保育のヒント〜「科学する心」を育てる〜

2歳児の「科学する心」/出雲市立窪田保育所(島根県)

2歳児の遊びを記録することは、ありますか?

今回は、泡と出合った2歳児の子どもたちが、よく見たり、触れたり、匂いを嗅いだりなどと、感覚・感性を発揮して遊ぶ姿を捉えた事例をご紹介します。言葉だけでなく、動きやしぐさや表情などへの注目が、「2歳児の科学する心」を読み取ることに繋がっています。

泡との出合い/2歳児

学級の様子と保育者の願い

学級の様子
  • 保育者や友達に親しみをもって関わろうとし、「○○ちゃん」と友達の名前を呼んだり、「一緒に遊ぼう」と誘ったりする姿が見られる。
  • 裸足になって遊ぶことに抵抗がなくなり、砂や泥の感触を楽しみながら遊ぶことを喜んでいる。天気の良い日には、子どもたちから、「外で遊びたい」との声が多く、外遊びを楽しみにしている。
  • 身近な小動物や虫などいろいろな対象に興味をもち、自分から関わろうとする。
保育者の願い
  • 一人一人が興味をもった遊びやお気に入りの物を見つけ、遊びの面白さや喜びをたくさん味わってほしい。その中で、好きな遊びを繰り返しながら、「あれっ?」と不思議そうな表情をしたり、「見て!」と目を輝かせて、保育者に見せたり誘ったりする好奇心旺盛な姿を大切にしたい。
  • 地域の豊かな自然環境に触れながら、2歳児のちょっとした「あれ?」という気づきや驚きを表す子どもの姿を見逃さず、興味を広げ、「面白いね」「不思議だね」と探索意欲をかきたてていく子どもを育てたい。

事例

5月16日
保育の様子と、保育者の思い
保育の様子 科学する心のめばえ
意識の流れ
考察と援助
わあ、いっぱいだ
  1. Bちゃんが、手洗いをしようと石鹸が入ったポンプを何度も押し、手にいっぱい泡を出し、泡だらけになった手を得意そうに友達に見せながら、「ほら、泡アワ、いっぱい」と気持ち良さそうに泡を触る。

「泡がいっぱい、おもしろい」(驚き)

考察
手を洗おうと石鹸のポンプを数回押すと偶然泡がたくさん出たことにより、驚きと、泡の感触や心地よさを掌で味わった。
援助
子どもたちの「触りたい」という声を受け止め、タライに石鹸水を作り、子どもたちの前で石鹸を泡立てる。
すごい、泡だ
  1. Bちゃんは、「泡アワいっぱい」と嬉しそうに言う。
  2. Cちゃんは、泡を見ながら「すごい」「泡だ」「大きい」とのぞき込む。
  3. Bちゃんのタライの中にそっと手を入れて、泡を触ってみる。
  4. 手を出したり入れたりを繰り返す。
  5. Bちゃん、「手が隠れるよ」と何度も繰り返し遊ぶ。

「さっきの泡より大きいな」(気づき)

考察
タライの泡に興味をもち、そっと手を入れたり出したりして、手や腕につく面白さを感じる。
援助
手についた泡を見て、「大きい泡」「白い」「モコモコだ」と自分が感じたことを伝えはじめる子どもたちに、「本当だね、大きいな泡だね」「モコモコしているね」などと共感する。
5月17日
保育の様子と、保育者の思い
保育の様子 科学する心のめばえ
意識の流れ
考察と援助
泡を、作りたい
  1. 朝から、「泡アワ、しよう!」と子どもたちから声が上がる。石鹸水を作り始めるとBちゃんが、「やりたい」と言い、手を入れてかき混ぜ始める。
  2. Cちゃんも手を入れてかき混ぜ始め、「わぁ、いっぱい、泡が出た」「すごい、すごい」と掌に載せて遊び始める。

「泡が、できた」(気づき)

繰り返して遊ぶ(不思議)(おもしろい)

考察
保育者が泡立てる様子を見て、泡を作ることに興味をもっている。
援助
保育者も一緒に遊びを楽しみながら、泡が増える様子や、触った感触など、その瞬間の子どもたちの気持ちやイメージを受け止め「わぁ、フワフワだね」「ソフトクリームみたいにおいしそうだね」と言葉がけをする。
5月23日
保育の様子と、保育者の思い
保育の様子 科学する心のめばえ
意識の流れ
考察と援助
容器に入れよう
  1. 自分たちで泡を作ることを覚え、石鹸水をタライに入れると、「洗濯だね」「お母さんみたい」と言いながらかき混ぜて泡作りを楽しむ。
  2. 泡だらけになりながら、自分の手で泡を掬う(すくう)ことを繰り返し楽しむ。
  3. カップやバケツを見つけたBちゃんが、泡を容器にいっぱいにして、「プリンができたよ」と得意そうに伝える。
 
考察
子どもたちは、『洗濯』というイメージを抱き、「お母さんみたい」と喜んでいる。大きな泡をずっとかき混ぜていると、フワフワの細かい泡になることも気づいているようだ。
援助
「お母さん、たくさんお洗濯ができますね」「きれいになるね」と、より遊びが面白くなるように言葉がけをする。
援助
かき混ぜて、泡の感触を楽しんでいる環境に、カップやバケツ、ペットボトルなどの容器を置いておく。
5月24日
保育の様子と、保育者の思い
保育の様子 科学する心のめばえ
意識の流れ
考察と援助
泡がない
  1. 昨日、容器に泡を入れたことを覚えていたBちゃんは、テラスへ出るとすぐにカップを取り出し、「わあ、泡がない」と友達や保育者に伝えにくる。
  2. 「どこに行ったかな?」と寂しそうにしているBちゃんを囲んで、子どもたちは困り顔になる。
  3. 匂いを嗅いでみて「石鹸だ」と言ったり、「白いお水」と言ったりする。

「泡がなくなった、どうしてかな」(驚き)

考察
次の日も泡があると思い見に行くと、消えていることに驚き、不思議に思う。
援助
かき混ぜたら泡ができることは伝えず、子どもたちの様子を見守る。
5月25日
保育の様子と、保育者の思い
保育の様子 科学する心のめばえ
意識の流れ
考察と援助
泡があったよ
  1. 泡がなくなった石鹸水をペットボトルに移し替えてみたBちゃん。入れていくと少しずつ泡が出始めた。
  2. 気づいたBちゃんは、「先生、泡があったよ」と嬉しそうに伝え、移し終えると友達に見せる。

「これに入れてみようかな?」(試す)

「やったぁ!泡があったよ」(気づき)

援助
泡遊びの環境に、かき混ぜたり移し替えたりできるものを置く。
考察
泡立てたり、偶然ペットボトルに移し、振ったりしたことでたくさんの泡ができることに気づいた。
考察
ペットボトルを振って泡ができることに面白さを感じて夢中になった。
援助
Bちゃんの、「先生、泡があったよ」の気持ちに「良かったね、泡があったね」と共感する。
5月29日
保育の様子と、保育者の思い
保育の様子 科学する心のめばえ
意識の流れ
考察と援助
シャボン玉みたい
  1. 掌に載せた泡をフッと飛ばして「シャボン玉みたい」と追いかける。
  2. 泡をカップにたくさん入れて、吹いてみたり、「いっぱいが、いい」と繰り返し試してみたりする。

「次はシャボン玉を作りたいなあ」(面白い)(やりたい)

考察
固く泡立った泡を吹くと、飛んでいくことに気づき、「シャボン玉したい」とシャボン玉遊びにつながった。
援助
シャボン玉遊びをしたい気持ちを受け止め、ストローやシャボン玉液も準備しよう。
考察
泡での遊びを繰り返し、十分に楽しむことによって、多様な泡での遊びにつながっていった。

考察

  • 2歳児の遊びは、『五感を働かせながら生活していくこと』そのものではないかと考える。保育者は毎日の生活の中で、子どもが、「あれっ?」と気づいたり驚いたりする瞬間を見逃さず、表情、しぐさ、動きなど、言葉に出せない表現を読み取る洞察力を磨くことが大切である。
  • 2歳児が、『五感を働かせながら生活していく』ために、恵まれた自然あふれる当園では、積極的に戸外(園庭、近くの山、田畑、小川)に出かけ、様々な自然現象や自然物、素材との触れ合いを積んできた。このことが、日々のちょっとした事象にも、「あれっ?」と感じる心を培っていると考える。
  • 例えば、泡に触れて「モコモコだ」と感触を言葉にする、「水が白い」と色の変化に気づく、「洗濯みたい」と匂いから連想するなど、手で触った感触や見た目の違い、匂い、昨日の記憶との違いなど、2歳児とはいえ、感覚感性を発揮する場面を捉えることができた。
  • 改めて、2歳児の感性の豊かさに驚かされると共に、一人一人が感じていることや気持ちをしっかりと受け止め、共感していくことが、子どもたちの「科学する心」の芽生えをさら豊かにしていくことと考える。
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