公益財団法人 ソニー教育財団
科学する心を育てる ソニー幼児教育支援プログラム

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論文募集

野外保育 森の子 実践提案研究会レポート



  安曇野の里山のような自然の中で、野外保育 森の子の実践提案研究会が実施されました。豊かな自然の中での生活を基盤に、野外でたくましく活動する子どもたちの姿が印象的でした。

主題: 「科学する心を育てる」
サブテーマ: 安曇野の森を活用した実践
会場: 長野県安曇野市穂高有明7958
日程: 平成19年9月11日(火)
09:40〜 公開保育
09:40 日常のフィールドでの自由な活動
10:50 近隣の散策 「いろいろな顔の葉っぱ探し」
11:30 降園(公開保育終了)
13:00〜 研究発表
13:30〜 研究協議

<公開保育>

 三々五々集まってきた子どもたちは、土の固さや水の流れを楽しみながらの泥遊び、3本の木を組んでお家に見立ててのお家ごっこ、すでに交流のある生き物の専門家の方との散策や虫探し、ログハウスなど手作りのスペースを活かした基地ごっこ、木工遊びなどを友達と楽しんでいました。
 朝の会の前に以前から強風のときに倒れる恐れがあって伐り倒した方が良さそうだと言っていた木を、ロープをかけて鉈と鋸で切れ目を入れ、子どもたち全員で引いて倒しました。
 朝の会では「はっぱじゃないよぼくがいる」(著者:姉崎一馬 出版:アリス館)という絵本を読み、子どもたちがお散歩に出るときに道ばたの葉っぱなどに「面白いな」と気付かせるきっかけとしました。
 夏の終わりや秋の始まりを見つける散策では、樅の木のところで木登りを楽しみ、その先のコースでは色々な葉っぱを見つけ「ねえ、"あー"っていってるよ」「怒ってるみたい」と葉っぱを顔に見立てて楽しんでいました。他にもカブトムシやクワガタの死骸やセミの翅といった「夏の落とし物」や、どんぐり、櫟の虫こぶ、盗人萩の種など「秋の恵み」も拾っていました。盗人萩を「ひっつきむし」といって自分や友達の服に付けて楽しんでいました。散歩から戻って拾ってきた物を布の上に広げ、みんなで観察しました。
 また、「やわらかいところにいるよ」と、土の感触をシャベルで確かめながらカブトムシ探しをしている3歳児は、「見つけた!」と友達に見せて「カブトムシの足だよね」と確かめ、もう生きているカブトムシを見つけることができない体験をしていました。そして散策では、カブトムシの角や体、顔など死骸の部分を見つけ、「もう夏は終わりだから、カブトムシはいないんだよ」と、納得し認識を深めるような5歳児の姿がありました。カブトムシにかかわってきた子どもたちの学びの姿です。

<全体会>研究発表

[於:シャロムヒュッテレストラン]
森の子の概要

 近年子どもたちは外で遊ぶことが非常に少なくなってきた。ここ安曇野でも同様であり、こういう状況を憂い、自然の中で幼児期を過ごさせたいと願う親たちによって「森の子」は開園した。開発が進み自然環境は大きく変わってしまったが、まだ子どもたちが遊べる自然は残っている。これを大いに活用したい。園舎は持たない。経済的理由が大きいが園舎がないことで自然の中での過ごし方を学んでいったり、自然の変化に気付いたりするチャンスも多い。

ソニー論文について

 応募のきっかけは経済的な問題(無認可で助成が無く厳しい経営状況)があった。
しかし論文にまとめることによって、ここで日常的に行っている保育の中に「科学する心を育てる」ことがあるのではないかと気付かされた。

実践事例集vol.4の事例参照

実践課題と今年度の取り組み

 去年までは畑に行ってもじっくり仕事をしたり、観察をしたりする子とそういうことを一切しない子とに分かれてしまったため、今年度は「当番制」を取り入れた。少人数でいくことによって全ての子がしっかりと水くれや草取りをし、作物の成長やそこにいる様々な虫たちに気付き、朝の会でそれを報告することができた。
 散歩に出るときは気付きのきっかけとなるような絵本を読みきかせていく日も設けた。のんびりと散歩を楽しむ日もあれば一生懸命林の中を観察する日もあった。不思議な生き物を見つけると保育者に見せにきてさらに自分たちで図鑑を持ち出して調べることもよくある。
 フラダンスをやる卒園児の母親に来てもらって、太陽や風や雨や花になって体を動かすということもやってみた。(フラダンスは本来自然を体で表現することにあるという)子どもたちは保育者の予想以上に本当に太陽や風になりきってその動きを心から楽しんでいるようだった。
 また、南側の広い林を借りることができたため、そこの手入れを専門の人と一緒に行った。枯れた木を倒したり枯れ枝を落としたりという作業を行っている。
 保護者に保育に入ってもらったり、公開体験保育を行ったりしてより多くの子どもや大人に自然の中で過ごすことを体験できる機会を設けた。日頃あまり自然と接することのないという子どもたちも生き生きと林の中を歩き、楽しんでいる様子だった。

研究協議、意見交換会

(最初に自己紹介をしてもらい、研究発表や公開保育をふまえ参加者に意見を述べてもらった。)

森の子ではカリキュラムはあるのか?
  • 年間,月間,週間の予定はあるがお天気にも左右されるので細かなカリキュラムはないし、今日これをどうしてもやらなければならないというものはない。
  • 保護者からは「確かに急な予定変更で大変なこともあるが時間にとらわれずに子どもを見てもらい、 遊びを膨らませてもらっているのでいいと思う」という意見があがった。
小学校へあがったとき、森の子での生活とのギャップが大きすぎて困ることはないか?
  • 確かに最初は戸惑う子どももいるが1年もすれば馴れてきて学校生活を楽しめるようになってきている。また、冬季はシャロムヒュッテのレストランを使うことができるので椅子にきちんと坐ることや集中して作業をすることなどの時間を設けてできるだけ学校へいってからの戸惑いを少なくするように心がけている。
  • 森の子の保護者から「学校に馴染めるか馴染めないかは、森の子での生活が云々というより親の側の考え方にあると思う。学校の先生方も子どもたちのためにと思ってやって下さっているのだから、無闇に不信感をつのらせるべきではないと思う」という意見があがった。
  • 参加者から「はじめのうちは遅れているように感じるが、4年生くらいから園での体験が色々な形となって現れてくる。経験してきたことは体や心の中に根を張り、つながっていき、だんだんに現れてくるものだ」、「少しのストレスと危険で例えばほんものの火の力、怖さを学ぶことができる。」でという意見があがった。
自分たちの園では、保護者から発表会や学年別の保育をなくしてしまっては困るという意見が出ているが森の子ではどうか?
  • 森の子の保護者から「森の子でできないことがあることは十分承知している。その部分については家庭でやっていけばいいことであると考えている」という意見があげられた。
  • ソニー教育財団の高木氏から、「自由遊びの時、土と砂が混じった所でトンネルを掘っていた子が『ここは固いんだよ、○○くんが乗ってもつぶれないくらい固いんだよ』と言っていた。子どもたちは体でその土の固さを体験し、ただ「固い」というだけでなく「乗っても大丈夫なくらい固い」と具体的にわかり表現している。また、棒を3本使って立てた物に布をかぶせたりしてお家ごっこをしていた子が何人かいたが、子どもたちはその遊びの中から棒が3本あれば立つことを学んでいる。これも「科学する心」を育てるということだ。こうした教材は大切である」という話があった。
<後日森の子の保護者から>

研究会がとても良かったので、もっと沢山のお母さんたちが参加できるようにしたかった、大変だけど毎年やって今度は近隣の保育園や幼稚園からの参加ができるようにしてみたい、などという意欲的な意見が沢山あがっていた。

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