
社会福祉法人境暁福祉会 きらり保育園
実践提案研究会 開催レポート
日差しのまぶしい猛暑の7月17日(日)、“2010年度優秀園”である社会福祉法人境暁福祉会 きらり保育園に於いて実践提案研究会が開催されました。始めに、「科学する心を育てる」を主題として取り組んできた3年間の当園の実践が発表され、発表を受けてバズセッションが行われました。最後に講師の関西国際大学教育学部准教授 瀧川光治先生より、「科学する心を育てる保育とは?〜記録を書くことから、活動のつながりを見通すために〜」をテーマに総括がありました。
研究会概要
- 日時:2011年7月17日(日)
- 会場:社会福祉法人境暁福祉会 きらり保育園(兵庫県)
- 主題:科学する心を育てる保育とは?〜記録を書くことから、活動のつながりを見通すために〜
- 時程:
- 13:15 受付開始
- 13:30 〜 14:00 開会、実践発表
- 14:00 〜 14:50 バズセッション
- 14:50 〜 15:10 休憩、施設見学
- 15:10 〜 16:10 総括 講師 関西国際大学教育学部准教授 瀧川光治氏
- 16:10 〜 16:30 「ソニー幼児教育支援プログラム」について(ソニー教育財団)
- 16:30 閉会、施設見学
研究発表
研究開始当初から携わってきた花咲前園長と、白川、徳井の両保育士がパワーポイントを交えながら、3年間に亘る研究の成果について発表した。当園の取り組みの柱である「観察記録」と、記録された様々な事例から読み取れる、子どもが新しい環境(物・人・事)に出会い何かをつかみとろうとする心の動き、即ち「育とうとする心のうねり」について、具体的な事例を交えて紹介した。
主な内容
- 「育とうとする心のうねり」には年齢ごとに特徴があり、0歳児であってもその子どもなりの問題解決の過程がある。
- 保育者は子どもたちの「育とうとする心のうねり」をより大きく伸ばそうと、環境や援助の仕方を工夫する(「育てようとする心のうねり」)互いの「心のうねり」が絡み合いながらともに大きく育つ。
- 子どもの「育とうとする心のうねり」と、保育者の「育てようとする心のうねり」、子どもに豊かな体験をさせたいと願う保護者や近隣住民の思いなどが一つになり「育ちの循環」が形成され、それによって子どもたちはより豊かな心を育むことができる。
バズセッション
3つのテーマに沿って行う。
テーマ
“心のうねり”とは
“心のうねり”を育む保育室の環境とは
“心のうねり”を育む関わり方・援助の仕方とは
ディスカッション内容(抜粋)
- 子どもが“興味をもっていること”“気付いたこと”に対して、保育者がどこまで気付けるかが大切になる。大人が「予想すること」や「こうして欲しいと思っていること」とは別のことを子どもはする。保育者として強要せず、子どもがすることを見守っていくことにしている。
- 難しいことだが、子どもの“心のうねり”を広げていくためには、子どもが今、「何を思っているか」「感じているか」を保育者がまずは気付いて共感することが大切になる。そこから言葉がけをしたり、環境をそろえたりしていく。
- 子ども同様、保育者も感じ方や“心のうねり”は様々であり、大人が共に感じて一人の子どもを育てていくという意識をもつことが大事になる。心のうねりは見えにくい。「どのように発見するか?」と思うこともあるが、一人の“心のうねり”を見つけると、周りの子どもについても見つかってどんどん広がり、連動していくのではないか。
- 「心のうねり」という単語を聞いたことがなかったのでなんだろうと思っていたが、「心が動く」と、とらえ「保育者が気付くこと」「関わる者の意識が大切」と感じた。また、記録することで、意識が変わる。しかし、写真、記録のために保育をするのではない。
- 子どもにとって、「環境」が大切だということはわかっているが、後回しになったり、変えたことで満足してしまい子どもたちが遊べているか、これでいいのかと、考えることができていなかったりしている。先回りして仕掛けていくことも大切だし、「子どもが動いた“そのとき”」が、大切だと感じる。
- 保育者の感情はみんな違うが、常にアンテナを張っている保育者が一番だと思う。現場を見ていると、保育方針などに沿う様にしなければいけないと必死になっているように見える。
- 子どもの気持ちを受け止められる感性の際立った保育者を求められる。
指導講評
テーマ「科学する心を育てる保育とは?」
〜記録を書くことから、活動のつながりを見通すために〜
講師:関西国際大学教育学部准教授 瀧川光治先生
主な内容
- 科学する心(=ものごとを探索・探究しようとする心)の土台は,知的好奇心。
- 探索・探究的な活動は、子どもなりの問題解決の過程「疑問・問題→解決(?→!)」が含まれている。
自分なりの考えを「試し」「確かめる」体験の繰り返しが、子どもの「思考力や学び」を育てる。
- 「項目2」に述べた体験を積み重ねられるようなきっかけ、環境づくりが大切になる。
知的好奇心を育てるため、発達に応じて「試す」「繰り返す」行為を促す環境づくりが必要である。
- 入園から卒園までの探索・探究的な活動の「内面・学び・体験」の育ちの見通しをもつことの大切さが、きらり保育園のカリキュラムから見えてくる。
活動の「広がりと深まり」を見通し、遊びや活動、子ども同士の活動をつないでいくことが重要になる。
- 保育の営みを支える「記録」の大切さが、本年の発表で明らかになった。
本園は記録の書き方について検討し、工夫を重ねている。記録が工夫されることで、生かし方についても見出されている。いいエピソードを残し「次の保育計画へつなげていくため」に記録することを大切にしていきたい。
まとめ
幼稚園・保育園の先生方の他、地域の方など90名を超える多くの方々の、主題「科学する心を育てる」〜0歳から始まる“心のうねり”〜に迫る活発な協議により、様々な視点から貴重なご意見を伺えたことが大きな学びとなりました。また過去3年間の研究内容について改めて振り返り、職員の中で再認識することができたことも収穫でした。
 (文責:きらり保育園)
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