今回は、出雲市立湖陵幼稚園※から、研究主任の奥井美恵先生にお話を伺いました。湖陵幼稚園では、一人ひとりの子どもの思いを大切にする保育が展開されています。 お話を伺い、奥井先生が子どもたち一人ひとりの思いや心情に寄り添って保育をされる姿が浮かんできました。
※2009年度ソニー幼児教育支援プログラム 最優秀プロジェクト園
一人ひとりを大切にする

奥井美恵先生
本園は「幼児の思いを受け止め、互いにかかわり合い、認め合える環境の構成と援助の工夫」をすることで、「自分らしさを出し合いながら、共に育ち合う幼児の育成」をしたいと考え、4年前に同和教育に関する研究をスタートさせました。そして、2年前に『科学する心」の育成に関する研究もスタートさせました。同和教育の研究を進めてきた成果が表れてきた今年度、クラスに次々と新入園児を迎える中で、個別支援の重要性を改めて実感し、「子どもたち一人ひとりを大切にしたい」という思いを更に強くもちました。
これまで「自分の思いを発揮する」「自分らしさを出す」生活を重ねてきたことが、実践発表会当日の雨天の中でも「神西湖遊び(作り)の続きをしよう」と生き生きと戸外で活動する子どもたちの姿につながりました。雨天の中での感動や新たな出会いや発見を取り入れながら、園庭に再現した神西湖や川、海に一人ひとりが思いを広げていったのです。
「科学する心」との出会い

園外保育で白鳥に出会いました
中学校を退職して赴任して来た高尾園長は、日々、子どものありのままの姿や遊んでいる様子、つぶやきまでも捉えて、「子どもって発想がユニークで面白いですね!」「幼児にはこんなに素晴らしい力があるのですね!」「子どもは、まさに輝く石の原石ですね!」と感動していました。そして、高尾園長がこれまでカメラに収めてきたたくさんの写真と、「どれも子どもたちに『科学する心』を育むための素晴らしい活動ですよ」という言葉をきっかけに私達は『科学する心』と出会いました。そして、年間指導計画に位置づけて実践を重ねてきた『元気いっぱい・友達いっぱい・ハートいっぱい』活動の中に、「子どもたちに『科学する心』を育んでいる」ことを見出すことができました。
「科学する心」を育むことが一人ひとりを大切にすることにつながる

高齢者スポーツ大会で幼稚園児を励ます奥井教諭
子どもたちは、これまでに重ねてきた体験や年齢に応じて、様々なことに気付き、驚き、不思議を感じ、試したり、比較したり、確かめたりしながら自分なりに探求、解決していくことの楽しさを味わっています。
自分のことだけで精一杯だった3歳児が、次第に生き物に心を寄せたり、同じように生き物に心を寄せる友達の存在に気付いたりします。こうして一人ひとりに芽生えた『科学する心』により、3歳児なりに生命の大切さを感じる体験をしていることを捉えることができました。
友達を意識し、一緒に活動する喜びを感じつつも、トラブルも生じやすい4歳児が、カエルの卵を育てる体験を通して「みんな仲間」という思いをもちました。これをきっかけに、一人ひとりが自分らしさを十分に発揮する中で、互いのよさに気付き、認め合う姿につながっている姿を捉えることができました。
こうして3、4歳の時に年齢に応じた体験を積み重ねてきた5歳児は、目的に向かい思考錯誤し、互いに考えを出し合いながら困難に思ったことを乗り越えることができる仲間になりました。力を合わせてやり遂げたことで、体験・知識・達成感・満足感が大きく広がり、協同的な学びを体験することができました。一人ひとりの思いや気付き、体験していることを大切にしてきたことで、『科学する心』が育まれていったのです。
子どもたち一人ひとりの思いや考えは互いに魅力的な刺激になっていきました。次第に私達保育者の想像を超える発想や体験を楽しむようになりました。このことは、保育者の協同的な学びや保育の成果でもあります。
高尾彬園長先生から

高尾彬園長先生
奥井美恵教諭は湖陵幼稚園の研究主任3年目になります。子どもたちの心情や気持を的確に捉え、適切な対応ができます。過去2回の論文応募も日頃の活動を活字や写真で残しておき、論文を書く時に大いに役立ちました。
東京での贈呈式に2回招かれ(2008年度:優良プロジェクト園、2009年度:最優秀プロジェクト園)全国の取り組みに接したり実践発表を体験したりしたことによって、奥井教諭は研究意欲・実践力をより一層高めることができたと思います。

2010年7月3日の公開保育・実践発表会に向けて担任として、先輩教師として、また研究主任として、公開保育、研究発表、保育指導案づくり、研究紀要の作成など準備すべきことがたくさんありましたが、精一杯頑張りました。当日は、県内外の保育所・幼稚園等から160人以上の参加者があり、皆さんからよい評価をたくさんいただき、奥井教諭始め職員一同今後の研究に向けての糧となりました。



