
緑丘保育園 実践発表会開催レポート
記念講演 「思いやりの心を育む」
講師 東京未来大学 教授 田中マユミ先生
保育を参観して
久しぶりに蚕に触れ、子どもの頃体感した感触、記憶が思い出されました。(蚕の体の感触・桑の葉を食べる音)蚕、昆虫、ザリガニなどの飼育を通して、「身近な自然への愛情や飼育物への思いやりが育つ」という実践が展開されていました。
子どもに対する発達期待
「どんな子に育てたいか」という保護者へのアンケートをすると、(1)思いやりのある子(2)協力のできる子 (3)責任感のある人という願いが上位となります。言い替えれば、「人と人との関係作りの力が育ってほしい」と願う保護者が多いわけです。また、協力し合っていける社会でなければ社会自体が発展していきません。この点は、大切な視点です。
思いやりの行動とは
向社会的行動(prosocial behavior)です。発達心理学辞典には、他者に利益をもたらすために自発的になされる意図的行動とあります。
- 自分の利益でなく他者に利益を与える行為です。
- 自分から気付いて行う、自発的な行動です。
- 意図的であり、目的や思いを持っています。
- 報酬を求めません。
- コスト(自分への負担)がかかる行動です。
- 途中で途切れることがあります。<気持ちを行動につなげていくことが大切>
思いやり行動を行うためには気付きや共感性が大切です。
ex.蚕の飼育で、蚕が動かないのを発見。きっとお腹がすいているのだと思う。
- 役割取得能力や判断する力、自己決定力も必要です。
ex.餌をどうやって与えるか、どんな葉を与えるか、どれだけ与えるか 等.
- そして、そうした思いや行動に自信があるということ。そういった力が育って、行動に移すことができ、それが思いやりに通じていくのです。
相手の視点に立つ
- 3歳児…自己中心的視点 自分の思いを出します。
- 4歳児…相手の視点と自分の視点の違いに気づくようになります。
- 5歳児…自己内省的視点 表情やしぐさから内面的な気持ちの違いが分かったり、相手の立場に立って行動したりするようになります。
こうした発達をすることで、思いやりの心が育まれていきます。
自分の気持ちと相手に対する気持ち
- 好きな人が自分に何かをしてくれることの喜びが、人間関係をより密にしていきます。反対に好きではない人に何かをされると素直に受け取れないことがあります。そうしたことも、当然ある姿です。
- 思いやりの行動を成立させるためには、暖かい人間関係が基盤となります。言い替えれば、愛着行動や信頼関係がなければ、思いやりの心は育たないのです。
- 子どもが「甘えがたい、思いを伝えたい」と思う、そうした愛着を持つようになる大人の存在が大切です。保育者は子どもを受け入れ、子どもに信頼される大人であり、そういった関係作りを大切にして見守ってくれる人です。
思いやりの心を育てるには
- 自主性を基盤とした日常であることが必要です。自由な雰囲気の中で、気付きがあり、自己判断力が育ちます。
- 共感的な関わりを重んじることです。相手がなぜそう感じ、そう思ったかを相手の身になって感じる経験をすることが大切です。
- 対話を重んじる関わりを大切にしましょう。子ども同士、保育者と子ども、保育者と保育者、保育者と保護者、そうした様々な関係の中で対話を重んじることが、子どもたちの思いやりの心を育てることに結びついていきます。対話によって相手の立場や状況を理解し、気持ちのやり取りによって他者の気持ちを理解するようになります。一言で言えば、「思いやりの心は対話から」と言うことができます。
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