保育のヒント~「科学する心」を育てる~

試行錯誤に注目(写真を活かして)/安城市立東部保育園(愛知県)

子どもの興味や関心に寄り添って保育を見直すために、どのような工夫をされていますか?

今回は、子どもたちの興味や試行錯誤に注目して環境を再構成することで、子どもたちが自ら繰り返し環境に関わり、遊びを楽しむ事例です。

本園は、「楽しい遊び」と「科学する心」についての考え方を構造図に示し、その子どもの姿に沿った写真と簡単なコメントを通して、子どもの理解を深めています。

きれいな色水作りたい!(3・4・5歳児)

本園の考える「科学する心」について

本園は、今年度「楽しいと思える遊びって何だろう?」とのテーマを立てて職員間で話し合い、「楽しい遊び」は「科学する心」につながり、関係が深いのではないかと考えた。

子どもにとって「楽しい遊び」とは?

「変化する遊び」「ドキドキ・ワクワクする遊び」「きれいなものを作る遊び」「先の読めないスリル感のある遊び」「自分の考えを試すことができる遊び」など、たくさんの要素があると考えた。

「科学する心」とは?

「なんで?」「不思議」と思ったことを追求していく。その試行錯誤の中で、発見したことを試しているうちに、変化が出てきてもっと試したくなる。納得するまで追求できた時の満足感が、子どもの心の成長へとつながる。

「楽しい遊び=科学する心」を捉えるために、子どものつぶやきや試行錯誤の姿に注目して、遊びの環境を設定したり、再構成したりしていくことに力を注いでいる。

図1 本園の考える「科学する心」

事例1 色水を作る

子どもの姿を写真とコメントで共有する
興味をもったことを表現し環境に活かす
  1. 環境(出合い)
    子どもたちと一緒に園庭に咲いている草花や生き物の名前を調べ、保育園図鑑を作った。
  2. 「ほいくえんずかん」拡大画像へ
    ほいくえんずかん(クリックで拡大)
いろいろなやり方で色水を作る

探究心→試行錯誤←意欲

  1. 環境(出合い)
    園庭に草花コーナーを設置。ビニール袋、様々な形のカップ、ストローなど準備しておく
    • 花びらと水を入れた容器が並べられている写真
      きれいなお花を入れて置いて
      おくと色が出るかな?
    • 容器に花と水を入れて混ぜている子どもたちの写真
      混ぜると色が出るかな?
    • 花と水を入れたビニール袋を揉んでいる子どもたちの写真
      揉むと色がでるかな?
    • プラカップに花と水を入れ、ストローで息を吹き込んでいる子どもの写真
      ブクブクすると色が出るかな?
きれいな色の花を集めて、もっときれいな虹色色水作りに挑戦する
  1. 水と数種類の色の花を紙コップに入れている子どもの写真
    きれいな色のお花をたくさん入れたから、きっと虹色になると思うよ!
  2. 水と数種類の色の花を混ぜて変な色になった水が入ったビニール袋を持っている子どもの写真
    (翌日)
    あれ?変な色になっちゃった。
  3. 同じような色の水がはいったプラカップが並んでいる写真
    きれいなお花をいっぱい入れたのに全部同じ色になっちゃった。
考察

園庭に咲いているたくさんの草花に子どもたちは心を動かされ、興味をもった。子どもたちと一緒に「何ていう名前だろう?」と草花の名前を調べることで、より親しみがもてるようになった。そして、今までの経験から、花を水に入れて揉んだり混ぜたりすると、花の色がどんどん出てきて「きれい!」と楽しむ姿があった。

しかし、一晩置くと、きれいな色だったはずの色水が「あれっ?みんな同じ色になっちゃった」と不思議なことが起きてしまった。『何でみんな同じ色になってしまったのか?』子どもたちの「科学する心」が大きく揺さぶられた。『きれいな花から色が出てくる面白さ』『色が変化する面白さ』の中で子どもたちは『楽しさ』を感じ、同時に『なんで?という不思議な思い』など疑問を感じながら遊びに夢中になっていた。

それが、「明日もやってみよう」という遊びへの意欲となり、子どもたちの色水への探求につながった。

子どもたちの色水への探求を、保育者も共に楽しみながら思いに寄り添い、環境の工夫を図った。子どもたちは、いつか虹色の色水ができることを信じて、繰り返し色水を作っている。

今後は、虹色の色水が実現できるように、子どもたちと一緒に考えて試行錯誤を支え、諦めずに探求できるように援助する。

事例2 きれいな色水を作る

子どもの姿を写真とコメントで共有する
色水を混色してできた色の疑問を、クレパス画でも再現できることに気づく

興味・関心・好奇心

  1. クレパスで重ね塗りをしてできた色を保育者に見せている子どもの写真

    クレパスを使って遊びを楽しんでいた時、Aちゃんが保育者の所へ来て、
    「先生、色水と一緒の色ができたよ」と、色を塗った紙を見せた。

きれいな色水作りに挑戦する

探求心・挑戦・意欲

  1. じょうごを使用して、花が入ったペットボトルに水を入れようとしている子どもの写真
    花びらが邪魔だなー。そうだ!これ(じょうご)を使えばいいんだ。
  2. 水と青色の花を入れたプラカップを持つ子どもの写真
    私は、青色の色水を作りたいから、青色のお花だけ入れたよ
  3. 黄色の水が入ったペットボトルを持つ子どもの写真
    私は黄色の色水を作ったよ
きれいな色水を生かしてジュース屋さん遊びを楽しむ
  1. きれいな色水ができると、ジュースに見立て遊ぶ姿が見られるようになる。

  2. 環境(出合い)
    ジュース屋さん遊びへと発展できるようコーナーを作った。
  3. きれいな色水をたくさん作り、その色水を使ってジュース屋遊びを楽しむようになる。活発にやりとりをし、満足気にジュースを作っている。
考察

色水作りでの体験で、様々な色の花を混ぜると最終的にみんな同じ色になってしまったことに、クレパス画でも気づき、確かめる姿には保育者の方が驚かされた。こうして、混色の体験を重ねた子どもたちは、「きれいな色の色水を作るには、一つの色の花をカップなどに入れて、作ると良い」ことに気づいた。

遊びの中で、ただ色水を作るだけではなく、「次はこうしてみよう!」「何でだろう?」と考えながら、目指す色水作りへ意欲的に挑戦していることを子どもたちの姿から感じることができた。こうしてできたきれいな色水を使いジュース屋遊びをすることに満足感を味わう姿を読み取ることができた。

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