公益財団法人 ソニー教育財団
科学する心を育てる ソニー幼児教育支援プログラム

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シンポジウム 「幼児期に育つ科学する心」

〜すこやかで豊かな脳と心を育てる7つの視点〜
  2007年7月21日(土)ソニー株式会社 本社大会議場

  • コーディネーター
    • 東京大学大学院教授 秋田喜代美氏
  • パネリスト
    • 日立製作所フェロー 小泉英明氏
    • 湘北短期大学教授  山田敏之氏
    • DNA研究所 代表  青木清氏
    • 東京成徳大学准教授 神長美津子氏
    • 品川区二葉すこやか園園長 大竹節子氏

秋田喜代美氏 「『科学する心を育むためには、幼児期から経験することが必要ではないか』ということがこのシンポジウムの根底にある問いです。そこで、『科学する心』とは何かを保育者や保護者が皆で考えていく。そして、市民のための科学を、明日の科学をこのシンポジウムを起点に始めたい」と、最初にコーディネーターの秋田喜代美氏(東京大学大学院教授)より投げかけられました。
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 そして、科学者の先生方や幼児教育に携わる方々が実際に幼児期において何が大切なのか、どのようなことを「科学する心」として捉え、育んでいるのかということをシンポジウムでともに考えました。

幼児期の育ちには何が大切か。科学する心には何が大事か。

小泉英明氏 小泉英明氏(日立製作所フェロー)は、「科学者に大事なことは、自分が謙虚であって自然の一部であるという視点である。自分の成果に固執せず思いやりの心をもつ。このような心を育みたい」と話され、さらに脳科学の視点から「知識などを得るのは、脳の新しい皮質。しかし、創造性でいちばん重要な『何が何でもやりたい』という気持ちは脳の古い皮質で育まれる。この『思い』にあたるところを幼児期にしっかりと育まなければ、知識をいくら詰め込んでも意味はない」と指摘されました。
 他にも、幼児期には知識の詰め込みではなく、実体験をしっかりしておくことが必要で、例えば、シャボン玉と思い切り遊んで、シャボン玉というのはどのようなものかが、成長するまで心の奥底に保たれるような体験をする。このような体験こそが「幼児期における重要な科学教育」であるということも、ご自身のシャボン玉実験の様子も交えながらお話がありました。
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山田敏之氏 山田敏之氏(湘北短期大学教授)は、ご自身の幼少からの経験や体験を振り返りながら、「本を読んだり、自然に触れたりする中で、強制ではなく、科学に対して面白いと思う心がまず先にあった。それが本当に身に付いた教育ではないか」とお話しされました。
そして、ご自身の経験をもとに「子どもの自然で本能的な欲求をいかにうまく引き出せる環境をつくるか、子どもの知りたいという欲望に対して答える環境をいかにうまく提供できるかが大切」と強調されました。
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青木清氏 青木清氏(DNA研究所 代表)は、生命科学のご専門の立場から「人間は脳の発達があり、まずは親の模倣でいろいろなことを覚えていき、感覚的に視覚や聴覚からものを習得していくのに大事な期間が存在する」という保育、子育てのベースとなる大切な情報をお話されました。また、生命倫理の第一人者である青木先生は同時に「最近の研究では、人間の良心や、モラルというものは、非常に高等な科学的な技術などを生む前に出来ているらしいということが分かってきている。子どものときにこそ思いやる心、モラルをつくることが大事だと思う」と述べられました。
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神長美津子氏 神長美津子氏(東京成徳大学准教授)からは、ご自身の保育経験やたくさんの現場をご覧になっている経験から「興味や関心に基づき、あるいはその心の動きに応じて活動を生み出していくことが、幼児期の発達の特徴。このため、子どもを取り巻く人や物や出来事などのさまざまな環境を豊かにしていくことがとても大事」と語られました。また、現在の保育者養成の立場からは、現代の幼児教育の抱える課題も話されました。「本来持っている好奇心旺盛な子どもらしさがなかなか発揮されないでいるが、その原因を私たち大人がつくってしまっているのではないか。意味ある他者としての大人のかかわり、周りにいる友達とのかかわりが重要なのではないだろうか」と述べられた。
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大竹節子氏 大竹節子氏(品川区二葉すこやか園園長)は、実際に二葉すこやか園が幼保一元化施設として先駆的に行ってきた、保育実践や環境構成のさまざまな工夫を写真を使いながらご紹介くださいました。また、「科学する心を育てる」テーマに取り組んだ実践者として「新たな問いを遊びの中で生み出せるような、探究心を育む保育空間が大切。幼児期は未分化な発達が徐々に分化していく時期なので、子どもたちがいろいろな素材に出会って試行錯誤したり、繰り返したり、多くの失敗ができる室内環境を用意している。身近なものの中に実はたくさん科学性を育む素材が転がっている」と保育者にとっても保護者にとっても大変参考となる具体的なお話がありました。
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「科学する心」はどのように育めばいいのか。

 それぞれ、ご専門の立場から分かりやすくお話をいただきました。子どもたちを取り巻く環境を真剣に考えなくてはならない私たち大人にとって、明日からでも心がけて行きたいと思える具体的なアドバイスでした。

小泉氏: 本物に触れることが大切。
意識しているものは脳の働きのごく一部で、自然物に触れた時われわれは意識下で非常に多くの情報を受け取っている。
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山田氏: 本物に触れることに始まり、さらに想像から創造に向ける動きを、決して強制するのではなく、周りからうまく引き出すように仕向けることが大切。
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青木氏: 生きているものは捕ったらすぐに自然に帰してあげないといけない。それをスケッチすることが大事。また、道端にいる虫たちにも大事な命があるということを子どもたちに小さいときから教えていくことが大事。
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神長氏: 本物に触れたとき、子どもが感じていることや、考えていることにゆっくりと付き合うことが大事。
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大竹氏: 子どものやっていることを共に大人も素直に喜んだり、気付いたり、認めたりしていくこと。また色々な可能性を追求していけるように継続性のある遊びを育てていくことも大事。
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 最後にコーディネーターの秋田氏より、「子どもを垣間見、より深く子どものことを知っていく喜び。そして、一緒に科学をしていく喜びが非常に大事ではないだろうか」と締めくくられました。
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 この後、会場からも質問や感想が活発に出されました。参加者皆で考え合う場となったのではないでしょうか。

※パネリスト3名(秋田氏、小泉氏、山田氏)に執筆による書籍「幼児期に育つ科学する心」の情報はこちらからご覧下さい。

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