| 自然と共生できる社会を創造できる子どもの育成 |
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学校長 |
三浦 浩子 |
PTA会長 |
稲葉 典仁 |
教頭 |
手嶋 勝 |
研究代表者 |
荻野 真市 |
児童数 |
55 |
学級数 |
7 |
電話 |
0564-82-3015 |
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1 主題設定の理由
私たちが,科学が好きな子どもに育てたいと願うのは「自然と共生できる社会,元気な自然を取り戻すことのできる社会」にしたいと願うからである。これまでの社会では,科学の力を人間が快適な生活をするための手段として活用してきた。その結果,地球規模での環境汚染や自然破壊といった問題を生み出すことになった。これからは,自然と共生できる社会の実現のために科学の力を応用しなければならない。そのためにも,社会の一員として生きていく子どもたちが科学的にものを見て思考し,自然と共生できる社会を創り出そうと自らの判断で行動できることが不可欠であると考え「自然と共生できる社会を創造できる子どもの育成」という研究主題を設定した。
2 めざす子ども像と研究仮説
「自然と共生できる社会を創造できる子ども」を育てるための基盤は,子どもたちの豊富な自然体験と生活体験である。子どもたちは,体験を通して自然の素晴らしさや巧みさに感動したり,自らの疑問を確かめてみようと行動に移したりすることで,五官を通して科学概念を獲得し,科学的にものを見る力と論理力を高めるのである。そして,私たちはこの過程を通して子どもたちが科学好きになると考え,科学が好きな子ども像を次のように設定した。
- 自然の素晴らしさや巧みさに感動する子ども
- 身近な事象や事物の様子や変化に気づき,疑問を持つ子ども
- 夢中になって,観察・実験・物づくりに取り組み,追究し続ける子ども
そして,科学が好きな子ども像を実現するために,次のような研究仮説を設定し,実践に取り組むことにした。
- 研究仮説1 科学の視点
子どもたちが当たり前だと思っている事柄に科学の視点を持たせることにより,子どもたちは自分たちの生活や活動を見直し,1つ1つの活動の意義を明確にし,科学的な裏づけを取るために科学の力を活用するようになるであろう。
- 研究仮説2 フィールド作りと追究時間の保障
身近な自然を活用したフィ−ルドを作り,様々な自然体験をする時間を保障することにより子どもたちは自然の素晴らしさに感動し,気づきや問題を持って粘り強く追究することで科学的にものを見る力が育つであろう。
- 研究仮説3 情報発信
子どもたちに情報発信をさせることで,子どもたちは情報の受け取り手を納得させるため,科学的なデータを大切にして活動内容をまとめることで,論理的な思考力が育つであろう。
3 科学好きな子どもを育てるための3本の柱
本校のこれまでの実践を継続し発展させていく中で科学という視点を子どもたちに持たせて活動させていくことで科学が好きな子どもを育てることができると考えている。
そこで,科学が好きな子どもを育てるための実践の柱を次のように考えている。
- 第1の柱 論理的な思考力を育てる
理科の学習では,子どもたちに驚きを与えるような実験,物づくりの体験,対象物と深く関わった観察や栽培活動を通して,子どもたちが科学概念を獲得する過程を重視する。子どもたちが自分の考えを自分なりの方法で検証することで,自分の考えが強く持てるようにする。そして,話し合いを通して友達の考えを知ることで,多様な考え方や解決方法があることに気づくようにしていくことが,子どもたちの論理的思考力を伸ばしていく。算数科の学習でも,問題解決の過程を重視すると共に,基礎・基本となる計算能力の育成に取り組んでいく。
- 第2の柱 問題解決力と追究力を育てる
生活科と総合的な学習では,子どもたちが豊富な自然体験や生活体験ができるようにしていく。子どもたちが発見した物をじっくりと手に取ったり,不思議な色や形をした物に瞳を輝かせたりするような驚きを大切にする。そして,そこから生まれた疑問や問題を自分なりの見通しと方法で解決していく過程を通して粘り強い問題解決力と追究力を養っていく。
- 第3の柱 個性化教育により子どもたち一人一人の育ちと学びを大切にする
教育活動全般で個性化教育を推進し,一人一人の子どもの育ちと学びを大切にしていく。そのためにも「教師ポートフォリオ」を作成し,子どもたち一人一人の問題・気づき・思い・考え・見通し・活動内容・教師のその子のとらえ・教師のその子への願い・その子への具体的な手立て等を記入する。その教師ポートフォリオの活用により,子ども理解を図り,その子の,その場に応じた適切な支援を行うことができるようにしていく。
4 科学が好きな子どもを育てるための手立て
理科・生活科・総合的な学習を通して科学が好きな子どもを育てるために,次のような具体的な手立てを講じることにした。
- 手立て1 子どもたちの生活や活動を科学的に追究する
- 手立て2 多様な体験ができる夢広場作りをする
- 手立て3 子どもたちの追究時間を保障する
- 手立て4 情報提供と情報発信をする
(1) 子どもたちの生活や活動を科学的に追究する
- 環境への関心を高める循環型学校生活
- 農作業の意義の追究
- 農具の仕組みの追究
- 科学の視点からの追究
(2) 多様な体験ができる「夢広場」作り
- 子どもたちの学びのフィールド作り
- 追究の種を提供する環境作り
- 学校施設の大型実験装置としての活用
- 追究ステーション作り
(3) 追究時間の保障
- はかせタイムの設定(総合的な追究をする時間)
- のびのびタイムの設定(50分間の休憩時間)
- 読書タイムの設定(全校一斉読書)
- ぐんぐんタイムの設定(スピーチ・計算・漢字)
(4) 情報提供と情報発信による追究の深まり
- 情報の提供
- 幅広い交流活動
- 校内ネットワークの活用
- 情報の発信
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「夢広場」マップ
※クリックすると拡大図が表示されます |
5 15年度の教育計画
上のイラストは,子どもたちのフィールドである夢広場を描いたものである。この夢広場で,子どもたちは自分の夢を実現しようと活動に取り組んでいる。そして,この夢広場をステージにしたEM学習,夢山学習,水車学習,夏山川学習,農園学習,なつっこ広場学習,情報学習を設定していく。そして15年度の教育計画を次のように立てた。
(1) EM(有用微生物群)学習
子どもたちは,平成11年にEM(有用微生物群)と出合った。農園の土壌改良をするためにEMを活用し始め,EMぼかし堆肥,EMキッチン液の活用へと活動を発展させてきた。本年度は,EMの活用による環境保全の活動を家庭や地域に広めようとしている。
そこで,子どもたちがEMに親しみ,EMの働きを確かめることで,目に見えない小さな生き物たちの力に気づき,環境保全への関心を高めるためにEM学習を設定する。
- EM学習1 EMキッチン液を夏山川に流そう(全校)
- EM学習2 EMだんごを作って夏山川に入れよう(1・2年)
- EM学習3 EMで生ごみを堆肥にしよう(3年)
- EM学習4 プールでEMキッチン液の効果を調べよう(4年)
- EM学習5 EM廃油石鹸を作ろう(5年)
- EM学習6 EM1号 1万倍計画(6年)
(2) 夢山学習
平成10年に,本校の南側に位置する山林を子どもたちが遊び場にするようになり,夢山と名付けられた。夢山はスギやヒノキの人工林,竹林,ヤマザクラやカシなどの自然林とが混じり合った場所で,その中央に沢が流れている。
夢山の環境を活用し,子どもたちが自然体験や生活体験を通して学ぶことができるように夢山学習を設定する。
- 夢山学習1 夢山を探検しよう(1年)
- 夢山学習2 秘密基地を作ろう(2年)
- 夢山学習3 ヤママユガを飼育しよう(3年)
- 夢山学習4 源流を探検しよう(4年)
- 夢山学習5 イワナ池を改良しよう(5年)
- 夢山学習6 落ち葉ランドを作ろう(6年)
(3) 水車学習
夢山のシンボルになっている水車小屋での精米作業を通して,水車小屋の仕組みや秘密をさぐる水車学習を設定する。
- 水車学習1 水車小屋の秘密(精米の仕組み)をさぐろう(3年)
- 水車学習2 水車小屋の秘密(動力の仕組み)をさぐろう(5年)
- 水車学習3 水車小屋の秘密(発電の仕組み)をさぐろう(6年)
(4) 夏山川学習
子どもたちは,夏山川での水遊びが大好きである。高学年の男子になると川岸の堤防から4〜5m下の渕に飛び込んで遊んでいる。そこで,夏山川を舞台にした夏山川学習を設定する。
- 夏山川学習1 夏山川で遊ぼう(1・2年)
- 夏山川学習2 夏山川の生き物・水を調べよう(3・4年)
- 夏山川学習3 夏山川の下流を探検しよう(4年)
- 夏山川学習4 竹炭で夏山川をきれいにしよう(5年)
- 夏山川学習5 ウナギの戻って来る川にしよう(6年)
(5) 農園学習
約18aの農園で米・小麦・野菜などの栽培を中心にした食教育に取り組んでいる。この農園と農園活動を指導してくださる寿会の方の知恵を活用して,農園学習を設定する。
- 農園学習1 なかま班での栽培活動(全校)
- 農園学習2 マイ畑(個人農園)で野菜を育てよう(1〜3年)
- 農園学習3 農作業の秘密をさぐろう(4年)
- 農園学習4 昔ながらの農具の秘密をさぐろう(5年)
- 農園学習5 農園の土の秘密をさぐろう(6年)
(6) なつっこ広場学習
平成12年度に,子どもたちは保護者や地域の方に協力していただき,4つの池を連結させたビオトープを作り,なつっこ広場と名づけた。
13年度以降も,魚や昆虫がすみやすい環境にするために,草木を植え込んだり,水を濾過して循環する装置を取り付けたりして,ビオトープの環境を整備してきた。そこで,ビオトープを活用して,なつっこ広場学習を設定する。
- なつっこ広場学習1 ミニミニ池で遊ぼう(1年)
- なつっこ広場学習2 魚をビオトープで育てよう(2年)
- なつっこ広場学習3 プールを水生昆虫の楽園にしよう(3年)
- なつっこ広場学習4 ビオトープの水をきれいにしよう(4年)
- なつっこ広場学習5 井戸の秘密をさぐろう(5年)
- なつっこ広場学習6 風力・ソーラー発電に挑戦しよう(6年)
(7) 情報学習
本校は,今までいろいろな学校や団体と交流を行うことにより,子どもたちの視野を広げ体験を深めてきた。交流活動を通して,子どもたちが自分の活動をまとめることで論理的な考えを身につけるとともに,自分の追究を振り返り,新たな視点からの追究が始まると考えている。こうした交流を通して,子どもたちは,学校ではなかなか知ることのできない情報や知識を得るとともに,様々な体験をさせいただいている。私たちは,交流活動を子どもたちの視点を増やし,活動をより本格化させていく貴重な場ととらえ,今後も交流を深めていきたいと計画している。
本校では,地域の方々にインターネットのホームページや学校通信,様々な学校行事等を通して,活動の様子を情報発信している。このように情報の発信をすることは,地域の方々に学校や子どもたちの活動の様子を理解していただくよい機会になっている。また,子どもたちにとっては自分たちの活動を振り返り,考えを論理的にまとめ,それを発表する表現活動の場となっている。
今後は,発信する情報内容をさらに充実させていきたい。そして,情報発信を子どもたちの力を伸ばす大切な手段としてとらえ,力を入れていきたいと考えている。
おわりに
これまで述べてきたような教育計画を実践することにより,子どもたちは豊かな体験を通して身近な事象や事物を科学的にとらえていくようになるであろう。また,自然体験や人とのふれ合いを通して身近な自然を大切にしたいという願いを持ち,自分の生活を見直し,積極的に環境に働きかける活動に取り組んでいくであろう。そこから,自然と共生できる社会を創り出したいという願いを持って,子どもたちが活動を発展させていくことを期待している。
また,子どもたちが夢を持ち,その夢の実現に向かって挑戦し続けることができるように,子どもたちと共に歩み,支援し続けていきたい。それが,自然との共生感覚を持った「科学が好きな子ども」を育てることにつながると考えている。