保育のヒント~「科学する心」を育てる~

シャボン玉~試す~/安城市立東端保育園(愛知県)

子どもたちにとって身近な遊びであるシャボン玉作り。皆さんの園の子どもたちは、どのようなことを楽しんでいますか?

今回は、手洗いの際にできた泡をきっかけに、シャボン玉の遊び方が変化し、試したり工夫したりして楽しむ子どもたちの事例をご紹介します。場面場面で、子どもたちの思いを読み取り寄り添うことで、環境の工夫につなげています。

なんだろう?おもしろい!もっと!! /5歳児

いろいろな物でシャボン玉ができるよ 6月~

子どもの姿・思いに対する保育者の思い・気づき
子どもの思い子どもの姿保育者の思い・気づき
シャボン玉、何があればできるかな??
給食前の手洗いの時に、石鹸をたくさん使って洗っていると、泡ができ、手で輪を作ると膜ができた。そこに息を吹きかけるとシャボン玉ができることが分かり、他の物でシャボン玉ができないか考え始めた。  
  保育者は、子どもたちの興味に添って、絵本「杉山きょうだいのしゃぼんだまとあそぼう」*1や「みんなで実験楽しく科学あそび4」*2を目につく所に置いておいた。
いろいろ気づき始めたな。
あっ!そうだ! いいこと考えた!
Aちゃん:「丸があれば、シャボン玉ができるかも…」
Bちゃん:「丸い物…何があるかな?」
Aちゃん:「そうそう、ピーマンって中が空いているよ、シャボン玉の拭くやつみたいじゃない?」
Bちゃん:「オクラもどうかな?」
保育者:「みんなの育てている野菜だね。やってみる?」
A・Bちゃん:「やるー!!」
C・Aちゃん:「やりたーい!」
 
みんな同じにはならないなぁ…何でだろう?
Aちゃん:「できた!でもちょっとピーマンの味がする」
Cちゃん:「ほんとだ。ピーマンだ!」
Bちゃん:「オクラはあんまり上手にできないよ」 ピーマンでシャボン玉を作る子どもの様子オクラでシャボン玉を作る子どもの様子
ピーマンとオクラの違いにも気づき始めた。
もっといろいろな物でシャボン玉をやってみたい!
Aちゃん:「小さいね…でもできたから良かったね」
Dちゃん:「本にいろいろ載っている!」
Eちゃん:「団扇、面白そう…」
Aちゃん:「今度は団扇でやってみようね」
面白そうなことを、考えているな。この期待を次につなげてほしい
考察

手洗いの場面で偶然できた手のシャボン玉から子どもたちは“他の物でもできるかも?”という気持ちや発想が出てきた。子どもたちが「あれっ?」と不思議に思うことを見つけると、一気に興味が広がっていくことを感じた。それが「科学する心」の芽生え、学びの起点となる。子どもたちなりに、今までのシャボン玉遊びでの経験から、「きっと丸い穴ができればいいのかも?」という仮説が出てきた。先行経験や知識を総動員して、「謎」を解こうとする姿に子どもの意欲を感じた。子どもの“やってみたい”ということを実現できるように援助することで、体験の深まりにつながっていくと思われる。

自分で割れない大きなシャボン玉を作りたい!

子どもの姿・思いに対する保育者の思い・気づき
子どもの思い子どもの姿保育者の思い・気づき
  シャボン液がそろそろなくなりかけてきた。しかし、子どもたちはシャボン玉遊びに夢中であった。そこで、保育者が、子どもたちにシャボン液があまりないことを伝えると、自分たちで作りたいと考えるようになった。
自分たちでいろいろ調べ始めたぞ。上手くいくといいな
シャボン玉の材料が分かったぞ!!
Fちゃん:「そういえば、あの本にどうやって作るか書いてある」
Gちゃんが、「持ってきて調べよう!」と言い。みんなで絵本を囲んで、作り方を調べる。
Hちゃん:「先生、洗濯糊、洗剤と書いてあるけど、(園に)ある?」
 
  シャボン液を作る子どもの様子 保育者は、子どもたちの要求や興味に添って材料を環境に設定した。そして、自分たちで調べたことを認め、分量を計りたい子どもたちのために、計量カップを出した。
子どもたちは、計量カップの目盛りを見ながら慎重に作っている。
 
やったー! できた!!
Gちゃん:「そーっとね…」
F・Gちゃん:「できた!!みんなやるよー」と、友達を誘う。
針金ハンガーの枠2種類、(そのままのもの、毛糸を巻いたもの)、団扇の骨組みなど、様々な試しができるようなものを環境に加えた。
子どもたちは、いろいろなものでシャボン玉を作り、そのでき方の違いに気づいたり、試したりすることを楽しんだ。
 
  Hちゃん:「これ、大きいのができた!」と、毛糸を巻いた針金ハンガーで作ったシャボン玉を見せる。
Gちゃん:「じゃ、僕はこっちでやってみる」と、言って針金が巻いてないものを使う。
 
ぼくのはうまくできないけど、何でHちゃんのはできるのかな?
Gちゃん:「Hちゃんみたいにできない。…分かった、それ巻いてある」
Gちゃん:「巻いてあるの、貸して」
Hちゃん:「じゃ、交換ね」
針金ハンガーの違いに気づいたな。どっちがいいのか様子を見てみよう。
やったー! できた!!
Gちゃん:「やったー! 長いのができた」  
あれ?いつもより、強い(丈夫な)シャボン玉だぞ!
Kちゃん:「団扇は、いっぱいシャボン玉ができるよ」
Lちゃん:「いつもより、いっぱい飛んでるね」
Fちゃん:「強いシャボン玉だね!」
Iちゃん:「さっきより、長いのができたよ」
保育者:「本当だね!大成功だね!」と、子どもたちの喜びに共感する。
市販の液と、自分たちで作った液の違いにも気づいた。こっちの方が丈夫なんだな…
次は、自分たちが、シャボン玉に入ってみたいな!!
Fちゃんたち:「うん!!もっと大きなシャボン玉が作りたいね」
Kくん:「僕たちは入れるかな?」
保育者:「入れるかもね…」
Hちゃん:「今度やってみようね」
その後、子どもたちは、自分たちが入れるシャボン玉作りにチャレンジした。
大きなシャボン玉を作る子どもの様子大きなシャボン玉を作る子どもの様子
またまた、やりたいことが出てきた! 楽しみ、楽しみ!
考察

シャボン液がなくなってきたことで、自分たちで作りたいという思いが出てきた。シャボン玉の本を見て子どもたちで試しながら作ったが、シャボン液に関しては、成功や失敗という思いはあまり見られなかった。子どもたちの興味は、いろいろなものを使って作ることを楽しむことに向けられた。また、シャボン液の違いよりも、どの枠を使うと大きなシャボン玉になるかということに移っていた。子どもたちの興味はどんどん変わっていくので、常に子どもの視点に立って理解して、環境を工夫し援助していくことの大切さを感じた。

ページの先頭へ