活動前の様子
園庭のすぐ隣にある池には、コイ・カメ・アメンボ・などがいる。そして、子どもたちの憧れのまっかちん(ザリガニ)もいる。絵本「ざりがにのおうさままっかちん」(大友康夫:作・絵 /福音館書店)を読んだ子どもたちは、自分たちも「ザリガニ釣りがしたい」と家庭で自分の竿を作ってきた。釣れなくても諦めずに、自分たちで餌を調べ、毎日のように取り組んでいた。
事例
ザリガニはどこにいる
- 「ザリガニって、後ろに下がって進むの上手だね」「小さいのがいっぱいおる」「あ!ここに王様まっかちんがおる!大きいのは岩の中に隠れてるんよ!」「(餌を)食べた食べた!今竿上げてもいいかね?」などとザリガニの姿がよく見える事で、動く様子や居る場所が分かりやすくいろいろなことに気付く。
釣るタイミングは難しい
- ザリガニが、煮干しに食いつくと嬉しくてすぐに吊り上げようとしていたが、それでは失敗すると分かり、徐々に釣り方を体得していった。「食いついた!まだまだ」「よし!今!!」「・・・あ〜」「えっちゃんは(絵本の登場人物)1・2・3・・・って数えよったけど、結構釣れんね」
- 「こっちにもおるよ」「もうちょっと待った方がいいよ」「餌は僕が持っとるけん」など3・4歳児がよいアシストや刺激を与えていた。
- 諦めずに挑戦し続け、最後にはたくさん釣れて大喜びした子どもたち。中でも一番大きなザリガニを1匹、学級の仲間として飼育することにした。
- 毎日、煮干しやウィンナーなど、餌を与え大事にしていた。いろいろな遊びに登場するほど、子どもたちにとって大切な存在になっていた。
まっかちんがいなくなった!
- ある朝、水槽を覗くと、ザリガニの姿がない。慌てた子どもたちは、部屋の隅や棚の隙間などザリガニの喜びそうな所を探すが、見つからない。
- みんなに「見なかった?」と尋ねるが、なかなか見たという人はいなかった。隣の学級の子どもが、「ベランダで歩いているのを見たよ。向こうに行った」と言うので、他の学級の保育室も尋ね回るが、見つからない。
- A児たちが「絵に描いて貼っておけば、誰か見つけてくれるかも?」と言い、ザリガニの絵を描き始めた。まっかちんが見つかるようにと思いを込めて熱心に描いていた。「探してください」と書いて、園内の至る所に貼った。
- 「外に出て車に轢かれたらどうしよう」「池の友達に会いに行ったんかね?」「お腹減っとるかもね」などと、とても心配していた。
- そして、ままごとの冷蔵庫を開けた時、埃を頭に載せたまっかちんが両方のハサミを振り上げ立っているのを発見し、子どもたちは大喜び。見つかった喜びの気持ちと探してくれたお礼の気持ちを、絵で表現する子どももいた。
考察と保育者の願い
- 何度も釣れない経験をしても「今度こそ!」と繰り返し取り組んでいたのは、今まで見てきた5歳児の姿が心にあることや、「なぜだろう?」「こうしてみよう」「こうだった!」という自ら試行錯誤する事に面白さを感じているからだと思われる。
- なかなかザリガニが釣れない時も、絵本の主人公のように自分たちもいつかは必ず釣れるという気持ちをもっていた。絵本が子どもたちの挑戦の原動力となっていた。
- 今後も学級の仲間としてザリガニを飼育していく中で、子どもたちが生態への興味を深め、自らの発見を楽しめるようにしていきたい。保育者は、子どもたちの姿に寄り添い、感動の心に共感しながら科学する心を共有できる存在でありたい。