保育のヒント〜「科学する心」を育てる〜

環境の見直し~土~/学校法人勝田学園 大成幼稚園(埼玉県)

子どもたちが泥団子作りに興味をもち続けている時、どのような環境や援助の工夫をしていますか?

今回は、3歳児の頃から泥団子に興味をもって取り組んでいた子どもたちが進級し、さらに泥や砂や水と関わりながら、新たな物も使って、「壊れない泥団子を作りたい」「泥団子を光らせたい 」と思いをもち、体験を深めていく姿に注目した実践をご紹介いたします。

泥団子作りに挑戦/4歳児

泥団子に興味をもって:4月19日~

保育の様子と、保育者の思い
保育の様子 保育者の思いと援助

3歳児の頃から泥団子作りに興味をもち、作ることができるようになった子どもたちが、クラスの皆から認められる場を保育者は作った。得意げな顔や恥ずかしそうな顔をしながら、どうやったら上手に作れたかを友達に伝えた。

3歳児の時に楽しんでいた泥団子作りを、さらに楽しんでほしい。

  1. Aちゃん:「戦いごっこの所の、煙が出る所の砂をかけるいい」(子どもたちがよく戦いごっこをしている園庭に、粒子の細かい砂が集まっている場所があり、乾燥していると砂煙が上がる)
  2. Bちゃん:「Y先生が、水を入れると固くなるって言っていた」「ギュッギュッとした」
  3. Cちゃん:「手で擦るとピカピカになったよ」
  4. 保育者:「手には何か付けたの」
  5. Cちゃん:「何も付けないよ」

A児は、園庭の土や砂の環境を知り、遊びに活かしている。

子どもたちは、興味津々で話を聞いていた。保育者は、子どもたちが泥団子作りをさらに楽しめるように、環境を見直し、園庭の土の種類を増やしたり泥団子の写真を保育室に貼ったりした。

できないよ!!
保育の様子 保育者の思いと援助

泥団子にとても興味があったYちゃんだったが、土に水を混ぜないために何度握っても壊れてしまう。保育者は、友達に聞いてみたらどうかとアドバイスをするが、自分の力で作りたいという思いが強く一人で悪戦苦闘する。そして悔しさから、「なんでできいなんだよ!」と泣き出してしまう。

後日Yちゃんは、「またやってみたいから教えて」と保育者に言いに来て、再び挑戦した。

Y児の思いを十分に受け止め、一緒に土を丸めて形を作る援助をした。

白砂発見!
保育の様子 保育者の思いと援助

Gちゃんが、「ここの砂が良さそう!」と言うと、それを聞いたり見たりしていた周りの友達が、Gちゃんが見つけた白砂を使い始める。

  1. Gちゃん:「白砂かけたら固くなったよ!」と、嬉しそうに言う。

その後、保育者は、保育室に戻る前に全体に声をかけ、園庭で泥団子を皆に見せる機会を設けた。

情報を伝え合ったり、認め合ったりできるように泥団子を見せる機会を設けた。

  1. Hちゃん:「見て見て!きれいでしょ?」
  2. 保育者:「凄いね。どうやって作ったのか、みんなにも教えてくれる?」
  3. Hちゃん:「Gちゃんに教えてもらった白砂をかければいいんだよ」と、友達が見つけた白砂を使ったことを教える。

友達同士で考えたり気づいたり発見したりしたことを教え合って共有してほしい。

その後も泥団子作りは続いた。泥団子を掌で擦り、「擦るときれいになるね」と、友達と確認し合っている。また、初めて泥団子作りをする友達には、自分たちが知っていることを教える姿も多く見られた。

やっぱり違うね:4月25日~

保育の様子 保育者の思いと援助

3歳児の時にも泥団子作りをしていたJちゃんとMちゃん、土台を作り終えた後、上からかける白砂を探している様子。木の根元にある白砂をかけていた。

  1. Jちゃん:「あっちに行ってみようよ」と、木の下から砂場に移動する。砂場の砂をかけて擦ってみる。
  2. Mちゃん:「やっぱり違うね」と、再び木の下へ移動して、白砂をかけて擦り続ける。
  3. Mちゃん:「ピカピカになってきた」
  4. Jちゃん:「きれいになった!!」

「やっぱり違う」と発言したM児。この発言から3歳児の時に経験した「さらさらの砂」の感触と砂場の砂の感触が異なることに気づいていることがわかる。

この日はそのまま、木の根元の乾いた白砂をかけて擦る作業が続いた。

あれ?光らない…5月9日~

保育の様子 保育者の思いと援助

5月になり、ある程度擦った後、泥団子に変化が見られなくなる、子どもたちの興味が薄れ始めた。そこで、子どもたちが興味を広げたり深めたりするには、どのような工夫が必要かを保育者間で相談した。

「泥団子を光らせたい」との子どもたちの思いを受け止め、より光らせるための道具(数種類の布、瓶等)また、いつでも見ることができるように泥団子に関する本を保育室に置いておいた。

Cちゃん、Iちゃん、Lちゃんが、泥団子を擦っていると、だんだん壊れ始める。

壊れた泥団子に水と土を足してもう一度作り直すことに…。すると、中から、石の塊が出てきた。「だから壊れたのかな…?」「石を取り除こう!」

3人は、じょうごを使ってこしたり、すり鉢で土の塊を細かくしたりした。

数日後、砂場の砂を使って作った泥団子は、布で擦れない(崩れてしまう)ことに気づく。

Oちゃんは、「壊れちゃうー擦れない!!」と言いながら、友達が作っているのを見て、土(荒木田土)を使って作った泥団子は、壊れないことに気づく。そして、「やり直す!」と、言って再挑戦する。この発見をきっかけに荒木田土を使って泥団子を作る子どもが多くなった。

瓶で擦る:6月6日~

保育の様子 保育者の思いと援助
  1. Qちゃん:「割れちゃった!?卵みたい…!」周りの皮(被膜)が剥がれる。ジャムの瓶で擦ると少し輝いた。
  2. Rちゃん:「Qちゃんすごい!私のも瓶で擦ると光りそう…!」
  3. 翌日、Qちゃんは、「飲料の瓶で擦るとさらにピカピカになる!!」
  4. Rちゃん:「白砂をかけてから擦ると光る!」「負けないぞ!」

瓶で擦ると光ることはわ かったが、その後続けていると凸凹が目立つ様になるという新たな問題が発生した。この解決の方法は保育者も分からず、子どもたちと一緒に試行錯誤しながら取り組む。

Cちゃん、Iちゃん、Lちゃんが、泥団子を擦っていると、だんだん壊れ始める。

壊れた泥団子に水と土を足してもう一度作り直すことに…。すると、中から、石の塊が出てきた。「だから壊れたのかな…?」「石を取り除こう!」

3人は、じょうごを使ってこしたり、すり鉢で土の塊を細かくしたりした。

数日後、砂場の砂を使って作った泥団子は、布で擦れない(崩れてしまう)ことに気づく。

根気強く擦り続けて数日後、瓶で擦ると良いいとうことが皆に伝わり、家庭から瓶を持参する子どもが増えた。道具を使いたい思いから、久しぶりに泥団子作りをやり始める子どもも増えた。

砂場の砂を混ぜて作ってあった泥団子は、瓶で擦った時に割れてしまう。すると子どもたちは、赤土を使って作り直していた。この頃になると友達同士で「光った?」と、聞き合ったり見せ合ったりしながら一緒に作る姿が多く見られるようになる。

その後…

「なんだかボコボコしていて、きれいにならない所がある…」

Sちゃんは、「あ!!水付けたらピカピカになった!」と、たまたま、水道の水で、濡らし擦ったらピカピカになったと言う。

ボコボコしていることに困っていた子どもたちや保育者も、それを聞いて同じように水を付け擦ってみた。

みんな:「本当だ!!」「大発見!」

考察とまとめ

  • 子どもたちが「できない」と、壁にぶつかっている時や遊びを深めていく時には、次の展開を考え環境を見直し再構成していく(土や道具など)必要があるのではないかと感じた。それにより新たな方法に気づいたり、また挑戦してみようと子どもたちの気持ちも変化したりしていた。
  • 展開の過程で必要になったのは、保育者自身が泥団子作りについてよく知ることであった。そして、子どもたちの姿をよく見ること、その上で、保育者間で子どもたちの気づきや発言を記録し、共有し話し合い、見通しをもつことが重要であった。
  • 遊びの過程で子どもたちは、「〇過去の体験との比較〇土や砂の感触の違いに気づく〇失敗やうまくいかなかった時には悩み、葛藤し改善策を考える〇友達と教え合う〇成功した時には共に喜び共有する」など様々な感情体験をすることができた。また、その中で様々な発見があり、知識を獲得することもできた。このように興味をもった一つ一つのことに対し、疑問をもち追求しいくことが、「科学する心」であると考える。
  • 子どもたちの遊びの姿には、保育者にとっても新たな発見が多くあった。偶然から驚くようなことがないくつも生まれるのである。そうした心を動かす体験に寄り添い共感することは、子どもたちの「科学する心」を豊かにすることへつながっていくのではないか。
ページの先頭へ