保育のヒント~「科学する心」を育てる~

「科学する心」が育まれる姿 Ⅱ/福島市立庭塚幼稚園(福島県)

鬼ごっこでは、子どもたちが自分たちでルールを決めたり、変えたりする姿はありますか?

今回は、影踏み鬼をする中で、影の面白さや不思議さを発見したり、影踏み鬼だからこそ気付いたりしてルールや遊び方を考えて、自分たちで遊びを楽しんでいる子どもたちの事例です。

子どもたちは影の様子から、太陽の光の変化や、天候や時間による変化などに気付き、遊びながら様々な学びをしています。

影踏み鬼/5歳児(6月)

空には雲一つない天気の良い日、Aちゃんが、「あ!Bちゃんの黒い影動いている!」と、影の存在に気付いた。今まで影踏み遊びはしたことがなかったが、紙芝居を見たことで、遊びに興味をもち遊び始めた。

「影を踏むの難しい」

影踏み鬼で遊ぶ子どもたち

これまで活動してきた鬼ごっこと動き方が変わらないが、影を踏むのはなかなか難しい様子が見られた。「どうすれば影を踏むことができるのかな?」と言う子どもがいる。何度か繰り返しているうちに影踏みの遊びが楽しくなる。鬼ごっこと違い、影が動いているのでなかなか踏めない。何度か繰り返しているうちに影踏みの遊びが楽しくなる。当初は、なかなか影を踏めず捕まえることが難しい様子であった。影が自分の前にあったり後ろにあったりする影踏み遊びには、大変興味をもったようで、友達を誘い合い遊びが始まるようになった。

「あそこに木の影がある」

校庭の大きな木と、木の影

天気がよく、影が見える。広い校庭を走り回り疲れた様子のAちゃんが、「ねぇ、疲れたらここに来てもいいかな」と、校庭の大きな木で日陰になり影が見えない場所を見付けて言った。Aちゃんの発言に、周りの子どもも同意する。遊びに1回目の新しいルールが加わる。Dちゃんは、鬼に捕まらないように素早く身をこなし逃げる。それぞれ、逃げ方を考えて取り組むようになってきた。

「あれ?影が…」

薄い影

今日は雲の多い日で影が薄く、時々消えてしまう。昼食後、影が出てくるようになり、子どもたちは影遊びを始める。

Bちゃんが、「あれ、影がこっち側にあるよ!」といつもとは違う場所に影ができるのを発見する。「どうしてかな?」「いつもは、こっちなのにね!」と、子どもたちは自分の姿を影に映して考える。何度か体を移動させながら、影を映して「なぜだろう!」と友達と一緒に考える。Cちゃんが、大きな声で「分かった。ほら太陽が向こうにいるよ!」と吾妻山に近い方の空に太陽が輝いている。「そうか!」「太陽向こうだものね!」と周りの子どもも納得する。保育者はCちゃんの発見に共感しながら、子どもたちと一緒になって影を確かめながら、太陽の位置によって影のできる場所が違ってくることに気付けるように話す。

「影踏み遊びから影絵遊び」

手を使って影絵あそびをする子どもたち

影踏み遊びから、影絵遊びの楽しさも味わうようになる。「見て見て、鳩の形になったよ」「面白い、こんなふうに映る」などと、友達と一緒にいろいろと試しながら遊ぶ姿が見られるようになった。

考察

  • 他の鬼ごっこを楽しんだ体験があったことで、子どもたちは影への興味を深めていった。影遊びは、天気の良い日、雲の多い日、午前と午後など太陽の位置と時間、天候に大いに左右される遊びなので、子どもたちは、様々な気付きや不思議さを感じる体験をしている。その体験を積み重ねることで、「科学する心」が育まれている。
  • 保育者は、子どもたちの気付きを見逃さずに受け止めている。そして、様々な気付きや発見を友達と一緒に感動したり共感したりできるようにする援助が、さらに新しい遊び方への展開や、子どもたちが遊びの楽しさを味わうことに繋がった。
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