保育のヒント~「科学する心」を育てる~

保護者・専門家との関わりⅠ/そらいろえん(沖縄県)

「今年は○○遊びが流行っている」「○歳児の子どもたちは○○遊びに夢中になっている」など、子どもたちの興味が長期に亘り継続し、遊びが盛り上がっていることが話題になることはありますか?

今回は、テレビ番組や映画の刺激を受けて、恐竜や化石が大好きな子どもたちの事例をご紹介します。興味から探究を深める過程で、子どもたちに専門家や保護者が真剣に向き合うことで、体験が深まっていく様子が伝わってきます。

恐竜/3〜5歳児

事例1:「ここに化石はあるかな?」

子どもたちが協力して発掘作業
葉に虫が這った不思議な跡
蜘蛛の巣の不思議

子どもたちは、どこに行っても「ここに化石はあるかな?」と石を拾っていた。いつも2~3キログラムの石を家に持ち帰っていたため、子どもたちは、「化石だけ持ってかえってもいい」などと家で話し合って、「これは化石じゃないんじゃない?」「この石は化石じゃない。化石は、叩いて割れた中にあるらしい。」と叩いて割れる石だけ持ち帰るようになった。

その中で、モンゴルに海外協力隊に行っていたお父さんが「恐竜の化石は舐めると舌にくっ付く」とAちゃん(4歳)に話した。この言葉から、子どもたちは「割れる石」→「舐めたら舌に付く」という感覚を頼りに化石を探し始めた。

  1. Aちゃん(4歳):(石の匂いをかいで)「ほら、生臭いよ」
    「なんか海の匂いがするから、海の恐竜かなー。」
  2. Bちゃん(4歳):恐竜のおもちゃを、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀に分けて遊んでいる。
    肉食、草食等も分かる。(知識が遊びに)

恐竜の化石を見付ける中で、注意力がつき自然の中の面白い現象を発見するようになった。(発見・共有)

保育者も一緒に図鑑などを読み解いて、「これは、違う」などの発見を喜んだり、残念がったりすることで、友達との共有の宝物になった。また、子どもなりの知識の積み重ねが化石探し遊びにも現れ、それが伝承していく。お互いの家から違う図鑑を持ってきて、みんなに説明する様子もあった。

保育者の援助
  • 「ここに化石があるのでは?」と子どもが考えた場所を散歩先にした。
  • 金槌などルールを決めて、石を叩くために自由に使えるようにした。
  • 家で話し合われたことを、みんなで共有する時間を作った。(「石は洗ってから舐めよう」なども、みんなで話し合った。)

事例2:「恐竜小屋作り」

鋸に挑戦する子どもたち
知恵を出し合って小屋を強化する

いつも化石掘りにいく森に、恐竜を観察する小屋を作り始めた。

始めは、近くにあった草や木で作ったが、すぐに崩れてしまった。

次に、木工道具を使い、5歳児が自分たちのイメージを周りに伝えながら、作業を進めた。

だが、柱にするはずの棒が倒れたり、材料が足りなかったりと、予想を越えるハプニングが起きる。その中で「この位長くて、太い棒をみんなで探して!」「鋸する時、グラグラするから誰か押さえておいて!」など、声をかけながら、みんなで協力していく。

「紐があったら結べたのに…」と想像して、次の日に自分で用意している子どももいる。小屋の下には痛くないように草を敷き工夫していた。

また、小屋が崩れていることもあったが、5歳児のCちゃん、Dちゃん、Eちゃんが「穴を掘って、土に棒を刺したらいいんじゃない」「棒を金槌で叩こう!」と、知恵を出し合って小屋を強化させていった。

失敗を繰り返しながら、強い小屋になり、見た目は華奢ながらも、小屋は数日間、形を留めているようになった。

保育者の援助
  • 鋸や金槌などを安全に扱うための注意点を子どもたち同士で考え合うように援助する他は、なるべく見守って、子どもたちが自分たちの手で作っていくようにした。必要な物や方法など、保育者が気が付いていてもあえて言葉にはしないで、子どもたちの失敗に付き合うようにした。そうすることで、「自分たちでやり遂げた」という自信に繋げたいと考えた。
  • 子どもたちは、現代に恐竜はいないとは思っていない。恐竜は太古のものだが、「化石も恐竜も現代にあるのかもしれない!」という子どものワクワク感を大切にし、保育者は子どもの世界観を壊さないように配慮した。

事例3:お父さん先生の「恐竜教室」

Aちゃんのお父さんによる「恐竜教室」
恐竜の爪の実物大粘土模型を使って説明
「恐竜の色は誰も見たことがないから
自分で想像していいんだ」との言葉に
触発されて描いた恐竜の絵

事例1の「本物の化石は舌にくっ付く」と教えてくれたAちゃん(4歳)のお父さんが、Aちゃんのお願いを受けて、「恐竜教室」を実施してくださった。沖縄県立博物館の企画展「恐竜に会える夏」の話と映像を視聴し、展示されている恐竜の骨の写真に「オッー!」と歓声!を挙げ、「ティラノサウルス」「スーパーサウルス」などと、知ってる恐竜の名前を叫ぶ子どもたち。アロサウルスは、知ってる子どもが多く正解で満足そうだった。

Aちゃんのご家族がモンゴルに住んでいた時の写真を見せてもらった子どもたちは、「絵本(スーホーの白い馬の絵)と同じだ!」と、自分の知識の引き出しを照らし合わせる。「湖って海じゃないの?」「砂漠って、砂だけじゃなくて草も生えてるの?」「寒いって、雪ってどんなだろう」と質問の嵐になった。

シノサウロプテリクスは、唯一色が分かる恐竜2種の内の1種だそうで、その2種類以外は、想像の色が塗られて図鑑にも描かれているという話を聞く。恐竜の爪の実物大の粘土模型を持ってきてくださって、みんな「これじゃ、頭が割れちゃう!」と震えていた。庭に出てメジャーで「23メートルはこんなに大きいです」と、恐竜の大きさを示すと、「こんなに大きいのか…」とため息が出ていた。実際の大きさに近い体験をする。

白熱してみんなが勢い良く話すので、Aちゃんのお父さんが話せないくらいだった。化石も実際に触らせてもらい、ひとりずつ舐めてみた。本当に舌が吸い付く感じがして、生臭かった。「舌がくっ付いた!本当だった!」「臭い…」「何の骨だろう?」と、口々に実際の感想や疑問を話していた。

Aちゃんのお父さんは、メッセージとして「みんな、好きなことをずっと続けていくんだよ。それが仕事になることがあるし、大切な事なんだよ」と話してくださった。

※化石を舐める行為については、安易に口にしないように衛生や安全面には十分に配慮している。

考察

現代に恐竜はいるかもしれない…だから、隠れる所を作ってそこから恐竜を観察したいという気持ちが、工夫や計画、友達との協力に繋がっていった。現実を考え合ったり学んだりするだけではなく、発想や想像を保育者も楽しむ気持ちが大切だと感じた。

身近な存在で、実際に経験や恐竜の知識がある方のお話は、子どもたちへの染み込み方が違う。図鑑やテレビなどからの知識・情報とはまた違うインパクトがある。

特に、今までは、他の子どもたちほどには恐竜に興味がなかった5歳児が、「恐竜の色は誰も見たことがないから自分で想像していいんだ」という言葉に触発されて、恐竜の絵を描いていた。学びから、行動が変わった。

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