公益財団法人 ソニー教育財団    
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2002年度入選プロジェクト校 
  茨城県江戸崎町立 江戸崎小学校

科学が好きな子どもを育てるしろやまプロジェクト
地域の素材を生かした体験活動・問題解決学習(発想・探究・創造)
学校長
四ツ谷 忠夫
PTA会長
東郷 和之
教頭
青山 慎治
研究代表者
幸田 尚志
児童数
444
学級数
14
電話
029-892-2200
全文ファイルダウンロード[PDF:1.13MB]
実践評価
1 はじめに

 科学が好きな子どもは,仲間との楽しい実験やものづくり・観察の中で育つ。そう考える本校では,理科・生活科の授業や「しろやまタイム」(総合的な学習の時間を本校ではこう呼ぶ)の中でそのような体験をさせることはもちろん,仲間と理科研究やものづくりをしたり,その道の達人から話を聞いたりという活動ができるようにしている。さらに,15年度からは,これらの活動の他に親子や異年齢集団によるものづくりや自然観察会を計画している。

 そして,これらの取り組みを「科学が好きな子どもを育てるしろやまプロジェクト」と名付け,全教育を通して実践していくことにした。

2 仮説

 地域の自然や身近な自然の事象を素材として,子ども一人一人が,自然の美しさや不思議さに感動し,自ら考え,他者と関わったり,試行錯誤を繰り返したりしながら,継続的・発展的に問題解決に取り組むことができるようにすることで科学が好きな子どもを育てられるだろう。

3 「科学が好きな子ども」とは
  1. 自然の事物・現象とかかわることにより自分なりの問題を見いだしそれを探究していく子ども
  2. 見通しをもって観察・実験など(ものづくり・栽培・飼育)に取り組み,そこで生まれた新たな課題を継続的・発展的に探究できる子ども
  3. 自分の探究結果や他との関わりを通して新たな考えや見方を創造できる子ども
4 しろやまプロジェクト基本構想

発想・探究・創造を学習の流れとした展開

5 しろやまプロジェクト
(1)科学が好きな子どもを育てる理科・生活科の授業改善
  • 問題解決学習を十分に展開する。
  • 体験的活動を組み入れる。
  • 作業的活動を多様に取り入れる。
  • 選択型・複線型の学習活動を工夫する。
  • 意思決定,自己主張の場がある学習を工夫する。
  • ポスターセッション・ワークショップ方式の話合い活動により話し合いの力を付ける。
  • 学習過程に「振り返り」の活動を位置づける。
  • 地域の教育力を積極的に導入する。
  • 多様な指導形態の工夫,改善を図る。
  • 基礎・基本の徹底を図る。
直列つなぎの方が早くまわります
アメンボ,なかなかつかまらないよ
(2)教科と「しろやまタイム」の連携
 

各教科で身に付けた知識や技能を総合的な学習の時間に生かし,総合的な学習の時間で身に付けた力を各教科で生かす。この相互性によって,子どもたちの知識や体験が,より広がりをもち様々な場面で生かされるよう学習過程の中に発想・探究・創造の流れを位置づけ,問題解決活動を展開できるようカリキュラムを工夫した。

顕微鏡をのぞくとこんなにきれいな生物がいました
(3)しろやまサイエンスワールド
  • ア 縦割りサイエンスゲーム(3学期から試行)
     1年生から6年生までの全校の子どもたちを異学年グループとして32に分け,科学的な遊びを全校で一斉にしようと考えている。1グループは,リーダーの6年生を中心に13〜14人で,紙飛行機や大きなシャボン玉をつくったり,紙相撲をしたりする。その活動を通して仲間とアイディアを出し合いながらものをつくったり,問題を解決したりする楽しさを味わわせたい。
  • イ 親子サイエンススクール(2学期から試行)
     「親子で科学のおもしろさを味わおう。自然の美しさすばらしさを体験しよう。」という会がこの親子サイエンススクールである。学年ごとにネイチャーゲームを楽しんだり,夜空の星を観察したり,ものづくりに挑戦したりしながら,親子の絆を深め,科学が好きな家族をつくっていきたい。
    わー土製の輪ってブタの鼻みたいだ
  • ウ サイエンスフォーラム・理科研究(すでに実施中)
    • (ア) 理科研究生
       日常生活で疑問に思ったことや授業中に解決できなかったことなどの子どもたちの「不思議だな」について,いつでも誰でも理科研究をできるように工夫している。「不思 議だな」と思ったことをテーマに,自主的に一人であるいは仲間で研究をする。それが「理科研究生」である。本校では,この「理科研究生」を登録カードによって把握し,その自主的な活動を支援している。
      砂と砂鉄が交互に重なってるよ
    • (イ) 理科研究相談日:開かれた理科室
       子どもたちの理科研究は,夏休みに集中する。そこで理科研究相談日を設け,理科室を開放し,器具を貸し出し,教師が子どもや保護者にアドバイスをしたり,手伝ったりしている。
      ケンミジンコ発見!
    • (ウ) 探究する喜びを知り,協力の大切さを知る自由研究
       子どもたちは,科学的なこと・時間的なこと・場所的なことなど様々な問題に直面する。次から次へと出てくる問題に対して子どもたちは,アイディアを出し,試行錯誤を繰り返しながら解決していく。
    • (エ) そして豆科学者が生まれる
       研究をまとめ上げた子どもの心の中には,達成感や成就感が残る。その達成感や成就感が次の研究へのエネルギーになる。そのエネルギーをさらに増幅させるため,学年単位でサイエンスフォーラムと称し,理科研究発表会を開いている。
      ミジンコをデジタル顕微鏡でパソコンに取り込んでいます
  • エ 達人からのメッセージ
     その道の達人の話は,体験に基づいた話がメインで,説得力があり,おもしろい。夢や希望を胸に抱かせてくれることが多い。そこで,そんな達人の話を子どもたちに聞かせ,子どもたちの胸に未来を拓く夢を持たせたい。その達人は,何も大学の教授に限ることはないと考えている。地域の素材を生かすために,霞ヶ浦で漁をする漁師であったり,鳥獣保護員であったりしてもいいと考えている。
    ロシアと日本のガン類研究者
(4)地域の素材の教材化
  • ア しろやまタイムにおける地域の素材の利用
     田んぼも舟だまりも用水路も子どもの知的好奇心をくすぐるものは,何でも教材化する。
  • イ ネイチャーゲームによる地域の素材の教材化
     五感を使って自然を直接体験させることで自然との一体感をもたせることと子どもたちの気付きを大切にし,感受性を高めることをねらいに,学校の校庭等を使ってネイチャーゲームを学習に取り入れた。
あっ,こんなところに卵がある
(5)しろやまサイエンスランド(科学が好きになる環境の整備)

※↓クリックすると拡大した図が表示されます

 科学が好きな子どもに対応したり,科学が好きな子どもを育てたりするには,子どもたちが自由にいたずらしたり,操作したりできる場所や施設が大きな役割をもつことになる。そこで,学校全体を一つのエリアと考え,思う存分科学で遊べる環境整備にあたりたい。

 現在整備済みのビオトープ池・簡易ビオトープ池を生かし,屋上・グラウンドにも簡易ビオトープ池をつくり,学校全体をビオトープ化したり,太陽光発電・風力発電装置を設置し,エネルギーを肌で感じさせたりしたい。

元気に育ってくれよ
(6)科学が好きな教師

 科学が好きな子どもは科学が好きな教師が育てると考える本校では,教師自らが自然に親しみ科学で楽しんでいる。

これが採泥器です
6 おわりに

 職員室からビオトープが見える。そこには,小さな池があり,保護者がメダカを放してくれた。今,その池の周りに双眼実態顕微鏡を手にしたH教諭と子どもたちの姿がある。H教諭のクラスからは,夏休みに理科研究をし「科学する心」をもった子どもたちがたくさん育ちつつある。

 地域の自然を愛する子どもたち,子どもたちと一緒に自然を探究する教師たち,それを支える地域の人々,このような姿が,未来の科学者を育てる力になると信じてやまない。

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