
梅雨の晴れ間となった6月4日(土)、2010年度ソニー幼児教育支援プログラム優秀園の幸田町立大草保育園に於いて、実践提案研究会が開催されました。 講師の「ネイチャークラブ東海」主宰者 篠田陽作 先生のご指導のもと、ネイチャーゲームの体験や、子どもと自然とのかかわりについてのレクチャーをしていただきました。また、ワークショップを通じて、大草保育園で子どもたちが体験した“竹とのかかわり”のご紹介や、実践発表などを基に、主題「科学する心を育てる」についてみんなで考えました。
研究会概要
- 研究主題:『科学する心を育てる』
〜子どもの“見つける力”に気づく保育者になるために〜
- 日 時: 2011年6月4日(土) 13:00〜16:15
- 会 場: 幸田町立大草保育園
- 参加者: 幸田町と近隣の市(岡崎市・刈谷市など)から約120名
(主に保育士が参加)
- 内 容:
- レクチャーと自然体験(ネイチャーゲーム)
全体でレクチャーを受けた後、“トンボチーム”と“チョウチョチ ーム”の2班に分かれて、ネイチャーゲームとワークショップをそれぞれ体験した。
- 実践発表
愛知県で優秀園になった幸田町立大草保育園(当園)、岡崎市城北保育園、社会福祉法人謝徳会 るんびにー保育園による、実践発表。
- まとめ
3園の発表、ネイーチャーゲーム、ワークショップなどを基に、主題「科学する心を育てる」についてみんなで考え合った。
レクチャーと自然体験(ネイチャーゲーム)
講師:「ネイチャークラブ東海」主宰者 篠田陽作 先生
- レクチャー
都市では子どもたちが安心して、自分たちで遊びを創り出したり、自分のペースで遊んだりできる場所が減ってきている。幼児期に様々な感覚や感性を使って自然体験をすることで、自然を大切に思う心や、自然への理解が生まれる。
子どもたちへの一番大切な贈り物は、美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見張る感性「センス・オブ・ワンダー」です。その感性を育むために、子どもたちと一緒に感覚の全てを傾けて自然と触れ合いましょう。 レイチェル・カーソン著「センス・オブ・ワンダー」より
- 不思議に気付く感性を育てよう
- 子どもたちは、身の回りにある自然に触れることで「なんで?」「どうして?」と不思議に驚く感性が育つ。感性が育つのは、3歳〜6歳の幼児期である。
理屈で考える年齢になったら、感性は育ちにくい。
- まず自然の中に入り、自然の素晴らしさを知ろう。実際に自分で体験して、感じることから始めよう。
- 自分たちと自然のつながりを学ぼう
- 自然とかかわる遊びを通して、「虫と自分たちとのつながり」「土と自分たちの暮らしとのつながり」「土と虫とのつながり」「植物と虫とのつながり」を知ろう。そして、みんなつながっていることに気付こう。
- 自然体験の教育的な要素
- 教えるのではなく、遊びや体験を提供する。⇒ 子ども自身が学び、習得していく。
- 大人は子どもと一緒に体験し、考える。⇒ 子ども自身が、自然体験を通じて様々なことを感じ、考え、判断していく。
- 自然の中に入ったら“違い”を感じよう。⇒ 葉っぱの匂い、風の音、落ち葉を踏むフワフワした感触など、文字や言葉では伝えられない感覚による“違い”を体験することで、感性が磨かれていく。
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私たちの未来と、未来を担う子どもたちに、私たちは何ができるのだろう?
- 自然体験(ネイチャーゲーム)
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当園の園庭にある“しあわせの森”に入って実際に草花に触れたり、斜面を歩いたりして自然体験を楽しみながら、子どもとかかわる時のポイントを学んだ。
{イモカタバミの筋取り・草笛・センダンの実のアクセサリー・その他、講師と同じ葉を探す遊びやヨモギ、アメリカフウロなどについての話など}
- 保育者がイモカタバミの筋取りや草笛をやって見せると、子どもたちも同じようにやってみようとする。
子どもたちは、体験することで自然とかかわる楽しさや自分でできる喜びを感じる。もしできなくても、「どうすればいいのかな?」と、考え工夫してみることを学ぶ。 また、「他の花や葉でも同じように遊べるものはないか?」と夢中になって探し始める。このように、活動が広がり、発展していく。これが自然の素晴らしさであり、自然の力である。自然体験を通して、「不思議に気付くこと」「感じること」「自分で考えてみること」の感性が育つ。
- いろいろな自然体験をしておくことで、将来、「あの時はできなかったけど、できるようになった」「あの時はよくわからなかったけど、こういうことだったんだ」そう感じられるよう、子どもたちの希望につながるような援助が大切である。
- 斜面を歩く経験は大切なことで、斜面では、自然と体を斜めにしてバランスをとるようになる。斜面を実際に歩くという体験をしておかないと、自分でバランスをとる感覚が身に付かない。
参加者が実際に体験する中でも、“イモカタバミ”の筋がうまくとれなかったり、草笛の音が鳴らなかったりした。しかし、何度も試し挑戦したり、互いにコツを教え合ったりしてできた時、あちらこちらから「やった!」「できた!」と歓声があがった。
参加者からは、「子どもに戻ったように、楽しい体験ができた」「自然とのかかわりで、子どもが夢中になる気持ちがわかった」「笛が鳴って嬉しかった」「すぐに保育に活かせる活動だった」といった感想が聞かれた。
ワークショップ
- 大草保育園の子どもたちが体験した竹とのかかわりを体験する。
- 竹水(ちくすい)の試飲
- 実際に竹水の入った竹を揺すって音を聴いたり、竹のコップで竹水を試飲したりする。
- 竹の皮を使って製作
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- 菓子包み
( 大草保育園の園児たちは、竹の皮でお握りを包み、遠足に持って行った )
- 花入れ、籠、コースター、栞など、竹の皮を使って自由に製作する。
参加者からは、「竹に水が貯まるなんて知らず、驚いた」「竹水は思ったよりきれいな水だった」「珍しい竹水が飲めて貴重な体験ができた」「竹水は香りが良く感動した」「竹の皮の匂いや皮の固さなど、体験してみないとわからないと感じた」「丈夫だけど、言うことを聞いてくれない竹の皮の性質がよくわかった」「子どもたちと竹の皮で製作してみたい」「気に止めず捨てていた竹の皮も、工夫すると素敵なものが出来た」などの感想が聞かれた。
実践発表(2010年度 ソニー幼児教育支援プログラム 優秀園)
- 岡崎市城北保育園
テーマ「身近な動植物に親しみ豊かな感性と創造性の芽生えを育もう」
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数十匹の毛虫のような幼虫を見つけ、図鑑で調べ、飼育が始まる。幼虫はツマグロヒョウモンとわかり、今まで飼育してきた他の幼虫と比較する中で、違いや新たな発見をしていく。蝶になった時の感動の様子や、飼育ケースに付いた赤い汚れに注目し、みんなで話し合ったり蝶博士に手紙を書いたりして、疑問を追及していく様子を報告した。
- 社会福祉法人謝徳会 るんびにー保育園
テーマ「魔法のパワーは静電気!?電気クラゲにチャレンジ」
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給食のデザート用の簡易スプーンの袋が顔に付いたことをきっかけに、静電気への興味が膨らむ。静電気で遊ぶうちに、湿度によって静電気の力が違ったり、なくなったりすることもわかってくる。このような中、“電気クラゲ”の遊び方を知り、思考錯誤しながら、子どもたちが電気クラゲに挑戦する様子を報告した。
- 幸田町立 大草保育園
テーマ「竹っておもしろい」
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保護者からの誘いを受け、筍掘りをしたことで、筍に興味をもつ。ぐんぐん伸びる筍と背比べをするうち、「竹はどこが伸びるのだろう?」と疑問をもった子どもたちは、生長途中の竹に絵を描いて伸びる位置を確認しようとする。また、竹に貯まる水『竹水』の存在を知り、図鑑で調べたり竹水作りに挑戦したりしたことを報告した。
参加者より、「子どもの発見や疑問に寄り添うことの大切さを
感じた」「一つの小さなことでも、子どもたちはいろいろ考えて
いて、興味の広がりを見せることがわかった」「もっと子どもの
驚きや思いに気付き、真剣に向き合いたいと感じた」「もっと実
践発表を聞きたかった」「科学する心を身近に感じた」などの感
想が寄せられた。
※参考:
まとめ
ネイチャーゲームやワークショップなどの体験や、3園の実践発表などを聞いて、みんなで「主題『科学する心を育てる』の捉え」について話し合った。さらに自分の保育を振り返りながら、それぞれに本主題について考えてみた。
今回の研修を通して、身近な自然物や事象に対する子どもの「どうして」という疑問に、とことん付き合うことの大切さがわかった。また、子どもと一緒に調べ、発見する喜びや面白さを感じることができた。難しい主題だと感じていた「科学する心」を、身近に感じることができ、“子どもの気付き”に保育者が気付くことで、「科学する心」に通じていくことを知ることができた。参加者からは、主題の捉えについて、改めて園内でよく話し合いたいなど、自園の保育や研修ににつながる感想が寄せられた。
(文責:幸田町立大草保育園)
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