
爽やかに晴れ渡り、新緑が目に鮮やかな5月14日(土)、2010年度ソニー幼児教育支援プログラム優秀園の学校法人津曲学園 鹿児島国際大学附属鹿児島幼稚園に於いて実践提案研究会が開催されました。 パワーポイントや視覚物を活かした当園の実践発表を聞いた後、グループに分かれてテーマに迫る協議を行いました。 講師の鹿児島県総合教育センター 研究主事 当房孝子先生からは、鹿児島幼稚園の「科学する心」を育む実践から見えてくるものや、幼小連携・保育者の役割などに関連づけてお話がありました。
研究会概要
- 日時: 2011年5月14日(土) 9:00〜12:15
- 会場: 学校法人津曲学園 鹿児島国際大学付属鹿児島幼稚園
(鹿児島県鹿児島市)
- 主題: 「科学する心を育てる」
〜自然や人とのかかわりの中で育つ科学の芽〜
- 出席者: 総 数 75名
幼稚園関係者54名 保育園関係者10名 大学教員2名
教育行政関係者2名 小学校教員2名 保護者本園PTA 5名
- 研究会の内容:
- 本園の実践研究の内容・経過の提案(発表)
- グループ・ディスカッション
(参加者が、6つのグループに分かれて協議)
- 指導講話 鹿児島県総合教育センター 研究主事 当房 孝子先生
- 論文説明(実践論文の書き方等について)
公益財団法人 ソニー教育財団
鹿児島幼稚園の実践提案
研究担当の久保田教諭が、パワーポイント及び実物の大きなタマネギ、それに桜島大根の収穫の様子のビデオ、さらに子どもの活動の様子を展示した写真等を使って、子どもの反応・活動の展開(広がり)がわかるように、具体的な発表を行った。
- 子どもたちの「科学する心」がはたらいている時の姿をどう捉えたか。
- 実践していく上での3つの重点(子どもの活動を捉える視点)
- 子どもの、自然やもの、人とのかかわり方や感じ方に着目
- 保育者の援助や環境構成の工夫で子どもの動きがどう変わるかに着目
- 自然や人との触れ合いの基本として「いのち」を実感させることに着目
- 昨年度の実践から、「大きなタマネギの秘密はどこにあるの?」と「大きな桜島大根できるといいな」の二つの事例から、子どもの見方・感じ方の柔軟さや、一度失敗したことをバネに再挑戦して桜島大根の収穫までこぎつけた追求する子どもの姿を具体的に述べた。
グループ・ディスカッション
- 1.栽培活動をさせたいが「土地が無い」のが現状である。どう工夫していくか。
- プランターや鉢を利用して、花(アサガオ)や野菜を栽培している。
- 衣装ケースを利用してビオトープを作っている。
- 屋上を活用している。
- 保護者に畑を貸してもらっている
- 自園の実態や状況に応じた工夫をしていけば、いろいろな方法が考えられる
- 2.子どもたちとどんな野菜を栽培しているか
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- 鹿児島幼稚園…
ナス ピーマン トマト タマネギ 桜島大根 スイカ 落花生 ヘチマ ニガウリ イチゴ サツマイモ そのほか米作り
- 上記以外に挙げられた作物…
オクラ カイワレ大根 トウガラシ キュウリ グリンピース サフラン 深ネギ ブルーベリー
- 3.「命」をどう伝えていくか
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- 飼育・栽培の方法を保育者が知る必要がある。(教育テレビ「野菜の時間」を活用する
- 失敗も生かし方によって、子どもに“命”を感じさせることができる。
- 栽培の体験を「食育」とつなげることも大切である。
- 4.「科学する心」の実践について
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- 幼児が登園してから降園するまでの間には、身の周りに「不思議」はいっぱいある それに気付かせていくことが大事で、保育者の意識のもち方を変えていかなければいけない。
- 保育者が、子どもの目線で共感することが求められ、興味・関心を高める工夫など子どもの姿を捉えれば、「科学する心」の育成につながる。
- 5.実践していく上での課題
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- 様々な活動をしているにも関わらず、「単発」の活動で終わり「科学する心の育成」につながっていない。
- 発表にあった「速く走る船を作ろう」のような、子どもの活動が連続するようにするにはどうすれば いいか?
- 子どものちょっとした工夫や失敗も意識的に取り上げて、子どもなりの工夫を大事にしていく。
- 保育者の気付きが足りない。
- こどものつぶやき、行動をしっかり見ることが大事である。
- 記録をとって子どもの姿、変化を捉えるようにしたい
- 「科学する心」の研修を取り入れ、共通理解して取り組むことが大事である。
指導講話
講師:鹿児島県総合教育センター研究主事 当房孝子先生
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- 「科学する心」の実践から見えてくるもの

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- 体験活動の充実
- 子ども一人ひとりの感じる心を大切にする。
- 子どもたちはいろいろな遊びをしているが、その中で質の高い体験ができるためには、諸感覚を通した実感を伴った体験が大事になる。それがまた次の活動の動機付けになる。
- 体験の深まり・広がりとともに、充実感、感動をもたせる。
- 環境構成の工夫
- 幼児の主体的な活動を確保するものでなければならない。
- 自発的・意欲的に関われるものにする。(思いや願いをもち続けさせることが重要)
- 子どもは、思いを持続した活動が保証されると安心感をもって取り組む。そのためには、活動できる環境・場がきちんと設定されていること、保育者の見守りがあることが極めて大事である。
- 思考力・判断力・表現力の基盤
- 体験を通した思考・認識の深まりは、次のように表される。
体 験 → 関 心 → 探究・追求 →理解・記憶
↓ ↓ ↓ ↓
実 感 → 意 欲 → 思考力(問題解決力)→知識・技能
- 子どもたちが自力で思考し、判断し、表現していく基盤にある「試行錯誤」の行為はとても大切である。
- 活動の中で「揺さぶり」をかける提示や疑問の問いかけなども有効である。
- 「科学する心」をひとことで言うと、「一人一人の感じる心」と言える。この感じる心が深まっていくようにする保育者の環境づくり並びに環境の再構成が必要となる。
- 幼児教育と小学校教育との円滑な接続・連携
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- 幼稚園教育要領及び保育所保育指針の双方に、小学校への移行を円滑にするため、連携の重要さが
述べられている。これは、幼稚園・保育園の5歳児の活動で、小学校の先取りをすることではなく、
幼児教育の成果を小学校で生かし、小学校への見通しをもって幼児教育を進めていくことである。
- 具体的には、子ども同士の交流も大切だが、こうした研究会を通して、幼児教育に携わる者と小学校
の教師が、互いに学び合うことで理解を深めることは極めて有意義である
- 保育者の役割
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- 子どもの気付く力を引き出すには、保育者の関わり方が大きく影響する。指示の多い保育から、子どもが感じたことを認め、問いかけることによって子どもは自分で理由・わけなどを考えるようになる。
- 集団生活の中で、自分の良さに気付かせていったり、自主性を発揮させていくようにすることが求められる。
- 実践を深めていくためには、Plan→Do→Check→Actionのサイクルを大事にする。
※ 結びとして「思いや願いをもって学び続ける先生を、子どもは裏切らない」「子どもの成長と教師(保育者)の成長は表裏一体である」と保育者の専門性を高めることの重要さを力説された。
まとめ
- 「科学する心」の育成につながる実践・活動は、日々の保育の中にたくさんあること、保育者のちょっとの工夫で不思議の心や好奇心を高めることができることを、本園の発表を通して認識していただけた。
- グループ・ディスカッションを通して、実践上の問題点・課題が浮き彫りになるとともに、講師の具体的な講話で、体験の重要性と活動を深める上での環境の工夫、保育者の役割などについてまとめていただき、参加者が幼児教育における「科学する心」の育成の大切さが理解された。
- 「幼児教育支援プログラム」に係る実践のまとめ方について、ソニー教育財団から具体的な説明があり、自園の実態や特徴を踏まえて主題「科学する心を育てる」に迫る子どもの豊かな体験をどのようにさせ
たのか、そして論文上の必須項目等を踏まえて叙述することが示された。鹿児島から、「科学する心を育てる」取り組みが増えることを期待したい。
(文責:鹿児島国際大学附属鹿児島幼稚園)
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