ソニー幼児教育支援プログラム > 「科学する心を育てる」実践事例集vol.1


A−6.「若葉の森検隊」
会津若葉幼稚園(福島県会津若松市) <5歳児 4月 〜 8月>

 「若葉の森」の自然を、子どもたちが、自分で見たり、触ったり、確かめたりして、面白さ、楽しさを感じる。
そして、こうした直接体験を通して、不思議さや驚き、感動をもち、興味関心を育て、認識や思考を深めていく。

[ 当日のねらい ]
(1)第一回若葉の森探検 (4月)
  周りの自然に目を向け、春探しをしながら興味を持って見たり触れたりする。
(2)第二回若葉の森探検 (5月)
  周りの自然に目を向け、春を探しながら親子一緒に興味を持って見たり触れたりする。
(3)第三回若葉の森探検 (6月)
  前回気づいた事や不思議に思ったことがどのように変わったか探ってくる。
(4)第四回若葉の森探検〜森の間伐〜 (8月)
  ・若葉幼稚園の森を探検し、夏探しを楽しむ。
  ・植樹したどんぐりを観察するとともに、間伐の様子、年輪などを見て樹木の成長に興味関心を持つ。

[ 事 例 ]
幼児の様子 保育者のかかわり
3月 ●年中時後半に、年長クラスが作成した「若葉の森の地図」を見せてもらい、今までの探検で自分達が発見していないものがたくさんあることに気づく。 ●年長クラスの若葉の森での活動をまとめたものを直接聞くことで、来年度への期待・意欲を持たせる。
4月 (第一回若葉の森探検)
●「黄色バッチの時楽しかったんだよね!行きたい!」「前の緑バッチさんよりたくさん見つける!」と張り切っている。

●あいにくの小雨だったが雨ならではの森の様子を楽しむ。

●保育者から晴れているときの森の様子を聞き、「この次はくさりの道や秘密の抜け道にも行きたい」と期待を持つ。  

●園に戻って「どんぐりなかった」と残念がる。

(普段の保育にて)
●コンピューター・マイクロスコープ(顕微鏡・200倍)で園庭の葉や種を見る。
「これもみてみたい!」とどんな風に見えるのか興味を示し、様々なものを見る。
●雨の日ならではの様子に気づかせながら、天気の良い日の様子なども知らせ、イメージが膨らむような言葉掛けをする。

●見つけたかったものが無かった事を残念がる子がいたため、どうしてなかったのか一緒に考え、沢山の気づきがあった子の話を全体で聞く機会を持ち、発見した喜びを共有できるようにした。

●顕微鏡で見ると、肉眼では見えないものが見え驚く子ども達に共感し、「これはどんな風に見えるんだろうね」「さっき見たものとなんか違うね」と、比べたりして更に興味が高まるよう促す。

●普段の保育の中でも、使いたい時に自由に虫めがねや図鑑が使えるよう設置した。
5月 (親子遠足〜第二回若葉の森探険〜)
●虫めがねや図鑑、方位磁石を持って若葉の森を探検する。虫めがねで何かを見たいという気持ちが強まり、立ち止まっては虫やキノコなどを観察する。

●虫めがねを自由に使い、園庭の虫や花や葉などを見る。
●虫めがねや図鑑に加え、「若葉の森はどうなっているんだろうね」「この前はこんなものを見つけたんだよね」 と前回の様子を振り返り、各自目的を持って探検ができるよう言葉掛けをした。

●方位磁石の色のついた針が同じ方向に向く事に気づけるよう説明の看板を設置した。
6月 (第三回園外保育)
●「この前見た、グニャグニャしたやつ見るんだ」と虫めがねを持って自由に幼稚園の森を探検する。

(園に戻って)
「とかげがいたよ」「水が流れる音が聞こえたよ」自分が見つけたものを先生や友達に知らせ、 友達が何を見つけたか聞く。「一緒に見たんだよね」と大好きな友達と自由に歩け嬉しそうにしていた。
「暑かったね」 「でもお山の中は涼しかったよ」 「木がいっぱいだからお日様が入ってこれなかったのかな・・」 「お日様が入ってこないと木は大きくなんないんじゃない?」 「そうだよ、お日様当たらなかったら大きくならないもんね」

●保育者から、森には草や木,花にお日様が当たるように時々木を切ってあげる事が必要だと話を聞く。
「じゃ、おれが切ってやるか」 「どうやって切るんだ?」
●不安に思っている子には、頻繁に声を掛け近くにいて、一緒に葉や虫の様子を見て安心感を与える。

●園に戻ってから、どうだったか話し合う機会を持ち、自分だけでなく友達の話に耳を傾けて お互いが認め合えるようにし、自信と意欲を持たせた。

●子ども達の気づきに共感し、どうしたら良いか一緒に考えた。

●子ども達の気持ちを受け止めながら、山には、間伐が必要であることを知らせる。
8月 (第四回園外保育〜森の間伐〜)
●若葉の森で、虫や鳥の声を聞いたり葉っぱの色や気温などから夏を感じる。

●間伐の様子を見る。
「切るなら全部切っちゃえば?」
「切っちゃうなんてかわいそうだね」
●切った木の切り口に興味を持ち年輪から木の歳が分かることや、お日様が当たった所は幅が広いことに気づけるようにする。

●間伐の様子を見てそれぞれが感じたことを受け止める。

[ まとめ ]
 ・目的を持って探険が楽しめるよう、前年度の探検絵地図を見たり、探険に必要だと考えた用具を追加した。
 ・目的の場所へ行こうとコースをはずれても挑戦する姿があった。
 ・虫眼鏡や図鑑で虫や葉、キノコをじっくり観察・比較したり、虫や小鳥の鳴き声を聞いたり、季節探しを楽しんだ。
 ・夏に間伐の様子を見た後、切り株に触って水分や温度を感じ、年輪に気付いていた。

[ 反省・評価・考察 ]
 ・3・4歳時の森での経験を経て、5歳になり『見る』『気づく』ことに広がりが出てきた。
 ・若葉の森を通して得た感動を色々な方法で表現することは、想像から創造へと育つ上で大切なことである。
 ・具体的な目的意識を持って探険・観察ができるように工夫し、立体地図作りや間伐を試み、新たな反応が見られた。
 ・子どもの姿、興味好奇心の表れ、反応などを記録に取り、検討・評価を繰り返す中で、教師の柔軟な配慮、援助の重要性を感じた。


● ポ イ ン ト ●
 園が所有する森を活動の場に、3年間の見通しの中で保育計画を作り、毎年、子どもたちが より深く自然と関わるよういろいろな工夫が考えられています。子どもたちが、自分で見たり、 触ったり、五感にふれる直接体験を通して、「面白さ」「楽しさ」を感じ、興味・関心をもち、 そして、新しい気づきや考え、思いをふくらませています。

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