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<開催速報>2019年度 最優秀園実践発表会:山梨学院幼稚園(山梨県)ニュース

テーマ 子どもの数だけ「科学する心」の入り口がある
開催日 2019年6月29日(土)
会場 学校法人山梨学院 山梨学院幼稚園
主催 学校法人山梨学院 山梨学院幼稚園・公益財団法人 ソニー教育財団
講演 河邉貴子氏/聖心女子大学 教授
牛乳パックの水路から出てくる水で遊ぶ3歳児
ストロー飛行機飛ばし(世界旅行)をする5歳児
国旗映画館で映っているかを試す5歳児
古代米の様子を観察する相川氏と子どもたち
研究発表
付箋を使ってのグループ協議
4歳児の手に付いた鱗粉がよく見えるように
黒画用紙を提示する保育者
河邉貴子氏

2018年度「ソニー幼児教育支援プログラム」の「最優秀園」である学校法人山梨学院 山梨学院幼稚園において、「最優秀園実践発表会」を開催しました。関東甲信越地区を中心に、北は北海道、南は関西各地の幼稚園、保育所、認定こども園、小学校、聾学校などの教育・保育関係者など、総勢約470名の参加がありました。山梨学院の豊かな教育環境を生かし、山梨学院幼稚園では公開保育、メモリアルホールでは研究発表や記念講演、サザンタワーでは協議会が実施されました。

公開保育では、年齢ごとの実態を活かして創意工夫された環境の中で、子どもたち一人一人がめあてや思いをもち生き生きと遊んでいました。牛乳パックで作られた長い水路で遊ぶ3歳児は、水路に水を流す姿、水路から水が漏れる所で水を集める姿、砂場に流れ出る水で遊ぶ姿など、自分の興味のある遊びに夢中になっていました。4歳児は、園庭で見つけた多くの虫や保護者の協力でクラスで飼育することになった小さな生き物を、観察したり、発見を友達に伝えたりする姿がありました。5歳児は、国旗への興味が遊びにつながり、国旗を光で写し出す映画館やストローで飛行機を飛ばす世界旅行ゲームなどを友達と進める姿がありました。

また、論文の事例の一つでもある古代米は、今年も園庭で栽培されています。当時から子どもたちと交流のある山梨県曽根丘陵公園園長代理の相川省五氏が古代米の様子を観察されていると、子どもたちや保育者に囲まれ、栽培について話される場面がありました。その後、教えていただいた水の管理について早速実践する子どもたちの姿がありました。

公開保育後は、メモリアルホールに移動し、開会式・研究発表が行われました。開会式では、ソニー教育財団会長 盛田昌夫による挨拶があり、主題に迫る保育の事例とともに、山梨学院幼稚園の「最優秀園」として評価された点を述べました。

研究発表では、主題「科学する心を育てる」に取り組まれてきた7年の研究プロセスを含め園の主題への考えを基に、本発表会のテーマ「子どもの数だけ『科学する心』の入り口がある」に至った一昨年の実践の成果を発表されました。その後、公開保育に至るまでの遊びのプロセスや体験の内容について年齢ごとに発表がありました。

午後はサザンタワーの3か所に分かれ、1グループ5~6名でのグループ協議が行われました。参加者の皆さんが、「一人一人の子どもの『科学する心』の入り口を見逃さずに受け止めるには」と「入り口を受け止めた後、どう遊びを深め広げて、『科学する心』を育んでいくか」の2つの参観の視点をもって記述された記録を生かし、熱心に話し合われました。「子どもたちが思いや発想が実現できる本園の物的な環境により、一人一人の入り口が豊かに出現している」「手に付いた蝶の鱗粉が何であるか、すぐに答えを出さずに一緒に不思議がり、よく見えるように黒い画用紙を提示する援助があった」「『花粉?』と言っていた子どもが、その後鱗粉だと知る環境など、興味に添った環境がある」「興味や関心を捉え、変化する場面を見逃さない」など、公開保育の具体的な場面を通して協議が展開されました。

最後に、「『深い学び』を支える保育者」を演題に、聖心女子大学教授 河邉貴子氏による記念講演がありました。子どもたち一人一人の思いや体験を重要視して、子どもたちが主体的な生活ベースで目的に向かう「形成型プロジェクト」、子どもたちが自ら課題や問題探究する「問題探索」学習など、本園の保育における子どもたちの体験と保育の特徴をあげられました。特に、「子どもたちに育みたい思考力」について丁寧に論じる中では、「最優秀園」に選出された論文の事例を関連付けて述べられ、参加者のテーマへの理解が深まりました。さらに、「深い学び」については、ICEモデル「Ideas基本的な知識・概念」「Connections基本的な知識・概念間の関係・つながり」「Extensions知識・概念の専有化・応用・価値や影響についての考察」を取り上げて、本園の実践にみられる深い学びや学びのプロセスについて述べられました。深い学びを支える保育者の役割について、本園の保育者は、子どもを理解した上で、子どもと同じ目線・同じ立場で一緒に活動する「探究の共同体」であり、子どもを取り巻く大人との出会いをデザインし、子どもたちの深い学びにつながっていることが大きな特徴であると強調されました。

2019/07/02