公益財団法人 ソニー教育財団
科学する心を育てる ソニー幼児教育支援プログラム

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論文募集

学校法人中沢学園 会津若葉幼稚園
実践提案研究会 開催レポート

秋晴れの9月17日(土)、“2010年度優秀園”である学校法人中沢学園 会津若葉幼稚園に於いて実践提案研究会が開催されました。始めに、主題「科学する心を育てる」や園のサブテーマ「自然事象に興味関心を広げ、『触れて・感じて』『試して・考える』力を育む」に沿った公開保育が展開され、その後、研究発表がありました。公開保育と発表を受けて講師の宮城学院女子大学児童教育学科教授 磯部裕子先生より午後の協議会につながる講評がありました。協議会では幼稚園・保育園・小学校・福島県教育センター、学生など様々な立場からの話や仙台や長野、愛知など各地からの参加者の方との情報交換もあり、活発な話し合いがされました。最後に講師の磯部裕子先生より、まとめになる講話がありました。


研究会概要

       
  1. 日時:2011年9月17日(土)
  2. 会場:学校法人中沢学園 会津若葉幼稚園(福島県)
  3. 研究テーマ:<主題>科学する心を育てる
    <サブテーマ>「自然事象に興味関心を広げ、『触れて・感じて』『試して・考える』力を育む」
  4. 時程:
    • 9:00 〜 11:00 公開保育
    • 11:20 〜 11:50 研究発表
    • 13:00 〜 14:30 協議・グループディスカッション
    • 14:30 〜 15:30 講話

公開保育

  クラス名 主な活動
5歳 さくら組 気球作りを通して気付いたことや試したことを言葉に出して伝え合う。
もも組 帆かけ車を友達と考えを出し合い、協力して作る。
4歳 ひまわり組 ポリ袋風船の不思議な動きや感覚を楽しむ。
たんぽぽ組 風車を作り、風を見つけたり風を感じたりして楽しむ。
主な内容
さくら組(5歳児)

会津若葉幼稚園 実践提案研究会 開催レポートお日様パワー(太陽熱)に関心をもち、場所や色の違いによって温かさがどう違うか?と疑問をもち、実際に触れたり、温度計を使って調べたりすることで興味を深めた。子どもたちは黒いビニール袋が太陽熱で浮かぶ様子に感動し、「気球みたい!」「熱の力で浮かぶのかな?」と考えた。そして、【お日様に似ている力】としてロウソクや固形燃料、アルコールランプ等の熱を挙げ、グループで相談しながらテーマをもって絵を描き、自分たちの気球作りに取り組んだ。袋の大きさ、厚さの違いでどのように浮かぶか予想を立て実際に行い「今度はもっと固形燃料の数を増やそう」と意欲をもち続ける様子が見られた。
(今後)子どもたちの興味や関心に寄り添い、実際に見て・触れて・感じる経験を大事に積み重ねていく。

もも組(5歳児)

会津若葉幼稚園 実践提案研究会 開催レポート風で動く物に興味をもち、普段の生活の中で、飛ぶ・まわる・走る…等の自然現象を見て、「不思議だな」「何か作ってみたいな」と思うようになった。船が出てくる歌を毎日歌っていたことから、「マストって風を集めるんだね!だから動くんだね!」「僕も作ってみたいな!」と空き箱やビニール袋を使い、友達と意見を出し合って作った。
思うように動かないと、「マストが小さいかな」「車が重いかな」「地面が悪いのかな」「風が弱いのかな」といろいろ原因を考えて、何度も挑戦した。
(今後)子どもたちの発想や工夫を大切にしながら、いろいろな経験が出来るよう計画・準備をする。

ひまわり組(4歳児)

会津若葉幼稚園 実践提案研究会 開催レポート昨年度から興味が続いている凧を、自由遊びの中で作って飛ばして遊び、風と一緒に遊ぶ楽しさを感じ、【もっと風で遊びたい!】という気持ちが膨らんでいた。凧作りの際にビニールという素材に気付いた背景から、今回は一人ひとりビニール袋で風船を作り、不思議な動きを楽しんだ。室内、扇風機の前、自分の息、戸外、と様々な場所・方法で風船を飛ばし、風船の動き方に変化を感じて【風があると、面白い!不思議!】と、言葉や身体で表現しながら楽しんだ。
(今後)引き続き、遊びの中で不思議さ、面白さが感じられるよう配慮をしていく。

たんぽぽ組(4歳児)

会津若葉幼稚園 実践提案研究会 開催レポート幼稚園の庭に取り付けられている風力発電機を見て「扇風機みたいだ!」「ピカピカ光った。面白い」と興味をもち、【触りたい!風車、欲しい!作りたい!】と意欲が高まっていた。以前は画用紙で作り、今回は紙皿と割り箸の風車を作った。子どもたちは、歩いたり、走ったり、息を吹きかけたりするなどの様々な方法で自分の作った風車を動かすことを楽しんだ。窓に近付き、外の風を受けようと考える子もいて、室内と戸外の違いを感じて自分なりに試してみる姿が見られた。
(今後)子どもたちの興味に応じて様々な素材を準備することはもちろん、言葉や身体を使った表現活動を今後も展開し、続けていく。

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研究発表



本園が考える「科学する心を育てる」とは、『経験』を子どもたちが主体的に重ねることである。子どもたちは見て・聞いて・触れて様々な感覚や身体を使って直接体験することで、驚きや不思議を感じ、感動する。このような心の経験を繰り返すことで学びの芽が生まれ、自ら試し学ぶ楽しさ、面白さを味わい、科学する心が育まれていくと考える。保育者の役割は疑問や不思議を深める手助けを心掛け、子どもの好奇心、探求心を持続させる配慮をすることである

研究発表「科学する心を育てる」 〜自然事象への興味関心を広げ、『触れて・感じて』『試して・考える力』を育む〜
1、主題の捉え方

会津若葉幼稚園 実践提案研究会 開催レポート本園が考える「科学する心を育てる」とは、『経験』を子どもたちが主体的に重ねることである。子どもたちは見て・聞いて・触れて様々な感覚や身体を使って直接体験することで、驚きや不思議を感じ、感動する。このような心の経験を繰り返すことで学びの芽が生まれ、自ら試し学ぶ楽しさ、面白さを味わい、科学する心が育まれていくと考える。保育者の役割は疑問や不思議を深める手助けを心掛け、子どもの好奇心、探求心を持続させる配慮をすることである。

2、実践事例・考察

ごっこ遊びが発展し、舟作りが始まった。どんな材料が適しているか、考え予想し、試してから、個々のイメージで作った。その結果【浮く】ことはできたが、【動く】となると難しく、動かない原因を考え試行錯誤した。一方で【舟を動かす】ことの捉え方もそれぞれの発想や考えがあった。話し合いの場を設けると、【何かが動いているから舟も動く】という共通点に気付いた。
ある子の「舟を動かすには力がいるんだよ」との発言から、どんな力で動いていたのか再び話し合いが始まる。様々な力が見つかり【風の力】が出てくると、「風は違うんじゃない?だって見えないから分かんない」との意見が出た。「見えないけど、船が動いたから見えるんだよ」との声に賛同する子が増え「【かくれた力】見つけた!」となった。

〜事例を通しての考察〜
  • 会津若葉幼稚園 実践提案研究会 開催レポートきっかけや刺激を受ける・与えること、楽しさを倍増させ感動を共有できる、友達の存在の大きさ(刺激)。同じ年齢の友達だけでなく、異年齢児から刺激を受けることが大切。知っていることを伝える、教える、憧れる、真似をすることを通して育ち合える場を設ける。保育者は試行錯誤の経験が抜け落ちることのないよう間に入って見守る。
  • “やってみたい”という主体的な意欲が原動力となり試行錯誤へと子どもたちの姿は変化する。普段の生活の中に沢山の不思議が詰まっているので偶然はチャンス!と捉え、保育者は見逃さないように心掛ける。
  • 楽しい物語の世界を想像し身体で表現したり、製作したりと、様々な表現活動を展開することで、創造性を伸ばす
  • 新たな視点(【かくれた力】が存在するという概念)が芽生えたことで子どもたちを取り巻く“環境を見る目”が変化した。
  • 私達の生活の中で当たり前と思っていることを立ち止まって【よく見る】目をもつことがとても大切だと考える。
  • 深く感銘を受けた経験から想像・連想・創造する心が掻き立てられ、思いを馳せて考える行為が基盤となって表現される。子どもたちの思考の飛躍や断片的な知識の繋がりと感動の深さの関連性に気付いた。
  • 地域の方からの刺激は大きく意欲的に活動に取り組む姿に変化するので、出会いや繋がりを大切にしたい。
3、今後の課題
  • 保育者が視野を広くもち、感性を磨く努力をする課題をもち続ける。
  • 自然と共に生きるために、子どもたちが自然事象やエネルギーを“知って”“分かって”“仲良くなる”よう遊びの中から拾い上げ、経験を保育者も共有できるようにする。
  • “かくれた力”をより身近なものとするため、積み重ね、掘り下げ、遊びを通して感じ取れるように準備する。

現在まで、かさ袋ロケット飛ばしや凧揚げなどの遊びを通して風の面白さや不思議さを感じている。平成23年度の5歳児が興味関心をもった【かくれた力】は太陽熱で、子どもの気付きや考えに応じて活動を展開し、保育を進めている。
これからも子どもたちと共に多くの感動を共有し、試行錯誤する経験を通して「楽しい!」「面白い!」と思うものを探っていきたいと思っている。

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協議・グループディスカッション

協議のテーマ
  1. 子どもたちが自然の不思議な力(自然エネルギー)に触れて感じて楽しむためには
  2. 自然と共存していく子どもの柔らかな心を育むためには
主な内容

会津若葉幼稚園 実践提案研究会 開催レポート1グループ7名で構成されるグループに分かれ どちらも、あるいはどちらか1つに絞って話し合う。 テーマ(1)は保育内容論→方法論というポイントに当てはめ、議論を深めた。 テーマ(2)は保育内容論として、実践例を挙げながら考えを出し合った。

テーマ1.「子どもたちが自然の不思議な力(自然エネルギー)に触れて、感じて楽しむためには」
  • 子どもの「やりたい!」気持ちをどう保育に結びつけて拾い上げていくかが難しい。“面白い”“何で?”“不思議”“すごい”と感動できるような教材になりそうなものを選択する。
  • 原理まで辿り着かなくても、不思議をみんなで共有する経験が不可欠。
  • 子どものもつ感性に保育者が気付くこと。普段の生活の中で疑問に思ったこと、感じたことのつぶやき(言葉)に応じて一緒に考えることが自然の力やエネルギーというところに、発想や考えが近づいていく。
  • 子どもの思いや考えにどこまで寄り添えるか、また、子どもの様々な表現方法(言葉、身体、リズム、音楽、絵画)などを大切にすることで、子どもの興味が深まり、主体的に考えたり目当てをもったりするようになって取り組んでいく。
  • 事例のように隠れた見えない力を感じたり気付いたりしている。子どもの “感じる”という姿や体験に注目し“探っていく”。
  • 保育者が意識して子どもの育ちに合った素材・環境を選び、子どもが選択できるように提供する。子どもの反応を丁寧に見ていく。
  • 子どもが発する言葉を受け止めて、考えを引き出し、「面白い」「楽しい」と興味を示す遊びを継続させていく。
  • 保育者の引き出しを多くする。(幅広い知識)
  • 一人ひとりの言葉を尊重する。疑問や考えを全体に知らせ、みんなで共有する。
  • 不思議な力(自然エネルギー)の気付きには個人差がある。子どもの気付きをクラスの活動にした場合、援助が難しいこともあるが、友達の意見を取り入れ、刺激し合えるよう配慮する。
  • 保育者も様々な感覚を使って、子どもと一緒に感じる
  • “科学”を難しく考えていた。年間を通した保育を見直していくことで子どもの姿も変わっていくのではないか。
  • ※各グループで公開保育についての話やエピソード、普段の保育の一場面を具体的に取り上げて、保育内容について論じた。
テーマ2.「自然と共存していく子どもの柔らかな心を育むためには」
  • 物事の結論を急がずに、子どもたちが失敗を重ねながら答えを見つけ、例えどんな答えになっても受け止め、いろいろな方向につなげていく保育が子どもの柔らかな心を育んでいくのではないか。
  • 人間が作ったものはコントロールできるが、自然の力はコントロールできないという違いを知り、面白さや不思議さを感じられると良い。
  • 栽培物を育てる活動を通して、“自分達が食べる”という目的以外に“虫にも食べさせたい”という子どもたちの思いが芽生えた。みんな生きている、生きるためには食べるという【食物連鎖】を理解することにもつながり、自然と共存することが実体験を通して分かるのではないか。
  • 保育者が子どもと共に自然を不思議に思い、試行錯誤する経験を継続する。一緒に突き詰めていく姿勢が大事。また、子どもと共に展開するために、保育者自身の心や感性を研く。
  • 幼児期にしかできない遊びを通しての経験を積み重ねる。場や時間を保障する。
  • 保育者自身の余裕・ゆとり・感性豊かなこと、子どもの言葉を拾い上げる力、言葉掛け。
  • 保護者に伝え、どんどん保育活動に巻き込み、子どもの情報で分からないことは教えてもらう。 保護者も子どもと同じ経験をしてみる→信頼関係の構築と同時に経験から大人も学ぶ。
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講話

「遊びを通して学ぶ」〜探求すること科学することの愉しみ〜
講師:宮城学院女子大学児童教育学科教授 磯部裕子先生

幼児教育と学校教育の違いとして、子どもの理解や学びに焦点を当てテーマに迫るお話しがあった。最後に、保育者は子どもの「もっと知りたい、分かりたい」に応える覚悟と準備が重要であると述べられた。“小さい発見”の共同探求者としての構えが大切であり、そのために、面白がって記録することが望まれると結ばれた。

主な内容
小学校の考え方と幼稚園の考え方の違い

会津若葉幼稚園 実践提案研究会 開催レポート一年生の学級において入学後の落ち着かない状態がいつまでも解消されず、教師の話を聞かない、指示どおりに行動しない、勝手に授業中教室の中を立ち歩いたり、教室から出ていったりする等、授業規律が成立しない状態へと拡大し、こうした状態が数カ月継続することを不適応状況と定義している。一方、保育の中ではこのような事は日常茶飯事で、自然な子どもの姿なのだから、これらの状況を不適応という見方はせず、この中で子ども達がどんな生活をしていくのか、どんな関わりをしていくかをみているのが保育の現状である。小学校と幼稚園での考え方の違いがある。

『遊び中心の保育』を理解してもらうためには?

「遊んでいるだけなのでは?」「もっと教育して欲しい」「幼稚園の先生は子どもと遊んでいるだけなのか?」という言い方を時々耳にする。これは、幼稚園での保育の実践を正しく理解されていないからである。その原因は、本当に遊びで育つものをしっかり証明できずにいる現状があり、私達には遊びで育つものを証明する責任がある。もう一つとして、“遊び”という言葉の捉え方が人によって差があり、遊びで育つものを可視化することでしか証明出来ずにいる現状がある。
つまり、遊び中心の保育を行っていると言う場合には、このことを理論化し尚且つ実践し、言語化し、発信していく困難を抱えながら保育することを引き受けるということである。このような現状の中で大切なのは、幼児期の遊びは、ただの遊びではないというテーゼを実践していくことが重要である。それを実践することを「遊びを通して子どもたちが学んでいる」と言えるのである。私達が検証していかなければいけないことは、保育における遊びとは何なのかということを考えていくことと、同時に学ぶということは何なのかということである。

学校教育の考え方

平成8年に中央教育審議会が“我が国の教育の在り方について”という答申を出した。その中で“生きる力”(人間としての実践的な力・生きていくための知恵)を子ども達に付けていこうという提案になっている。しかし近代社会に入り、日常生活のための学習から、リアリティのないことをテキストに並べ、それを理解することを学習内容にしてきた。子どもたちはその学習内容を獲得することが学習とされてきたし、学力を身につけるということは学校の中で教えられること(学校知)だとされ、それは、教員が作ったテスト等の結果で測られてきている。将来に備えて学力を身に付けることが自立の一歩と捉えてきたが、本当にそうなのか?学校は、むしろ生きる力を養う場から子どもを引き離してきてしまったのではないか?このような考えから、もっと生きる力を持った子どもを育てたいという願いからの中央教育審議会の答申だった。

幼稚園教育の考え方

幼稚園では、“生活による保育、遊びを通しての保育、環境による保育、直接体験による保育”ということを昔から大事にしてきた。知を獲得することではなく、生活を通して、遊びを通して、環境による教育をしながら、子ども自身が“分かる”という体験を大事にしていかなければならない。具体的な“分かる”という体験は子どもにとって実践的な力であり、生きていくための知恵と言える。つまり生きる力に等しいと考えている。その“分かる”という体験とは、たった一つの正解を出したり覚えたりすることではなく、様々なプロセスを経て「あぁ、そうだったのか」と納得することなのである。

様々なプロセスとは

具体的にまず、“どうしてこうなの?”という疑問を持つことから始まり、“こうかもしれない”という予想を立てる。(先生が考える予測に近い子が正解ではなく、考えもしない予測でも構わない。)次に、何か解決したい問題が起きた時にすぐ解決するための手段を教えるのではなく、どうやったら解決するのかという方法を探る。探って行くうちに解決の糸口が見えてきた時「良かった!」と、喜びを実感できるような経験をする。その際、上手くいかないことの悔しさや乗り越えられないことの大きさを知ることも大切であり、失敗を“だったらどうする?”と考えることが重要である。解決策を考えていく中で「こうしたらうまくいくんじゃない?」と考える仲間やそれに気づいた自分を含めて“すごいね”と気づきあえる体験、又、予想を超えるすごい体験(驚異の体験)をする。それは、先生が教えて説明して段取りしてやってしまうのではなく、子ども達が「どうして?」「こうかもしれない」「やってみようよ!」「でもこの方法の方が良いんじゃない?」「でもこれじゃ上手くいかなかったしさぁ」「だったらこうしてみよう!」と、現象や仲間のすごさに気付き合える体験にしなければならない。そして最後は、「あぁそうだったのかぁ」と納得する体験がプロセスの中で重要なのである。
とても遠回りな体験ではあるが、到達点に意味があるわけではなく、子どもたちが疑問を持ち、仮説をたて、方法を探り、面白い・嬉しい・すごいと思い、結果を納得するというプロセスに意味がある。このプロセスがあるからこそ、到達点に達した時の感動も大きくなるのである。

会津若葉幼稚園 実践提案研究会 開催レポート
プロセスに意味を生成する保育

環境が重要であり、“物的な環境”“人的な環境”はもちろんだが、その他に、子どもが試行錯誤して納得するためには“時間”という条件が必要になり、その時間を保証していくということが重要なのである。もう一つは、子どもの発見や感じたことにつきあう“状況”それを許す環境が必要になってくる。そういった環境が用意されて、初めて先ほどのプロセスを成立させることが出来る。

遊びを通して学ぶとは

遊びを通してわかるという遠回りな体験をすることである。保育者が正解を教えることは簡単だが、子どもたちが昨日の経験から今日の経験に、今日の経験から明日の経験にといった単なる一過性の経験ではなく、長い時間と継続性があって、じっくり考え、じっくり取り組み、ゆっくり遠回りの体験ができることが非常に重要である。例えば、秋になったから折り紙でドングリを作ろうと保育の現場ではやりがちだが、作ったら終わりにすると、“わかる”という遠回りな体験は出来ない。もし遊びを通して学ぶ実践をしたいのであれば、ドングリを折り紙で作る中で、子どもたちが遠回りな体験をしながら「どうしよう」と言って、“わかる”という体験を盛り込みながら行っていかないと、遊びを通して学んでいるとは言えない。
学びの体験と言うのは、人間としての実践的な力や生きていくための「知恵」を得るための本質的な経験となり、その実践を幼児教育でしていく必要がある。そしてその経験を沢山していくことによって小学校の教科の学びへと結実していくのである。

「遊びを通して学ぶ」実践のための保育者として

疑問を解決するときに、遠回りをするための時間と継続が必要だということ、そのために保育者は「もっと知りたい、分かりたい」に答える覚悟と準備が重要、“小さい発見”の共同探求者としての構えが大切、環境とネットワークの構築をすることで本物(すごさ)との出会い作りが出来る、プロセスをしっかり振り返り、検証するために、義務とは考えず面白がって記録することが大切である。

最後に東日本大震災を経験して

自然の猛威に直面した私達だからこそ子ども達や周りに伝えられることがあるはずだろうと思う。今後の社会を担う子ども達を育てていることの責任を再確認して、当たり前に子どもが笑顔で走り回れる環境と社会を取り戻してあげなければならないし、今保育者として出来ることを考え、実践していかなければならない。そういう意味で、『自然と科学』というテーマは私達に今最も突き付けられているテーマなのではないかと思う。このテーマについて子ども達と遠回りして考えていければ良いかと思う。

(文責:会津若葉幼稚園)

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