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社会福祉法人 若葉台保育園 実践提案研究会開催レポート 3

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【演 題】 「科学する心の芽生えを育む支援方法と記録の取り方」

【講 師】 いわき短期大学 客員教授 西久保 禮造 先生


(1)「科学する心」の芽ばえを育む支援方法(2)実践記録の取り方(3)質問


西久保先生 講演会の様子
(1)「科学する心」の芽ばえを育む支援方法

 幼児期には「心が動く」とか「感じる」ということが先にあり、それを もとにして「考える」とか「試す」とか「表現する」ことによって思考力 が育っていくということになります。学校教育では、正確な知識だとか、あるいは、的確な方法だとかというものを授けていくことが教育の目標となっています。学校教育の目的自体に認知的な目標とか、あるいは技能的な目標、情意的な目標があります。低学年の場合は、国語と算数においては、認知的な目標、技能的な目標で、いわゆる音楽、図工などは情意的な目標となっています。

<結果を教えない>

 幼児教育の場合は、心情とか意欲とか態度、これが保育の目標になっています。学校教育は、どうしても正確な知識だとか的確な技能を育てることに重点がおかれます。植物などで例えば、栽培の仕方を教えてしまう。答え(結果)を教えてしまっては科学的な思考力は育たない。「なぜだ?」と思わないからです。先生が結果を教えてしまったら科学する心とか科学する芽ばえを育むことはできません。

 前にある幼稚園で研究をした際には、一人一鉢のアサガオ栽培で、種を蒔いたばかりの早い時期から棒が立っている。それを子どもも保育者も不思議と思っていませんでした。   
 しかし本来は、蔓が伸びてきた時に「アサガオの蔓は、つかまる所をもとめている」ことが分かる。そこで「あれ?」と思わせなければいけないのです。チューリップにしてもそうです。栽培方法を教えてはいけないのです。先生が、正しい方法を教えれば、早く芽がでてきます。でも、教えずに植えさせても、時間はかかりますが芽は出てくるのです。そこで、「あれ?」と、子どもが思った時に、科学する心が育ってくると思います。

 栽培方法は教えることが目的ではないので、花は咲いて枯れたら別に取らないでおいてもいいのではないでしょうか。チューリップは種ができるって知っていますか?チューリップは球根を植えれば咲くのだと思っていませんか?また、野菜を植えるとみんな食べてしまう。でも、みんな食べないで一つくらいは残しておくといいですね。「なぜ先生一つ残しておくの?」と、言われたときに「どうしてだと思う?みんなはトマトを植えたときに苗を買ってきて植えたんだよね。でも、その苗はどうして苗になったのだろう?」と、考えさせていくのです。自分の体験からすれば、ある程度気付いたり考えたりすると思います。トマトなんかは先生が剪定をしてしまいますよね。でも、みんなしないで、したものとしないものを比べさせ、違いを気付かせていく。そういうことが思考力を育てるのに必要なのではないかと思います。

<疑問をもち考えるように>

 科学する心を育てるために子どもに「どうしてだろう?」と、疑問をもたせていく。そして、「ただ教えればいい。自然がいっぱいあるからこれで科学する心が育つ」と思われても、いつまでたっても理科離れしている子どもが増えていることが解消しないですね。科学する心を育てるためには教えてはいけない。ただ教えるのではなく、子どもが気付いたり発見したり探求したりする。そういう心を育てていかないといけません。植えて、採って、それを給食の先生がおいしく料理してくれた、「みんなで育てたのはおいしいね」と食べる、これでは自然には親しむことはできますが、科学する心は育ちません。

 しかし、考えるためには、教える部分もあるんだということは理解しなくてはなりません。それは物理学的な現象の場合です。例を挙げると「舟をつくって動かす」学習活動の場合には教えないと子どもは分からない。幼児教育の中には、考えさせるために、基礎になる部分は教えるということはあります。

 5歳の夏頃にこういうことを教えてあげるといいのではと思います。飼育の例を挙げると、カブトムシなどの昆虫は本当は樹液を吸って生きているわけですが、幼稚園や保育園では、他のもので間に合わせていますよね?でも先生が「山にはスイカはあるのかな?」「本当は何を食べているのかな?」と疑問を投げかけてみるのは大事です。答えが正しい正しくないじゃなく「考えている」と、いうことを大切にしていく。ちょっと問題なのは先輩が知ってると下の子どもに教えてしまうんですよね。先生が、疑問を出していかないと、簡単に答えを見出してしまうので、「考えている」ことを大事にしてください。

 基本的には「この活動をして何を考えさせるか」ということ。
 それをしっかりとおさえて欲しいと思います。

西久保先生 講演会の様子
(2)実践記録の取り方

 <「いつ、どこで、だれが、だれと、何を、どのようにした」を、きちんと記録していく>

 歩行ができるようになった子がいますね。歩行ができるようになったということは、科学する心の一番初めなんです。なぜなら、子どもは、移動できない時は平面しか捉えられないんです。平面だけでなくその裏は、どうなっているか、それを探索しようとする意欲が出てくるかどうか、ということにからんできます。ある程度歩けるようになると、上から覗いたりもしますね。ハイハイの時もタタタ...と行ってふいに止まって後ろを見る事もでてきます。つかまり立ちなら、「ここならつかまえられるな」と、自分の背の高さが分かり、そこを利用する訳です。物の後ろに入り込むことがあるのか、歩いてきて止まってじっと見ていることがあるのか、そういう記録がないと、子どもの様子がでていないと、科学する心を育てていこう、それに対して、どういう支援をしようかという実践記録にはなってきません。

<どんな興味を持っていて、その興味をどういう風に追究していくのかが大事>

 「興味を示す」とは?ただ単に「興味を示した」では分からない。例を挙げると、ままごとに興味 を示した子がいる。その子は食べ物を作るのに興味を持ったのか、ままごとコーナーのところには何人かいてそこで何となくおしゃべりをするのが楽しくて、そういう所に興味を持ったのか、中には、いばりんぼの子もいてそこにいる子どもを支配することに興味をもっているのかも知れない。男の子なんかはミニカーで遊んでいますが、何台もつなげて走らせているのか、一台を動かしながら普段の家庭の様子を一生懸命思い浮かべながらそういう楽しさでミニカーを走らせているのか、乱暴な子はぶつけあうことを楽しくてやっている子もいますね。興味の持ち方というのは多様です。どんな興味を持っていて、その興味をどういう風に追求していくのかが大事になってきます。

<気付きや意外性の発見を大切に>

 「運動遊びを好む」と、言ってもいろいろありますね。上り棒は、くつを履いたままよりは裸足に なった方が良く上れる。すべり台は、滑る時に速度の調節をその子がやっているのか、物理の方でいくと摩擦の問題もでてきます。それを記録に載せないと分からないんですね。ブランコは、どうやったら高くいくか、どうやったら幅を狭くして止まれるか。砂場遊びでは大きなシャベルを使って2ヶ月もすれば両方の手を使ってやるようになります。“てこ”の応用を獲得していく訳です。みんなその子が気付き発見していくことが大切です。

 「自然の変化に気付く」と、言ってもいろいろあります。自然の現象の変化を言っているのか、 自然の事物の変化を言っているのか、芽吹きに気付くのか、植物の変化に気付いたのか。大きく分けると植物関係の自然なのか、気象の変化の自然なのか、そういうことも分かるように書くと、その子の自然の変化のへ気付き方が分かってくると思います。

 また、意外性の発見がとても大切です。意外性の体験をいっぱいさせることが大切です。それは自 然を大切にすることにつながっていきます。遊びの中で気付かせていく、そして先生が言葉をかけていくことによってそれが子どもの頭に残り、それをもとにして科学的に物を考えていくという心が育ってきます。答えを教えないで子どもたちに気付かせる環境を構成することが望まれます。

 また、友だちとの関係を育て、安定させないと科学する心を育てることにはなっていかないと思い ます。よく記録に「友だちと一緒に」と、書かれた文を目にしますが、未満児さんにおいては、ただそこにかたまっているだけのことが多いです。ですから、あまり「一緒に」という言葉は使わない方がいいと思います。

(3)質問
  1. 自然を大切にするという言葉がありましたが、他に自然を大切にする子どもを育てるためにはどんなポイントがありますか?
  2. <回答>
    生物はいつかは死ぬんです。人為的に殺すのはよくないけど飼っている生き物が死んだらすぐお墓をつくる。それだけではなく、「どうして死んじゃったんだろうね?かわいそうなことしちゃったね」などと心に伝える機会を作って欲しい。

  3. 未満児の場合、どういう風に関わっていけばまわりのものに興味をもたせていけるようになるのでしょうか?
  4. <回答>
    小さい子どもの場合、まず全身運動をするような保育をして欲しい。そうすると周りのものを気にしてくるはずなので、そこを大切にして欲しい。ハイハイを沢山させていくことです。腕の力、肺の力も強くなってきます。どのようにという記録が積みあがっていけば、その子の知的な発達を捉えられると思います。

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