公益財団法人 ソニー教育財団
科学する心を育てる ソニー幼児教育支援プログラム

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論文募集

緑丘保育園 実践発表会開催レポート

パネルディスカッション

司会:  ソニー教育財団(高木恭子)
パネラー:  稲熊保育園(太田富士子) 藤川保育園(中野綱江)
2 「実践と具体的な成果」
  緑丘保育園(小早川恭代) 六名南保育園(野澤要子)
  緑丘保育園(高橋祐子)
3 「乳幼児期の科学する心」
  奈良井保育園(斉藤 綾) 緑丘保育園(飯塚琴美)
パネルディスカッション内容
1 「保育の充実のために 保育の現場で研究するとは」
太田  <当初の取り組み>当初2002年の取り組みは、手探り状態で実践の内容を論文に記述した程度に終わりました。今考えると本当に稚拙な内容でしたが、財団からの丁寧なコメントや参加賞までいただけたことで、翌年の応募動機のひとつになりました。「科学する心を育てるには」の中身もよく理解できないまま繭つくりや野菜畑に焦点をあて、子どもたちとの保育実践の中で細かい変化を楽しみながら、いくつかの感動の場面に出会ったことを論文にしました。
中野  <成果を受け継ぐ>緑丘保育園の保育内容は、子どもたちの気持ちに寄り添った普通の生活の中で「やってみよう」とする意欲を大切しています。子どもと保育者が共に育ちあうことを大切にしている内容が「科学する心を育む」保育実践として評価されたことは、ほんとうに嬉しいです。先輩が築きあげてこられた保育を受け継ぎ、蚕やざりがに、蝶の飼育をする中でいろいろなことを学ばせていただきました。生き物の生態を理解したり、命の営みや繰り返しのサイクルを知り自分達の命の大切さを感じとることもできました。また異年齢での伝え合いにより、子どもたちが主体的に見通しをもった生活が出来上がっている姿に育ちあう成果もみられ、豊かな自然環境に感謝しています。
質疑
京都府たかつかさ保育園
  私どもの園は、毎年蚕の飼育をしています。今年は、2400個の繭がとれ、豊かな自然環境のもとで桑の木にも恵まれ、研究を続けております。地域の人の力を借りてザリガニ等の飼育もして行きたいと考えています。子どもの心に添った保育のあたりでもう少しお聞かせください。
太田  保育の深まりは、子どもさんの発達が保障されて成り立っていけるものだと思います。その上で保育実践を続けていくことにより科学する心も育って行くと考えています。
共に体験する、共に育つ実践を理論化していくことを考えています。
刈谷市慈友保育園
  去年、住吉幼稚園に勤務していて優秀賞をいただき実践発表に至るまでの大変なことを実感しております。今年度より刈谷市では幼保一元化に向けて、幼稚園と保育園の職員の交代がありました。「科学する心を育む」保育をしてまいりたいと思っていますが保育園生活に様々な問題もあります。子どもの「どうしてかな」「やってみよう」とする意欲に共感できる環境づくりに心がけてまいりたいと思っています。
中野 緑丘保育園の子どもは、ちょうちょを見つけると、「モンシロチョウ」「キアゲハだ」「あれは、ツマグロヒョウモンだよ」と観察する力が出来ています。今まで培ってきたことや伝えあいの成果だと思います。
2 「実践と具体的な成果」
小早川  <蚕の実践>蚕は、短期間に成長変化し、観察しやすく世話もしやすい。また比較的容易に二番蚕までのサイクルを見せることができ、子ども達に出会わせる教材として適しています。飼育を毎年継続し繋げてきたが成長の様子を観察する中で、新たな発見や気付き、疑問もでてきて子どもと一緒に話し合ったり考える機会を大切にしてきました。いろいろな種類の蚕がいることや蚕の成長のサイクルから「かぶとやあげはと一緒だね」と命のつながりについて考える機会にもなりました。
絹糸を使った製作をしたり「本当に1300メートルあるのかなあ」の素直な疑問に、とことん付き合う中で「蚕さんって凄い」「蚕さんに負けた」と実体験を通して感じあえることもできた。様々な切り口で経験できたのは、伝えたり繋げたりして継続してきた成果と思います。
野澤  <環境の工夫>蝶のくる畑づくりの実践を通して、分からないことは図鑑で調べたり、大人に聞いてみようとする姿が現れました。種まきから継続して花や野菜を育て、葉っぱに生みつけられた卵を育て、青虫からさなぎになり蝶になるまでの変化を幾度も観察する経験ができました。この実践で保育士自身が興味を持ち「分からないことは調べてみよう」「どうすればいいのか考えてみよう」と子どもと一緒に考え、試し、実行してきた姿勢が子どもたちの知識を広げ、意欲を育てることになった成果であると実感しました。
高橋  <自然で遊ぶ>身近な自然で遊ぼうの取り組みをしてまいりました。地域に流れる六斗目川の自然を利用して、川に棲む生き物の生態を知りました。今までに出会ったことのないヒルやサカマキ貝を見て「川の水がどうしたらきれいになるか」「自分達でできることは何か」を考える機会にもなりました。環境課の方を通じて幼児環境教室に参加し、ごみを捨てないことやごはんを残さないで食べることなど様々な思いができていることを感じました。ザリガニつりでは、絵本「ざりがにのおおさままっかちん」に出会ったことで夢が広がり活動が展開し、まっかちん池も出来、乳児クラスの子どもさんにも身近に観察できる機会になりました。
質疑
城北保育園
  私の園は、朝7:00から夜7:00までの延長保育実施園です。
今子ども達は、かぶと虫の幼虫や、いろいろな野菜も育てています。
夏野菜の収穫をして野菜嫌いな子もおいしくいただくことができました。今日は、たくさん学ばせていただいたことがありました。「科学する心を育む」視点をおいて言葉がけをしたり、気づかせていくことでもっと広がりが持てるようになると感じました。そして先生方同士がよく話し合いを持って考えたり工夫したりして、積み重ねていくことが研究であることも勉強させてもらいました。
島坂保育園
  今日は、人的にも物的にも大変多くのことを学ばせていただきました。私の園のまわりも自然に恵まれています。子どもの中に情緒的に不安定、気になるお子さんがいますが、自然物を通して言葉がでたり友達同士の広がったりする姿も見られ、「科学する心を育む」教材としては取り入れやすいと考えています。緑丘保育園では、そういうお子さんに対して成果がみられた例があったら教えてください。
小早川  情緒が安定しているかどうかというより自然と関わっていく中で、一人で接するのではなく、例えば虫の好きな子を虫博士のような存在として(虫の好きな子はどちらかというと独りでいることが多いと思うんですが)「あの子に聞いてみよう」とすることで、「僕はクラスの中で役立っているんだ」と人とのつながりがそこからも持てるのではないかと思っています。
3 「0歳から科学する心」
   (幼稚園でも2歳児が生活するようになっているので、2歳児中心)
斉藤  <生活面から>緑丘保育園では、一人ひとりを大切にという気持ちで生活面では、特に丁寧に関わっています。食事、排泄時はいつも同じ保育士が側で見守っていることで安心した生活を送ることができます。まずは、1対1の関係を作り、大人との人間関係の基盤ができると友達や周りのことにも目を向けるようになります。大人とのよい関係の中で情緒が安定し、たった2歳の子でもいろいろなことを考え発想を広げていることに気づかされました。アゲハ蝶の飼育でさなぎからうまく出られなくて羽が曲り飛ぶことができない蝶を見て、「この蝶は、歩く蝶だね」と一言。大人には無い素直な発想に驚きました。幼児になる前段階の乳児のころから生き物に触れる機会をもち、興味を持つ気持ちを育てていくことでより幼児での興味・関心が広がると思います。生活する中で、子どもの小さな思いもキャッチできる関係をこれからも大切にしていきたい。
飯塚  <報告実践に関すること>身近な生き物や自然に触れる機会をもてたらと、意図的に環境を整えました。蚕の飼育では、幼児と同じように桑の葉をあげたり糞の始末をする経験を子どもたちの前で保育士がやってみせると覗きこんで「ムニュ、ムニュしとる」「へびだー」「ちょうちょになる?」と声を出していました。「どうかな?」と期待が残る声がけをすると、「お兄さんに聞いてみる」という子がいました。《はらぺこあおむし》の絵本を見てちょうちょになって飛んでみせる表現をして踊る事も楽しんでいました。また、たんぽぽで遊ぼうでは、園舎の裏で咲いていたたんぽぽを保育士が綿毛を吹いて見せるとすぐに「やりたい」と興味をもち吹いていました。「たんぽぽのおじいちゃん」「汽車ポッポみたい」と豊かな感性を持った言葉が返ってきて、大人では思いもつかない温かい気持ちに触れることもできました。
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