の教材や本物そっくりの教材により、イメージが広がることが創造性の芽生えに結び付いていた。4歳児の「浮いたり浮かなかったりするものがあることに気付く」事例では、浮いたり浮かなかったりする素材で船を作ることで、浮いたりバランスを悪くしたり沈んでしまったりする体験をした。それでも、イメージしたように浮く船を諦めずに作ることは、創造性の芽生えに結び付いていた。5歳児の「蚕を育てる」事例では、虫や植物と関わってきた経験を活かして、観察したり餌を考えたりして蚕に関わる「自ら行動を引き起こす」ことが創造性の芽生えに結び付いていた。このように0歳から5歳までのエピソードを考察し、「創造性を培うために経験する内容」と「指導のポイント」を表すことで、「豊かな感性と創造性の芽生えを育む」ために必要な指導が明らかになってきた。

ソニー幼児教育支援プログラム 優秀園(10園)/教育助成金20万円とソニー製品

  • 学校法人横山学園 新屋幼稚園/秋田県

    論文概要

    子どもの好奇心や探究心が育つような経験をし、試行錯誤を繰り返すことで創造性も芽生え、「科学する心」の育ちにつながっていくと考える。
    5歳児から、ヒマワリの種を引き継いだ4歳児、「小さい種からどうやって大きなヒマワリになるんだろう?」という疑問をもった。その「なぜだろう?」「不思議だな」という思いを大切に受け止め、種から注目してヒマワリに関わる子どもたちの姿を探った。
    花が咲き、実がなった時の楽しさや嬉しさはもちろんのこと、葉が大きくなったり茎が伸びたりした時の驚き、枯れてしまった時の悔しさ、時には思うように育たないなど、その時々で自然に心が動かされる体験となった。また、一度枯れてしまった水栽培の苗を子どもたちの声を活かして移植した。無理だと思っていた事が見事に生長を取り戻し、花を咲かせた事は子どもも保育者も驚きであり、共に喜びあえた出来事だった。
    プランター栽培では、テラスに置いた場所によって陽の当たる場所、当たらない場所があることを知った子どもたち。花が終わった後も種取りをし、遊びに使ったり、表現活動に活かしたりして最後まで愛着をもってヒマワリに関わり、子どもたちの観察する力も少しずつ高まっていった。写真や『ひまわりニュース』の掲示、「ひまわり日記」などの環境の工夫を図った。特に夏休みに「ひまわり日記」を持ち帰り、親子で取り組んだ経験は、2学期の子どもたちの体験の深まりにつながった。今回の取り組みは失敗や成功も含めて、子どもたちの「科学する心」を育むことにつながったのではないかと考える。

  • 二本松市立小浜幼稚園/福島県

    論文概要

    3・11の原発事故により、戸外での生活が規制されていたが、ようやく本年度より、栽培活動・砂場遊びなどができる環境が整ったところである。その様な中、本物のクワガタを見て「これ、本物?」と言う姿や「土には触りたくない」という子どもたちの実態から、危機感を感じた。限られた環境を工夫し、今の子どもたちの心を揺さぶる環境を作り出し、「実体験ができるようにしていかなければ」そんな切なる思いから主題に取り組んだ。
    5歳児は、種まきした枝豆の根に興味をもち、その形や匂いから根っこへの興味が深まり水栽培に繋がった。また、水栽培と土栽培の違いを感じ、枝豆の根や葉や茎や豆の匂い、形状、生長の仕方など細やかな気付きを友達と共有した。
    4歳児は、ダンゴムシが死んでしまったことをきっかけに、飼い方、餌への興味をもった。絵本や図鑑を見て、ダンゴムシを探した経験からは、ダンゴムシが居る場所を予想し探すなど、興味を深めていった。この経験から、他の生き物への興味が広がっていった。
    カンファレンスなど、日常の園内研究の方法を工夫し、子どもたちの姿、変容を常に園全体で共有し合うことを大切に取り組んだ。子どもたちと一緒に試行錯誤をしながら、子どもたちの感じ方・考え方を保育者が大切に受け止め、子どもらしい疑問を自分たちで解決できるような援助や環境の工夫を図ってきた。また、自ら考えようとする気持ちの芽生えと科学する気持ちの芽生えには共通点があることにも気が付き、自園の実態に即した取り組みを今後も継続し「科学する心」をもつ子どもを育てていきたいと考えている。

  • 社会福祉法人砂原母の会 砂原保育園/東京都

    論文概要

    園舎新築のために出た多量の土砂を活かして、「雑草生やそうプロジェクト」に取り組んだ。殺風景な土砂山に緑を増やすことから始めようと考え、ジャガイモ栽培をしたが、収穫するとなくなってしまう。そこで、保護者の協力も得て、子ども、保護者、保育者による「雑草生やそうプロジェクト」が本格的に展開した。5歳児は、定期的に楽しんでいる「森の日」の体験を活かし、雑草を持ち帰り植えた。保護者は子どもと一緒に、家庭や公園で見付けた雑草植えた。連日のように、親子で雑草を植えたり種を蒔いたりする姿が見られるようになり、3歳児が植えたスイカの生長をみんなで見守る場面もあった。保育園のみんなが熱心に見たり水遣りをしたりするようになり、見事な緑色の「雑草山」になった。
    ある日、卵から孵ったカマキリの成長を見守ることで、ハラビロカマキリだと分かった。その後、虫に詳しい5歳A児が、雑草山にはチョウセンカマキリとハラビロカマキリが棲み分けていることを見付けた。また、5歳B児は、森でカマキリの卵を見付けると、「カマキリのために、卵のある木を調べてその木を雑草山に植えたい」と考えた。4歳C児は、逃がしたくない3歳児に「雑草山は大きな虫かごだよ。みんなで飼おうよ」と言い、虫を逃がせるように関わっていた。
    こうして、「雑草生やそうプロジェクト」により、子どもたちの成長、保護者の自然に関わる姿や子どもと一緒に活動する姿の変容、保育者の子どもを理解して援助をする保育の向上を捉えることができた。

  • 学校法人山梨学院 山梨学院大学附属幼稚園/山梨県

    論文概要

    本園では、幼児期に育みたい「科学する心」を、「生活・遊びの中で生まれる興味・関心をきっかけに、驚き、不思議さ、感動を味わいながら、子どもたち自身が友達と共に、試行錯誤を繰り返し、夢中になって探究していく心」として捉えている。そこで、日々の生活の中で子どもたちが自ら生み出し、生き生きと発展させていく「遊び」の中に、「科学する」子どもたちの姿を見付けていこうと考えた。また、「科学する心」を育むために「探求を応援する環境構成」「安易に答えを伝えない関わり」「学びの旬」の3点を大切にした。
    園庭で偶然に見付けた「テントウムシの幼虫」を飼うこととなり、子どもたちは一生懸命に餌や飼い方を調べた。餌にするアブラムシがいなくなる、卵で作った餌が腐るなど、時折ハプニングに見舞われながらも、大切にテントウムシを飼育した。そこでは、飼育の楽しさと共に、難しさ、大変さも感じることができた。その中で、友達と共に、驚き、喜び、笑いながら、調べ、観察し、実験し、語り合い、いつしか夢中になって、協働した探究を生みだしていった。
    5月の金環日食は、子どもたちの光と影への興味・関心を驚くほどに高めた。3月の修了までずっと、子どもたちは光と影にまつわる遊びを様々に繰り広げた。「影絵劇場」をみんなで成功させたい、もっと楽しい「影あてクイズ」にしたい、その願いが子どもたちを突き動かし、いつしか夢中で探究していた。友達と共に試行錯誤を繰り返しながら、影にかかわる法則に少しずつ気付いていった子どもたち。願いの共有が、協働した探究を生み出していった。

  • 学校法人大和学園 豊田大和幼稚園/愛知県

    論文概要

    4歳児の時に楽しんだ「玉落とし遊び」を活かし、5歳児は協働的な活動へと拡がっていくことを期待して、5歳児みんなが使えるように「ビー玉」を環境に設定した。子どもたちは様々な空き箱などの素材でビー玉を転がす道作りに夢中になり、保育者の予想を超えた活動になった。このビー玉転がしの活動に着目し、子どもたちの遊びや体験に添って、「はずむ・ふくらむ・つながる・拡げていく・再びはじけた」の5段階に展開の様子をまとめ、「科学する心」の育ちを捉えた。「はずむ」では、ビー玉が園舎園庭のいろいろな所で転がる様子を楽しみ、転がる面白さを発見した。「ふくらむ」では、身近なさまざまな素材を使って、思い思いにビー玉を転がす道作りへの思いが膨らんだ。「つながる」では、思うようにならない疑問や問題を友達と考え合った。「拡げていく」では、更にクラスの枠にとらわれず同じ思いの子ども同士で協働的体験を重ねた。「再びはじけた」では、友達同士の知恵の出し合いや助け合いによる協働的な活動により、みんなの目的が達成した。こうして、子どもたちには保育者が感動するような、考え出す力、発想する力、創造する力、工夫する力が育っていることがわかった。また、各段階で試行錯誤したり四苦八苦して問題を乗り越えたりしている子どもたちを支えた保育者は、子どもと協働で諦めずにやり遂げる保育を進めた。このような「ビー玉転がしの道作り」での感動が、子どもたちの「科学する心」を育て、保育の向上に結び付いた。

  • 富田林立錦郡幼稚園/大阪府

    論文概要

    本園では、「感じる心」「考える力」の育成を目指し、子どもの「科学する心」が培われていく発達経路を表したいと、実践の中から子どもの姿を追い独自に表を作成した。そして、見えにくいとされるこれらの心や力の育ちを「見る・観る」「聞く・聴く」「話す」「描く・書く」姿から捉えることとした。また、子ども一人ひとりの感じたこと・考えたことを「わくわく発見カード」「えだまめ日記」など様々な方法で可視化する工夫により、園全体や保護者で共有し、一人ひとりを認め、体験の深まりと自信に繋げた。
    5歳児は、「枝豆で、豆腐ができるのか?」という疑問をもち、自分たちで考えるが、失敗。しかし、もう一度挑戦、保護者や地域の方の協力を得て友達同士、試行錯誤しながらもやり遂げ、豆への興味や探求を深め、表現活動にもつながった。
    4歳児の土、砂、泥との出会いでは、土に「じゃりじゃりさん」「さらさらさん」と名付け親しみをもっていた。そして、レモン団子やハンバーグ、キャラメルなどを作り大切に扱った。子ども同士互いに大切にするものを通して徐々に思いを一つにして楽しいお店やごっこを作り上げた。
    「感じる心」と「考える力」について振り返ってみると、幼児期は心揺り動かされる体験や出会いがあることで意欲や探究心が揺さぶられていく。「感じる心」の比重は大きい。そこに保育者などのまわりの援助があって根気強く取り組み、考えを深めていく「考える力」が現れる。スタートは「観る」ことだと私たちは考え、研究の前半はその部分にこだわった。「見る」から「観る」へ移行すると、漠然と見えていたものが「観る」になったことで、たくさんの「不思議?」「なぜ?」が子どもたちに生まれてきた。そして、事例を通して「話す」「聞く・聴く」「描く・書く」へのプロセスが見えてきた。

  • 学校法人水谷学園 認定子ども園 北陵幼稚園/島根県

    論文概要

    「科学する心」を育むために、日々の保育活動を通して、子どもたちの遊びを『広く』『深く』『ていねいに』を分析、考察しながら子どもたちの遊びと保育者の指導性との関連を究明していくこととした。
    5歳児は「風」との出会いから遊びが始まり、紙飛行機へと興味が広がる。子どもたちは、様々な「考える力」で遊びを創りあげてきた。子どもたちが試行錯誤を繰り返して作った飛行機は何メートルも飛び、滞空時間も長い。その過程の学びが遊びとして成立したからであると考えている。
    4歳児は、安心して遊べるようになると、様々な創意工夫が誕生するようになった。「車」に興味をもち、自分で考えたり試したりしながら車や電車を作った。次第に道作り線路作りなど友達との共同の「遊び場作り」へと発展した。
    3歳児は「広く」の体験や経験を重ねていくことが大切であると考える。保育者が遊びの主導権を握ることではなく、あくまでも子どもが見出して楽しむ遊びをしっかり理解し、支えることが保育者の役割である。
    保育者の指導性の中で特に大切な「環境」については、子どもたちの遊びを理解しつつ子どもと一緒に環境を創ることが、子どもたちの遊びを支えることになると考える。『科学する心の育ち』とは、子どもたちが遊びの目的をもって遊びを創造していく全過程と捉える。その学びこそ、子どもたちの成長を助長していくものである。
    子どもたちが、「広く」多様な経験を積みあげ、その経験を活かして更に「深く」自分で遊びを創造していく力を蓄え、さらにもっと考えよう、もっと楽しくしようと「ていねいに」遊びを創造・発展していく過程が実践を通して見えてきた。

  • 徳島市立川内北幼稚園/徳島県

    論文概要

    幼児が主体的に行動し、発見や驚きを保育者や友達に伝える中で、保育者の支えや、友達同士の刺激を糧として、新たな発見を導き出していくサイクルが「科学する心」を育むことと捉えている。そこで、「幼児が夢中になって遊ぶ保育環境や援助のあり方」を研究テーマに設定し、場所・遊具・時間の確保を念頭におき、園庭の環境構成を見直し、幼児の「科学する心」を育むために必要な保育環境について探ってきた。
    「田んぼ」では、好奇心をもって関わり、手や足でじかに泥の感触を感じとる事で泥の性質に気付いた。また、生き物との関わりが生まれ、友達や保育者と一緒に考えた事、知っている事を話し合う中で、命のはかなさや大切さにも気付くことができた。それとともに、稲の生長にも心を配る姿が見られた。
    「田んぼ」や「砂場」や「どろんこコーナー」では、幼児が実体験の中で“困り感”を感じ、試行錯誤しながら考えたり学んだりする経験ができる環境の構成を心がける必要があると感じた。また、「色水」などすべての事例で、幼児は経験から仮定し、さらに経験を重ねることで確信するというプロセスを繰り返し行っていた。幼児は、継続した遊びの中でこれらのプロセスを繰り返しながら、知的探究心を増長させ、気付きや発見を楽しみ自分の知識にしていくと思われる。
    同じ遊びに取り組む仲間や保育者とのつながりを軸に、しっかりと自分の思いを発揮したり、友達の考えや思いに触れたり、共感してくれる友達や保育者の存在に支えられたりする機会を保障できるよう、物的な環境だけでなく、人的な環境を整えていく必要がある。各事例から、保育者は、幼児が好奇心をもって関わろうとする環境を模索し、その都度見直しながら、環境を構成していくことが必要であると感じた。

  • 福岡市立金武幼稚園/福岡県

    論文概要

    「主体的に遊ぶ幼児の育成」を目指して過去3年間進めてきた研究を踏まえて、「科学する心を育てる」ために「興味・関心」「疑問をもつ」「予想する」「ためす」「気づく」「活かす」を視点として挙げた。また、子どもたちが主体的に関われる身近な環境「砂、土、水」という素材を使って遊ぶ場面に焦点を当てて、比べたり予想したりしながら繰り返し試していく過程を大切にして実践した。繰り返し試していく姿を把握するため、細やかに子どもを把握できるように、写真と子どもの言葉、活動、心の動きを記録した。更に、保育者の読み取り・願い、環境構成、保育者の援助を記録に加えて考察した。
    3歳児が「砂が出てこない」と不思議さを感じた事例では、ペットボトルに入れた砂がなかなか出てこなかったことから砂と水の素材の違いを感じた。4歳児が「赤土が出てこない」と繰り返し試す事例では、ペットボトルに入れた土を水に溶かして出すという活動を通して、砂と土の素材の違いに気付いていった。5歳児が「競争しよう」と樋を使い水でカップなどを流す事例では、雨樋の傾斜角度によって、水が流れ落ちる速さが違うことに気付いていった。また、流すものや水の量によって速さが違ったり同じだったりすることに気付いた。
    これらの実践から、「幼児が興味・関心をもって取り組みながら、疑問を持つ→疑問に対して予想する→予想が正しいかどうか試していきながら気付く→気付いたことを次の活動に活かす」というプロセスを踏みながら「科学する心」が育まれていくことがわかった。

  • 学校法人鹿児島竜谷学園 和光幼稚園/鹿児島県

    論文概要

    「科学する心」をもった子どもについては、好奇心にあふれ、豊かな発想を生かし、自らの身体を道具にしながら、できる、できないではなく、試行錯誤そのものを楽しみ、あるがままの感性で自らを表現し主体的に活動する子どもと捉えている。そこで、保育者は、「子どもと一体となって感性を磨く」「好奇心をつかみ生かす」「豊かな発想(ひらめき)を生かす」ことを大切にした。さらに、子どもの思いと保育者の願いを「ウェブ」状に表すことで、記録の分析・考察を深め、保育の見通しと実践の振り返りを丁寧に行ない、子どもと保育者が共に育ち合う取り組みを目指した。
    4歳児が、キラキラした天井に光り輝く不思議な光を発見、次第に自分たちで、光るものを見付けて光らせることを楽しむようになる。やがて、日陰との関係、鏡への興味と展開していった。
    満3歳児の新聞紙との関わりでは、扇風機の風で新聞が動く面白さと出合った。風を体いっぱいに感じながら、新聞紙の動きそのものを楽しみ、遊ぶことができた。物が動くそのものの面白さを楽しみ、風で物が動かせることへつながる大きな体験となった。満3歳児の「科学する心の育ち」への手掛かりをつかむことができた。
    オタマジャクシの育ちに関心をもち、観察していった5歳児に対し、オタマジャクシを家族として飼育し、最後は池のお父さん、お母さんのところへ帰しに行った4歳児、など、日常の園生活のなかで見付けた不思議を、遊びに取り組んで楽しんだ子どもたちの姿から、「科学する心を育てる」ためには、「子どもから学ぶしかない」という思いを改めて強く意識した。

奨励校・奨励園

ソニー子ども科学教育プログラム 奨励校(85校)/教育助成金10万円とソニー製品

  • 札幌市立日新小学校/北海道
  • 札幌市立宮の森中学校/北海道
  • 十和田市立四和小学校/青森県
  • 三沢市立三沢小学校/青森県
  • 七戸町立天間東小学校/青森県
  • 矢巾町立矢巾東小学校/岩手県
  • 羽後町立三輪中学校/秋田県
  • 上山市立西郷第一小学校/山形県
  • 山形市立みはらしの丘小学校/山形県
  • 山形大学附属小学校/山形県
  • 相馬市立桜丘小学校/福島県
  • 福島市立岡山小学校/福島県
  • 福島市立矢野目小学校/福島県
  • 福島大学附属小学校/福島県
  • 猪苗代町立長瀬小学校/福島県
  • 川俣町立川俣小学校/福島県
  • 天栄村立広戸小学校/福島県
  • 美浦村立大谷小学校/茨城県
  • 栃木市立栃木中央小学校/栃木県
  • 藤岡市立日野小学校/群馬県
  • さいたま市立大谷口小学校/埼玉県
  • さいたま市立下落合小学校/埼玉県
  • さいたま市立仲町小学校/埼玉県
  • さいたま市立三室中学校/埼玉県
  • 市川市立中山小学校/千葉県
  • 袖ヶ浦市立蔵波中学校/千葉県
  • 千葉市立大宮中学校/千葉県
  • 千葉市立こてはし台中学校/千葉県
  • 千葉市立作新小学校/千葉県
  • 千葉市立寒川小学校/千葉県
  • 千葉市立新宿中学校/千葉県
  • 千葉市立高浜中学校/千葉県
  • 千葉市立土気中学校/千葉県
  • 千葉市立花園中学校/千葉県
  • 千葉市立緑町中学校/千葉県
  • 千葉県立桜が丘特別支援学校/千葉県
  • 千葉大学教育学部附属小学校/千葉県
  • 銚子市立第一中学校/千葉県
  • 墨田区立小梅小学校/東京都
  • 東京学芸大学附属国際中等教育学校/東京都
  • 柏崎市立鯖石小学校/新潟県
  • 新潟市立潟東西小学校/新潟県
  • 氷見市立朝日丘小学校/富山県
  • 金沢市立杜の里小学校/石川県
  • 岡崎市立福岡中学校/愛知県
  • 岡﨑市立美川中学校/愛知県
  • 刈谷市立雁が音中学校/愛知県
  • 刈谷市立刈谷東中学校/愛知県
  • 刈谷市立日高小学校/愛知県
  • 刈谷市立平成小学校/愛知県
  • 高浜市立高浜中学校/愛知県
  • 西尾市立西尾小学校/愛知県
  • 幸田町立北部中学校/愛知県
  • 貝塚市立北小学校/大阪府
  • 堺市立八田荘西小学校/大阪府
  • 姫路市立御国野小学校/兵庫県
  • 江田島市立三高小学校/広島県
  • 熊野町立熊野東中学校/広島県
  • 広島大学附属小学校/広島県
  • 広島大学附属三原小学校/広島県
  • 阿南市立中野島小学校/徳島県
  • 阿南市立見能林小学校/徳島県
  • 徳島市南井上小学校/徳島県
  • 鳴門市鳴門東小学校/徳島県
  • 香川大学教育学部附属坂出中学校/香川県
  • 今治市立波止浜小学校/愛媛県
  • 愛媛大学教育学部附属小学校/愛媛県
  • 愛媛大学教育学部附属中学校/愛媛県
  • 北九州市立折尾東小学校/福岡県
  • 北九州市立葛原小学校/福岡県
  • 北九州市立熊西小学校/福岡県
  • 北九州市立藤松小学校/福岡県
  • 福岡市立香椎東小学校/福岡県
  • 長崎市立小榊小学校/長崎県
  • 長崎市立鳴見台小学校/長崎県
  • 熊本市立西原小学校/熊本県
  • 玉名市立大野小学校/熊本県
  • 大分市立春日町小学校/大分県
  • 阿久根市立阿久根小学校/鹿児島県
  • 鹿児島市立伊敷台小学校/鹿児島県
  • 鹿児島市立郡山小学校/鹿児島県
  • 鹿児島市立南小学校/鹿児島県
  • さつま町立白男川小学校/鹿児島県
  • 十島村立悪石島小中学校/鹿児島県

ソニー幼児教育支援プログラム 奨励園(44園)/教育助成金5万円とソニー製品

  • 社会福祉法人五倫会 美郷保育園/青森県
  • 学校法人支倉学園 めるへんの森幼稚園/宮城県
  • 学校法人椎野学園 米沢中央幼稚園/山形県
  • 学校法人中沢学園 みなみ若葉幼稚園/福島県
  • 二本松市立川崎幼稚園/福島県
  • 二本松市立渋川幼稚園/福島県
  • 二本松市立油井幼稚園/福島県
  • 福島市立庭塚幼稚園/福島県
  • 学校法人勝田学園 大成幼稚園/埼玉県
  • さいたま市立岸町保育園/埼玉県
  • さいたま市立三橋保育園/埼玉県
  • さいたま市立美幸保育園/埼玉県
  • 学校法人岩崎学園 くりの木幼稚園/千葉県
  • 北区立西が丘保育園/東京都
  • 品川区立伊藤保育園/東京都
  • 社会福祉法人新栄会 オルト保育園/東京都
  • 立川市立柏保育園/東京都
  • 学校法人あおい学園 あおい第一幼稚園/東京都
  • 横浜市美しが丘保育園/神奈川県
  • 学校法人同朋学園 同朋認定こども園 同朋幼稚園/富山県
  • 社会福祉法人牧谷会 牧谷保育園/岐阜県
  • NPO 法人なのはな あおぞらキンダーガーデン/静岡県
  • 岡崎市大西保育園/愛知県
  • 岡崎市根石保育園/愛知県
  • 幸田町立大草保育園/愛知県
  • 社会福祉法人徳雲福祉会 千代川保育園/京都府
  • 学校法人常磐会学園 常磐会短期大学付属常磐会幼稚園/大阪府
  • 学校法人常磐会学園 認定こども園
    常磐会短期大学付属泉丘幼稚園 いずみがおか園/大阪府
  • 社会福祉法人ゆずり葉会 深井保育園/大阪府
  • 富田林市立新堂幼稚園/大阪府
  • 社会福祉法人長尾会 第2長尾保育園/大阪府
  • 社会福祉法人長尾会 長尾保育園/大阪府
  • 社会福祉法人南大阪福祉協会 ひかり保育園/大阪府
  • 姫路市立林田幼稚園/兵庫県
  • 奈良市立佐保幼稚園/奈良県
  • 奈良市立都跡幼稚園/奈良県
  • 出雲市立鳶巣幼稚園/島根県
  • 社会福祉法人しらゆり会 しらゆり保育園/島根県
  • 学校法人永原学園 幼保連携型認定こども園
    西九州大学附属三光幼稚園・三光保育園/佐賀県
  • 社会福祉法人西大村福祉会 いけだ保育園/長崎県
  • 社会福祉法人顕真会 よいこのもり保育園・よいこのもり第2保育園/宮崎県
  • 学校法人鹿児島竜谷学園 草牟田幼稚園/鹿児島県
  • 学校法人白石学園 辻ヶ丘幼稚園/鹿児島県
  • 社会福祉法人上名福祉会 つるみね保育園/鹿児島県

審査委員長総評

ソニー子ども科学教育プログラム

今年で54年目を迎えた「ソニー子ども科学教育プログラム」に、全国より193校という多数の小・中学校からご応募をいただきました。子どもたちの「なぜ?」を大切に、感性・創造性・主体性を育成する観点から、多くの学校で「科学が好きな子どもを育てる」熱意溢れる実践が展開されていることに心から敬意を表します。

今回の応募状況は、92校が昨年度からの連続応募で、101校が新規応募となりました。新規応募の学校が100校を超えて全体の半数以上を占めたことに、「科学が好きな子どもを育てる」という「ソニー子ども科学教育プログラム」の趣旨に基づく実践活動の広がりを実感しています。
一方で、連続応募の学校は、昨年度の応募数に比して5割弱に終わっています。是非とも継続した取り組みを望みたいところです。学校での教育活動は、そこで終わりということはありません。実践の結果を論文にまとめることは大変なことですが、その過程を通して実践を振り返ることで教育活動の一層の充実に繋がります。是非とも継続して応募されることを期待しています。

今年度の論文は、全体として、子どもの実態や日々の実践での成果と課題を踏まえて、目指す子ども像の具現化に向けて概ねP→D→C→Aの形で論理的にまとめられていました。また、論文の随所に、子どもたちの学びの姿や変容のプロセス、教材研究や指導方法に対する教師の創意工夫が示されており、具体的な実践の様子が伝わってくる記述が多く見られました。さらには、「科学が好きな子どもを育てる」授業の実践を柱としながら、より豊かな活動に高めるために他の学校や教育機関、保護者や地域、企業などと連携した体験活動の取り組みや、教員同士が指導力を高め合う授業研究・研修活動を活発に行っている様子が見られる論文もありました。
一方で、次年度の計画について、成果と課題を踏まえて、実践の方向をもう少し具体的に述べていただきたいと思う論文もありました。大変素晴らしい実践の報告が行われているにもかかわらず、次年度の取り組みの内容が記述されていないのは残念です。

今年度の最優秀校には長野県諏訪市立中洲小学校と長野県富士見町立富士見中学校が選出されました。全体として論文内容は拮抗しており、特に上位入選候補校の審査は現地調査を行い、最優秀校の審査はその結果も踏まえて慎重な審議を行いました。
上位入選校(最優秀校、優秀校)の内容は当財団ホームページで閲覧することができます。一人でも多くの先生方が上位入選校の論文を見ていただき、実践の参考にしていただければ幸いです。
子どもたちの未来のために、日々創意工夫をして実践を積み重ねられている先生方や学校を支援してくださる保護者や地域の皆様にあらためて敬意を表しますとともに、ソニー子ども科学教育プログラムに対するご協力とご支援にお礼申し上げます。

審査委員長
  • 御手洗康/元文部科学事務次官
審査委員(五十音順)
  • 渥美雅子/弁護士
  • 大髙泉/筑波大学大学院教授
  • 久保田重夫/元東京大学生産技術研究所特任教授
  • 日置光久/東京大学大学院教育学研究科特任教授

ソニー幼児教育支援プログラム

ソニー幼児教育支援プログラムでは、今年度全国30都道府県から93園と多くのご応募をいただきました。プログラムのスタートから11年目を迎えた今年度は、「科学する心を育てる」という主題を深く追究した質の高い実践が多く、上位入選園が伯仲した状態でした。このため、現地調査も踏まえた慎重な審査を行い、最優秀園2園、優秀園12園、奨励園44園を選出いたしました。また、優秀園の中から特にユニークな事例を紹介いただいた2園を審査委員特別賞といたしました。

入選された園の論文には、“自ら目当てをもって、人やもの、自然と関わり、発見や探求を深める子どもの姿”“興味や探求が深まることで、更に踏み込んで探求が広がり科学の本質に迫る体験をしている子どもの姿”“目的の実現のために長期間続けて主体的に活動し、多くの問題や疑問に取り組むことで、大人の想像を超える学びをやり遂げている子どもの姿”など、「科学する心を育てる」実践が子どもの成長に着実につながっている成果が数多く報告されています。また、どこにでもある身近な素材を活用し試行錯誤を繰り返すことや、子どもたちが協働的な体験を積み重ねることで「科学する心」が育まれるという、どの園でもすぐに取り入れて実践できる事例も見られました。

このような素晴らしい実践の数々をご報告いただいた先生方の熱意とご努力に敬意を表しますと共に、心より感謝申し上げます。そして、これからも子どもたちのために、先生方がより広い視点から気持ちや取り組みを共有し合い、幼児教育に取り組まれることを願って止みません。

審査委員長
  • 小泉英明/(株)日立製作所・役員待遇フェロー
審査委員(五十音順)
  • 青木清/上智大学生命倫理研究所所長長
  • 秋田喜代美/東京大学大学院教育学研究科教授
  • 神長美津子/國學院大學人間開発学部教授