ソニー幼児教育支援プログラム > 「科学する心を育てる」実践事例集vol.1


6.子どもの感性をゆさぶる「科学遊び」 ―現場の教師のとまどい―
こまどり幼稚園 (秋田県秋田市)

この「科学遊び」は課題遊びに属するもので、担任を中心に年間計画に基づき、意図的にまとまった科学遊びとして展開されます。教師の演示によって、興味深く不思議な事物や現象によって刺激された子ども達は、自分の好みに応じて主体的な遊びへと導かれます。その過程で教師は子どもの興味や好奇心をよく把握し、遊びがさらに拡がるように援助します。最後に遊びのまとめと評価が行われます。

科学的遊びに対する当初の教師の不安
(1)これまでの自由保育形態の中に突然このような形で聞いたことも無いような遊びを持ち込んでも良いだろうか。
(2)これを3歳児にやるのはとても無理なことである。
(3)新しい科学遊びの保育に当り,現場の教師は何をねらいとし,(科学的意味合いも含めて)どのようなやり方をしたら良いか戸惑うばかりである。

 これを真摯に受け止め、しかし、諦めず辛抱強く意見を交わしながら次のような形で理解が成立しました。
(1)今後自由保育と課題保育の組み合わせ方式とし,科学遊びは後者の課題保育の時間でやる。
(2)3歳児でも内容によっては充分やれるという事例が挙がったので大丈夫と思われる。
(3)の現場教師の不安を解決するために委員によって指導の手引きを作成する。各月の終わりに翌月分の題材について、この手引きを用いた解説や必要な講習会をやるから大丈夫。
科学遊びはあくまでも自然に対する興味を高め、そして不思議さ、おもしろさ等の感性を育てるのが目的であって、科学の知識が目的ではない。思考活動も理論的ではなく試行錯誤の過程こそ意味がある。ということで、理解が成立したのです。

 さて、理解は成立したものの、いざ実施となるとなかなかふん切りがつかず1ヶ月位経過したその時です。当時4歳児の担任だったT教諭が「とにかくやってみないことには先に進まないから、私がやってみます」と言って、「磁石遊び」の題材で研究保育をやってくれたのです。

 子ども達は目を輝かし、磁石の不思議なはたらきに驚き、歓声をあげながら思い思いの試みに熱中しました。
 子ども達の感性に及ぼすすばらしい効果に担任のT教諭自身こんなこと初めてと驚くばかりでした。

 この貴重な勇気ある実践によって、科学遊びが明るい展望のもとに、本格的研究実践に入り、回を重ねるごとに教師自身の科学的教養も高まり、科学への興味を増しつつ現在に至っています。これまで園長中心の委員会が立案していた年間計画を、教務主任を中心に現場で起案するようになり、現場の成長が示されました。



● ポ イ ン ト ●
 「科学遊び」を日常の実践に取り入れようとしたとき、現場の先生方には様々な不安がありましたが、その不安を一つひとつ取り除いて、先生方自身が明るい展望を持って科学遊びに取り組めるようになってきました。先生方を変えたきっかけは、科学遊びに熱中する子どもたちの姿でした。

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