
3.「科学する心」の育ちのサイクル(協同的な学びの中で)
立花愛の園幼稚園 (兵庫県尼崎市)
1.「プロジェクト愛の園」とは
「プロジェクト愛の園」とは、子どもの「科学する心の協同的な学び」を育むことを目的として始めた当園の保育内容の呼称です。「プロジェクト愛の園」における保育の特徴を以下に列挙します。
- 子どもが自ら考える(知)
- 周りの状況を見ながら子ども自ら行動し、その中で自分を発揮する(社会性・自発)
- 先に行う活動に対して期待感と見通しを持って活動する(予測)
- 仲間と話し合い、協力しながら活動を進める(協同)
- 自分の思いを仲間に伝えると共に、仲間の思いも受け入れながら活動の方向を決め、活動を進める(社会性)
- 試行錯誤しながら最後まであきらめずにやり遂げる(自信・自立)
- やり遂げた喜びを次への新たな挑みにする(自信)
 この「科学する心の協同的な学び」を育むための子どもの活動を支えるために、保育者は子どもの姿について話し合いを重ね、それに基づいた保育内容「プロジェクト愛の園」を考えました。また、子どもが自覚的に活動を継続して取り組んでいける事を大切にしました。そのために、時には保育者自身が活動し、モデルになり、好奇心や興味を持てるようにし、活動の面白さを伝え、一緒にすることで、子どもに新たな気づきをもたらし、子どもの自発的思考による活動をサポートしました。
また、子どもたちが活動している姿を十分に理解し認めたり、結果に対して保育者が喜びを表し感謝の気持ちを伝えたりすることでは、子どもたちが活動に楽しみや喜びを感じ、自己効力感を感じ、自信を持って活動を進めることが出来るように心がけました。
保育者と子どものこの関係の中で、子どもは自己充実感を繰り返し得て、自尊心、自己肯定感を持って、主体的に仲間と共に活動する力(生きる力)を育んでいくと考えました。ここに、「プロジェクト愛の園」における「科学する心の協同的な学び」の意義があるのです。この「プロジェクト愛の園」の保育において核として位置づけられているのが「畑・田んぼプロジェクト」です。
2.畑・田んぼプロジェクトと「科学する心」との関連
「畑・田んぼプロジェクト」を行っている場所は、園地に隣接している約550uの畑を中心に、平成16年度より手がけたものです。
(1) 話し合いを大切にする
「畑・田んぼプロジェクト」では、畑や田んぼの作物の生長を見て、期待感を持ちながら活動を継続していきます。その過程で、子どもたちは仲間と話し合い、試行錯誤を繰り返して野菜を育てていきます。
なによりも「畑・田んぼプロジェクト」が子どもたち自身の営みとして、自覚を持って進めていけるよう心がけました。
畑プロジェクトでは、話し合いを大切にしました。何を作るのかという、作付け内容から決定まで話し合いで始めます。保育者が作物を決めてしまうのではなく「こんなものを食べたい」「作りたい」という夢や希望を話し合い、共感し合って始めることで、協力し合って育てる長期の活動を継続することが可能となると考えました。
計画だけでなく、時々に生じる子どもたちからの疑問や推測などを大切にし、それらを解決できるように、保育者は子どもたちの話し合いのサポートをしました。話し合いでは、子どもたちの話し合いがいつも同じ子どもの意見に支配され決まっていくことのないように、多くの子どもたちが意見を言える機会を持てるよう、色々な意見や思いに気づいていけるような話し合いを大切にしました。
子どもたちの疑問の答えが見つからないような時には、つまずいた時の対応の仕方を学べることを願って、保育者はすぐに答えず、より多くの子どもの意見を聞き、反映し、疑問に対して違う角度から見るように返したり、他の子にその疑問を投げかけたりもしました。
一人の疑問や思いを仲間に伝え、話し合ったり、考え合ったりして、解決に向けていくことが、個人の学びを協同的な学びにつなげると考えているからです。そして、仲間と活動の中で試行錯誤しながら、やり遂げたときの本物の充実感を大切にしているのです。その結果は、また深い仲間作りにもつながると考えます。
(2) 発見を大切にする
また、このプロジェクトの過程において、子どもたちは様々な発見をします。それは、野菜や稲の生長による変化にとどまらず、 畑や田んぼに生息する虫などの生き物や、実を大きくする知恵など多岐にわたっています。畑・田んぼに生息する生き物についての発見場面では、必ず、仲間に教えたり、仲間から教えられたり、共に考えたりするなど、仲間と伝え合う姿が必ず見られます。これは、他者との関係性の中で学び合う姿です。そこでの「科学する心」の協同的な学びには、知的好奇心で響きあう友達とのつながりが不可欠です。
(3) 「科学する心」との関連について
野菜の生長についての発見とは、【生長に気づく=変化(違い)に気づく】ことと考えました。それを、もっと明らかにしたいという願いが、客観的に見ることができる結果を生み、この客観性の育ちが、「科学性する心」につながると考えました。
言い換えると、幼児の「科学する心」は、単なる客観性の育ちではなく、育てる喜び(感動体験)の感情があり、それを広げ・深めていくための思いや考えとして「科学する心」があるのではないかと考えました。このような考えや気持ちをしっかりと受け止め、認め合う友達同士をつなぎ、協同的に育てていくことが、「科学する心」に支えられた幼児の学びとなり、小学校以降の学びの基礎となると考えました。
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