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2003年度入選プロジェクト校 
  茨城県江戸崎町立 江戸崎小学校

科学が好きな子どもを育てるしろやまプロジェクト
〜地域の素材を生かした体験活動・問題解決学習を通して〜
学校長
四ツ谷 忠夫
PTA会長
東郷 和之
教頭
青山 慎治
研究代表者
幸田 尚志
児童数
430
学級数
15
電話
029-892-2200
全文ファイルダウンロード[PDF:1MB]
実践評価
1 はじめに

  緑豊かな稲敷台地、太陽の光にきらきら輝く水をたたえた霞ヶ浦、冬になると天然記念物のオオヒシクイが飛来する稲波干拓、ツバメが飛び交う商店街、メダカが泳ぐ川、トンボが羽化し、トウキョウダルマガエルが生息する湿地帯。本校は、そのほとんどに子どもの足で移動することができる位置にある。この豊かな自然環境を利用して本物との直接体験を大切にして、科学が好きな子どもを育てるしろやまプロジェクトをスタートさせた。

2 仮説

  地域の自然や身近な自然の事象を素材として、子ども一人一人が、自然の美しさや不思議さに感動し、自ら考え、他者とかかわったり、試行錯誤を繰り返したりしながら、継続的・発展的に問題解決に取り組むことができるようにすることで科学が好きな子どもを育てられるだろう。

3 本校が考える科学が好きな子ども

本校が考える科学が好きな子どもとは以下のような子どもである。

  1. 自然の不思議さや美しさに、感動したり驚いたりする感性豊かな子ども
  2. 自然の事物・現象とかかわることにより自分なりの問題を見いだしそれを探究していく子ども
  3. 見通しをもって観察・実験などに取り組み、そこで生まれた新たな課題を継続的・発展的に探究できる子ども
  4. 自分の探究結果や他とのかかわりを通して新たな考えや見方を創造できる子ども

4 科学が好きな子どもを育てるための施策
  1. 身近な自然を生かした体験活動の充実
  2. 自然事象についての不思議・驚き・感動の場の設定
  3. 動植物の生命の神秘さにふれる場の工夫
  4. 楽しいものづくりの実践
  5. 見通しをもってねばり強く問題解決にあたる能力と態度の育成
  6. 科学的な見方や考え方を広げ、深める工夫
  7. 自己を振り返る評価の工夫
  8. 科学的な学習環境の整備
  9. 学びの質を高める学習理論の研究
  10. 子どもの実態や地域の特色の把握
5 めざす子どもの姿
  1. 身近にある自然や人、社会と直接ふれる体験を通して、 知的好奇心を高める子ども
  2. 直接体験から自然の事物・現象と常にかかわろうとする子ども
  3. 自然の事物・現象とのかかわりから自分なりの問題を見いだすことが できる子ども
  4. 見通しをもって観察・実験に進んで取り組むことができる子ども
  5. 探究結果から、自分なりの科学的な見方や考え方を深めることが できる子ども
  6. 他者とのかかわりを通して、新たな見方や考え方を創り出すことが できる子ども
  7. 将来に わたり、自分なりの目標をもって人や自然、社会とかかわることが できる子ども
6 15年度の実践と16年度の計画
(1)プロジェクト1:理科・生活科・総合的な学習の時間

ア.科学する楽しみや喜びを味わう理科学習

  1. 実践内容
    1. 感じる(ふれる・つかむ):子どもの見方や考え方を生かした事象提示と課題設定の工夫
        4年 閉じこめた空気と水
       籾殻入れポリ袋やバルーンを教材として利用し、空気を集め、閉じこめた空気での自由試行を通して空気の存在を知り、性質に気付けるようにした。その結果、一人一人が自分の発想で、袋を持って走ったり、口をしばってすわったり、たたいたりという活動をした。
       そして、それぞれが空気の存在を体感することできた。
      閉じこめた空気と水
      閉じこめた空気と水
      閉じこめた空気と水
    2. 考える(見通す・深める):子ども一人一人が見通しをもった問題解決学習の工夫
        5年 生命のたんじょう
       カセットケースの中に、チャックつきのビニル袋を入れ、その中でメダカの卵を飼育した。こうすることで、子ども一人一人が自分で飼育しているメダカの卵を、観察しやすくなり、より深くかかわりをもてるようになった。また、友達との情報交換によって、生命誕生の神秘・不思議を共有することができた。
      生命のたんじょう
      生命のたんじょう
       私のメダカは、なかなか卵を産まなくて心配だった。水槽に水草を入れたり、砂を底にしいたりした。そして、暖かい日なたにおいてみた。すると、2日後、わたしのメダカも卵を産んだ。うれしかった。卵を産むのに水温が関係しているのかなと思った。
    3. 実感する(わかる):子どもが創造したり、振り返ったりする体験の重視
        6年 ものの燃え方と空気
       ワークショップ方式の情報交換会を実施した。恥ずかしがり屋の子どもが気心の知れた友達に自分の気付きを話した。手にしているものは、自分が工夫した実験装置である。授業中にまとめた理科ノートを見せたり、実物を使ったりして、相手にわかってもらえるように発表の仕方を工夫した。
       この工夫が、一人一人にとっては、自分の学習を振り返ることになり、考えやわかったことを自分なりに整理でき、学習内容の理解を深めることになった。
      ものの燃え方と空気
      ものの燃え方と空気
        みんなの前で発表するのはちょっとにがてだ。でも、きょうは、自分で工夫したことや苦労したこと、穴をペットボトルの上と下の両方に開けるとロウソクが、燃え続けることをうまく説明できた気がする。
  2. 16年度の計画
     子どものものの見方や考え方を理解し、それに対して教材や指導法を工夫して働きかけ、そして子どもの学びを成立させるという学習を展開していきたい。
    1. 子どもたちが夢中になって活動できる状況を授業の中で作り出す。
      • 学びの必然性:ストーリー性ある授業を展開する
      • 科学概念を作り上げていく過程を大切にした授業の展開を図る
    2. 子どもたち一人一人の見方や考え方をよくみて授業をつくる(see-plan-doによる授業づくり)
      • 子どもたち一人一人の見方や考え方と感じ方をよくみる(see)
      • 子ども一人一人の見方や考え方と感じ方に基づいた単元計画を作成する(plan)
      • 子ども一人一人の見方や考え方に基づいた実践をする(do)
    3. 子どもたちの見方や考え方を確かな科学概念に変えるために有効な教材の開発
      • 子どもが不思議に思ったり、驚きをもったり、感動したりできるような観察・実験の工夫をする。
      • 子どもたちにとってはブラックボックス化しているものを取り外して、中身を見られるようにした教材を工夫する。
      • 五感でとらえることのできないものについては、描画法などによりイメージさせる。そのために有効な教材を工夫したい。
      • 地域の素材の中から子どもたちが驚きや感動を体験できるものを教材化する。

イ.自立への基礎を育む生活科

  1. 実践内容
    1. 感じる(ふれる・つかむ)
      • 五感の絵カードの活用
        「飛び出せ!遊び 探検隊 春の遊び屋さんを開こう」(2年)
      • 見つけたよカード・見つけたよコーナーの活用
        「それいけ はるのたんけんたい」(1年)
        「飛び出せ!遊び探検隊 春の遊び屋さんを開こう」(2年)
      • ビンゴゲーム「いきものとなかよし」(1年)
      • 生き物マップ作り「いきものとなかよし」(1年)
    2. 考える(かかわる)
      • 十分に遊ぶ「いきものとなかよし」(1年)
      • 異学年との交流「飛び出せ!遊び探検隊 春の遊び屋さんを開こう」(2年)
    3. 実感する(広げる・深める)
      • 「いきものはかせ発表会」(1年)
      • 振り返りカード「飛び出せ!遊び探検隊 春の遊び屋さんを開こう」(2年)
      いきものとなかよし
      春の遊びやさん
      いきものとなかよし
      春の遊びやさん
  2. 16年度の計画
     子どものものの見方や考え方を理解し、それに対して教材や指導法を工夫して働きかけ、そして子どもの学びを成立させるという学習を展開していきたい。
    1. 記録簿の作成
    2. 総合的な学習につながる生活科
      1年生との交流を進めてきたが、さらに深い交流を目指して長期的・継続的な取り組みを取り入れていきたい。

ウ.地域の自然の中で「生きる力」を育む総合的な学習の時間

  1. 実践内容
    1. 3学年「しろやま大好き」
    2. 4学年「江戸崎町生き物マップ」
      〜地域の動物や植物を見つけよう〜
    3. 5学年「しろやまウォーターランドをつくろう」
      〜見つけよう調べよう江戸崎町の仲間たち〜
    4. 6学年「ふるさとの自然を守れ!」
      〜江戸崎町クリーン大作戦〜
    しろやま大好き
    生き物マップつくり
    3年 しろやま大好き
    4年 生き物マップつくり
    ビオトープづくり
    ふるさとの自然を守れ
    5年 ビオトープづくり
    6年 ふるさとの自然を守れ
  2. 16年度の計画
    • ア.年間指導計画の見直し
    • イ.各教科や道徳、特別活動との関連の見直し
    • ウ.評価の見直し
    • エ.地域の教材開発
(2)プロジェクト2:達人からのメッセージ
  1. 実践内容
    米つくりの達人
    米つくりの達人
    小野川・霞ヶ浦の達人
    小野川・霞ヶ浦の達人
    • ア 小野川・霞ヶ浦の達人
    • イ 米作りの達人
    • ウ おもしろ科学実験達人
    • エ ヒラタケ作りの名人
    • オ 野菜作りの名人
    • カ 発明の達人
    • キ アマチュア無線の達人
    • ク EMの名人
    • ケ カメラ名人
    • コ 楽しい科学実験教室達人
  2. 16年度の計画
    • ア 高校生との交流
    • イ 人材の開拓
    • ウ 達人リストの活用
(3)プロジェクト3:縦割りサイエンス
  1. 実践内容
     月に2回、木曜日のふれあいタイム(2時間目と3時間目の業間)に全児童が16の異学年グループに分かれ、科学的な遊びを全校で一斉に楽しんだ。
    じしゃくで遊ぼう
    じしゃくで遊ぼう
    ブーメランを飛ばせ
    ブーメランを飛ばせ
    魔法の筒
    魔法の筒
    • ア 遠くへ飛ばそう
    • イ 氷で遊ぼう
    • ウ かがみで遊ぼう
    • エ 浮いてこいゲーム
    • オ じしゃくで遊ぼう
    • カ アルコールロケット
    • キ シャボン玉で遊ぼう
    • ク ダンボール空気砲
    • ケ 飛べ 入浴剤ロケット
    • コ 走れぽんぽん船
    • サ こぼれない水
    • シ ブーメランを飛ばせ
    • ス コマで遊ぼう
    • セ 炎でびっくり
    • ソ 犯人は誰だ
    • タ 魔法の筒
  2. 16年度の計画
     今後も子どもたちとともに楽しく続けていくために、絶えず子どもたちに驚きや感動を与えていきたいと考えている。そのために、実験の提示の仕方を工夫したり、サイエンスゲームの内容を改善したりすることが必要である。新しいサイエンスゲームを加えたり、内容を改善したりしていくためにも、今後とも教師の研修を充実させていきたい。また、子どもたちの希望も取り入れながら内容を検討していく。
(4)プロジェクト4:サイエンススクール
  1. 実践内容
     日常生活で疑問に思ったことや学習の中で興味・関心をもったこと、解決できなかったことなど、子どもたちの「不思議だなぁ」について、いつでも誰でも自由に探究し、科学の不思議を実感できるようにしている。理科研究生制度では、理科研究相談日を設けて、教師や友達と話し合いながら各自の研究を進め、その研究成果を理科研究発表会(サイエンスフォーラム)で発表することを通し、科学の不思議を感じ、考え、実感する場の設定もしている。
    理科研究に励む子ども
    理科研究に励む子ども
    • ア 開かれた理科室
      休み時間や放課後などに、自由に理科室を利用することができるようにしている。
    • イ 理科研究生制度
    • ウ サイエンスフォーラム
    • エ わくわく発明教室の実施
    • オ おもしろ実験講座の実施
  2. 16年度の計画
    • ア 理科研究生制度の充実科
    • イ 科学交流活動
    • ウ 夏休み発明工夫相談日の開設
    • エ おもしろ実験講座の工夫
(5)プロジェクト5:しろやまサイエンスランド
  1. 実践内容
     学校全体を一つのエリアと考え、身近な自然や科学の魅力に気付き、感じ取れるように、身近な自然を再現する工夫をしたり、科学的な遊びができるようにしたりしている。
    屋上ビオトープ
    屋上ビオトープ
    ハイブリッド発電・気象観測システム
    ハイブリッド発電・
    気象観測システム
    • ア 栽培園
    • イ 霞ヶ浦の仲間たち
    • ウ トンボ池(ビオトープ池)
    • エ 炭焼き場
    • オ サイエンスルームの充実
    • カ やすらぎ池
    • キ なかよし農園
    • ク ハイブリッド発電装置
    • ケ 気象観測システム
  2. 16年度の計画
    • ア EM落ち葉ぼかしによる腐葉土作り
    • イ 野鳥の観察園
    • ウ チョウの観察園
(6)プロジェクト6:親子サイエンス
  1. 実践内容
    • ア 1年 親子フィールドビンゴゲーム
    • イ 2年 親子で凧作り
    • ウ 3年 親子ネイチャーゲーム
    • エ 4年 親子で楽しもう!植物染めに挑戦!
    • オ 5年 アイスキャンディーをつくろう!
    • カ 6年 エコキャンドルをつくろう!
  2. 16年度の計画
    • ア ミクロハイク
    • イ 親子万華鏡・モビール作り
    • ウ 地域の自然を守る親子活動
(7)プロジェクト7:科学が好きな教師を目指して
  1. 実践内容
    自然探索
    自然探索
    • ア 校内授業研究
    • イ 校内学習環境整備
    • ウ おもしろ実験研修
    • エ 町内自然探索
    • オ 縦割りサイエンス研修
  2. 16年度の計画
    • ア 専門性を高める研修
    • イ 教材・教具の開発、地域素材活用の充実
7 おわりに

 豊かな自然に恵まれた江戸崎町。この自然を十分に活用して直接的な体験による、科学が好きな子どもを育てる教育を推進してきた。フィールドは不思議の宝庫である。今後も、子どもの発想を生かし、疑問を大切に扱い、小さな科学者の目を育てていきたい。そのために、一人一人の子どもの見方や考え方と感じ方を大切にして、しろやまプロジェクトを進めていきたい。

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