保育のヒント~「科学する心」を育てる~

保護者への発信/二本松市立小浜幼稚園(福島県)

保育者が魅力を感じる子どもたちの姿は、保護者にとっても、成長を感じる嬉しい情報です。

今回の内容は子どもたちの園での発見をクラスだよりで家庭にお知らせし、家族で話題を共有した事例です。

子どもたちは園庭の小さな生き物「カタツムリ」の小さな糞に注目します。飼育物の世話をすることで、多くの体験をし、学ぶ喜びを味わっていることを、子どもたちの姿から読み取ることができます。その姿を保護者にも伝えたことが、環境の工夫に繋がっています。

発見がいっぱい~カタツムリ~/4歳児

「何を食べるの?」4月~

園庭で遊んでいると花壇で小さなカタツムリを見付けた子どもたち。怖がる子どもはいなく、みんなで「かわいいー」「触りたい」と興味津々の様子を捉えて、クラスで飼うことを保育者が提案する。子どもたちは大喜びで飼育箱に草を入れて飼い始める。

翌日

登園すると、「カタツムリ元気かな?」「いた、いた!」「なんで、カタツムリは落っこちないのかな?」「体がネバネバだからじゃない?」と言い、様子を見ていたRちゃんとHちゃんは、保育者と一緒にテラスで掃除を始める。すると2人は、5歳児も飼育箱の掃除を始めたので見に行く。「めろん組のカタツムリ、大きい! それにトンネルが入っている!」「砂が入っているね。いちご組の箱にも入れようよ!」と話し合う。

3日後
図鑑で調べる子どもたち
  1. Rちゃん・Hちゃん・Kちゃんが、保育者と飼育箱の掃除をする。
  2. Rちゃん「カタツムリって何食べるんだろうね?」
  3. Kちゃん「葉っぱじゃない?」
  4. Rちゃん「めろん組さんのには、キュウリとか入ってたよ。」
  5. 育てていくための疑問も出てきていると思った保育者は、「めろん組さんのカタツムリ、見てきたらどうかな?」と言うと、3人は5歳児の様子を見に行く。すると、5歳児が虫を捕まえ、図鑑を見ていた。
  6. Rちゃんは、「本だよ! なんかの本! いろんな虫が載ってた。飼育箱の後ろにあったかも…」と、保育者が置いていた図鑑に気付いて探し、図鑑を持ってきて見始める。
  7. 「あった、あった! カタツムリ!」「卵の殻食べるんだ! キャベツも! キュウリも! ジャガイモも!」「じゃあ、ぼくはキュウリ持ってくる!」と、子どもたちはやりとりをする。
  8. 翌日、Rちゃんが持ってきたキュウリを飼育箱に入れる。
  9. その後、Hちゃんは「カタツムリ、キュウリ食べたー!」と言うと、クラスのみんなが「うそー!! 本当だ!」と言い見る。Rちゃんは、「今度は卵の殻持ってきてみよう」と言う。

「カタツムリのうんち?」5月2日

葉に残っていた緑色のふん
  1. HちゃんとRちゃんは「砂も取り替える?」「フタにカタツムリを乗せとこう。あと、木と水入れもとって…」「葉っぱ捨てちゃうね」などと言いながら、掃除をしている。
  2. 保育者は一緒に掃除をしながら「あれ?これ何だろう?」とつぶやく。
  3. Rちゃん・Hちゃん「えっ!! なになに??」
  4. Kちゃんは、「もしかして…カタツムリのうんち?!」と話し、よく観る。
  5. 子どもたちは、「うんち、緑色―!」「小っちゃい、うんちだね。ちょっと気持ち悪い」「ニュルニュルニュルって、なってるね!」と口々に言う。
  6. Rちゃん「ぼくの持ってきたキュウリを食べたからかな?」
  7. Kちゃん「今度は、卵の殻を持ってきてみる!」
  8. Hちゃん「ぼくはニンジン!」と言う。
  9. その後、Kちゃんは卵の殻を持って来て、飼育箱に入れる。

「白いうんち」5月9日

葉に残っていた白色のふん

カタツムリの掃除をしているAちゃんが、「卵の殻が小っちゃくなってる!!」と言う。Rちゃんも「ほんとだ、ほんとだ」と気付く。

  1. 「ねーねー!! これ!! 白いうんちじゃない!?」
  2. 「すげー!!!」
  3. 「ほんとだー! 卵の殻を食べたからだ!!」
  4. 「今度は、人参持ってきてみようかな?」

「クラスだよりで、子どもたちがカタツムリに興味をもつ姿が保護者に伝わった」5月24日

クラスだより5月号
クラスで飼育しているかたつむりのお世話に一生懸命です。飼育箱の草や土、水を交換してげたり、手の上に乗せて『かわいい(ハート)』と触ったり…愛着が芽生えてきているようです。『すごい!! 目がでてきた』『なんで横になっても落ちないのかな?』『かたつむりって何を食べるの?』などと興味、関心を抱き、図鑑で調べています。生き物との触れ合いを通して、子ども達の発見や興味を大切にしていきたいと思います。
掲載部分拡大図
卵の殻に入っているカタツムリと
エサ(きゅうり・卵の殻)の様子

保護者へ伝えるため、子どもたちの虫に対するつぶやきや関わり方の様子などを、クラスだよりに記す。

クラスだよりを読み、いろいろな生き物との触れ合いを通して、様々な発見をして欲しいと、保護者とKちゃんが、家で見付けた大きなカタツムリを園に持って来てくれた。

みんな大興奮。「大きいと迫力が違うんだな」「体もよく見えるから、発見も多そうだな」「キャベツの畑にいたんだよ。大きいでしょ!」「キャー!!」「すごーい!」「大きいー!」と、口々に言う。

翌日
  1. 「みんなー! 大変だー! 見てみて~!」
    飼育箱にあったふん(少しオレンジ色がかっている)
  2. 「ちょっと、オレンジっぽい色…ニンジン食べたんだ!」
  3. 「うんちがいっぱいだよー」
  4. 「うんちがいっぱいだよー!」
  5. 「うんちがいっぱいだよー!」
  6. 「早く、掃除してあげないと!」
  7. と、子どもたちはうんちの観察も自然とするようになった。そして、子どもたちはカタツムリも体の大きさによって、食べる量や排出物の量が違うことに気付いて驚いていた。
  8. 汚い家では嫌だろうと、自分たちで掃除を始める。

考察

  • 子どもが自分たちでカタツムリを見付けて飼い始め、世話をしてきたことで、毎朝様子を見たり、声をかけたり、家からエサを持ってきたりと、愛着が芽生え、命の大切さ、尊さを感じるきっかけとなったのではないかと思われる。
  • 初めは数人がカタツムリに興味を抱いていたが、面白い発見があると自然にクラス全体に知らせ、みんなで観察をする場面が多くなった。その中で、子ども同士の会話が生まれ、一体感が出てきた。共に同じものを見たり、感じたりしたことで、子ども同士の仲(繋がり)も深まってきたではないかと思われる。
  • 保護者への発信としては、お便りや登降園時に口頭で、子どもたちの様子を知らせてきた。そのことで、保護者の方の思いからも、よりよい環境を整えることができた。クラスだよりの発信の工夫で子どもたちの気持ちが伝わり、親と子の話題の共有にも、繋がった。
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