公益財団法人 ソニー教育財団
科学する心を育てる ソニー幼児教育支援プログラム

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論文募集

るんびにー保育園
 0歳からの「科学する心を育てる」研究会開催レポート

 2007年10月27日、前年度の努力園であるるんびにー保育園(愛知県岡崎市)で、「乳幼児期の科学する心を育てるには」〜“みてみて 小さな発見”〜をサブテーマにして研究会を開催しました。「意見提案」として園の実践のご紹介があり、その後4グループに分かれてグループ協議を行いました。更に、中部学院大学 林 陽子先生からは、乳幼児期の「科学する心を育てる」に迫るご講演がありました。

意見提案

 乳児期はまだ精神的にも身体的にも未熟ではあるが、目に入った物に触れてみたい、動かしてみたいという興味や好奇心は、すでに0歳児から芽生え、成長や行動範囲の広がりと共に旺盛になる。そこで、

  1. 直接体験を繰り返し楽しめる環境作り
  2. 様々な事象のおもしろさや不思議さを伝える
  3. 大人の考えを押し付けず、子ども一人ひとりの発想に共感し、感動や喜びを共有する
  4. 異年齢児と楽しく遊ぶ時間を共有し、刺激を受け、心ワクワク、ドキドキのたくさんの経験を味わえるようにする

などの働きかけを大切にしていくことで子どもの視野を広げ好奇心を膨らませて、観察力や探求心、優しさやいたわりの心、感性や想像力を豊かに育んでいきたいと思う。そして、保育者のほんの少しの意図的な関わりで幼児期の科学する心の芽生えに繋がっていくと思う。

<実践>
《小動物・植物》   ねらい…おもしろさや不思議さを肌で感じる

 子どもたちが、虫への興味や好奇心を持ち、探索や模倣をして、ワクワクと心を弾ませ、おもしろさや不思議さを肌で感じると同時に、命の大切さに気づいていけることを期待して、衛生面に十分に配慮した上でカタツムリの飼育を始めた。子どもたちはカタツムリの世話を通して食べた物とうんちの色が同じこと、うんちがどこから出てくるか、ナメクジとの違い、輪切りニンジンの食べ方やカタツムリの動きのおもしろさなど様々な驚きや発見に心を弾ませ、感動を味わっている。そこで子どもと一緒に世話をしながら、一人ひとりの発想に共感し、友だちにも伝えていけるような仲立ちをしたり時には意図的な働きかけをしていった。すると子どもたちの、言葉のやりとりも盛んになり、カタツムリへの興味・関心も高まり、愛着や優しさへと繋がった。特に産まれた卵を見つけ、“産まれるってどういうこと?”“何が出てくるの?”と様々に思いを巡らして、ワクワクしている表情や、想像以上に長く伸びるカタツムリをまねして、全身を使い、自分が感じるままのカタツムリを表現する姿は印象的だった。

  
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《遊びの中から泥だんご》
ねらい…砂の感触を楽しみ、力の握り加減を知る

 0歳児では「砂を触る、握る、離す」の繰り返しの遊びを楽しみ、1歳児では水遊びや泥んこ遊びが活発になる。
 2歳児は、砂・水・泥の感触をダイナミックに全身で味わって楽しむようになる。そこで洗濯ごっこ、色水遊び、シャボン玉、山や川作り、だんご作りなどの砂・水・泥遊びの楽しさを子どもと共有しながら、発見や驚きに共感したり「なぜ?」「どうして?」を共に考え合っていくと同時に、異年齢児交流の機会を多く作り、関わりを持てるように仲立ちした。すると、子どもたちは年上児の作る『まんまるのだんご』に憧れ、泥だんご作りに興味を示した。最初は保育者任せだったが、何度となく保育者や年上の子のだんご作りの様子をよく見てまねるようになる。そして、教えてもらったり手伝ってもらったりの優しい関わりの中で、だんごの握り方や水の必要性に気づき、意欲が高まり、繰り返し楽しむうちに、握る力を感覚的に覚え、自分で平らなかたまりが作れるようになった。また、粘土質の土の導入により、握る力がまだ十分に育っていない子どもたちも、(固くて、形の良いものとはいかないが)自分で作る楽しさや、自分でできた満足感を味わえるようになり、だんご屋さんごっこを楽しむなど、遊びに広がりが見られた。

  
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グループ討議

4つのグループに別れ、どのように乳児が虫とかかわっていくのか、虫を囲み話し合った。

  • Aグループ メダカ
    • 乳児は幼児に世話の仕方を教えてもらい一緒に世話をする
    • 産まれたのを見て、自然と愛着がわき良く世話をする
    • 死を見て生命の大切さに気づく
    • 虫好きの保育士の影響は大きく、言葉かけでも違ってくる
  • Bグループ カタツムリ
    • 乳児は、環境の一部である保育者自身の関心の持ち方が影響する
    • 保育者や幼児が興味を持っていることで環境の一部となり意図的にやることで気づける
    • 配置場所は子どもの目線に置き、一方だけでなく様々な所から見られるようにする
  • Cグループ ダンゴムシ
    • 環境づくりを考え、大きい子の発見を小さい子にも知らせ、身近な発見を大切にする
    • 保育士の言葉がけや、幼児からの発見が乳児に伝わり、そこから発展していく
    • 保育士自身、興味、関心がないと子どもたちに伝わっていかないことがあるため、保育士が一生懸命になることが大事
  • Dグループ カマキリ
    • カマキリなど肉食で共食いをする虫などは、理由を教え理解できてから飼育するとよいのではないか
    • 飼育箱をゆすったり叩いたりするときは、自分の身に置き換え伝えていく
    • 保育士自身が子どもたちと一緒になり飼育を喜んだり、探求心、命の大切さを実感する
    • どんな理由で小動物を飼うか。子どもたちにどのようなことを伝え、目標にするのかを考え、飼育に見通しを立てること

指導助言・講演会 「科学する心」を科学する
  講師 中部学院大学短大学科長 林 陽子 氏

 乳幼児の認識の特性は、大人には同じように見えることを繰り返し試しながら、毎回ほんの小さな変化を楽しむことで様々なことが分かっていくということである。分かった時の喜びは大人にとってちょっとしたことでも、子どもにとってはとてつもなく大きいものである。そして、その分かりたいという気持ちは強く、これで満足などと妥協せずに常に湧いてくるものである。
 これらの特性は、ものごとを科学的にとらえて理解するための基礎である。子どもはみんな「科学する心」をもっている。それを認め支え、そのための環境を整えたり手立てを共に考えたりするのは大人の役割である。ところが大人自身はどうかというと、じっくり考える時間や根気がなく「科学する心」はうすれがちである。
 「科学する心」を支え育むものは、第一に感性・感覚である。第二に虫をつかんだり、しっかりしゃがみこみ泥だんご作りなどができる自由に操作する手足としなやかな足腰である。また、考えを確かにしたり、伝える言葉や不思議さなどを共感する友だちや仲間、安心し信頼できる大人も必要である。
 0歳から「科学する心」を育てるため、大人の役割は「不思議だなぁ?」の気持ちを大切にし、そこから五感で試したり確かめたり、様々な体験を大切にすることである。子ども一人ひとりの納得のしかたを理解した上で、言葉がけや関わり方を大切にしていく。そして、「あれはどうかな?」「違うやり方でやってみよう」など提案し、子どもが様々なことを体験できるようにしていく。分かったことを、子ども同士で伝え合っている時は、大人が言葉や表情を丁寧に汲み取り、必要な時には相互に分かるように関わっていく。

研修会でわかったこと(参加者の中から)

  • 乳児の虫への興味・関心を高めていくには、環境設定の重要さを感じた。
  • 保育者が子どもと一緒に飼育を楽しむことで探求心を深め、命の大切さの気づきへと繋がっていくと感じた。
  • 「こんなに小さい年齢から科学する心が育つの」「科学って難しいよねぇ。わかるかしら」「どんな関わりをするのかしら」と、難しく考えたり疑問を持っていたが、日常保育の中で保育者のちょっとした関わりにより、子どもになぜ?どうして?不思議だなぁ?が芽生え、好奇心をふくらませ、探求心や意欲に繋がることがわかった。
  • 乳児期から心を揺さぶられる感動体験や、思いを共有し共感しあえる繰り返しの経験は科学する心の基礎に繋がることが分かった。
  
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