公益財団法人 ソニー教育財団
科学する心を育てる ソニー幼児教育支援プログラム

活動内容 サイトマップ お問い合わせ 記事掲載について リンク

論文募集

学校法人札幌ナザレン学園 こひつじ幼稚園
社会福祉法人花山福祉会 花山保育園
実践提案研究会 開催レポート

こひつじ幼稚園 実践提案研究会 開催レポート

9月22日(木)、“2010年度優秀園”である学校法人札幌ナザレン学園 こひつじ幼稚園に於いて、社会福祉法人花山福祉会 花山保育園(2010年度奨励園)と2園での主催により、「科学する心を育てる 〜子どもたちの意欲的な探求の姿を捉え、支え、共に考え合うために〜」というテーマで、実践提案研究会が開催されました。 当日は公立・私立の幼稚園、保育園、小学校から19名の参加があり、じっくりと意見を出し合うワークショップに主眼をおいた、参加型研究会となりました。


研究会概要

       
  1. 日時:2011年9月22日(木)
  2. 会場:学校法人札幌ナザレン学園 こひつじ幼稚園(北海道)
  3. 研究テーマ:「科学する心を育てる」
    〜子どもたちの意欲的な探求の姿を捉え、支え、共に考え合うために〜
  4. 内容(13:30〜17:00)
    1. 実践発表(花山保育園・こひつじ幼稚園)
    2. 協議会…4つのグループに分かれて主題に迫る協議とワークショップ
    3. グループ発表
    4. まとめ

実践発表

こひつじ幼稚園 実践提案研究会 開催レポート
花山保育園
テーマ「植物、生き物の観察を通して見えた心の育ち」
事例1:プルーンの木の観察(5歳児)

園のプルーンが不作の年で、「なぜ不作なのか」を子どもたちと考えたところ、時期や天候の違いなどの考えが出た。やっと見つけた一粒の実に注目し、観察し続けた。絵日記に、天候を記しておくと何かあった時に原因が考えられるかもしれないという提案があった。「卒園してもプルーンの様子を知りたい」という声が聞かれるほど、観察し、食するという活動は植物への関心を強くした。

事例2:メダカを育てよう(5歳児)

メダカの水槽の水草に卵が付いている事を発見し、育てる為に必要なことを話し合った。一冊の絵本を基に、子どもたちは孵化する日を予想して楽しみに待った。メダカの種類や餌の与え方などへの関心が高まり、積極的に世話をする子どもたちの姿があった。“死”にも直面し、「大切に育てたい」という思いが育っていった。また、メダカの世話を通じて友達と協力したり、互いに感謝したりする気持ちが生まれ、メダカの飼育を通して、知識だけでなく人とのかかわりも育まれた。

こひつじ幼稚園 実践提案研究会 開催レポート
こひつじ幼稚園
テーマ「自然遊びを通して育つ心」
事例1:「受け継いだアゲハチョウの命を見つめて」(5歳児)

昨年の5歳児から、10匹以上のアゲハのサナギを「大切な宝物」として引き継いだ4歳児。しかし、羽化するときに死んでしまったり、羽が破れていたりするのを目の当たりにし、「人の命の長さと、アゲハの命の長さの違い」や「産まれてくる時も命がけなのだ」ということを感じ合った。アゲハの飼育を通して命の循環を感じ合い、繰り返しの経験の中で一つ一つの事象にしっかり向き合い、仲間と思いを共感し、心に刻むことで、より深く自分のものとなっていく。また、仲間と共鳴し合うことが活動力となり、経験を重ねる中で、心がより豊かになっていくことになる。

事例2:「秘密の基地作り」〜「ぽんちきの会」まで(5歳児)

4月から、形を変えながら楽しんできた家や研究所作りは、次第に仲間が加わって学級みんなの遊びの場となった。6月「本当の家のように、木で作りたい」という思いが膨らみ、設計図を相談し、電気も付けようと、様々な考えが提案された。本物の大工道具に触れてワクワク感が増し、子どもたちはすっかり大工さんになりきっていた。家が完成し、いよいよ電球を取り付け点灯すると大歓声で、5歳児学級だけ、夕方、秘密で基地に集まり、お楽しみ会「ぽんちきの会」をすることになった。自分たちで作ったプログラム通りに会が行われ、大満足に過ごして夏休みを迎えた。目的を達成する為にたくさんの試行錯誤をしたが、「完成させたい」という気持ちの強さが、前へ向かっていく力になった。心が共鳴し合う時を十分に感じ、味わうことの大切さを感じた。

事例3:「2011年 春 イチゴが27個」(全園児)

昨年は、5歳児が収穫した4個のイチゴを、全園児で食べる為にたくさん相談し、ジャムにしてみんなに食べさせてくれた。今年は27個収穫できたイチゴをどうするか、全園児で相談した。昨年度のことを心に刻んでいた子どもたちは、みんなで分け合って食べるための方法に思いを巡らした。幼稚園という「異年齢児の集合体」が、それぞれの経験やそれぞれの思いを織り交ぜ、実現させながら生活していくことが大切である。その時々の活動の中に自分たちの発想を活かしながら、営まれる経験を大切にしていきたい。「科学する心」は目的に向かって様々な発想を共有し合い、自分たちの活動を自分たちで展開させていく姿にあると考えている。それは、異年齢児の集合体の中で自分を素直に表現し、自己発揮し、相手の考えに耳を傾ける心を育てていくことにある、と考える。

▲このページの先頭へ戻る

協議会

こひつじ幼稚園 実践提案研究会 開催レポート
「科学する心を育てる」とは?

初めに、「科学する心を育てる」について、どのようなイメージをもつか各自で考え、その後、それぞれに考えたことを出し合いながら、本主題についてグループのメンバーで話し合う。

ワークショップ

エピソード(「カエルとの出会い」)を基に考えを出し合い、用紙に記述しながら、さらにディスカッションを深める。

  • エピソードを次の視点で見てみよう
    • 子どもが探求する姿は?(「科学する心」につながる姿)
    • 子どもが探求する場面での保育者のかかわりは?
    • 子どもの探求する心を支える環境の工夫は?
  • エピソードの場面から、この後の展開を予想してみよう
  • 予想した子どもの姿から、具体的な見通しを立ててみよう(保育者の援助、環境構成)
▲このページの先頭へ戻る

グループ発表

こひつじ幼稚園 実践提案研究会 開催レポート
1グループ
  • 「科学する心を育てる」とは、体験によって本当の知恵が身につくことで、人とのかかわりによって共に育ち合うもの。また、身近にあるものを「当たり前」と見るのではなく、子どもの興味が広がり、「感じる心」に響くように働きかけることが、「科学する心」を育てることになる。
  • 年上の子の活動に関心をもったり、憧れをいだいたりして取り組んでいく姿も大切にしたい。それは生きるための世界が広がることになると考える。
  • 保育者は、すぐに解決させるのではなく、十分に時間をとって、子どもが「どうしてだろう?」と考えられる環境を用意し、子どもに何を体験させ、何を考えさせたいかを整理した上で、かかわることが大切だろう。
2グループ
  • 「科学する心を育てる」とは、興味・関心をもつ、工夫し試す、五感を使って感じることを楽しむ、面白いと思う心を育てることだろう。
  • 生き物の飼育を通して経験させたいことを押さえたうえで、子どもの思いに寄り添う保育者の姿勢が大事。本物に出会うこと、カエルを死なせないためにどうしたらよいかを知識だけでなく、体験して考えられる環境が大切である。
  • 保育者自身が様々なものに好奇心を膨らませ、「面白い」と感じる心をもつことが大切である。
3グループ
  • 「科学する心を育てる」については、他のグループで上がったものと同じ。
  • 飼育するか、しないかではなく、田んぼそのものを観察することが大切ではないか。自然界の本質を知らせる為に、本来あるべき姿を子どもに見せられるようにしていきたい。
4グループ
  • 「科学する心を育てる」とは、「なぜ」「驚き」「試して」「継続」「共感」「共振」このことが大事なのではないか。
  • 人工的な物に囲まれている現代だからこそ、自然に夢中になり喜べるような環境を、保育者が用意する必要がある。
  • 生き物を飼うことの責任をどこまでもてるのかを、子どもと一緒に考えることが大切である。
▲このページの先頭へ戻る

まとめ(公益財団法人 ソニー教育財団 松ア由美子)

協議会の初めに、「科学する心を育てる」について、財団で示す7つの項目を参考にしながら、説明が行われた。また、「科学する心」を捉えた姿を写真で紹介しながら、子どもの姿や体験を具体的にイメージできるような話があった。協議会の最後には、グループ発表を受けて、主題につながるようなまとめがあった。

  • 本日、ワークショップで行った作業は、子どもの遊びを深く読み取り、体験の質を高めることにつながる。子どもの遊びを支え、見通しを立てる時も、この基本的な考え方が生きてくる。
  • 子どもの姿を見たときに「探求してるんだなー」と、ただ見守っているだけでよいのか。また、結果を急いで大人の考える回答を出したり、「こうしましょう」と促したりしたら、子どもの体験の質は変わるのだろうか。日頃の子どもたちの経験の積み重ねや、育ちの過程を考慮した援助や環境構成が重要になる。
  • 子どもが自ら何かしたいという本能に突き動かされるような、自発的、主体的な遊びや生活の中には、ワクワクすることやドキドキすることがいっぱいあって、そんな心の揺らぎが子ども同士で響き合い、また楽しい遊びへとつながっていく。このような子どもたちの心の揺らぎを共に感じられる心をもちたい。
▲このページの先頭へ戻る

研究会を通して

  • 幼稚園と保育園が主催となって研究会をもてたことは、大変喜ばしいことであった。
  • 研究会にあたり、主題の2園が方向性を確認し、そこに向かってそれぞれが準備してきた。互いに無理せずできたことは良かった。幼稚園と保育園が心を合わせて開催できたことは、自分たちの力になった。このような機会がもっと増えていって欲しい。
  • 実践を報告するにあたり、自分の保育を振り返り、整理することができた。素材が同じであっても、考え方や視点が違って、刺激になった。
  • グループワークでは、私立幼稚園・保育園・公立幼稚園・小学校と、いろいろな考え方に刺激を受け、自分の保育にどのように生かしていくかを考えることができた。
  • 主催の園同士が互いに園を訪問したことで、環境の作り方や教材など、参考になったり刺激となったりし、幼・保の打ち合わせは楽しい時間であった。

(文責:こひつじ幼稚園・花山保育園)

▲このページの先頭へ戻る
▲実践提案研究会開催レポートへ戻る
事例・教材
発表・研究
論文
科学する心
 
 
Copyright Sony Education Foundation