保育のヒント~「科学する心」を育てる~

体験を読み取る観点/学校法人山梨学院 山梨学院幼稚園(山梨県)

子どもたちの遊びは、どのようなきっかけから生まれていますか?

今回は、クモを見つけた子どもたちの事例です。クモを飼育し、観察を楽しみながら、クモの魅力を遊びに取り入れていく事例です。保育者は6つの観点をもって子どもたちを見取ることで、子どもたちが創り上げていった遊びの過程から、「科学する心」の育ちを捉えています。

飛ばせるおもちゃ研究所/4歳児

本園では、幼児期に育みたい「科学する心」を「生活・遊びの中で生まれる興味・関心をきっかけに 1驚き、不思議さ、感動を味わい 2子どもたち自身が友達と共に 3試行錯誤を繰り返し 4のびのびと表現し 5獲得・達成の喜びを味わい 6、夢中になって探究していく心」として捉えている。そこで、保育記録を、この16の観点で分析し、子どもの体験への理解を深める。

夢中になって探求していく心

  • 生活・遊びの中で生まれる興味・関心をきっかけに 1

    クモを飼いたい

  • スパイダーマンになろう

    のびのびと表現し 5

    ぼくたちも糸を出す道具がほしい
    作ってみよう

  • 試行錯誤を繰り返し 4

    どうやったら飛ぶのかな?

いつでも好きなだけ使えるように置いてある身近な素材
  1. クモを見つけた子どもが「クラスで飼いたい」と言い、虫カゴに入れて飼うことにした。1
  2. 毎日のようにクモを観察したり、図鑑で見たりしていた子どもたち。クモが糸を出すということ2にも興味をもった。ある子どもが「クモもスパイダーマンも糸を出すね」「スパイダーマンもクモだよ」とスパイダーマンの真似をして遊ぶようになった。5
  3. 男の子たち数名は、スパイダーマンが腕から糸を出す姿に憧れたようで、その道具を作ろうと製作を始めた。5
  4. 子どもたちは、素材コーナーから見つけてきたラップの芯とゴムとタコ糸を使い、ゴムの伸縮する力を利用して、タコ糸をつけたゴムを遠くまで飛ばし始めた。3 4
  5. その後、子どもたちは、糸だけではなく、素材コーナーにあるいろいろな物を飛ばそうと試すようになった。3 4
  6. Aちゃんは、一見、物を飛ばす道具になるとは思えないプラスチック製のスプーンの先に、ペットボトルのキャップを乗せて手を離すと、ペットボトルのキャップが飛ぶことを発見した。4 6
  7. Bちゃんは、ペットボトルのキャップを床に置き、指で端の一か所をグッと押すと飛ぶことを発見した。4 6
  8. 子どもたちは発見したことを友達と伝え合うようになった。3 6
  9. 子どもたちは、「これ、お家にあったバネなんだけどね、ギュッて押して手を離すとピョンって飛ぶんだよ!」6「こんなに太いゴムを見つけたんだ!」と、家庭からもいろいろな素材を持ち寄り、遠くに飛ばすおもちゃ作りに励んでいた。5
  • 驚き、不思議さ、感動を味わい 2

    クモって本当に糸を出すんだね

  • 友達と共に 3

    一緒にやってみよう

  • スプーンでも飛ばせるよ

    獲得・達成の喜びを味わい 6

    バネも飛ぶよ

「スパイダーマンみたいに
糸を出す道具を作りたい」
「ゴムって、よく伸びるよね」
「どれが、よく飛ぶかな?」

考察

  • クモやスパイダーマンが「糸を出す(飛ばす)」様子に興味をもち、子どもたちは、糸を飛ばす道具を作りたいと考えて製作を始めた。
  • その後、「飛ぶもの」への興味・関心が強くなった子どもたちは、タコ糸だけではなく、日常の生活の中では一見「飛ぶ」イメージがないペットボトルのキャップも、一箇所を押したり、スプーンに乗せたりしながら、なんとかして飛ばそうとするようになった。
  • 子どもたちの「飛ぶもの」の探究は園だけでは留まらず、家庭生活でも続いていた。飛ばすために使えそうな物があると園に持って来て、「みんな、見て!これ飛ばせるよ」と、見つけた物を友達に伝えたり、園の遊びの中で使ったりするようになっていった。保育者は、このような子どもたちの自主的な姿を認めたり見守ったりした。
  • 記録を「科学する心」を捉える6つの観点で分析することにより、体験の内容を把握し、理解を深めることにつながった。
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