
2006年度(平成18年度) 優秀プロジェクト園 論文概要
学校法人中沢学園会津若葉幼稚園
テーマ
「幼稚園内外の活動を通して、自然に興味関心を広げながら、『触れて・感じて・考える』力を育む」 ―炭って面白いね!―
幼児期の科学する心は「直接的な体験を楽しく繰り返し行うことで、感動する気持ちが膨らみ、幼児自ら『触れて・感じて・考える』力を育てる」のではないかと考え、自然体験に着目して主題に迫る研究をしている。「森の木を強くする」というめあてをもって園外保育を重ねている『若葉幼稚園の森』での体験と園内での体験を関連付けて、学年ごとに具体的なねらいを示し、さらに年度毎に園としての取り組みのポイントを定めて焦点化し、研究を重ねている。昨年度の園外保育の際に看板を見つけたことから、地域の施設や活動に興味をもち、それをきっかけに17、18年度は『炭作り』の活動を展開した。5歳児を中心に、2年継続で取り組んだことでの発達や変容、異年齢の幼児とのかかわりを捉えている。
子どもたちは「森の木を強くする」ということを日頃から考えているので、自分たちが見つけた看板のある施設が「木を炭にして川をきれいにしている」ということは興味深く、「炭」への好奇心は不思議や考えを追求することに結びついた。1年目は実際に炭作りを繰り返す中で発見や気づきを楽しみ、試したり感動したりする体験をすることができた。また、炭の特徴を活かして園生活に取り入れる活動に展開していった。2年目は4歳時に経験したことを生かしてさらに予想や疑問をもって炭作りの経験を重ねた。また、炭を生活に取り入れていく情報を伝えるなど異年齢の子どもたちへのかかわりも、自然に引き出された。
こうした経験を重ねる中で、子どもたちが自然や森を大切に思って身近な自然にかかわる活動が展開され「科学する心」が育まれた。
岡崎市緑丘保育園
テーマ
「自然っておもしろい、自然の営みに触れ科学する心を育もう」
子どもたちの「自然っておもしろい」「とことんやってみたい」の意欲をありのままに受け止め、例年積み重ねている実践と恵まれた地域の自然環境を利用した実践を通して、「科学する心の育ちあい」を探った。
例年積み重ねている実践としては、蚕を育てる事例の「蚕どんどん大きくなるね」「桑の木マップを作ろう」「まゆの長さを調べてみよう」の3つの活動、地域の自然環境を利用した実践としては、「タンポポって面白い」「身近な自然で遊ぼう」の2つの事例を取り上げまとめた。どの事例からも、自然に親しみ、感じたり気付いたり疑問を追求したりする中で、「自然って面白い」と感じていく姿が見られる。
また、「まゆの長さ1300mは、どのくらい長いということか?」という子どもたちの思いから、実際にまゆの糸を園内の廊下や園庭で伸ばして調べたところ、まだまだ長いということが分かり、その長さに相当する距離を予想して地域の5つのコースに分かれて調べるという展開になった。タンポポの事例では「根っこを掘り出したい」という思いが引き出され、様々な工夫や挑戦を重ねて60cmにもなる根を掘り出し、その根でタンポポコーヒーを味わうという感動体験を重ねた。これらの活動は「とことんやってみたい」という子どもたちの意欲を満足させることに結びついた。
このように「自然って面白い」「とことんやってみたい」という子どもの意欲に沿った取り組みから、子どもたちが実体験を通して「科学する心」が育まれていることが捉えられた。さらに、育ちあい、伝え合うことの大切さや地域交流に関する工夫の必要性がわかった。
出雲市立中央保育所・幼稚園
テーマ
0歳からの『科学する心を育てる』「子どもたちの不思議との出会いを大切に」
〜 気付く・試す・考えるを生み出す環境の構成とは 〜
主題に迫る視点として「子どもたちの不思議との出会い」に着目し、「気付く・試す・考える」を生み出す環境の構成を工夫することで、子どもの感性、創造性、主体性が育まれるという仮説をもち、指導のあり方を探った。園の特徴である1歳児から5歳児までの実態を把握し、発達の特徴を押さえて3〜5歳児それぞれの発達に即した特徴的な事例を示した。
子どもたちがそれぞれの年令に応じて興味をもち追求していった活動や経験の流れを示し、経験を重ねることで変容していったことを捉えた。また、その中でもポイントになる場面を通して、幼児理解や環境・指導について考察をし主題に迫った。4歳児では、みんなで楽しんでいる工事現場遊びから「車が作りたい」という思いをもって車作りを始め、「スピードを出したい」「遠くまで走らせたい」とめあてをもって遊びを進めるうちに「曲がってしまう」という課題に気付き、乗り越えていく過程で科学する心が育まれていることがわかった。5歳児では、しいたけの不思議を追及しながら栽培を楽しんだり、風で走る車を作るという目的に向かって試行錯誤し工夫を楽しんだりしたことで、日陰や気温、風の強弱や向きといった自然にも関心をもって遊びながら様々な学びをし、科学する心が育まれていった。また、個別の対応が必要な事例を通して、幼児を理解して対応することで、一人ひとりの幼児の経験や変容を把握することができた。
これらの実践から、子どもが不思議を感じることで、「気付き、好奇心、疑問、試し、繰り返し、調べる、工夫する、分かる、納得する、感動する」など様々な経験が引き出されるので、保育者はそれに共感し「かかわりを深める」「知的好奇心を深める」「有能感が育つ」環境が大切であることがわかった。
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