公益財団法人 ソニー教育財団    
ソニー子ども科学教育プログラム「科学が好きな子どもを育てる」

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2011年度ソニー子ども科学教育プログラム:審査委員長 総評

東日本大震災という大きな災害に見舞われて半年に満たない時期にもかかわらず、被災地域を含む全国202校(内連続応募96校)の学校から応募をいただいたことは、大変な驚きであると同時に心より敬意を表するものです。

この震災をきっかけとして、自然と科学/人類の関わりを、それぞれの方々がそれぞれの立場で考え直されたことと思います。「自然の畏怖」のみを捉えず、「自然との共生」をどのように行なえば良いかを真剣に考える機会が与えられたと認識すべきと思います。いつの時代でも自然が与える困難を乗り越えて「生きる力」を磨くことが必要です。本プログラムがこれまで取り組んできた「科学が好きな子どもを育てる」という観点から、新しいことに挑戦し、次の時代を切り拓くことができる子どもたちを育てることが、今、正に求められていることを実感されたのではないでしょうか。

今年度ご応募頂いた論文を通し、また上位入選校に対する現地調査を通して、自ら課題を見出し、解決に向かって取り組む子ども達の姿や、仲間との協力・議論を通して学びを深め、問題を解決していく姿を拝見することができました。これらは、「問題解決学習」、「学び合い」として以前から取り組んでこられたもので、決して新しいものではありません。しかしながら、それが多くの学校で見られたという事実が、このプログラムを推進する者にとって大きな喜びとなりました。これは各学校の実情に応じた様々な工夫や子どもたち一人一人の変化と成長を見取るといった地道な活動を根気よく続けてきたことによる大きな成果であり、各学校の努力に対して心より敬意を表したいと思います。

具体的な取り組みについては、各学校の審査講評および論文概要、そして、ぜひ一度、論文全文に目を通していただきたいと思います。いずれの学校も確かな実践に支えられていること、及び、それぞれ特徴のある取り組みであることが確認でき、審査委員一同が自信を持って上位入選校としました。

一人でも多くの先生方がこれらの論文に触れ、自分も応募してみたいと思っていただければ幸いです。私どもはこれからも本論文への応募はもちろん、「科学が好きな子どもを育てる」ことにチャレンジされる先生方を応援して参ります。

審査委員長: 御手洗康 元文部科学事務次官
審査委員: 渥美雅子 弁護士
(五十音順) 大高泉 筑波大学大学院教授
  日置光久 文部科学省初等中等教育局 視学官
  山田敏之 湘北短期大学名誉教授(元ソニー中央研究所 所長)

最優秀校 講評

北見市立光西中学校(北海道)論文概要
テーマ:
わくわく・どきどき 理科は楽しい!〜学ぶ楽しさを実感できる授業を目指して〜
【講評】

「わくわく・どきどき 理科は楽しい!」をテーマとして、意欲を高め、生徒を引き付ける楽しく魅力的な授業を目指し、「感動」「分かる」「探究」の3つを柱として、5年間にわたって取り組んでこられました。こうした継続した実践が、生徒の学ぶ姿に着実に結実しています。

本年度は、「学びの共同体」をキーワードに、思考・探究活動を通して学ぶ楽しさを実感できる授業を目指した実践に取り組んでいます。ねらいと手立てをしっかりと設定し、創意工夫を図った具体的な実践が満載されています。実験の手法・技能の訓練、活動の支援、メディアの活用、話し合い活動、表現、発表など、視点を焦点化した事例を通して、各単元や授業場面での手立ての有効性が具体的かつ実証的に示されています。レポートや発表の指導・評価についても、教師の生徒一人一人へのきめ細かな対応が図られています。それが、生き生きと学ぶ生徒の育成につながっています。また、科学を学ぶ意義、科学のすばらしさ・大切さを伝えるための「日本人科学者・技術者の気概を伝える」授業は、独自の意味ある取り組みです。こうした「科学が好きな子ども」を育てる理科授業の充実を図る具体的な取り組みが高く評価されました。

国立大学法人愛媛大学教育学部附属小学校 (愛媛県)論文概要
テーマ:
未来を拓く授業の創造〜創造性と感性の育成〜
【講評】

昨年度まで3年間にわって「科学を築き、磨き、楽しむ授業」の研究に取り組まれ、「子ども理解」に徹した指導と評価を中心に授業実践を積み重ねてこられました。 本年度は、「未来を拓く授業の創造」〜創造性と感性の育成〜 を研究主題に掲げ、生活科、理科,くすのき学習(総合的な学習の時間)を中心に、子どもが知識や技能、経験を活用しながら問題解決する授業づくり、仲間と共に学び、考え、表現する授業づくりに取り組まれています。

「子ども理解」に徹した指導と評価にこだわり、研修と実践を地道に積み重ねていく中で、子どもが創造性と感性を発揮する授業が具体的に明らかになっています。「教師の創造性と感性を磨く取り組み」として、一人一人の子どものノートを評価したり、授業記録を書いて授業の振り返りと考察を行ったりしています。その成果が、教師の授業力を高め、子ども一人一人の思いや願いに沿った授業の具現化に結びついています。

また、併設の附属幼稚園、附属中学校との連携を深めることによって、幼・小・中と一貫した12年間の子どもの育ちを見通した教育が進められています。こうした子ども一人一人の確かな変容を図る授業を創造する取り組みが高く評価されました。

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