1 心を動かし、自分の思いを表現する幼児の育成

出雲市立稗原幼稚園(島根県出雲市)

 幼児が感覚を働かせかかわりながら、気付いたり、感じたり、実感したりできる心情や行動を育てることが「科学の心のめばえ」につながると捉えている。そして、一人一人の感じ方や表し方を丁寧に捉えることで「科学の心の育ち」を培うことができると考える。園の実態からも「心を動かし、自分の思いを表現する幼児の育成」が重要であると考えた。そこで、各年齢の育ちについて、○3歳児は感覚を働かせながら自然の不思議さやおもしろさを感じる。○4歳児は自分の考えでじっくりと試し取り組む。○5歳児は周りからの情報などを生かしながら自分のやり方で確かめていく。ような姿を願っている。

主題のめざす幼児像としては次のように捉えている
 
  • 自然や様々な事象に興味関心をもつ子ども
  • 心と体を動かし、自然の中でのびのびと遊びを楽しむ子ども
  • 自分(自分達)の遊びに、意欲やめあてをもち遊びを続ける子ども
  • 自分なりのめあてや期待をもち、試したり、繰り返したり、挑戦したり、乗り越えようとしたりして遊びを発展させようとする子ども
  • 自分の思いを出し合い、互いの思いや考え、よさや違いに気付く子ども

『食』を通して、まわりの自然環境に興味関心をもつようになった事例  4・5歳児混合 4〜5月
幼児の姿
保育者の願い

事例1 きゅうりの漬物
  • 栽培したきゅうりを塩もみする。
    C:絞り汁の鮮やかな緑色に興味をもつ。
  • 色水に「塩」を使ってみたい。
↓
  • 色水作りで「さくらの葉っぱを塩でもむと、おいしい匂いがする」
  • さくら餅クッキング
↓

「図鑑に『酢』で色が変わるって書いてあるよ」
(試してみよう。)
「色水の色が変わるものと変わらないものがある」


事例2 園外保育の活動からの展開

園外保育 5歳児(4月)
A児:「たんぽぽは食べられるって図鑑にのってたよ」
B児:「摘んで、食べてみようよ」
○湯がいて食べてみる。
  「にがい!食べられない。どうして?」

↓

わらびが変身(5月)

  • 4・5歳児でわらびを採り、地域の人に「あくの抜き方を教えてもらう」
  • 炭酸や、灰を使ってのあく抜きを教えてもらう。
    にがいのをおいしくする薬があるよ」
  • 試食…あくの色や見た目と違ってわらびが「おいしい!」
    5歳C児:「たんぽぽにもこれをつかってみたら
↓

「大成功!にがくないよ」
「にがいたんぽぽが、やっぱり甘くなったよ!」

園外保育に出かけ、木の実(梅・さくらんぼ)を見つけるとすぐに「これ食べられるかな?」「どうやったら食べられる?」と聞くようになる。

  • 梅はとってもいい匂い「おいしそう」
  • 「すっぱい!どうしたら食べられるの?
  • 梅ジュース作りに挑戦「やまももは?」

 
  • 幼児は、自然物を「食」するという体験に、とても好奇心をもちながら取り組んだ。
    「味わう」という感覚を使った体験は感動が大きく、自然の楽しさや親しみを感じることができた。
  • 草や木の実を見つけると「食べられるかな」と子どもたち自身が楽しみにするようになった。体感を通した自然とのかかわりを大事にしてきたことで、匂ったり、なめてみたりなどかかわり方に変化が見られるようになってきた。
  • 遊びの場面で「食」の体験を思い浮かべてヒントにしたり、関連付けて考えたり、図鑑などで調べてみようとしたりするなど、自然に親しむ様子が見られた。

ポイント

 「育てたい幼児像」が明確になっていると、具体的な実践場面で主題に迫る子どもの姿を把握しやすく、考察にも結びつきます。保育者同士が共通に理解して保育をすることで、「タンポポはにがかったから、わらびみたいにあく抜きをして、もう一度食べたい」という子どもから出た発想を実現する展開ができ、「科学する心」の育ちを読みとることができました。