音をつくって遊ぼう

広島大学附属三原幼稚園(広島県三原市)

【5歳児】

子どもたちがお店ごっこをして遊ぶ中で、楽器を作っている姿が見られ始めた。「様々な楽器を作って遊ぶ中で“聞く”という感覚を通すことを中心としながら、子どもたちが試したり工夫したりできるのではないか」と捉え、楽器作りの遊びが広がったり深まったりできるようにかかわっていくことにした。

事例1 いろいろなものを使っていろいろな音ができるよ

“トレイに輪ゴムをかけた楽器”をお店ごっこで景品にしている。楽器を作っては、保育者や友達に聞いてもらうことを楽しむ姿が何日もかけて見られるようになる。

<いろいろな所で、いろいろなはじき方をしてみる>
音をつくって遊ぼう(広島大学附属三原幼稚園)
  1. 最初は、主にトレイのくぼみの部分で輪ゴムを上につまびくように弾いて  いたが、そのうちいろいろな所で、いろいろな弾き方をするようになる。
    • トレイの横の部分や底の部分で輪ゴムを弾くと、音が違うことに気付き、「こんな音がするよ」と言う。輪ゴムを弾く時に、上だけでなく、下に押しつけるようにしてからポンとゴムを離して音を出している。また、ハープを演奏するように複数の輪ゴムを連続して弾いたり、琴のように、左指でゴムを押さえ、右指で弾いたりする。
  2. いろいろな素材を使って音を出す姿が見られるようになる。
    • 割り箸で輪ゴムを弾いたり、身近にあったドングリで輪ゴムを弾いたりする。
    • トレイに敷いていた色とりどりの飾りタフロープに、つまびいている輪ゴムがたまたま当たると、「あれっ、何か違う音がする」と違う音がすることに気付く。
    • トレイやストローなどを三味線のバチのようにして、輪ゴムを弾く。
    • 大きいペットボトルの凹凸を割り箸でなでるように滑らすと音が出ることを発見し、その後ストローの曲がる部分の凹凸を指でなでるようにして「やっぱりここでも音がする」と気付く。
<音を言葉で表現する>
<音の違いに気付き、比べてみる>

事例2 いろいろな楽器ができるよ

子どもたちが楽器を作る際のヒントになるように、保育者は本物の楽器(小太鼓・マラカス・ギロ)を用意した。演奏会ごっこをするA児は本物の小太鼓の側で、ダンボールや割り箸を太鼓やバチに見立てて演奏する。しかし、演奏しながら本物の小太鼓の音と聞き比べをしたのか、本物の小太鼓と自分の太鼓を見て首をかしげ、演奏を止めてしまう。保育者が「どうしたの?」と尋ねると、演奏するにはよく聞こえる音の方がいいと気付いたA児は「これじゃあ、大きい音が出んのじゃもん」と答える。そこで、保育者も「そうだねえ。どうしたらいいかねえ」と一緒に考えていると、B児が「そうだ!大きいアルミ缶でやったらいいかもしれん。丸いので、お菓子が入っとるのがあるじゃろう?」と考えつく。保育者は急いで大きめのアルミ缶を探して持って来ると、さっそく子どもたちは割り箸で叩いてみる。すると、「こっちの方が大きい音がする」ということを発見する。

<聞こえてくる音を擬音で表現する>
音をつくって遊ぼう(広島大学附属三原幼稚園)
<聞こえてくる音を感覚的に捉える>
<聞こえてくる音からイメージしたものを別のものに例えて表現する>
<音の違いに気付き、比べてみる>
<叩いて音の違いに気付き、比べてみる>

事例3 エルマーの冒険の物語に合う音を作る

<家でも音を見つける>
<小学校の楽器作りの授業に参加する>
音をつくって遊ぼう(広島大学附属三原幼稚園)
サイがブラシで角を磨く音

ペットボトルに木の枝と紙を入れて作る。

ライオンがクチャクチャのたてがみを櫛でとかす音

一度シワクチャにしたアルミホイルを紙の筒に巻き付け、ダンボールに擦りつける。

ネズミが歩く音

半分に折った紙皿の先の2箇所に丸い小さな木を付け、耳の側でカスタネットのようにして音を出す。


考察

楽器を作って音を出したり演奏したりして、表現する喜びをしっかりと味わえるようになる過程において、発見する喜びを感じ、試したり工夫したりしようとする意欲や態度を育んでいることがわかった。


ポイント

楽器遊びや演奏する喜びを追求することにとどまらず、様々な音の特徴や音のイメージを楽しむ姿から、子どもらしい感性や発想が伝わってきます。様々な楽器や音作りを工夫しながら進めている経験の積み重ねが、劇遊びの過程でも物語に合う音の表現にこだわって取り組む姿に結び付いています。比べたり聞き分けたりして目的に向かうことで、更に豊かな感性が働き「科学する心」が育まれています。