ニュース

<開催速報>2017年度 最優秀園実践発表会:奈良市立都跡こども園(奈良県)ニュース

テーマ 「科学する心を育てる」“もっとおもしろく”で広がる遊びの世界~夢中になって遊ぶ姿を見つめて~
開催日 2017年7月8日(土)
会場 奈良市立都跡こども園
主催 奈良市立都跡こども園・公益財団法人 ソニー教育財団
講演 大豆生田啓友氏/玉川大学 教授

7月8日(土)、真夏のような暑さの中、2016年度「ソニー幼児教育支援プログラム」の「最優秀園」である奈良市立都跡こども園において、「最優秀園実践発表会」を開催しました。奈良県の保育者中心に、北海道から福岡まで全国各地の保育者、保育者養成校や行政などの保育関係者約250名が参加しました。



公開保育では、登園後、栽培物や飼育物と関わる子どもたちや親子で観察する姿が、3歳児から5歳児までの、どの学年の子どもたちにも見られました。その後、園庭で、築山や斜面、櫓のような遊具やログハウスなど、起伏や遊びの拠点になる場を使い、子どもたちが自ら始めた遊びに、最後まで夢中になっている姿が見られました。

3歳児は、砂や土、水、泡の遊びを楽しむ姿がありました。水により砂や土、泡が固まったり形が無くなったりするおもしろさや不思議さに気付き、繰り返す姿が見られました。 また、水の流れや水の勢い、量など感じながら、水を使った遊びを全身で楽しむ子どもたちもいました。

4歳児は、クリーム状になる泡作りを楽しんだり泡でお菓子を作ったりする姿や、暑さを忘れるほどのダンスショーを見せてくれる姿がありました。芝生の斜面を滑り降りる遊びや、作った泥団子を斜面で転がし、硬さや形、斜面による転がり方の違いなどに注目して繰り返す姿がありました。

5歳児は本物らしいご馳走作りを進めることができる様々な環境や素材に関わり、ケーキ屋やラーメン屋などのお店ごっこを、友達と楽しんでいました。また、ビー玉が転がり落ちる時の音を楽しむ「転がし遊び」や、水の力で砂を流したり水が穴から吹き出たりすることを楽しむ姿がありました。子どもたちは遊びをもっとおもしろくする目的に向かって、自分たちで材料の組み方や遊び方を考え合って繰り返す姿が見られました。

4、5歳児の遊びの終わりには、遊んでいた場所にクラス毎に集まり、クラスみんなで遊びを振り返る場面がありました。

その後の全体会では、初めに研究発表が行われました。「“もっとおもしろく”で広がる遊びの世界」をテーマに、園内で研究を重ねられてきた概要と、昨年度の論文の内容や事例を中心に、遊びを“もっとおもしろく”しようと、創意工夫して展開する子どもたちの各年齢の特徴やその具体事例が発表されました。次に、公開保育について振り返る発表がありました。3歳児では、泥や泡の感触を手や足で感じたり、おもしろいと思ったことからひらめいた遊びを繰り返し楽しんだりする姿が紹介されました。4歳児では、泡の遊びのケーキ作りが今日はクッキー作りの挑戦になったものの、硬さが思ったようにできなかったこと、そして、クラスの振り返りでみんなに相談すると、他の子どもからアイデアが出され、今後も工夫して挑戦するだろうという話がありました。5歳児では、転がし遊びやラーメン屋さんなどのお店ごっこについて、子どもたちの工夫や考え、日々の変化について紹介されました。

午後は初めに、8~10名程度のグループになり、協議会が行われました。研究主題を受け、「夢中になって遊ぶ子どもの姿」「夢中になって遊ぶ姿につながる保育者の援助・環境構成」「援助・環境構成について私なら"こうする"」の3つの視点について、一人一人が付箋に書いたメモを出しながら、活発な協議が展開しました。グループ協議の発表では、「夢中になって遊ぶ姿を捉え子どもの体験の質について読み取りがされたこと」「たくさんの教材や環境の構成について話題になったこと」などが紹介されました。特に、4歳児の振り返りの中で意見を求められた「芝生での坂滑り遊びが水相撲になった展開」については、「5歳児の姿に憧れて挑戦したことから、"自分たちで見付けたもっとおもしろい遊び"へと変化し、楽しむ姿になっている」というテーマに沿った子どもの体験であったと協議されたことが発表されました。

最後に、講師の大豆生田啓友氏による記念講演がありました。講演の初めに、都跡こども園の保育の特徴「拠点のある遊び環境」と「子どもが見ている世界を、共に見る保育者の存在」を大事にする保育について、当日の子どもの姿を通してお話がありました。そして、遊びの中の小さな出来事から、問いや探究が生まれる遊びの保障や、子どもが自ら繰り返し遊ぶことで生まれる発想が満足するまでできる環境や保育者の関わりの大切さについて、様々な実践が紹介されました。「遊びが学び」という子ども世界の具体例を挙げ、子どもを理解する保育者の在り方や、子どもはもちろん、保育者、保護者を巻き込んで「学びの共同体」となることの重要性について強調され、「科学する心」の7つの視点と子どもの姿を結び付け、「保育の質」についての深い理解に繋がりました。

2017/07/12