C-3.蚕ってすごい!まゆの糸はこんなに長かったんだ!
岡崎市緑丘保育園 (愛知県岡崎市)
[5歳児]
5〜6月
設定した理由や意図
蚕の飼育の中で、糸を出す蚕に興味を持ち、絵本に載っていた『1300m』という長さを「すごい長いね」という言葉から、実際の長さを確認し、長さを感じられるようにしたいと考えた。 糸取りでは、自分達の中の不思議や疑問を見て確かめることで、自分のものとなっていけるようにと思い、進めていった。
まゆから糸を出す
糸を出す温度を保つためにカップラーメンのカップの横に糸穴を開け、煮たまゆを10個程入れ、1人の子がまゆの入ったカップを持ち、ゆっくり進んでいき、他の子は糸が切れないように支える役となり、保育室前の廊下を往復する。
糸が出てくる様子を見ながら「こんなに細いんだ」「蚕の口から出た糸だから細いよね」「すごく長いね」「くもの糸みたいだね」とまゆから出る糸の様子を見て、ゆっくりと伸ばしていく。20mある廊下を10回往復したが、まだまゆは小さくならないので、2階の端から階段を降りた。スタートした廊下まで1周することができたが、まだまゆが残っているということを確認し、次の活動に期待が持てた。みんなが手に持ってみたことで、糸の質感にも触れることができた。
みんなでリレーをしてみよう

糸出てるよ。きれい!
透明なんだね。
子どもが楽しんででき、より長さが実感できるようにしていきたいと思い、園庭に周囲66mの四角形を作り、子どもたちが順番にまゆの入ったカップを手渡していき、糸を出しながら全員でリレーする方法をとった。園庭を回っていくと、糸が体に巻きつき切れることもあり気を付ける子、カップから出る細い糸を確認しながら進む子、転ばないように慎重に進む子、走って進む子と様々な姿が見られた。自分達で糸出しができて満足し、「まだまだ続くね」と長く続いていることに喜び、どれだけ長いのかを期待して目を輝かせていた。園庭を20周およそ1300mを超えたところで糸が終わった。
考察
前回の廊下での糸取りよりも、園庭という広い場所で糸を張っている様子を見ることができ、長さというものがより感じられたのではないかと思う。また、全員が糸取りの体験ができたという部分では活動も楽しめたようで、満足した表情であった。「20回も回ったね」「長かったね」という声はあったものの、同じところを回っていることで「20周という言葉の意味」や「20周という量感」などは、あまり実感できていないように感じた。
自分たちで糸の長さを予想して確かめてみよう

車屋さんは、過ぎたけどまだ糸出てるね。
蚕さん頑張ってるけど、私達つかれちゃった。
園庭(1周66m)20周という前回の結果から、保育園からどの辺までの距離が糸の長さと同じくらいなのかを予想してみる。桑の木マップを見ながら、それぞれの子が予想を立てて発表した。「みどり公園まで行けるよ」「緑丘小学校まで」と保育園周辺の場所を言う子、「東京まで行くと思う」と言う子など、今までの糸取りの中で一人ひとりが感じた長さは様々であった。
子どもたちは今まで感じた糸の長さを、自分が歩いたことのある距離で考え、『園から車屋までの赤チーム』『園から池までの黄チーム』『池からタンポポ橋のピンクチーム』『池から桑の木までの青チーム』『池から車屋までの水色チーム』の5チームに分かれた。地図には、色別の毛糸でそれぞれのコースをわかりやすく書き込んでいき、園から出発の赤・黄チーム、池から出発のピンク・青・水色チームと2日間に分け、実際に糸を取りながら予想したコースを歩いてみることにした。
1日目 「すごいね」「まだ歩けるよ」<園から出発の赤・黄チームの2チーム>
カップの中から糸が出ているのをよく見て、5、6人が一列に並び、順番にカップを持って歩く。糸が絡まないように気をつけて、曲がり角などはガムテープで道に貼り止めるようにする。どんどん出てくる糸に「どこまでいっちゃうのかな」などと期待をして歩く。一番近い車屋に着くと、「まだまだ行けそうだね」と池までの黄チームと一緒に池を目指して進む。池に着く。カップには少し小さいが、まだ白いまゆが入っている。2チームとも自分達が予想したコースよりも長いことがわかり、「すごいね」「まだ歩けるよ」という話になり、神社まで喜んで糸取りを続ける。神社についてもまだ行けそうなまゆの様子を見て、「緑丘小学校まで行けるかもしれないよ」「○○ちゃん家も行けそうだよ」など、残りの糸の長さを考えながら、園に戻る。帰り道、少しずつまゆが透けてきて、中のさなぎが見えてくると「もう少しで終わりそうだよ」と言うが、長い距離を歩いた疲れが見え始める。そして、園に到着してもまだ少し糸が残っているのを見ると、「蚕ってすごーい!」という感動の声もたくさん聞くことができた。
2日目 「こんなに長かったんだね」<池からスタートのピンク・青・水色チームの3チーム>
昨日行った友達に「すごい長かったよ」「池にも神社にも行っても大丈夫だったよ」という声を聞き、期待しながら出発する。池までの道に前日の糸が貼ってあるのを見て、「昨日もここ通ったんだね」と糸を探しながら進む。池に着き、順番にチームごとにスタートする。一番短く予想した池から車屋までの水色チームは、昨日の情報を聞いているので「行けそうだね」「絶対に行けるよ」と自信満々で言う子もいた。車屋に着き、スタートした池の方を見て歩いた距離を確認すると、「まゆ、すごいねー」と感心している。目的地の車屋でもまだまゆが残っているので、タンポポ橋までのピンクチームと一緒になり、続ける。桑の木までの青チームが見えると、それぞれのチームが声をかけながら進めていく。青チームが桑の木に着いてもまゆは随分残ってることを確認し、大きな声で「まだ糸あるよ」と田んぼの向こうを歩いている子に報告をする。残りのタンポポ橋を目指して3チームが歩いていく。疲れて遅くなる子もいるが、タンポポ橋が見えてくると、「あと少しだね」とゴールを目指して歩き、3チームともタンポポ橋まで着く。タンポポ橋から池の方を見てみると、「すごい遠くまで来れたね」「こんなに長かったんだね」と改めてまゆの糸の長さを感じているようだった。そして、薄くなってきていたがまだ残っているまゆを見て、保育園に戻るまで糸を引き続き取りながら歩いた。
水色チームは保育園に着くと、ちょうど糸が終わり、ピンク・青チームはまだ糸が残っていた。
考察
いつも散歩では前や横を向いて歩くが、カップの中の蚕を見ながら、車にも気をつけながら歩くという経験をし、神経を遣ったに違いない。またグループで代わる代わる糸の出るまゆの様子を観察してきたが、途中で嫌になりすぐにバトンタッチしてしまった子もいる中で、グループとして最後までやり遂げた気持ちは達成感を生み、協力する心、助け合い、励まし合いの心に繋がっていった。
『1300m』を桑の木マップから地域と重ね合わせて考えることが出来たことは、長さを自分なりに予測し、想像してみる力となり、確かめるために「やってみよう」とする意欲を育て、科学する心の育ちに繋がったのではと考える。蚕を育てる活動を通して様々な経験をし、子どもたちの蚕に対するイメージが、より深くなったことを感じる。
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