保育のヒント~「科学する心」を育てる~

発見~友達と考え合う~/社会福祉法人芽豆羅の里 幼保連携型認定こども園 めずらこども園(大分県)

身近な素材や材料に関わり遊ぶ子どもたちの思わぬ発見に、心を動かされたことがありますか?

今回は、ストローに興味をもった子どもたちが、自分なりの関わり方を楽しむ過程で、つなげたストローに耳に当てると、声が聞こえる面白さを発見していく事例です。子どもたちの発見や試しは、友達との関わりや保育者の共感によって広がり、新たな気づきや疑問が生まれ「科学する心」が育まれていきます。

「すごい!声が聞こえるよ!」/5歳児

場面1:「わぁ、すごい!」

製作材料コーナーに置かれたストローを見る子どもの写真子どもたちは、廊下の製作材料のコーナーに、新たにストローが置いてあることに気づき、すぐに興味をもち始めた。5歳児は、初めは、はさみでストローを細かく切る姿が多かった。しかし、次第に遊び方に変化が出て、太いストローの中に細いストローを入れたり、ストローの中にモールを入れて吹き矢にしたり、剣や銃を作るようになっていった。

その中で、Aちゃんはストローを6~7本ほどつなげ、長くした後、片方を自分の耳に当て、もう片方を口にして息を吹きかけていた。

その後Aちゃんは、ストローで声が聞こえることを発見し驚いていた。その姿を、保育者に受け止められて、大変喜ぶAちゃんだった。友達にも知らせると、「わぁ! すごい!!」と、みんな驚いた。すると、その声を聞いて、近くにいたBちゃんやCちゃんも駆け寄ってきた。子どもたちは、交代で何回も試していた。

場面2:あれ?聞こえない!

つないだストローの片方を耳に、もう片方を口にあて、自分の声が聞こえるか試している子どもの写真Aちゃん:「ねぇ、みんなのをつなげてみよう!」
Bちゃん:「いいね!」
Bちゃん:「私のも、つなげたい!」

AちゃんBちゃんCちゃんの3人のストローをつなげ、さらに長くなったストロー電話を作り出した。初めは、ストローが長すぎて曲がった状態で「聞こえますかー?」と試していた。

Bちゃん:「あれ、声が届かん。聞こえんよ」
Bちゃん:「どうしてだろう? さっきは聞こえたのに…」
と疑問を持っていた。
Aちゃん:「分かった! 曲がっちゃんけやない? 真っ直ぐしたらどうかな?」と言い、ストロー電話を真っ直ぐに伸ばす。
Aちゃん:「聞こえますかー?」
Bちゃん:「あ! 聞こえた! そうか! Aちゃん凄いなー! よく分かったね」
と声を掛けると、得意気な表情のAちゃんだった。

すると、Aちゃんがストロー電話の真ん中当たりを手で押さえだした。
Aちゃん:「こうしたら、穴がなくなって聞こえんくなるよ」と、みんなに知らせる。
Bちゃん:「本当やー! 押さえんほうがいいやん!」

やってみよう!

Aちゃんがストロー電話の話をした翌日から、しばらくストロー電話の遊びが続いていた。この日は、Dちゃんがストローに興味をもって遊んでいた。今まで、他の園児がストローで遊んでいても興味をもっていなかったが、吹き矢にしたり銃に見立てたりして遊び出した。Dちゃんは、「あ! そうや、ストローをつなげてみよう!」と言った。Aちゃんたちが作っていた様子を見ていたようで、真似をしてストロー電話を作り出した。

その姿を見て、Bちゃん、Cちゃん、Eちゃん、Fちゃん、Gちゃんも新たにストロー電話を作ったり、以前作ったもので遊んだりし始める。

長くつないで作ったストロー電話で遊ぶ子どもたちの写真Dちゃん:「Fちゃん、ちょっと、こっちからやってみて」
Fちゃん:「いいよ。聞こえますかー?」
Dちゃん:「ウワァーすごい、聞こえる!」
Bちゃん:「2本でやったら、どうなるかな?」
Gちゃん:「聞こえるよ! 両方から聞こえた」
Bちゃん:「今度は私の番! Eちゃん代わって」
Eちゃん:「いいよ。聞こえますかー?」
Bちゃん:「コショバイけど、聞こえた」
Fちゃん:「先生、こっち持って! 声出してみて」
保育者:「いいよ。聞こえますかー?」
Fちゃん:「聞こえる! 面白い!!」

Aちゃんの発見が友達にも広がり、ストロー電話を試す子どもがクラスに増えてきた。

その後、ストロー以外の筒状のものでも、声が聞こえるか試す姿が見られるようになった。(ピアニカのホース、ラキュー(ブロック)で作ったもの、トイレットペーパーの芯、紙コップなど)

そうか!分かったぞ!

作成した「もみのき新聞」の写真ストロー電話を発見したことを、他のクラスの友達にも知らせたいという声が上がった。どうやって知らせるか考えていくと、実際にやってみせるという意見のほかに、5歳児がいなくても、紙を見たら分かるように書いたらいいという意見があり、「もみのき新聞」を作成し、みんなに知らせるようにした。

保育者は、ストロー電話やトイレットペーパーの芯、紙皿の糸電話など、子どもたちが作ったものを1つの場所に置いておいた。すると、Aちゃんがその場にやってきて、みんなが作ったもので順番に声を出して遊び始めた。FちゃんやEちゃんも側で見ている。Aちゃんは、「よし、次はこれだ!」と言い、真ん中に穴の空いた小さな段ボール箱で遊びだす。

CDで試す子どもたちの写真その後も、子どもたちは、様々なもので試していた。そして、ストローと身近にあるCDを比較し始めた。ストローとCDのどちらも真ん中に穴が空いているが、声の聞こえ方が違うことに気づいた。しばらくして、「穴が空いていても、“ただの丸ではいけない”“筒状のものが良い”」との発見に至った。

普段、ピアニカを使用した後はホースを水で洗っている。そのことを思い出したEちゃんは、筒状のものは水も通ることを発見した。

そして、子どもたちは、「声が聞こえる形は筒状の物で、筒状の物は水が通る」と考えた。しかしFちゃんは、「でも、本当に水が通るか? やったことないから分からない…」とつぶやいた。

水道の蛇口から出る水をピアニカのホースに通す子どもたちの写真Aちゃん:「やってみたらいいやん! ピアニカのやつに水を入れて、息をフーってしたら水が出てくるよ!」
Fちゃん:「息もフーって出てくるよ! 声出す時も息が出るな!」
Gちゃん:「そしたら、空気がどうやって通るかも見れるかも!」
Aちゃん:「水でやってみたら、空気も水が行ったとおりに通ると思う」

子どもたちは、声を出すときに息がかかることに気づき、声が聞こえる仕組みを目で見ることができる方法を考え出した。筒状のものと水を使ったことで、空気の通り道を発見した。保育者は、子どもたち一人一人の気づきを認め、発見の喜びに共感した。

考察

  • 遊びの中で、疑問に思ったことを試す過程で、探究心をもち、追求・試行錯誤していくことで学びに向かう力が育まれていると思われる。
  • 一人では思いつかないことも、友達と意見を交わしていると様々な発想が思い浮かんできた。また、友達の「やってみたらいいよ」という言葉によって、気持ちが前向きになっていることから、確かめたり、試したりしたいという意欲につながっていることが分かる。
  • 疑問に思ったことを確かめたり、どうなるのか試したり考えたりすることに楽しさを感じることができれば、視野を広げて様々なことに興味をもつのではないだろうか。
  • 興味が湧くと、さらに面白さや不思議さに気づき、探究心が芽生えていくと思われる。保育者は常に、子どもたちの気づきや感動に共感し、大切にしたいと考える。
  • 子どもたちの疑問を解消したり、探究や試しを楽しんだりできるような素材に自由に関われる環境作りの大切さを感じた。

注:口に入れるものを扱う場合には、衛生面に十分配慮して実施しています。

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