ワンダー・フル・プレゼント
―科学の不思議に子どもたちをいざなう豊かな体験活動の計画― |
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学校長 |
川上 光男 |
教頭 |
加藤 隆 |
研究代表者 |
管野 実 |
| 児童数 |
452 |
| 学級数 |
15 |
| 電話 |
024-534-0161 |
評価 審査委員 : 松本 勝信 (大阪教育大学教授)
目指す子ども像と、具現化の計画
平成14年度の応募論文においては、「科学が好きな子ども」として、
- 自然が好きな子ども
- 不思議が好きな子ども
- 追求することが好きな子ども
として捉え、 「科学が好きな子ども」を育てるために、
- 知的な気付きの場
- 豊かな学びの場
- 多彩な原体験の場
- 魅力ある人々との出会いの場
を用意し、「科学が好きになるための7つの要素」をキーワードとして取り組むとある。
「科学が好きになるための7要素」としては、
- 体験と実感
- 豊かな原体験
- 素朴概念へのゆさぶり
- 見通しと自信
- ハプニングの楽しみ
- わかっていく喜び
- 生きていることのよさ
が指摘されている。
また、「科学が好きな子どもを育てる日常的なはたらきかけ」として、
- 科学の不思議に子どもたちを誘う豊かな体験をさせよう
- 経験をもとに事象を見る・見つめる・見抜く・見通す目を養おう
- 筋道を立てて、関係づけて考え、納得いく説明のできる力を養おう
- 直接体験と試行錯誤のできる場を多く設定しょう
- 自己の変容や仲間のよさに気付き、振り返ることの出来る場を確保しよう
- 指導者も童心にかえってセンスを磨こう
の6項目を挙げ、さらに、そのための「日常的な視点」として、
- 人・もの・こととのかかわりを深める
- こだわりを大切にする
- 創ることを喜ぶ
- 発達課題を踏む
- 企画・実践力を養う
の5点を指摘している。
これらの前提の下に、7つのプロジェクトを計画していた。それらは、
- わくわくショータイム
- ワンダー・サイエンスショー
- 一芸・達人プレゼント
- ワンダー・ステーション
- もの作りコーナー
- キッズ・プロジェクト
- 六華ネット
であり、それぞれに「各プロジェクトの説明」「実践してきたこと」「これからしたいこと」の3項目で実践と次年度の計画が示されている。
1.計画の実践状況
応募論文本文と今回送られてきた実践レポート(二枚もの)を比べると、「科学が好きな子どもの」説明が異なっている。実践を通して発展されたものと解釈したいが、そのような考察が述べられていない。同様に、応募論文本文にはなかった生活科と理科の取り組みも述べられているが、これも実践を通しての発展と解釈したいが、そのような実践を通しての発展的修正の考察が述べられていない。
- わくわくショータイム
- ワンダー・サイエンスショー
- 一芸・達人プレゼント
- ワンダー・ステーション
- もの作りコーナー
- キッズ・プロジェクト
- 六華ネット
の7つのプロジェクトが本校の受賞の大きな理由であったが、その実践については下記に項目別に述べるが、計画通りに実践されているものと、そうでないものとがみられた。しかし、全体的には評価される実施状況である。
- わくわくショータイムには5つの計画案があり、4点は実施されているが、地域の人を巻き込んだ実践が不十分であった。
- ワンダー・サイエンスショーには二点の計画があったがそれらは予定通り実践され成果が認められた。
- 一芸・達人プレゼントは人材バンクの充実と「三河台発 ようこそ先輩」の実施の二点であったが、前者は実践されているが、後者は交渉段階間で進んだものの実践できなかった。
- ワンダー・ステーションには5点の計画があったが、「より効果的な0次体験のために」の実践が課題として残っていた。それら以外の4点は実践されている。
- もの作りコーナーは4点の計画があった。「知識の集大成の場」「地域の人々とふれあう場」に今後の課題が残されている。残りの二点は実践されている。
- キッズ・プロジェクトには5点の計画があった。「低学年からの取り組み」「新たな展開の創造」の二点に授業と関連する課題が残っているが、残りの計画は実践されている。
- 六華ネットでは学級設置のパソコンに7項目、コンピュータ室の活用に3項目、外部との関わりに2項目の計12項目が計画されていた。それら各項目は実践されているが、項目によっては今後の課題となるものが認められる。
2.授業およびその他の教育活動
2年生)
生活科「たんけん はっけん 三河台」では、通学路探検から夏の三河台探検に展開するところであった。ビデオ、地図ボード、ワークシートの活用など、積極的な取り組みであり、参考になる実践であった。しかし、本プロジェクトの趣旨からすれば、キッズプロジェクトや六華ネットなどが関連する場面を見せていただきたかった。
4年生)
理科「でんきのはたらき」では、単元後半の物づくりであり、各自が目当てをたて、設計図をかき、それに基づいてのおもちゃ作りの場面であった。本単元の授業としては高く評価される。しかし、本プロジェクトの立場からすれば、7つのプロジェクトと関連する0次体験と関わるなどの工夫を知りたかった。
6年生)
理科「からだのはたらき」では、単元後半の「わくわく動物探検隊」として、課題別グループで動物の体のしくみを調べる活動であり、積極的に解剖したりチャボやウサギや犬の心拍数を測定したり、見応えのある授業であった。しかし、本プロジェクトの取り組みの最終学年としての授業作りの工夫の実際を見せていただきたかった。
業間でのワンダーサイエンスショーは「遠心力」であった。若い教師二人の掛け合いのもと、多くの子どもを引きつける楽しい活動であった。教師が演示するだけでなく、子ステージに上がり実践することはとても有効であると思われる。ただし、多くの子どもはショーをみる楽しさで終わっているのではないかと心配する。例えば、やってみたいと言っていた子どもに家にかえってやってみると聞くと首を横に振っていた。このあたりに改善の余地が伺えよう。
3.環境構成
中庭のビオトープや飼育小屋など有効に活用されるように構成されている。ワンダーサイエンスショーのステージにはもう少し子どもが取り囲みやすい工夫も必要であろう。ワンダーステーション、ものつくりコーナー、廊下の壁の活用など、積極的な取り組みが認められる。情報環境としての六華ネットの更なる活用が望まれる。
4.その他 (教職員の関わりの状況/保護者地域の協力度など)
公開授業への積極的な参加、わくわくショータイムでの先生方の姿など、教職員間で共通理解を図りながらの取り組みであることが伺える。
6年生 理科「からだのはたらき」でのゲストティーチャーのように、地域の人たちの参加も積極的であった。
5.アドバイス
7つのプロジェクトの取り組みは高く評価される。しかし、それらと教科、道徳、特別活動、総合的な時間の活動などとの有機的な関連づけに、本校の悩みがみられる。少なくとも、7つのプロジェクトで大切にしている0次体験を授業レベルで活用できるような、カリキュラムや単元構成を期待したい。
入選教育計画の実践レポート
1.平成15年度教育計画の実践の様子
「科学が好きな子どもの育成」を主題として「科学の不思議に子どもたちをいざなう豊かな体験活動の計画」のサブテーマの下、問題を解決していく資質・能力の育成と様々な原体験の蓄積に視点を当て実践してきた。7つのプロジェクトチームによるプレゼンテーションを継続するとともに、「理科」「生活科」の授業も研究の対象として、もう一度研究を深めてきた。
(1)科学が好きな子どもをどうとらえたか
「科学」を問題解決的な学習・活動ととらえ、科学が好きな子どもを次の5つの姿でとらえた。
- 感じる感性を持つ子ども
- 理論的に考えを構築できる子ども
- かかわりの中で自己を変革できる子ども
- 活動・体験の広がり・深まりを楽しむ子ども
- 原体験を総合的に活用できる子ども
(2)7つのプロジェクト
1.わくわくショータイム
子どもたち自らの主体的な体験発表の場としての、TV放送を使ったプレゼンテーション。
- 6年:一人ひと調べの実践発表(総合)
- 5年:信夫山フィールドワークの体験発表(理科・総合)
- 4年:水についての研究発表(社会・総合)
- 3年:地区の自然についての発表(理科・総合)
- 2年:豆腐の作り方の発表(生活)
- 1年:乗り物についての発表(国語)
2.ワンダー・サイエンス・ショー
教員の自由な発想をもとに、子どもたちにたくさんの科学の種をまく実験講座。
- 「人工イクラ作り」化学反応の実験(6年)
- 「とばして遊ぼう」紙飛行機飛ばし(5年)
- 「不思議?」大気圧と表面張力(7学年)
- 「校長先生をさがせ」季節の植物探し(2年)
- 「不思議?パート2」シャボン玉(7学年)
- 「音作り」コップや筒を使って(3年)
3.一芸・達人プレゼンター
地域の優れた文化や豊かな自然など様々な分野で特技を持つ人々を招いての教育活動。
- 「こんにゃく博士」JA婦人部の協力によるこんにゃく作り体験。
- 「フラダンス名人」フラダンスサークルの方々によるダンス指導。
- 「メダカ博士」目の前で黒メダカの卵のふ化実験。
- 「豆腐博士」JA婦人部の協力。
- 「門松作り名人・餅つき名人」青少年健全育成会の協力。
4.ワンダー・ステーション
校内で実験や観察ができる空き教室を利用したミニ科学館。15年度は、子どもたちの使用状況やアンケートを分析し、新しい展示物の設営、展示物の入れ替えを行った。
新しい展示物:
- 岩を持ち上げる大型てこ
- 3つの坂
- ビー玉バスケット
- ループコースター
- ミラクルミラー
- マジックボール
- カチカチボール
- 人体模型
5.もの作りコーナー
子どもの発想や技能をさらに引き出すための、2ヶ所のもの作りコーナー。
「家庭からの材料集め」と「もの作り大会(学期1回)」の新規実施。
「体育館脇もの作りコーナー」様々な材料や道具が置かれている。主に下学年向き。
「職員室廊下もの作りコーナー」大工道具と木材が準備され、木工工作を行う。
6.キッズ・プロジェクト
体験の中で蓄えた不思議や意欲を実際に生かす場。子どもたちの手で企画・実践するもの。
- 6年「1年生の学校探検を手伝おう」
- 5年「1年生にメダカの孵化を見せよう」
- 3年「色水で遊ぼう」
- 4年「固まるタンパク質の不思議」
- 5年「紙を作ろう」 その他多数
7.六華ネット
コンピュータ室の整備による調べ学習の充実や校内LANによる情報検索システムの構築。 教育支援ソフト「スタディノート」の継続使用→電子掲示板による情報伝達に生かされた
3学年以上の校内LANの構築→教室でのインターネット検索やスタディーノートの活用
(3) 生活科の授業
- 1年「いいこといっぱい みつけてあそぼう」
草花や生き物と触れ合いながら,季節ごとの違いに気づいたり工夫して遊んだりした授業。
- 2年「ゆめの町 三河台」
町探検を通して集めた自然のものの材料を使って、アースアートを作り鑑賞しあった授業。
- 2年「生きものと ともだち」
生きものを探し生きものランドを作り、他学級を招待し,生きもののことを紹介した授業。
(4)理科の授業
- 1年「日なたと日かげをくらべよう」
自分たちで観察した記録をもとに,1日の太陽の動きをまとめた授業。
- 3年「こん虫をしらべよう」
いろいろな昆虫のすみかを作って育てる活動を通して、昆虫の育ちや環境を理解した授業。
- 4年「電気のはたらき」
自由試行を取り入れ、計画・準備・実験・反省をする中で、自分なりの考えを持ち深めた授業。
- 4年「もののかさと温度」
温められたフラスコの栓が飛ぶ訳を自分が考えた方法と用具で立証しようとした授業。
- 5年「魚や人のたんじょう」
様々な生物の初期の胎児の様子を知ることで、生命の始まりについて興味関心を高めた授業。
- 5年「てこのはたらき」
自作のてこ実験器を使って、てこの3点の位置関係と傾ける働きをつかむことができた授業。
- 6年「水溶液の性質とはたらき」
身近な酸性の川の水は,ものを変化させるかどうか,自分で方法を工夫して確かめた授業。
2.実践の成果
〈7つのプロジェクトの実践から〉
- 身の回りのことに興味・関心を持つだけでなく,すぐに関わり始めるようになった。
- 自然や身の回りの不思議な事象に対して,それらを鋭く受け止める感性が高まってきた。
- 異学年の発表を聞き,より分かりやすく伝えようとする能力の高まりがみられた。
- いろいろな知識や体験を共有することにより,ものを観る目が養われてきている。
〈授業の実践から〉
- 諸感覚を使って自然とかかわる活動や直接体験を多く設定することで,自然に対し感性が豊かになり,自分なりの解決方法を考えるようになってきた。
- 場や素材・教材を工夫することで,活動の意欲を高めることができた。
- 考えを深め合いながら活動したり,より発展した内容に追究が及んだりした。
- 書くことにより自分の考えを再構築しより確かなものにする力が付いてきている。
- 評価規準表を作成し、評価の視点を明確にして形成的評価を行い,次時の支援に生かした。
〈情意面のアンケート結果から〉
- 学年によって多少差はあるが,調査ごとに各項目とも「いつも」や「ときどき」が順次増え,「あまりない」「ない」が減ってきている。確実に情意面の高まりをもたらしていると言える。
3.実践を通じて見えてきた新たな目標と課題
今までの学習環境や活動計画を見直し,よりよいものに整理すること
これからは,今までの環境や活動を見直し,削るものは削り,新たに付け加えるものは付け加えながら,より子どもたちの資質・能力を高める環境や活動を考えていきたい。
「知の総合化・実践化」を進める教育実践を展開すること
これからは,7つのプロジェクトで培った資質・能力と各教科等で培った資質・能力とを有機的に関連させ,総合的に活用し実践できる力を育てる教育実践の展開を模索していきたい。
より開かれた学校作りを目指すこと
地域に住む人々との間で人材ネットワークを構成し,子どもの育ちを支援していきたい。