進んで学び、創る子どもの育成
〜教科と総合的な学習の時間の関連を踏まえて〜 |
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学校長 |
中島 洋一 |
PTA会長 |
岡野 秀男 |
教頭 |
杉山 照美 |
研究代表者 |
奥谷 克二 |
児童数 |
590 |
学級数 |
20 |
電話 |
0298-85-2309 |
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はじめに
「先生,オオムラサキがかえったよ。すごくきれいだよ。」夢中になって職員室へ飛び込んでくる子どもたち。毎日観察をしながら触れ合いを深めてきたオオムラサキへの愛情と命の誕生への感動で子どもたちの目は輝いている。オオムラサキの飼育・観察を始めて2年目になる本校では,第3学年の子どもたちが総合的な学習の時間の中で,その飼育・観察に取り組んでいる。オオムラサキの誕生に感動した子どもたちは,「なぜ紫色をしているのかな」「何を食べるのかな」「美浦村にはいないのかな」など,それぞれに疑問を持ち意欲的に調べていく。調べた結果をコンピュータで整理したり,地域の方々に伝えたりしながら他の自然環境と関連づけ,地域の自然に対する見方や考え方を創りあげていっている。
このような「本物の体験」から得た感動が,子どもの興味・関心を高め,意欲を引き出す。そして,自分から問題を見いだし,自分なりの発想や見通しをもって観察・実験に取り組み,得られた結果を整理・分類し,他の事象と関連づけることによって,自然を総合的に見る見方や考え方を育てることが,しいては,科学を好きな子どもたちを育てることにつながると考える。
次年度はさらに自然体験を充実させ,生き物の飼育・観察を通して環境を考えたり,育てた生き物を自然にかえす実践的な活動を通して環境と自分とのかかわりを深めることができるようにしていく。そして,教科と総合的な学習の双方向の関連を踏まえるとともにITを活用した情報の収集・発信を工夫し,地域の自然環境に主体的にかかわることを通して自然環境に対する見方や考え方を育てていきたいと考え,この教育計画を策定した。
1 ねらい
- 子どもに感動を与え,夢をふくらませる自然体験を工夫し,地域の自然環境に対する興味・関心を高める。
- 教科,特に理科と総合的な学習の時間の関連を十分に吟味し,問題発見力や観察力,科学的な思考力などの問題解決能力を高める。
- 地域環境を核としたカリキュラムを作成し,体験的な活動を通して地域の環境についての自分なりの見方や考え方をもって実践する態度を育てる。
- 積極的にITを活用し,学習成果の蓄積,発信,交流,評価を行い,メディアリテラシーとコミュニケーション能力を育成する。
2 教育計画の基本構想
(1)地域とかかわる自然体験
問題解決の各過程に,自然体験活動を意図的・計画的に位置づけていくようにする。「出会い」のステージでは,動植物と楽しくふれあう体験や生命の誕生,自然の変化などを感じることを通して,感動を与えるような体験を位置づける。「かかわり」のステージでは,自分たちで方法を考えたり条件を変えたりしての飼育・栽培活動や観察活動を通して気づきや発見を促せるようにする。「交わり」のステージでは,地域の方や専門家の方と直接交流する活動や動植物を自然にかえしたり自然を守ったりする活動を位置づける。そして,学校から地域へ,情報だけでなく実践を発信していく体験的な活動を行っていく。
(2) 自然体験から環境を考える
これまでの実践を振り返ってみると,子どもたちはさまざまな自然体験をとても楽しんでいるが,気づきや発見が追究活動に結びつかなかったり,断続的な体験活動になってしまったために,自然環境に対して深く考えることができなかったりすることがあった。このようなことを克服するために,理科の学習との関連を十分に図り,観察の仕方や実験の仕方,情報の整理の仕方などの基礎・基本を定着させていくようにする。そして,出会いの体験活動から,不思議に気づいたり新たな発見をしたりして,自分なりの問題を深くとらえられるようにする。また,観察記録をもとにディスカッションする場を位置づけていく。さらに,環境保全にかかわる活動では,その学習対象に自分がどのようにかかわってきたのか,今後どのようにかかわることが望ましいのかを地域の方と共に考える場を位置づけていくようにする。
(3) ITの活用とメディアリテラシー
総合的な学習の時間に「情報教育」を位置づけ,コンピュータやデジタルカメラ,ビデオカメラなどの特性やその使い方について学習してきた。また,情報を共有化できるグループウェアを活用して,学習成果をまとめたり伝え合ったりする活動を行ってきた。さらに,学習を深めていくために,デジタル化した情報の中からより重要なものを選択し,見る側を意識して学習の成果を整理するとともにその成果を蓄積できるようにする。そして,次年度の学年がその成果をもとに考え,学習の切り口を見いだしたり,地域へ発信したりできるようにしたい。具体的には,それぞれの学習成果をデジタル化し,学校全体として1つのデータベース化を図っていく。また,情報機器の操作技能やその特性については,上学年の児童が下学年の児童に教える活動を通して,れぞれが基本的な技能を身に付けることができるようにする。
また,デジタルポートフォリオを取り入れ,自己の学習を随時振り返りながらより質の高いものへと高めていけるようにする。
(4) 広がるネットワーク
校内LANを構築し,児童相互に学びを交流することができるようになった。学習内容はもちろん調べ方や考え方を交流することで,学習に深まりがみられるようになっている。今後は,「霞ヶ浦プロジェクト」に参加する近隣の小学校や地域性の異なる国内の他地域との情報交換や共同学習を展開していくようにする。
また,直接的な交流活動として,地域の方々と学び合う場を位置づけることが地域ネットワークの拡大につながると考える。昨年度より実践している「大谷交流祭」の中で,学習成果を伝達するとともに,地域の方を交えたディスカッションやシンポジウムを展開するようにしたい。そして,自分も地域の一員であるという自覚を高め,ふるさと美浦村を大切にする心を育てることにつなげたい。
3 教育計画具現化の方向
(1) 理科と総合的な学習の時間の関連
<内容の関連を図る視点>
- 理科の学習で身につけさせるべき基礎・基本の内容を明確にする。
- 理科の単元の配列を意図的に組み替える。
- 理科と総合的な学習の時間の共通体験を位置づける。
<方法の関連を図る視点>
- 理科と総合的な学習の時間の共通する学び方や調べ方を整理する。
- 児童の発達段階に応じた学び方や調べ方を位置づける
- 問題発見力や観察力,科学的な思考力の定着を図る。
(2) 総合的な学習の時間における取り組み
ア 年間活動計画の修正
学年1テーマで1年間の学習を行うこととし,1年間を3つのユニットで構成する。第1ユニットでは学習対象との出会いを大切にし,その生態や現状などを追究する。第2ユニットでは自分とのかかわりを考え,第3ユニットでは広く発信し交流を通して深めていくことを中心にしていく。また,各ユニットの中でも,「出会い」「かかわり」「交わり」の3つのステージで学習を展開する。
イ 自然体験活動の位置づけ
ウ 環境マップづくり
これまで各学年の学習活動が分離し,他学年との関連が十分に図れていなかった。そこで,次年度は学校全体で取り組む活動として「環境マップ」づくりに取り組む。各学年がそれぞれのテーマにそって追究した結果を一つの地図にまとめ,相互の関連について考えることができるようにしていきたい。例えば,4年生が高橋川の周辺のごみの調査をした結果と6年生が水質検査をした結果の相関関係を考えたり,5年生が調査したメダカやタナゴが住める環境とのつながりをとらえることができるようにしたい。この活動を位置づけることにより,異学年での交流発表会が今までよりも意味のあるものになっていくものと考える。
エ デジタル環境図鑑づくり
各学年の学習の成果をデジタル化し,「デジタル環境図鑑」としてデータベース化していく。いつでもだれでも,学習の成果を引き出し,自己の学習に生かせるようにする。また,次の学年が学習を進めるときに役立つようにすることで,系統性があり継続的な学習展開が期待できると考える。具体的には,学校内の環境図鑑から地域の環境図鑑へと拡大していくようにする。この「デジタル環境図鑑」作成を通して,コンピュータをはじめとする教育機器の活用技能を高めていきたい。
オ ITを活用した交流学習
校内LANを活用した同学年や異学年の交流にとどまらず,コンピュータを活用した他校との積極的な交流を次のような視点で進めていくようにする。
- <3学年>・「オオムラサキ」をテーマに総合学習を進めている県内の学校との情報交換,共同学習を行う。
- <4学年>・ごみ処理の仕方や環境への影響について広く他地域の学校と情報交換を行う。
- <5年生>・霞ヶ浦プロジェクトを活用した霞ヶ浦周辺の学校との情報交換や共同学習,他の湖沼について学習している学校との情報交換を行う。
- <6年生>・気候や生活条件が違う国内の地域や海外の日本人学校との交流を行い,ふるさと美浦村を見つめ直す機会にしていく。
カ 地域との交流を深める
これまで実践してきたゲストティーチャーの招聘を基盤に,学校・家庭・地域の連携を深めるために学習成果の発表と地域の方々に参画していただく機会として「大谷交流祭」を実施する。その中で,地域の方とのディスカッションやシンポジウムを企画し,地域とともに学んでいくことの必要性,大切さを理解できるようにしたい。
キ デジタルポートフォリオ
クリアファイルを活用したポートフォリオからコンピュータを活用したデジタルポートフォリオへの移行を積極的に進めていくようにする。さまざまな情報をデジタル化することにより,広く情報を集めたり,分かりやすく整理したりすることが容易になる。また,学習を振り返ったり互いに評価し合ったりすることが日常的に繰り返されることで,学び方が定着し学習に深まりをもたせることができると考える。
(3) 学びを支える学習環境づくり
これまでも子どもの学びを支えるための学習環境の整備に積極的に取り組んできた。ビオトープや観察池,霞ヶ浦ワールド,オオムラサキ昆虫園,国際ルーム,学年ごとに飼育する小動物などのが主なものである。子どもたちは,日常的に生命のあるものと触れ合い,そこからいろいろな感動を得てきた。また,さまざまな気づきや発見から学習を始動させてきた。これらの学習環境を維持するとともに子どもの気づきを促すコメントや資料提示によって,子どもの問題意識を高めるようにしていく。
また,地域の学習環境を整えていくことも必要である。現在の外部人材リストをさらに拡大するとともに双方向の継続的な交流ができるようにする。学校に来ていただくばかりでなく,協力家庭や施設のリストを作成し,子どもたちが地域調査活動の中でいつでも訪問できるような体制づくりに努めていきたい。
おわりに
これまでの研究実践を基盤として,「進んで学び,創る子どもの育成」をテーマに教科と総合的な学習の関連を踏まえた教育活動を行うことにより,次のような成果が期待できると考える。
- 教科と総合的な学習の時間との関連を図った自然体験を,各ステージの系統的な関連を意図して位置づけることにより,本物の体験から子どもが感動し,気づきや発見から学習に対する興味・関心を高め,主体的 に学習活動を展開することができるようになる。
- 教科,特に理科と総合的な学習の時間の関連を十分に吟味した学習活動を展開することにより,子ども一人一人の問題発見力や観察力,科学的な思考力などの問題解決能力を高めることができる。
- 地域環境を核としたカリキュラムを作成し,子どもの主体的な学習活動を支援することにより地域の環境について自分なりの見方や考え方をもって実践する態度を育てることができる。
- 積極的にITを活用し,地域や他校との情報交換や共同学習を進めたり,学習成果の蓄積,発信,評価を行ったりすることにより,メディアリテラシーとコミュニケーション能力を育成することができる。