公益財団法人 ソニー教育財団
科学する心を育てる ソニー幼児教育支援プログラム

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論文募集

中央保育所・中央幼稚園 実践提案研究会開催レポート

 環境の構成に視点を当てた年齢ごとに特色のある環境の中で、1〜5歳児が生き生きと活動をする公開保育、そして、17年度の論文に関する取り組みから18年度の研究についての発表がありました。また、研究協議では、公開保育の活動や環境、研究の内容について、幼稚園・保育園の先生方・保護者の方から感想や質問が多数出され、活発な意見が交わされました。最後に、出雲市立乙立小学校・幼稚園 校長・園長 原 幹雄先生より指導講評がありました。
 ここでは主に、4、5歳児の車作りの環境に関する協議会の内容をご紹介させていただきます。
研究会副主題:
0歳からの『科学する心を育てる』
子どもたちの「不思議」との出会いを大切に 
〜気付く・試す・考えるを生み出す環境の構成とは〜
会場:
出雲市立中央保育所・幼稚園
(島根県出雲市今市町828番地2)
日程:
平成18年7月1日(土)
08:30〜 ◆受付
09:00〜 ◆公開保育 (3〜5歳児詳細)(1・2歳児詳細
09:50〜 ◆研究発表 (→詳細
10:10〜 ◆研究協議
11:30〜 ◆指導講評 (→詳細
12:30   ◆閉会 挨拶

研究協議 (車作りに関する内容の抜粋)

  • 当日の保育の様子(4、5歳児)

4歳児 りんご組担任
 今日は、自分の車を走らせたり、友達と競争させたり、よく走るために車や道を直しながら遊んだ。車を走らせる場面で、車がよく走るためには、大きなタイヤにするといい事に気づき、タイヤを交換したり、竹ひごやストローの長さを替えながら、何度も走らせて遊んだ。また、友だちと競争させて遊ぶ場面では、教師や友だちと車を並べてより遠くまで走ることを楽しむ姿があった。教師も一緒になって競走を楽しんだり、よく走るよう車を修理しながら遊んだ。
 子どもたちの気づきや不思議を大切にし、試したり、工夫したりする姿を支える環境の構成のあり方はどうであったか。

5歳児 ぶどう組担任
 子どもたちは、風や光、熱に興味を持ち、風で走る車、日時計、温水器作り等、それぞれ自分のやりたい遊びに取り組んだ。
 風の車では、「風を受けて車がよく走るようにするためにはどうすればいいのか」と、帆やタイヤのつけ方を考えたり、風の当て方を工夫したりする姿が見られた。教師も一緒に楽しさを共有しながら、試したり工夫したりする姿を認めていった。また、温水器作りでは黒色だけでなく、銀色のものも熱く、熱を持つことに気づき、新たな温水器作りが始まった。子どもたちの気づきや不思議を大切にし、試したり、工夫したりする姿を支える環境の構成の在り方はどうであったか。

  • 車のタイヤに関する内容
  • 4、5歳児では興味の違いからタイヤの素材も違っていた。
  • 自分自身の保育の経験では、車のタイヤはフイルムケースのふたやキャップ等の材料を使用した。どのような経過で、4歳児は既製のタイヤに到ったか、また、この先の見通しについて知りたい。
  • 5歳児は、タイヤの交換をしながら、工夫する姿があり、感心した。今後、紙粘土など手作りのタイヤを作らせてもおもしろいのではないか。どこに到達点を求めるか、満足感を与えたいかで、子どもたちの車の作成の仕方も変わってくるが、よく走るために円形を作る、中心に軸をおく、摩擦や転がり方などに視点を置いてもよいと思った。(保護者)

中央幼・4歳児担任
 今まで様々な素材を用意してきたが、子どもたちには『速く走らせたい』という思いが強く、フイルムケースやキャップ等と一緒にプラスチックタイヤを用意したところ、早く走ることが分かると、既製のプラスチックタイヤを選び、交換し、遊ぶようになった。
 道路作りや工事現場の遊びから、車作りは始まった。友だちや担任の姿を見て作り出した子など、きっかけや開始時期は様々である。担任は今後一緒に走らせ、タイヤを交換し、気づきや発想を楽しめるようにしていきたい。

中央幼・5歳児担任
 5歳児はペットボトルの蓋のみで作っていたが、小さくて走らないことに気づいた。その後、海苔のふた、ガチャガチャ、チーズの丸い箱など、大きい蓋を見つけて車作りが続いた。4歳児が既製のタイヤを見せたが、それでも自分の作った車の良さを説明し、4歳児にアドバイスをする等の姿があり、自分の車に自信を持っていて、タイヤを換えたいということはなかった。見せ合ったことはよい刺激になったし、認め合うよい機会となった。

  • 4、5歳児の車の活動全体に関すること
  • 今日の保育では、素材の工夫が様々な場面で感じられた。帆は布で作ったらどうなるだろうかと思った。4歳児は、見た目やスピード感を求めているので、5歳児との発達の違いを感じた。今後の保育の構想を聞きたい。
  • 4歳児の車の遊びは、部屋いっぱいの2コースと廊下コースのダイナミックな場の設定で、生き生きとした子どもの姿があり、一緒に遊びたくなった。
  • 環境構成、遊びの姿から子どもの興味を探っていくことの大切さを感じた。まっすぐ走らない車があったが、どうしたらいいのか4歳児なりに工夫したり、考えているようだった。
  • 波板の素材や廊下の道路など工夫されていて、とても喜んで遊んでいた。
    今後の保育の提案として、高さの変わる道路、カーブが動く(変化する)など工夫してはどうか。
  • ボンドの乾きに苦戦していたが、ホットボンドは使わないのか。
  • 1学期のこの時期にこれほど遊び込んでいる姿に感心した。風の車の遊び、光や影の栽培活動など生活のすべてが科学であり、子どもたちが体感しながら過ごしていることが伺えた。生活の中の出来事を遊びにつなげ、環境構成をしていく大切さを感じた。
  • 楽しい時に不思議を感じるので、今日のように担任が生き生きと活動することがとても大切だと思った。子どもの遊びの停滞時期は教師の停滞時期でもあると思う。

中央幼・5歳児担任

  • 一人一人がいかにうまく走るかにこだわっている。自分と友だちの車の比較をしたり、ストップウォッチで早さを確認したりすることで、喜びや満足感を感じている。自分自身の車のタイムを計り、より速く走らせることと、友だちと走らせることの両面から楽しませ、外での体験もさせたい。
  • ホットボンドは新しい素材として使ってみたい。
  • 4月は風の遊びとしてブーメランを作り、素材や形を工夫したが、その後生き生きとした表情が見られず、担任も子どもも「遊びを続けていいのか」「どう工夫していいのか」楽しみ方が分からなくなった。そこで、ブーメラン大会を提案し、楽しかったという共通体験から一人一人の満足感が得られた。その姿から保育者同士で「何が楽しいか」話し合いを重ね、子どもたちの姿を丁寧に追っていった。外遊びが好きで、風の強さや影が移る様子に興味をもって遊んでいる、という子どもの姿から『帆をつけた車を担任が作り、子どもの反応を見てみよう』等、まず担任が遊びを提示し、子どもの遊び出す姿を見守ってみた。子どもの姿を遊びの停滞と考えて続けさせるための支援をするのか、遊びの終わりと考えて発想の転換をするのか、難しいところである。

中央幼・17年度研究主任
 風の遊びは子どもに任せただけでは続かなかった。子どもと一緒に考えながら、「ホントだね」「どうしたらいい?」「何で?」と、一人一人の不思議に寄り添い、一緒に遊び、楽しむ中でどう向き合えばいいのか、担任同士で話し合いを深めていった。
 子どもと担任がしっくりしない時は、遊びも停滞してしまった。子どもも楽しいと感じる時は不思議を感じることができる。

研究会を終えて

 「0歳からの『科学する心を育てる』 子どもたちの『不思議』との出会いを大切に」というテーマのもとで研究発表を行った。当日は110名の幼稚園・保育園の先生方から多くの意見をいただき、充実した会となった。参加者の先生方の造詣深いご意見や講師の先生のご指導に全員が思いを新たにした。
 保育を通して、教師が子どもと共に「不思議」との出会いを大切にして子どもたちの思いを実現するために共同作業者、教材開発をしたことにより、子どもは、遊びを通して更に好奇心、探究心を持ち、経験を広げ、充実感を得ることができたと思う。
 ソニー幼児教育支援プログラムの中の、「科学する心を育てる〜豊かな感性と創造性の芽生えを育む〜」の7つの視点は、幼児教育が求める学びの基礎であると捉え、これからも研修を深めたいと考える。

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