
品川区立西大井保育園 実践提案研究会開催レポート
2009年8月29日に、昨年度の幼児教育支援プログラム優良プロジェクト園である品川区立西大井保育園にて実践提案研究会が開催されました。当日は、当園の保育士と保護者の方のほか、区内(同ブロック)の保育園からの参加もあり、40名の会となりました。
研究テーマ
「科学する心を育てる」
〜 子どもの姿から、更なる興味関心を導き出す保育を考える 〜
1.全体会
- 挨拶・・・高橋弓子園長
- 園内研究の概要説明・・・小野和子保育士(研究主任)
- 実践研究発表(2グループ)
- 【実践研究発表:2歳児クラス】
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「ガタンガタンから始まって…(見立て遊び〈乗り物〉)」
新幹線、電車など乗り物の好きな子どもたち。日頃からデュプロブロックを長くつなげて電車や汽車に見立てて遊んでいる姿が見られる。子どもたちはどんなイメージをもってこの遊びを楽しんでいるのだろうか。子どもたちの気付きをどのように受け止め、どのような援助や対応を行なえば、さらなる遊びに発展するのかをテーマに研究した。
- <事例>
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- 子どもたちは何もないところにトンネルや線路を見立てていると考え、線路を描いた模造紙・木製の線路・ペットボトル(上下を切り抜いたもの)などを用意した。
- 電車や汽車も、デュプロブロック以外のいろいろな物で見立てて遊ぶ様子が見られたので積み木・空き箱などを出してみた。
- 子ども自身が電車になって線路の上を走っていたのでのびのび走れる場所を設け、ハンドルに見立てられそうな輪も準備した。
- <考察>
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- 保育者は子どもたちのイメージを予想して準備をしていったが、その通りにならないことが多く、用意 した教材を予想外の使い方や遊び方で楽しんでいた。保育者の思いを押し付けたり、先入観をもってしまったりすると、子どもたちの気付きを受け止めたことにはならず、これまでも見落としていたこともあったのではないかと、自分たちの保育を振り返る機会となった。
- 子どもの考えや思い・遊びに柔軟に援助や対応をすることの難しさを感じた。
- 子どもの気持ちを読み取ることの大切さがわかった。
- 子どもの遊びには、理由や理屈が存在しないような単純に楽しむ遊びもあることがわかった。
- 【実践研究発表:4歳児クラス】
- 「泥んこ遊びって、楽しいね!!」
手洗いの時に、水道の蛇口を指でふさいで水の飛び散る様子を不思議そうに眺めている子どもたちを見て、思い切り「水」に夢中になれる遊びを経験させたいと考えた。また、保育者も子どもたちと共に、水の魅力をもっと知り、楽しさを共有したいと思い、研究をすることにした。
- <事例>
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- 「水の流れ」をテーマに、水を流す道具として雨どい(90cmにカットしたもの)を用意し、砂場で活動をした。水は雨水をバケツに貯めたものを使用した。
- 雨どいの使い方がわかった子どもたちと遊ぶ前に作戦会議を開き、イメージをもってから活動に入った。
- 水を砂場で流すと、少し水溜りができた。泥水の感触を楽しむ姿が見られた。
- <考察>
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- 近くに川などがなく、水の流れが身近でなかったことや砂場で道を作って水を流す経験がなかったことから、雨どいの使い方をはじめ水を流すことを楽しむまでには至らなかった。子どもたちが初めて手にする教材の提供の仕方が課題となった。
- 子どもたちと話し合いをしたことで、イメージが共有できた。このことにより自分たちで遊びを作り出して楽しむ姿が見られた。
- 保育者のイメージ通りに活動を進めてしまった場面があり、子どもたちのいろいろな良い発想を引き出すチャンスを減らしてしまったのではないかと気付かされた。
- 子どもたちの興味を探り、発想を変えて可能な範囲で遊びにつなげていく柔軟な考え方が保育者には必要なのではないかと思った。
- 4歳児は友達とのかかわりが広がり、遊び自体の楽しさのほかに、友達と遊びの楽しさを共感し合うことで遊びが深まっていくことを感じた。
2.研究協議会(2分科会に分かれて実施)
- 【2歳児クラス 分科会】
- 線路やトンネルなどの環境を、一日中常設しておけるスペースがあったら、子どもたちの遊びがより一層展開していったかもしれないが、保育園はそういったスペースがないのが現実である。可能な方法として、朝夕の遊びで子どもたちが遊びたい時にいつでも用意ができたり、子どもたちが自分で取り出して遊んだりできる環境を心がけていくと良いのではないか。
また、保育者はいつも子どもの要求を受け容れることが出来るぐらいのゆとりが必要ではないか。大人との心地よい関係と深い共感により、子どもの本質を導き出していけるのではないか。
複数担任の場合、いろいろな角度で子どもの姿を捉えることができるという利点を生かし、イメージの共有をしながら保育内容や教材についても工夫していくことが大切であることがわかった。
- 【4歳児クラス 分科会】
- 初めて手にした素材“雨どい”について…園庭にポンと出して置いてみたらどうだったろうか?水を流すことを子どもたちが楽しんでいたのなら雨どいにこだわらなくてもよいのではないか?
子どもの姿をしっかりと捉えて次の遊びを考えているのは、とても良い。子どもだけではなく、職員も楽しむことが大切だと思う。幼児は、見守りと援助とでは見守りの方にウエイトを置いてもよいのではないか。一人ひとりをよく見て育てていくことが大切である。
雨水を使ったことがよいと思った。
同じ遊びを継続していくと、子どもたちの遊び方が変わってきたことに気付いた。子どもの一番好きな泥んこ・水で十分遊ばせることはとても良い。
3.講話
講師:鎌倉女子大学短期大学部学部長教授 岸井慶子先生
- 【実践公開(園内)研究の大切さについて】
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- 自分達の実践を公開して第三者の目で見てもらうことは、改めて学び直すことができる最良の場である。
- 園内においても他のクラスのことはなかなか見えづらいことも多いため、このような形で出し合うことは職員の共通認識にもつながる。
- PTA会長の参加は、保護者と共に子どもを育てていくという意識につながり、とても良いことである。
- 【研究のポイント】
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- 子どもが夢中になっていることに子どもの育ちがあり、意味があるので着目してみること。
- 記録をとることは、とても大切である。
- 子どもの姿・保育者の援助など、やったことを書き留めていく。
- より丁寧に詳しく具体的に記録する。
- 誰がどんなふうに、どういう位置関係で言っていたのかを細部にわたって記録する。
- 環境図(環境構成)があると状況が分かり、読み取りがし易い。
- 継続していくことで、保育者が予想しなかった展開からつぎの保育につながっていく。
- 【4歳の事例から〜教材について】
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- 雨水を使ったことは、子どもたちが環境を意識する効果があった。
- “もったいない”だけではなく、雨水をバケツで運ぶ苦労をさせたことも良かった。(便利な時代なので、いかに苦労させるかを考えることも大事なこと)
- 雨どいという教材に出会ったことは経験であり、興味があれば子ども達から使い始めるので、保育者は用意するだけで良い。
- 雨どいで、物や水が流れることは時間の経過を知ることであるが、雨どいの斜度により違いが起きることなどは経験を通して知ることとなる。
- 他にも木片やダンボールなどを用意すると子どもたちは工夫して使い出す。
- 繰り返し使う中で、使い方や面白さを発見していく。
- 教材は子どもが必要だと感じた時や遊びがマンネリ化した時に出すと良い。
- 【0歳〜5歳児までの事例に対する講評】
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- 0歳児…自分がしたことで(容器を振って音を出す)音が出たり、大人が反応したりするなどの応答性があってよい上、安全性も考えられていた。
- 0、1歳児…小さい時から主体性を育てるという意味で、子どもたちが遊びたいものを選べる環境にしたのはよいが、「音出し遊び」はいろいろな意味合いを含むものなのでタイトル名を決めるときに気をつけること。
- 1歳児…乗り物のイメージを全員が持たなくてもよく、同じ空間で遊んでいることで楽しさを共有できることもある。
- 2歳児…トンネルは他にもトンネルとして使える環境が転がっている。例えば、布団の中・机の下・棚の上にビニールをかけるなど。
- 3歳児…テーブルにひと工夫すると別の発見があると思う。ツルツル・ザラザラの面によって、シャボン玉の泡の状態が変わる。
- 5歳児…楽しいことがあれば、トラブルは尾を引かないものである。
4.おわりに
記録をとることの大切さと難しさを知り、今後も継続させていくと共に、教材についての学びをさらに深めていきたい。どのように子どもたちと日々向き合っていくのか、職員皆で話し合い改めて考えていきたい。
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