保育のヒント~「科学する心」を育てる~

色水〜試しや工夫〜/社会福祉法人長尾会 第2長尾保育園(大阪府)

子どもたちが、色水遊びをする時、どのような素材を選んでいますか?
園庭の花びら葉、香草、野草水に入れると色が出る紙など、多様な素材に関わって色水を楽しむ子どもたちの実践事例がプログラムに寄せられています。

今回は、5歳児の取り組みに刺激を受けた3歳児が、色水遊びをする姿に注目した事例です。色を作る素材だけでなく、色水を出す方法として、素材を潰す、擦るなど3歳児なりの試しや工夫ができるような環境の工夫も参考になります。

にぎにぎすりすりしたい!/3歳児

5月:年長さんみたいに色水を作ってみたい!

  • 5歳児が拾ってきたツツジの花びらを見て、「可愛い」「きれいやな」「ピンク色やー」「このお花、色出るかな?」「色水作れるかな?」と、3歳児Aちゃんが言う。3歳児の子どもたちは、5歳児の様子に刺激を受けて、すり鉢とすりこぎを使い、色水を作ることに挑戦した。

  • 5歳児Bちゃんがすり鉢で花びらをすり潰している様子を見て、3歳児Cちゃんたちが真似てみるが、なかなか上手くできない。「なんで、できひんのかな?」と、5歳児の姿を覗き込んでいる。すると、5歳児が、「ここ持つねん」などとすり方を教えてくれた。教えてもらった方法で行うと、色が出てきたので、にっこりする。そして、「ちょっと水入れたらいいねん」とも教えてもらう。3歳児Dちゃんが、水を入れるとピンクの色水になり、「できたで!」と、満足気に言う。

6月:いろいろな物で色水を作ってみよう

  • 園庭で見付けたヤマモモに興味津々の子どもたちは、ツツジと同様に、すり鉢とすりこぎで、色水を作り始めた。すると、ヤマモモの形も丸く、すり潰し難いことからなかなか思い通りにいかなかった。そこで、保育者は、潰す方法も試せるようにと、ビニール袋を提示した。

  • ヤマモモの色水作りでは、すり鉢でする方法以外にも手で潰す、揉むことでも、色が出ることを知った子どもたちは、「なんか気持ちいい」と、感触も楽しんでいた。

7月:ジュースを作りたい!

  • おやつに出たオレンジを食べた後、皿に残っていた果汁を見付け「ジュースや!」と、Eちゃんが言った。

  • それをきっかけに周りの子どもたちからも、「ジュースだ」「ジュース作りたい」と、声があがり、オレンジジュース色水を作ってみることとなった。保育者が、使う材料を尋ねると“オレンジの皮”という意見が出たので、皮を使って試すことになった。スイカの皮もあったので一緒に作ることにした。

  • 「ギューって押してみよう」「両手で絞ってみよう」「見て!色水できたで!」
    今までの経験から、すり鉢を使ってすり潰す子ども、「ビニール袋に入れて、揉む方が簡単だ」と、手で探む子どもと、それぞれ考えた方法で、色水を作った。

  • 色があまり出なくなると指で押し潰したり、すりこぎで叩いたり両手で絞ってみたりと、自分たちでいろいろな方法を試していた。できた色水を友達に見せたり、お互いの色の違いに気付き、「なんでやろうなあ…」「水もっと入れたら、もっと色が出るんちゃうん?」と、話し合ったりする姿が見られた。

  • 「なかなか、色が出てこない」「色をもっと濃くしたい」などの思いから、「水を入れると色が出る」と、考えて水をたくさん入れる子どもがいた。また、「もう、でーへんくなった」「もうちょっと、ミカン入れよう」などと、色がより出るように材料を足す子どもなど、自分たちで工夫する姿が見られるようになった。

  • 同じスイカでも色味が違うことに気付き、「なんでかな?」「だって、こっちは赤いの(スイカの実の部分)がないやん」などと、色の違う原因を考え合い気付く姿もあった。

7月下旬:いろいろな方法で試してみよう

  • 子どもたちが、園庭に落ちている葉を拾ってきた。去年までの経験から「葉っぱでも色水作りたい」と、葉でも試してみる姿に繋がった。

  • すり鉢で葉を擦っていると、だんだん葉の色が薄くなってきて、「先生!色変わってきた!」と、気付いたことを言葉にする姿も見られた。

  • 「すりすりしているのに色でーへん」と、枯れている葉は、あまり色が出なかった。原因として、最初から水を入れてしまったため、うまくすり潰せず混ぜているだけになってしまった。

  • 「シャカシャカしたら、出るかな?」と、Fちゃんは、ぺットボトルに水を入れ、振ってみた。最初のうちは色が出ず、「なんでかなー?」と、保育者に聞いたり、さらにペットボトルを強く振ったりしていた。 翌日、葉の色が出ていることを発見し、「ちょっと色、出てるで!」との声にみんなが集まり、Fちゃんは、「ほんまやなあ」と、喜んでいた。

  • 保育者は、子どもたちの気付きを認めたり、疑問を一緒に考えたりの援助をし、色水遊びがより楽しめるように場や素材などの環境を整えた。

振り返って

  • 花や葉っぱ、木の実から始まり、果物の皮や枯れた葉など、いろいろな自然物の素材と関わる中で、「色水を作りたい」思いが、大きくなっていった。
    また、すり鉢やすりこぎ、ビニール袋やペットボトルなど、様々な道具を使って色水ができることに面白さを感じ、以下のような気付きがあった。これらの気付きやできた喜びを保育者が大切に共有することで、子どもたちの思いは次に繋がった。

    • 「花びらは、少しの力ですり潰し色が出る」
    • 「葉っぱは柔らかいものだと少しの力で潰せて色が出る」
    • 「枯れている葉や固いもの(果物の皮など)は、色を出すのが難しい」
    • 「ヤマモモの実は、力を入れて押したり揉んだりして潰すと色水が出る」など
  • 3歳児の子どもたちは、5歳児や保育者に見たり聞いたりしながらも、自分なりの方法で試したり工夫したりしたことで、成功体験を味わうことができた。また、色水ができると友達や保育者に伝えたり、喜びを共有したりするなどの関わりが、一人一人の自信となり、「今度は、こうしてみたい」「もっとやってみたい」思いに結びついている。

  • 色水を作ることができる自然物への気付きや興味を大切に受け止め、「色水が作りたい」「やってみたい」と、思ったものに、自分から試したり工夫したりして取り組めるように環境を整えていきたい。

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