ソニー幼児教育支援プログラム > 「科学する心を育てる」実践事例集vol.2

4. 自然の中で自ら遊びを創り出す子どもの育成 〜森の幼稚園の実践から〜
ふどう幼稚園(東京都目黒区)


 地域の自然環境を日常的に保育に生かす試みとして、隣接する都立林試の森公園を幼稚園の第二園庭のように活 用し、5年になる。
  園ではそれ以前にも都立林試の森公園を利用していたが、散歩や観察という単発的な活動に終わりがちであった。 「森の幼稚園」にしていきたいという思いで繰り返し行く中で、幼児が次第に自分たちの生活の場として安定して遊 ぶようになり、日々変化していく自然の不思議さに気付いたり、四季を感じたりしながら、周りにある様々な自然物 を遊びに生かしたり取り込んだりする楽しさを味わうようになってきた。

森の冷蔵庫
A児たちは、大きな葉を拾ってきてその上に泥団子やサクランボの実をのせ「おいしそうでしょ」「パーティしようよ」と遊びだした。(中略)
 幼稚園に帰る時間になり、知らせに行くとA児は「ここ続きにしておきたいなあ」と言う。「そうだね、どうしたらいいかなあ。ごちそうをどこかにしまっておけるといいよね」と教師が言うと「でもそんなところないよね」とA児たちは首を振って言う。
 一本の木の、下の部分が穴になっているのを見付けた教師が「ここどう?」とみんなを呼ぶ。「ほらこの穴の所、深くなってるよ、いっぱい入りそう」と穴をのぞき込むと、子どもたちも穴をのぞき込み「ここならいっぱい入るね」「ここにしよう!」と嬉しそうにごちそうを運び始める。木の穴の中に泥団子をそっと並べて、最後に大きな木の葉をふたのようにして閉める。B児が「冷蔵庫みたいだね」とつぶやく
 一週間後、再び森に遊びに行く。A児たちは幼稚園から持っていったシートをひろげ、「ここ私たちの家ね」と言って遊びだす。森を探検して帰ってきたA児が「もうごはんにしようよ」と呼びかけると、B児が「そういえばさあ、この前、森の冷蔵庫にお団子入れたよね。あれ、まだあるかな」と言う。「そうだったね」「あるかな」とみんなで木の根元の洞(森の冷蔵庫)を見に行く。
 しゃがんでのぞきこみ「あった、あった」「ほら!」と大喜びで取り出す。泥団子は、堅くて少しひんやりしていた。「本当に冷蔵庫みたい!」という声があがる。
 A児たちは、たくさん遊び、帰りには「また冷蔵庫にしまっておこうね」とうれしそうに泥団子などをしまっている。

切り株                                          森の電車ごっこ

 

 繰り返し遊びに行く拠点の中で、幼児が自分にとっての遊びの拠点を見つけている。その一つが切り株である。

森の遊びと園での遊びをつなげていくときには、「電車持っていきたい」などという幼児の思いから出発することが大切だと考える。
 木々の間を見え隠れして走る感じは、電車のイメージにぴったりで、起伏があり、変化に富んだ森の環境は、電車ごっこの楽しさをさらに広げることにつながった。森で遊ぶ経験を重ね、森を自分たちの遊び場だと思えるようになってきたからこそ、大好きな電車を森に持っていきたいという思いが浮かんだのだと考える。


● ポ イ ン ト ●
 隣接する公園を「森の幼稚園」にしたいという保育者の発想から、公園を繰り返し活用することで、子どもたちの中の 意識や生活の中に「森」が根付いていきます。木の穴を冷蔵庫に見立てて物をしまったり、切り株とのかかわりなど、繰り 返しかかわっているからこそ生まれてくる遊びの発想です。

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